-
「ぼくの貌」
2020-10-30 07:00110pt自分が人からどんなキャラクターだと思われているかなんてあまり考えたことがなかった。書いたものがどう思われるかは考えているけれど、書いたものの向こう側にいる自分を意識したことはほとんどない。書いているもののほとんどはフィクションだし、その矢面に立つのはいつもぼく以外の誰かだからだ。
-
「個育てとか、共育とか」
2020-10-28 06:00110pt朝、娘が咳き込んでいた。楽しみにしていた遠足の振替日だった。熱はないが、食欲もない。「念のためだからね」 八時過ぎに娘を近所の小児科へ連れて行く。平日の海辺の町はとても静かで窓を開けると秋の清冽な潮風が車内を吹き抜けていった。絶好の遠足日和なのに可哀想にと後部座席の娘を見遣った。 ちょっとした手違いで診察まで車の中で三十分ほど待つことになった。娘と二人きり。これといってやることもない。「こっちに坐る?」 娘を走行中は坐ることのできない助手席に誘った。いつも坐りたがる助手席からの景色に興味津々だった。サンバイザーの鏡に向かって百面相をしている。「話でもしようか?」
-
「蜜柑」
2020-10-26 07:00110pt -
「あたらしい朝」
2020-10-23 07:00110pt -
「おいしいたまご」
2020-10-21 07:00110pt -
「記憶の中の虹」
2020-10-19 07:00110pt人生最高の虹はハワイ島で見たダブルレインボーだ。大自然の中を走るワインディングロード。激しスコールの後に架かった二つの虹。車を降りて赤橙黄緑青藍紫の七色を指折り数えた。ぼくらの他には誰もいなかった。これ以上の虹を見ることは死ぬまでないだろうと思った。
-
「歩調」
2020-10-16 07:00110ptぼくは歩くのが速いらしい。今まで女の子たちから幾度となくそう言われて来たのできっとそうなのだろう。言われるたびに相手に歩調を合わせてきたけれど、繰り返し言われ続けていることを思うと根本的なところで人と歩調を合わせるのが苦手なんだと思う。 行進も苦手だった。前の人にぶつかったり、ぶつからないように列をはみ出したりしていた。義務教育の通知表には九年間ずっと「協調性がないです」と書かれ続けた。
ラッシュ時の駅のような混雑した場所を歩くのも苦手だ。ぶつかって大事になるのが自分でも分かっているからそういう場所は極力歩かないようにして生きてきた。
なるべく人を避けて、人と歩くのを避けて、自分のペースで歩いてきた。ランニングが好きなのも誰とも歩調を合わせなくていいからなのだろう。自由に走れるからだろう。おそらくぼくにとって誰かと歩調を合わせることは自由を奪われるに等しいことなのだと思う。ぼくは自由を奪われるのが何より嫌いなのだ。それは死ぬまで変わることのない性分だと思っていた。
-
「こどもはなぜどんぐりが好きなのか」
2020-10-14 07:00110pt -
「何もしない休日」
2020-10-13 09:15110pt -
「七つの光」
2020-10-09 07:00110pt
1 / 2