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  • 【記事12本14万字】UFC即王座挑戦の裏側、ドーピング、齋藤彰俊、あきぴ、韓国格闘技事情……

    2024-11-30 23:598時間前
    800pt
    非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! 記事12本14万字で800円!!(税込み)


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    笹原圭一の「RIZIN LANDMARK名古屋」を11,000字で語ろう
    ◎朝倉海の即UFC王座挑戦は「オーストラリアの◯◯」がきっかけ?■シュウ・ヒラタ
    ◎RIZINラウンドガールからMMAデビューへ! あきぴインタビュー
    ◎RIZINガールからRIZIN広報に! 横島加奈さんインタビュー

    ◎日本格闘技界はドーピングにどう向き合うべきか■大沢ケンジ☓タケ ダイグウジ
    ◎“お隣”韓国の知られざる格闘技事情■PKヤドラン


    ◎追悼・小林邦昭さん■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」
    ◎【全女伝説】前川久美子「どっちかが死ぬんじゃないか…と思う試合はいくらでもあった」
    ◎プロレスラー引退■齋藤彰俊インタビュー

    飯伏幸太vsDDT亀裂の見立て/Sareeeの裏投げ■プロレス事情通Z
    佐々木憂流迦が中邑真輔戦の“葛藤”を語る
    TAJIRIかく語りき「奇跡のプロレスから離れて」

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    大会後恒例!RIZIN広報・笹原圭一さんのRIZIN LANDMARK名古屋総括11,000字です!(聞き手/ジャン斉藤) 




    ――
    RIZIN名古屋はワーストだったという声があるんですけど、常に超RIZINや大晦日級を求められているんだなってハードルの高さを思いしりました!

    笹原 毎回大晦日クラスのものをやり続けたら10年持つ身体が1年
    で終わってしまうかもしれない(笑)。

    ――
    ハハハハハ! いまの格闘技ファンには届かない「猪木語録ハラスメント」はやめてください!谷間の興行になると「PPVの値段を下げろ!」という声が飛びがちですけど、他のジャンルの配信価格設定を見るかぎりRIZINのPPVは標準ではあるんですよね。大晦日と地方がほぼ同じだから文句は出るんでしょうけど、オールスターシステムの大晦日はUFCのPPV並の価格にしたいんだろうなと。

    笹原 できるだけリーズブルな価格で見たい……という気持ちはすごくわかります! ボクらも企業努力は当然しなきゃいけないんですけれど、それにしても世の中は物価高ですし、円安の影響で外国人ファイターを呼ぶのもなかなか大変ですし、これだけ円安が続いたら10年持つ会社が1年で終わってしまうかもしれない(笑)。

    ――
    また!(笑)。今回の名古屋にも世界各地から「地獄のチャーリー軍団」が大襲来しましたけど、いくらかかってるんだって話ですね。

    笹原
     たとえば会場設営&撤収作業はアルバイトを雇うんですけど、RIZIN規模のイベントだと大人数になるし、いまは人件費も上がっていて、おまけに年末になると通常料金では人材を確保できない。通常は1日拘束で▲万円くらいですけど、大晦日料金は◯万円くらいになりますから。

    ――
    ◯万円! 家で寝っ転がってRIZIN観戦しているボクを雇ってください(笑)。

    笹原
     まあでも観戦されるお客さんにはそんなこと関係ないので、満足いただけるような中身を作るしかないんですけどね。

    ――その名古屋メインのケラモフvs摩嶋一整は28秒決着。格闘技の儚さに痺れましたね……。摩嶋選手はやっと初のメインにたどり着いたのに、こんなにあっけなく散ってしまったのかと。

    笹原
     「残酷」という言葉しか出てこないですよね。これまでも何度か言ってますけど、RIZINはPRIDE.1のヒクソン・グレイシーvs.高田延彦のときの「残酷な現実」が刻印されたイベントですからね。

    ――
    残酷さが人を惹きつけ、新しいドラマを駆動させると。

    笹原
     でも一方で勝者のケラモフにもすごい重圧があったんですよ。鈴木千裕選手に負けてフェザー級のベルトを失ったアゼルバイジャン大会はちょうど1年前だったじゃないですか。

    ――
    地元大会での屈辱的敗北でしたねぇ。

    笹原
     そのあと事件に巻き込まれて刑務所に入れられて、やっと出所できて1年ぶりの試合だったんですが、今回は普段はいないスポーツ庁の人間が帯同してたんですよ。

    ――
    どういうことですか?

