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「暇を味わう」
2022-11-30 07:00110pt葉山の南郷公園に三浦半島随一の銀杏並木がある。黄金色の葉が敷き詰められた道を小さな青い自転車が走っていく。漕いでいるのは娘だ。夏の終わりにここで練習を始めた。晩秋の今は支える必要もない。ただ見守っているだけでいい。ポットに詰めてきたコーヒーを啜って高い空を仰ぐ。揺蕩う雲のような時間が流れていく。
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「うわばき」
2022-11-28 07:00110pt土曜の朝、うわばきを洗う。ぬるま湯に浸し、洗剤をつけたブラシで擦る。今週は靴の中が特に汚れている。泥遊びで汚れた靴下のまま履いたのだろう。前の晩にバケツに溜めたぬるま湯に浸けておけば良かった。額に汗が滲むくらい靴の中を念入りに擦る。裏返すと靴底の溝に粘土が入り込んでいる。木曜に粘土でおうちを作ったんだとうれしそうに報告してくれた甲高い声が甦る。汚れの向こうに子どもの一週間が見えてくる。
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「ありがとう、を言われて改めて気づいたこと」
2022-11-25 07:00110pt「勤労を感謝されたの初めてじゃないかな」と妻が顔を綻ばせた。隣りで娘が笑っている。小さな手に「いつもありがとう」と書かれたキャンディー型のラッピング袋。中に紙粘土で作った自作の磁石が3個入っていた。
確かに言われてみれば、だ。30年以上社会人として働いて来たけれど、誰かに勤労を感謝されたことはない。もちろん仕事相手に内容で感謝されたことはあれど働いていること自体に「ありがとう」を言われたことはなかった。
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「昨日の小松菜」
2022-11-23 07:00110pt朝ごはんは小松菜と油揚げの味噌汁だった。前日に娘が畑で収穫させてもらった小松菜だ。小松菜を食べた瞬間に昨日のことが甦った。昨日の朝食のことまで遡っていた。友達のところでいつもと違う海を見ながらの朝ごはんだった。友達が切ってくれたバナナはイルカのカタチをしていた。
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「いつもとは違う海」
2022-11-21 07:00110pt -
「カーラジオ」
2022-11-18 07:00110pt東京の真の貌は夜にある。靖国通りを走るタクシーの後部座席で暮れゆく町を眺めながら三年振りにそのことを思い出した。打ち合わせの間に降り出した雨が上がったばかりだった。湿り気を帯びた夜気に街のネオンと車のライトが滲んでいた。
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「笑っていよう、未来のために」
2022-11-16 07:00110pt -
「一人称」
2022-11-14 07:00110pt -
「月蝕」
2022-11-11 07:00110pt -
「サンタクロースへの手紙」
2022-11-09 07:00110pt
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