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「夏の桜」
2015-07-31 07:00110pt3この町で暮らし始めて2年ほど経った頃のことだ。
海沿いのランニングが日課になっていた僕は、真夏のこの時期も当然のように走っていた。いつもは朝夕の涼しい時間帯に走るようにしていたのだけれど、
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「ビーチクリーンの海獣」
2015-07-29 07:00110pt6真夏の浜歩きは、海水浴客が跳ねた後の、朝夕の涼しい時間がいい。朝なら夜の名残を含んだ砂の冷たさが裸足に気持ち良い。そして夕方ならば砂を灼いた太陽の温もりが心地良い。ただ、どちらにしても忘れてはいけないのは、
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「どうしようもなく海が欲しくなる」
2015-07-27 07:00110pt -
「流星花火」
2015-07-24 07:00110pt9御用邸前でバスを降りると、夜気を含んだ潮風が火照った身体に心地良かった。昼間、東京で味わった命を削られるような酷暑が嘘みたいだった。
午後7時を回ろうとしていた。葉山の空には夕闇が迫っていた。同じバスを降りるなり、待ち切れない様子で駆けだした地元の子供たちに続いて、浜に向かう。途中にある酒屋で冷えたビールを3本買うと
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「いつかこの夕焼けを」
2015-07-22 07:00110pt4夏空を真っ青に染め上げていた太陽が、弧を描きながら地平線の向こうに遠のくにつれ、今度は茜色の絵の具を空に焼きつけるように塗り替えてゆく。空の青と混ざり合い、雲の白と混ざり合い、神懸かり的な色彩を滲ませながら、最後に海と霊峰富士を染め上げて、溶けてゆく。
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「海とドーナツ」
2015-07-20 07:00110pt5海で食べるドーナツはどうしてあんなにおいしいのだろう。
10日ほど降り続いた雨がようやく上がった7月最初の真夏日、僕らは待ち焦がれていた海に出掛けた。家の前の浜でも良かったのだけれど、
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「風が強く吹いている場所で」
2015-07-17 07:00110pt9ひときわ強い風が吹いている場所がある。
横須賀市と葉山町の境目「長者ヶ埼」と呼ばれているその岬は、海に張り出した崖の向こうに沈む夕陽が美しい、静かな場所だ。しかし、湾曲した海岸線という独特な地形のせいで、そこにだけひときわ強い風が吹いている。
そして、現在の目に見える静けさに反して、目に見えぬ烈風のような歴史を持つ場所でもある。今は自衛隊のものとなっている横須賀市武山の駐屯地から
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「葉山の小道」
2015-07-15 07:00110pt -
「海辺の小さな夏祭り」
2015-07-13 07:00110pt -
「裸足になって歩くこと」
2015-07-10 07:00110pt5ビーチサンダルが嫌いな子供だった。
そもそも人前で裸足になるのが嫌だったのだ。友達のみならず、家族の前でも。はっきりした理由は分からない。けれど、とにかく裸足が嫌だった僕は、真夏でもソックスを履いていた。つまり、年中靴で過ごしていたわけだ。
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