    笹原 刑務所に入れられて出てくることができたのは、スポーツ庁の偉い人が動いてくれたかららしいんです。なのでスポーツ庁からすると「ちゃんと日本で、アゼルバイジャンのために試合をするんだろうな」とチェックするために帯同したんじゃないかなって。

    ――
    うわぁ……。

    笹原
     試合後、ケラモフ陣営から柏木さんのところに「リング上でケラモフが勝ったことがわかる写真を送ってくれ」という連絡があったんです。理由はアゼルバイジャンのスポーツ省に報告したかったらしいんですよね。少しでも早くケラモフの活躍を証明したい。最初はRIZINガールに両脇にいるケラモフの写真を送ったら「別の写真にしてくれ」と。刑務所を出たばっかりで女の子をはべらせているようなものだと誤解されると(笑)。

    ――「日本で遊んでるんじゃないか」と(笑)。

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    笹原
     こっちとしては「なんでそんなに写真が必要なの?」ってすぐには対応してなかったんですよ。そうしたら「早く写真をよこせ!」と柏木さんがせっつかれて、よくよく事情を聞いたらそういう理由だったみたいです。

    ――
    ケラモフは試合後のマイクでアゼルバイジャンのスポーツ庁に感謝の言葉を述べてましたが、そこには深い意味を感じますね……。

    笹原
     ケラモフのコーチもスポーツ大臣から「絶対に結果を出せ!」と言われていたみたいです。だからケラモフはちょっと我々には想像できないようなプレッシャーがあったと思うんですよね。

    ――摩嶋視点では残酷すぎる結末ですが、ケラモフにも圧倒的な物語があったわけですね。

    笹原
     ケラモフは生き残れたけど、摩嶋選手は……それでも立ち上がるしかないのが格闘家という職業ですから。今回あらためて思ったんですけど、試合に勝った選手は勝利の喜びを消費する時間ってあっという間だと思うんですけど、負けた選手が敗北を受け止めている時間って超長いんじゃないかって。「もっとこうすればよかった」とか「あのとき、あれができたんじゃないか」って、自己批判や自己否定を繰り返して、すごく長い時間かけて消化しなきゃいけない。勝利と敗北って、実はすごくアンバランスなんですよね。

    ――
    臥薪嘗胆という言葉もありますしね……。負けた選手がよく「早く試合をしたい」というのは早くこの沼から抜け出したい理由もあるんでしょうね。

    笹原
     敗北の屈辱を晴らすのは、勝利しかないですからね。

    ――
    摩嶋選手もRIZINプロデュースの後押しもあってファンに愛されるキャラクターになってますが、必ずハッピーエンドで終わるわけではない。リングの上だけは自分の力でどうするかしかないわけですよね。

    笹原
     摩嶋選手ってRIZINに上がるまでは「地味強な地方の選手」という印象だったファンは多かったと思うんですよ。RIZINというある意味で華やかな舞台を通して、町工場で働き子供を育てながら試合で戦うひたむきな姿が伝わり、多くのファンに愛されたんだと思います。

    ――
    セルフ・プロデュース全盛の時代にSNSやYouTubeも一切やらないことも、「だったら俺たちが売らなきゃ!」というファンの応援スイッチが入った感はありますよね。

    笹原
     摩嶋選手はこの残酷な結果を、仕事をして、子供を育てながら消化するしかない。ボクらはもう一度立ち上がってほしいと願うことしかできませんけど、立ち上がって欲しいなぁ…。


    ・チャーリー柏木さんの「荒削り」詐欺
    ・愛すべきトニー・ララミーの姿勢
    ・「アーチュレッタ病」とは何か
    ・日本人が避ける(?)RIZINライト級門番四天王
    ・怪物くんが“怪物”に出会った
    ・芦澤竜誠vs昇侍は最高
    ・久保優太は◯◯◯を選ばずに……


