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記事 13件
  • 「トランプとフリスビー」

    2022-01-31 07:00  
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     夕食の後に家族三人でトランプをする。このところ娘が覚えたてのババ抜きにハマっているのだ。夕食後に家族でトランプなんて絵に描いたような一家団欒がくすぐったかった。自分のような孤独で陰鬱な人間にそんな未来が訪れていることが不思議でならなかった。
     

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  • 「いま、こうしていることの意味」

    2022-01-28 07:00  
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     今日も一日、家族三人で家の中にいた。空は今日も霞んでいる。すっきりしない心模様のようだ。釈然としない。こんなときこそ走ればいいのだけれど、こんなときに限って走ることができない。ゆっくり流れていく雲を漫然と見つめ、切れ間から射し込む光明を探し求める。雲は流れていくのに自分たちは留まっている。鳥は自由に大空を舞っているのに自分たちは留まっている。自分の足以外に移動手段を持たない原始の人々はこんな気持ちで空を見上げていたのだろうか。
     

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  • 「エアポケット」

    2022-01-26 07:00  
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     なぜだか小学校を休んだ日のことを思い出していた。板張りの冷たい廊下を行き来する母の足音。ラジオから流れる大沢悠里の声。布団の中で天井の染みをぼんやりと見つめていた。みんなは今ごろ給食の時間かな。大して思い入れなんかないのに自分だけがいない教室のことを想像したりしていた。
     

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  • 「ともだち」

    2022-01-24 07:00  
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     娘がともだちと約束を交わすようになった。一度、保育園の帰りに玄関で話しているのを見たことがある。「明日、海で遊ぼうね」「フリスビーしよう」「たこあげもしよう」「おやつも持っていくんだよ」「おむすびも食べよう」「やくそくだよ」「うん、やくそく」 五歳同士の会話は絵本のようなものだと知った。「ぐりとぐら」みたいだった。
     

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  • 「何のために生まれて来たのか」

    2022-01-21 07:00  
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     娘と「今年は6歳になるね」「早いね」なんて話していたときだ。思いも寄らぬ言葉がその口から放たれた。
     

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  • 「1月16日」

    2022-01-19 07:00  
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     2022年1月16日日曜の朝、相模湾は不気味なほど凪いでいた。凪いでいるどころか波ひとつない湖面のようだ。風速0メートル。木の葉を揺らすほどの風もなかった。人の姿も見えない。時間が止まってしまったかのようだった。
     

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  • 「手を差し伸べてしまった」

    2022-01-17 07:00  
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     通学路で娘が転んだ。
     駆けだした途端に足が縺れて転んだ。すぐにわっと泣き出した。自分でもびっくりしたのだろう。五メートル後方を歩いていた僕自身も驚いた。咄嗟に駆け寄ろうとしていた。だけどすぐに踏みとどまった。娘は反射的に両手をついていた。膝小僧を擦り剥いたくらいだろう。ひとりで立ち上がれるかどうか見守るべきだ。そう思った。だが、娘は泣き続けたまま立ち上がろうとしない。
     

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  • 「通学路にて」

    2022-01-14 07:00  
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     澄み渡る冬の朝、リュックサックを背負った娘が白い息を弾ませ歩いていく。平日の134号線。車の往来は少ないものの、路線バスや大型のトラックがを時折り歩道の横を走り抜けていく。路肩をロードバイクの列が駆け抜けていく。僕は娘のすぐ後ろを歩きながら、その足取りを見守っている。
     

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  • 「親の醍醐味」

    2022-01-12 07:00  
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     ところで「醍醐味」というのはどんな味なんだろう。醍醐味という言葉を使おうしているわりに知らなかった。たぶん口にしたこともないんじゃないだろうか。そもそも醍醐というものが食べ物なのか飲み物なのかも知らなかった。
     広辞苑を開く。なるほど。そうだったのか。危うく知らないまま、親の醍醐味なんて語ってしまうところだった。というわけで醍醐というのが何であるか。どんな味なのかは後回しにして、まずは本題である「親の醍醐味」について語ろうと思う。
     

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  • 「陸の孤島」

    2022-01-10 07:00  
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     三浦半島はいとも容易く〈陸の孤島〉になる。もっとも半分島のようなもの、と明言している時点でそうなるのも当然と言えば当然なのだけれど。夏場は大雨や台風。冬場は雪。先日は四年ぶりのまとまった雪(首都圏比)で東京に向かう有料道路が凍結で通行止めになった。電車は辛うじて動いてはいるものの(それでも倒竹が線路を塞ぎ一時運休、ダイヤは大幅に乱れていた)最寄り駅までのバスが運休になった。葉山や僕が暮らす秋谷といった相模湾沿岸の住人は慣れない雪道を一時間近く歩かなければ最寄りの逗子駅まで辿り着けない状況に陥った。
     

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