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記事 12件
  • 「がっこうだってどきどきしてる」

    2023-04-28 07:00  
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     娘が図書館で借りてきた絵本のタイトルだ。小学校に入学した最初の週末。いつもの図書館に入るなり「小学校の生活の本はありますか?」と司書さんに聞いたそうだ。未知なる場所に対する不安を払拭する為に「情報が必要だ」と誰に教えられるでもなく思ったのだろう。人間が本能的に情報を求める動物であることを6歳の行動で再確認させられた。
     

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  • 「組織票」

    2023-04-26 07:00  
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     ローカルで生きていると人と人の結びつきを強く感じる。たとえば午前中に牡蠣を頂いたら午後には菜園で採れたスナップエンドウで御礼をするというような物々交換を誰もが呼吸をするように自然に行っている。人と人が支え合って社会というものが成り立っているのを日々実感している。
     

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  • 「交換日記」

    2023-04-24 07:00  
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     土曜の朝、起きたばかりの娘が真っ先に机の上のノートを広げた。読み終えるや否や隣りのページに言葉を綴り始める。書きたいという衝動を掻き立てられただけでも書いてよかったと思った。
     

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  • 「不公平だよね」

    2023-04-21 07:00  
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    「どうしてごはんなのに牛乳が出るの?」 豚しゃぶを食べながら娘が口にした給食についての疑問に耳を傾けていたときのことだ。「どうして牛さんも豚さんも人間の役に立ってくれているのに人間は役に立ってないの?」 突然娘が涙をぽろぽろと溢しながらそう言った。
     

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  • 「いってらっしゃい」

    2023-04-19 07:00  
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     いってらっしゃい、と笑顔で送り出した後、不安な気持ちのままスマホの画面に釘付けになる。娘が装着しているGPSの軌道を目で追い続ける。NASAのミッションコントロールルームで宇宙船の打ち上げを見守っている管制官たちと同じような心境だ。15分後「学校に到着しました」という通知を確認してようやく安堵してコーヒーを淹れ、その日の仕事に取り掛かる。この一週間ずっとだ。毎朝有人探査機を宇宙に送り出しているのと同じくらいの負荷が掛かっていると言えば理解して貰えるだろうか。
     

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  • 「2023年の小学一年生」

    2023-04-17 07:00  
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     突如1976年から2023年にタイムスリップしたような目眩のような感覚があった。小学館の雑誌「小学一年生」。2023年4月入学準備号。目覚まし時計が付録についているとはいえ、肝心の本誌はとても薄い。値段を見たら2200円だった。その衝撃をツイートしたら地元の農家さんが「学研の科学は2980円」というリプライをくれた。どちらもぼくが小学生のときに認知していた値段の7倍になっていた。初任給が、平均給与が、年金が、そして物価全体が7倍になっていたらここまで驚くこともなかったと思う。たとえば1980年代に170円だった「少年ジャンプ」は2020年代では290円だ。なのに小学生向けの雑誌だけが7倍になっている。これも少子化の影響なのだろうか。別に難癖をつけたいわけじゃない。1981年に小学校を卒業して以来42年間、一度も小学生と接点を持つことなく2023年の小学生の親になったもんだからその変化に面食らっているだけだ。それは雑誌の値段だけの話じゃない。
     

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  • 「子どもの手の離し方」

    2023-04-14 07:00  
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    「ママがついて来ないから泣いたんだよ」と帰って来るなり娘は言った。登校二日目の朝。子どもたちとの待ち合わせ場所まで娘を送り届けた妻は手を振って見送るだけで帰ってきた。顔で笑って、心で泣いて。そんな風に親たちが心を鬼にして我が子を見送ってくれたおかげで、ぼくらは大人になったのかもしれない。
     

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  • 「はじめのいっぽ」

    2023-04-12 07:00  
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     海亀の子は孵化して数日後には砂の中から這い出してきて海に向かって歩き出す。何度も波打ち際で押し戻されても諦めずに海へ向かおうとする。水平線の向こうに自分を産んでくれた母親がいることを本能的に知っている。だから何時間掛かろうとも波に向かい、やがて波に乗って大海原へ旅立っていく。 いつか伊豆半島で見たその光景を思い出しながらふと思った。波間に消えていく子亀たちの姿を母亀はどこかに隠れて見ているんじゃないだろうか、と。
     

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  • 「初卵」

    2023-04-10 07:00  
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     朝食の卵料理を口にした娘が顔を大きく綻ばせた。
     

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  • 「だいじょうぶなのかな」

    2023-04-07 07:00  
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     だいじょうぶなのかな、と子どものことを心配して苦笑いしてしまう。
     

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