    記事12本12万字の詰め合わせセットはまだまだ続く……


     
  • TAJIRIかく語りき「奇跡のプロレスから離れて」

    2024-11-26 21:061
    200pt
    9b0de1267d56a05386fdd3dce8b231687538ec14
    現在は九州プロレスで活躍するTAJIRIインタビュー!現在のプロレス、九州プロレスの熱、ブック論争……あらゆる話題を13,000字で語りまくります!(聞き手/ジャン斉藤)☆ニコ生配信されたものを再構成したものです




    【1記事から購入できるバックナンバー】

    アイスリボン給料未払いとは何か■プロレス事情通Z



    ――TAJIRIさんといえば、単行本とnoteの執筆でもご活躍されてますけど、ボクもたまにnoteを購入してます。

    TAJIRI ありがとうございます。なんだか“noteこ●き”みたいになってるんですけど(笑)。

    ――
    ハハハハハハ!TAJIRIさんのnoteは面白いんですけど、単記事発売じゃないですか。月額制にしないんですか?

    TAJIRI
     そろそろ月額制にしてみようかなって。noteのほうから「そうしたほうがいいですよ」っていきなり連絡があってですね。

    ――
    月額制にしたほうが読む人は多くなりますよ。

    TAJIRI
     そういうもんなんですねぇ。

    TAJIRI秘密文書編集室
    https://note.com/buzzsawkick/membership/join


    ――
    noteでも触れているかもしれませんが、今日はいろんなお話をお聞きしたいと思います。TAJIRIさんはいま九州プロレス所属で福岡に住まわれてますね。

    TAJIRI
     もう2年近く経ちますね。大学時代にこっちに住んでいたんで、もともと馴染みがあるんですけど。住んでるところは福岡空港の近くで、すぐに近くを飛行機が通るから、そういうときに電波が悪くなるんですよ。

    ――じゃあ、この配信もガクガクし始めたら飛行機のせいで電波が悪くなったということで(笑)。

    TAJIRI
     ハンパなく飛ぶんですよ。九州プロレスの道場まで自転車で1分で行けるんですけど、道場の上に飛行機がものすごく接近しますからね。昔、飛行機のパーツが落ちて事件になったことがあったみたいです。

    ――
    TAJIRIさんの九州プロレスの1日はどんな感じなんですか?

    TAJIRI
     朝、道場に教えに行って、午後は営業に付き添うこともあるし、夜は営業や接待。プロレス好きの社長さんが多いのでけっこう呼ばれるんですね。

    ――
    指導以外にも営業をやりながら、リング内外で九州プロレスを盛り上げていってるんですね。

    TAJIRI
     はい。ボクなんかは営業をわりとやってないほうで。一番すごいのは、ばってん×ぶらぶらですね。彼は自分であちこち飛び回ってますから。東京には伝わってないんですけど、九州プロレスはものすごい広がってますね。

    ――
    TAJIRIさんのツイッターからその熱は伝わってます!

    TAJIRI
     だといいんですけどね。けど、べつにプロレスファンに伝わらなくてもいいんじゃないかなって思ってて(笑)。

    ――
    なんでですか(笑)。でもまあ東京のプロレスファンに伝わっても、現地で見れるわけでもないですね。

    TAJIRI
     逆にボクは東京のプロレスをほとんど見ないんですよ。『週刊プロレス』もここ2年間読んだことが1回もないし、ネットで調べたりもしないし、映像配信も見たこともないしで。そうすると、プロレス界のことがなーんにも伝わってこないんですよね。「この世にプロレスは存在しないんじゃないか?」ってくらい。自分から調べないと、なーんにも入っていないんですよ。だから普通の人も「プロレスはあるのか、ないのか」という感じだと思いますね。

    ――
    たしかに世間を飛び越えたニュースがいまのプロレス界にはあまりないですね。

    TAJIRI
     まあ、それはプロレスだけではないと思うんですけど。ボクは球技にまったく興味ないんで、サッカーやバレーボールのニュースは何にも知らない。昔ならたまにプロレスのニュースも飛び込んできたんですけど、いまは情報が多すぎるから難しいですよね。

    ――
    TAJIRIさんって、携帯でしかツイッターをチェックしない派なんですよね。基本的にパソコンで見ると。

    TAJIRI
     そうですね。携帯では「noteが売れたかな」って確認しかしないです。“noteこ●き”だから(笑)。

    ――
    ハハハハハハハ。noteでプロレスのことを書くにあたって最近の情報を気にする必要はないと。

    TAJIRI
     やっぱり何も知らなくて困るときがあって。プロレス界で起きてることを書くのが一番読まれるわけじゃないですか。このままじゃ“noteこ●き”もできないんじゃないかって(笑)。

    ――
    ハハハハハ。ものすごい失礼な質問なんですけど、棚橋弘至さんが引退表明されたことはご存知ですよね?

