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記事 13件
  • 「肉まんが一年で一番美味しいのは本当は春なのかもしれない」

    2016-03-30 07:00  
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     明け方に弾力のある何かを強く叩き付けるような音で目が覚めた。眠い目を擦りこすり台所にいくと
     

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  • 「長い人生におけるなんてことない春の夕暮れ」

    2016-03-28 07:00  
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     春になると毎日キャベツばかり食べるようになったのも、この町で暮らすようになってからだ。三浦半島は全国でも有数の春キャベツの産地なのだ。134号線を走ると山の向こうまで続く広大なキャベツ畑がそこかしこに点在している。畑の入り口などにある無人販売所には朝収穫されたばかりの瑞々しい春キャベツがひと玉100円という手書きの値札とともに並べられている。僕の小さな菜園で育てたところでその圧倒的な量と安さの前では所詮太刀打ちできないと春キャベツだけは一度も栽培しようとは思わないくらいだ。 
     もうひとつ、春になるとキャベツばかり食べるようになった理由のひとつに、
     

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  • 「野に咲く花のように」

    2016-03-25 07:00  
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     海沿いのアスファルトに群生して咲き誇るたんぽぽを見つけた。ひとつ一つの花は小さいけれど、地面の下ではわずかな地下水脈を求めて50センチから1メートルにも及ぶ根を張っている。そのたくましさは見るたびに心引き付けられるものがある。
     そういった小さな命の躍動に対する想像力を養わせてくれたのが
     

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  • 「春の初卵」

    2016-03-23 07:00  
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     真鯛。サヨリ。アオリイカ。牡蠣。しらす。ワカメ。メカブ。新玉ねぎ。春キャベツ。しりとりじゃない。いま地元で採れる春の食材だ。これらが徒歩圏内で手軽に仕入れられる環境にいるというだけであれこれ想像して嬉しい気分になってしまうけれど、肝心の調理技術がない僕らにとってはまだまだ宝の持ち腐れでもある。そこでたまには勉強の為にもと、地元の食材をどう調理すればもっとおいしく食べることができるのかを教えてくれるお手本のような店に通うようになった。 
     葉山は一色にある「うりんぼう」は地元の旬に忠実な和食屋さんだ。逗子葉山で育ち、サザンオールスターズの歌にも登場する名店「日影茶屋」で腕を奮っていたご主人が自宅をリフォームして開業された肩の凝らない店内で会話も弾む季節の料理を愉しませてくれる。
     

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  • 「春を通り越して夏の匂いがした」

    2016-03-21 07:00  
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     花冷えの激しい雨が上がったと同時に、雲の切れ間から熱い太陽が顔を出した。もう春休みなのだろうか。浜に出ると近所の子供たちが一足先に砂浜を走り回っていた。
     比較的子供が多い(気がする)この集落で暮らしているとそんな印象はないけれど、ここ横須賀市は全国で最も人口が減少している都市だそうだ。日本が調査開始以来初の人口減少を発表した先日の国勢調査の後にも、首都圏では異例とも言える2万軒の空き家を抱えていると報道されていた。現役世代の市外流出で人口構成比率でも高齢者だけが急激に増加。長年のハコモノ行政で莫大な借金を抱えているにも関わらず、市内産業は軒並み衰退。税収は激減の一途を辿り今や「第二の夕張」とも言われているという。日本全体が抱える人口減少、少子高齢化にいち早く直面している自治体のひとつなのだそうだ。
     

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  • 「穏やかな海を見ていると人は優しくなれるのかもしれない」

    2016-03-18 07:00  
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      砂浜に練習中のサックスの音色が響き渡っている。嬉しそうに駆け回る犬とその姿を嬉しそうに見守っている飼い主の女性。波打ち際では子供たちが膝下まで海に浸かってはしゃいでいる。夕暮れを目前にした海岸では誰もが久し振りに訪れた春らしい晴れ間を愉しんでいた。凪の海のように優しい時間が流れていた。134号線のいつものコースを走り終えたばかりの僕もストレッチがてら浜辺に腰を下ろす。眩しいくらいの夕陽の下に、砂山を作って遊ぶ小さな男の子とお父さんの姿があった。僕はすぐにクイちゃんのことを思い出した。
     

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  • 「季節は待ってくれない」

    2016-03-16 07:00  
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      あたらしい春に向けて、公私ともに忙しくしているうちに、うっかり旬を逃していた。
     

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  • 「海辺の仕事場」

    2016-03-14 07:00  
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     海の前で暮らしているからといって、毎日海ばかり見てのんびりしているわけではない。映画館の前で暮らしているからといって、毎日映画を観ているわけではないのと同じように。東京での打ち合わせが立て込んでいるときは当然海からは離れているし、海の見える家にいても海を見る暇も無くひたすら原稿と向き合っているときもある。
     雨の日ならまだしも、天気が最高に良かったりすると勿体ないなあと思う。こうやって原稿を書いているだけなら何も海の前じゃなくたっていいじゃないか。むしろ東京に住んでいれば通勤だって楽なのにともうひとりの自分が囁く(時もたまにある)。サーフィンや釣りが趣味ならばまだしも、僕自身の海との関わりと言えば、浜を散歩してビーチグラスを拾うか、ぼんやり水平線を眺めてここが地球であることを確認するか、年に何度かSUPをするかくらいなのだ(もっとも里山で営んでいる菜園は都会ではなかなか借りることのできないものだけれど)。
     海の側で暮らしているからこそ、海の側に仕事場があるからこそ、海と遊べないことに対して折り合いをつけなければならない時もある。他の人はどうしているんだろう。ひょっとすると僕みたいにあくせく働かなくてもいい人ばかりなんだろうか。そんなことを考えていたとき、あるアーティストの海辺の仕事場を覗かせて頂く機会に恵まれた。
     

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  • 「震災前にどんな気持ちでこの海を見ていたのかを思い出すことはもうできないのかもしれないけれど」

    2016-03-11 07:00  
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     海の見える家を手に入れたのは6年前の3月のことだ。その11ヶ月後に結婚を決めた。2011年の2月だった。晴れ渡る冬空と澄んだ海を一望できる134号線沿いの小さなビストロで家族と白ワインを飲みながら、8ヶ月後に入籍し、この家で一緒に暮らしていくことを確認し合った。その日に撮ったのがこの写真だ。
     

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  • 「そして僕はまた明日葉の種を蒔く」

    2016-03-09 07:00  
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     急激な気温の上昇で辺り一面が濃い海霧に包まれている。時折り重たい雲が立ち込め春時雨が通り過ぎる。すっきりしない空模様に思わず溜め息が漏れる。そして改めて考える。「春を待つ」というのは、こんなにも得も言われぬ不安や一抹の侘びしさと隣り合わせのものだっただろうか。
     

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