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「眠れない夜もある」
2023-06-30 07:00110ptこれでいいんだろうか、と娘の寝顔を見るたびに不安になる。天井の闇を見つめ、ぼく自身の行き当たりばったりな人生が娘にも行き当たりばったりな人生を強いているのではないかという茫漠たる不安に苛まれる。余計なことを考えずに早く眠ってしまいたいと思う。だが、そういうときに限って眠れない。これもまた夜しっかり眠れるように一日の生活を組み立てて来なかった報いなのかもしれない。
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「海と夕焼けに向かって」
2023-06-28 07:00110pt -
「引き算ができるようになって欲しい人たち」
2023-06-26 07:00110pt教室の二階の窓から海が見えた。潮風が吹き抜けていくたびに掲示された子供たちの絵が揺れていた。先生の質問に子供たちが元気良く手を挙げる。一番前の席に娘の背中が見える。母もこんな気持ちでぼくを見ていたのだろうか。教室の一番後ろで自分の子の背中を見つめる日が来るなんて想像もしていなかった。
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「面影」
2023-06-23 07:00110pt父の日に仏壇に手を合わせるだけになって5年になる。いや、かつては何もしない時期もあったのでむしろマシかもしれない。父の日に素直に感謝できるようになったのは娘が生まれてからだ。18歳で独り立ちして30年近くが経っていた。
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「違う自分になりたかった」
2023-06-21 07:00110pt「パパはなんでお仕事をはじめたの?」と交換日記で聞かれた。「こどものときはなにをやりたかった?」「どういうひとになりたかった?」質問責めだった。「ごめん、しつもんばっかりだったね」とわざわざ書き添えてあるくらい。単なる好奇心かなと思う一方、悩んでいるのかもしれないと思った。将来にではない。「今の自分」に悩んでいるのかもしれないと。
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「気が合うね」
2023-06-19 07:00110pt -
「ともだちのつくりかた」
2023-06-16 07:00110pt「曲がり角のところで待っててね」と朝、出掛けに娘が言う。
曲がり角、というのは校門を出て一本目の角を曲がったところのことだ。友達と一緒ならば家の近くまで自分たちだけで帰って来られるようになった。万一、一緒に帰る人が誰も見つからなかったときのために「曲がり角のところまで迎えに来ていて」と頼んで登校していくのだ。
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「世界が言葉を失うような残虐行為だ」
2023-06-14 07:00110pt「あいつまた優等生ぶっているよ」 小学生の時、クラスにそんな風に言われている女の子がいた。「授業中に喋っちゃダメ」とか「廊下を走らない」とか「弱い者イジメをするな」など当然のことを主張するたびに心無い言葉で揶揄されていた。
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「日曜の朝くらい」
2023-06-12 07:00110pt -
「すてきなひとりぼっち」
2023-06-09 07:00110pt
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