    TAJIRI
     それは聞きました。

    ――
    よかった(笑)。九州プロレスにお話を戻すんですけども。Dropkickチャンネルは格闘技ファンが多いのであまりご存じないんですけど、九州プロレスは大会を無料観戦できるんですよね。

    TAJIRI
     全大会無料です。

    ――
    すごいなあ。九州に旅行で行く機会があったら、誰でも覗けるということですね。

    TAJIRI 会場に来ればそのまま見れちゃうんですよ。最近はお客さんも数もすごいですよ。1000人があたりまえになってきてる。本当に1000人のお客さんが集まる絵って凄まじいんですよ。3500人と発表されている会場より入ってるんですよ(笑)。

    ――
    3500人入ってないのに「主催者発表3500人」と発表している団体があるかのような言い方はやめてください(笑)。

    TAJIRI
     フッフッフッ。まあ昔はボクもやってましたけどね(笑)。こないだの福岡国際センターもパンパンだったんですよね。国際センターに来た他団体をいくつか見てるんですけど、2000人以上入ってるところってないと思いますね。

    ――
    いまの世の中って娯楽が溢れてるから、タダでも行かないですよね。それで1000人の集客はすごい。

    TAJIRI
     九州プロレスには「この人、いつも会場に来てるな」って常連が100人近くいるのかなあ。この前なんてボクの生まれ故郷の玉名(熊本県)でやったんですけど、8万人の人口のところに1000人弱来たんですよ。遠くから来る人もいたんですけどね、東京にはそういう話はまったく伝わってないでしょ?

    ――
    なんとなく聞いてるんですけども、おそらく現地に行けばまた違った熱があるってことですね。

    TAJIRI
     たまに東京から知り合いが来るんですけど、みんなびっくりするんですよね。東京から九州プロレスに参戦するレスラーたちもいろいろとびっくりしますね。

    ――
    それは東京のプロレスと雰囲気が違うわけですか。

    TAJIRI
     全然違う。九州プロレスの会場は子供ばっかりなんですよ。やっぱり夜18時から水道橋でやるプロレスに子供は見に行けないですよね。

    ――
    試合内容も東京のプロレスとまた違うわけですか?

    TAJIRI
     すごくシンプルですよ。複雑な攻防をやったら子供たちはわからないのでやらないです。

    ――
    具体的にどういった攻防が複雑なんですかね?

    TAJIRI
     「奇跡が起きるプロレス」です。「なんでそういう態勢になるんですか」「そういう動きにならないでしょ?」って攻防です。不思議なプロレスが多いじゃないですか(笑)。

    ――
    えーっと、多いかもしれないですね(笑)。

    TAJIRI
     黒潮“イケメン”二郎がそういうプロレスを「奇跡のプロレス」、略してキセプロって呼んでるんですよね(笑)。

    ――
    イケメンさんのせいにしないでください(笑)。

    TAJIRI
     アイツこの前、玉名の興行に来たんですけど、試合はすごくシンプルですね。わかりやすいです。

    ――
    たしかにプロレスをよく知らない人から見ると「これはどういう技なんだろう?」という動きはあるのかもしれないですよね。

    TAJIRI
     ボクにだってわかんないですもん(笑)。だから、東京のプロレスを見なくなっちゃったんですよ。

    ――
    そこはマニアを対象にしていくと、より刺激的なものを求めた結果、キセプロにたどり着くんでしょうかね。

    TAJIRI
     もちろんマニアだけがいる空間の面白さもあるんですけどね。

    ――
    ただ九州でマニアだけ集めてもビジネスとしては回らないところはありますよね。

    TAJIRI
     マニアって数が少ないですからね。

    ――
    全大会無料で見せるということは、九州プロレスには協賛企業はものすごくたくさんあるわけですよね。

    TAJIRI そこはもう、ばってん×ぶらぶらを始めとする営業がみんな頑張ってくれているので。レスラーはプロレスの試合しかやってないですよ。営業の付き合いはやりますけど、営業が5人ぐらいいます。九州プロレスの去年の売り上げは2億円だったのかな。

    ――
    2億円!

    TAJIRI
     NPOだから数字はすべて表に出るんですよ。

    ――
    九州プロレスはプロレス史上初のNPO団体なんですよね。専属の営業部員もいて、レスラーも営業のサポートはするけど、基本的に試合だけ。

    TAJIRI
     あと慰問ですね。ボクと玄海はキャラがあるからだと思うんですけど、めんたい☆キッドさん、阿蘇山、桜島(なおき)選手、佐々木日田丸さんなんかは、毎日のように幼稚園や介護施設に行ってます。年間200回かな。

    ――
    年間200!? 東京のプロレスはちょっとビジネス構造のあり方が違うですね……。

    ・筑前りょう太はイエス・キリスト
    ・ブックについて
    ・「戦いがあるプロレス」の定義
    ・『極悪女王』とビンス・ドキュメント
    ・ガロ的プロレス……13,000字インタビューはまだまだ続く


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  • 笹原圭一の「RIZIN LANDMARK名古屋」を11,000字で語ろう

    2024-11-25 13:022
    200pt
    大会後恒例!RIZIN広報・笹原圭一さんのRIZIN LANDMARK名古屋総括11,000字です!(聞き手/ジャン斉藤) 


    【1記事から購入できるバックナンバー】

    ・笹原圭一の「RIZIN48のことは嫌いにならないでください」



    ――
    RIZIN名古屋はワーストだったという声があるんですけど、常に超RIZINや大晦日級を求められているんだなってハードルの高さを思いしりました!

    笹原 毎回大晦日クラスのものをやり続けたら10年持つ身体が1年
    で終わってしまうかもしれない(笑)。

    ――
    ハハハハハ! いまの格闘技ファンには届かない「猪木語録ハラスメント」はやめてください!谷間の興行になると「PPVの値段を下げろ!」という声が飛びがちですけど、他のジャンルの配信価格設定を見るかぎりRIZINのPPVは標準ではあるんですよね。大晦日と地方がほぼ同じだから文句は出るんでしょうけど、オールスターシステムの大晦日はUFCのPPV並の価格にしたいんだろうなと。

    笹原 できるだけリーズブルな価格で見たい……という気持ちはすごくわかります! ボクらも企業努力は当然しなきゃいけないんですけれど、それにしても世の中は物価高ですし、円安の影響で外国人ファイターを呼ぶのもなかなか大変ですし、これだけ円安が続いたら10年持つ会社が1年で終わってしまうかもしれない(笑)。

    ――
    また!(笑)。今回の名古屋にも世界各地から「地獄のチャーリー軍団」が大襲来しましたけど、いくらかかってるんだって話ですね。

    笹原
     たとえば会場設営&撤収作業はアルバイトを雇うんですけど、RIZIN規模のイベントだと大人数になるし、いまは人件費も上がっていて、おまけに年末になると通常料金では人材を確保できない。通常は1日拘束で▲万円くらいですけど、大晦日料金は◯万円くらいになりますから。

    ――
    ◯万円! 家で寝っ転がってRIZIN観戦しているボクを雇ってください(笑)。

    笹原
     まあでも観戦されるお客さんにはそんなこと関係ないので、満足いただけるような中身を作るしかないんですけどね。

    ――その名古屋メインのケラモフvs摩嶋一整は28秒決着。格闘技の儚さに痺れましたね……。摩嶋選手はやっと初のメインにたどり着いたのに、こんなにあっけなく散ってしまったのかと。

    笹原
     「残酷」という言葉しか出てこないですよね。これまでも何度か言ってますけど、RIZINはPRIDE.1のヒクソン・グレイシーvs.高田延彦のときの「残酷な現実」が刻印されたイベントですからね。

    ――
    残酷さが人を惹きつけ、新しいドラマを駆動させると。

    笹原
     でも一方で勝者のケラモフにもすごい重圧があったんですよ。鈴木千裕選手に負けてフェザー級のベルトを失ったアゼルバイジャン大会はちょうど1年前だったじゃないですか。

    ――
    地元大会での屈辱的敗北でしたねぇ。

    笹原
     そのあと事件に巻き込まれて刑務所に入れられて、やっと出所できて1年ぶりの試合だったんですが、今回は普段はいないスポーツ庁の人間が帯同してたんですよ。

    ――
    どういうことですか?

    笹原 刑務所に入れられて出てくることができたのは、スポーツ庁の偉い人が動いてくれたかららしいんです。なのでスポーツ庁からすると「ちゃんと日本で、アゼルバイジャンのために試合をするんだろうな」とチェックするために帯同したんじゃないかなって。

    ――
    うわぁ……。

    笹原
     試合後、ケラモフ陣営から柏木さんのところに「リング上でケラモフが勝ったことがわかる写真を送ってくれ」という連絡があったんです。理由はアゼルバイジャンのスポーツ省に報告したかったらしいんですよね。少しでも早くケラモフの活躍を証明したい。最初はRIZINガールに両脇にいるケラモフの写真を送ったら「別の写真にしてくれ」と。刑務所を出たばっかりで女の子をはべらせているようなものだと誤解されると(笑)。

    ――「日本で遊んでるんじゃないか」と(笑)。

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    笹原
     こっちとしては「なんでそんなに写真が必要なの?」ってすぐには対応してなかったんですよ。そうしたら「早く写真をよこせ!」と柏木さんがせっつかれて、よくよく事情を聞いたらそういう理由だったみたいです。

    ――
    ケラモフは試合後のマイクでアゼルバイジャンのスポーツ庁に感謝の言葉を述べてましたが、そこには深い意味を感じますね……。

    笹原
     ケラモフのコーチもスポーツ大臣から「絶対に結果を出せ!」と言われていたみたいです。だからケラモフはちょっと我々には想像できないようなプレッシャーがあったと思うんですよね。

    ――摩嶋視点では残酷すぎる結末ですが、ケラモフにも圧倒的な物語があったわけですね。

    笹原
     ケラモフは生き残れたけど、摩嶋選手は……それでも立ち上がるしかないのが格闘家という職業ですから。今回あらためて思ったんですけど、試合に勝った選手は勝利の喜びを消費する時間ってあっという間だと思うんですけど、負けた選手が敗北を受け止めている時間って超長いんじゃないかって。「もっとこうすればよかった」とか「あのとき、あれができたんじゃないか」って、自己批判や自己否定を繰り返して、すごく長い時間かけて消化しなきゃいけない。勝利と敗北って、実はすごくアンバランスなんですよね。

    ――
    臥薪嘗胆という言葉もありますしね……。負けた選手がよく「早く試合をしたい」というのは早くこの沼から抜け出したい理由もあるんでしょうね。

    笹原
     敗北の屈辱を晴らすのは、勝利しかないですからね。

    ――
    摩嶋選手もRIZINプロデュースの後押しもあってファンに愛されるキャラクターになってますが、必ずハッピーエンドで終わるわけではない。リングの上だけは自分の力でどうするかしかないわけですよね。

    笹原
     摩嶋選手ってRIZINに上がるまでは「地味強な地方の選手」という印象だったファンは多かったと思うんですよ。RIZINというある意味で華やかな舞台を通して、町工場で働き子供を育てながら試合で戦うひたむきな姿が伝わり、多くのファンに愛されたんだと思います。

    ――
    セルフ・プロデュース全盛の時代にSNSやYouTubeも一切やらないことも、「だったら俺たちが売らなきゃ!」というファンの応援スイッチが入った感はありますよね。

    笹原
     摩嶋選手はこの残酷な結果を、仕事をして、子供を育てながら消化するしかない。ボクらはもう一度立ち上がってほしいと願うことしかできませんけど、立ち上がって欲しいなぁ…。


    ・チャーリー柏木さんの「荒削り」詐欺
    ・愛すべきトニー・ララミーの姿勢
    ・「アーチュレッタ病」とは何か
    ・日本人が避ける(?)RIZINライト級門番四天王
    ・怪物くんが“怪物”に出会った
    ・芦澤竜誠vs昇侍は最高
    ・久保優太は◯◯◯を選ばずに…11,000字インタビューはまだまだ続く


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