母から誕生日の祝メールが届いたのは5月31日の一週間前の朝だった。悪い気はしなかったけれど、年賀状が年内に配達されたような気分だった。当日は用事でもあって前倒しでメールをしたのか。息子の誕生日を忘れてしまったのか。それとも、と少しだけ母のことが心配になった。
　

　週末、妻と娘が誕生日を祝ってくれた。 
　

　人は依存する対象を失ったときに自立するものなのだろうか。たとえば補助輪を外したときに自転車に乗れるようになるように。
　

　娘と二人で三崎の牡丹へ行った。70年続く町中華だ。カウンター席でチャーシュー麺と焼き飯を半分ずつ食べた。隣りでラーメンを啜っているその横顔に成長を感じた。
　

　ベランダで美しい囀りが聞こえたのは数日前のことだった。見ると目が醒めるような青い鳥が桟に留まって海に向かって鳴いている。
　

　学校から帰ってくる。ランドセルを放り出してすぐに学校の宿題。それから毎日少しずつのドリルをやる。集中力が続いているうちに明日の時間割を準備する。3時のおやつを食べたら、ビーサンを履いて友達と待ち合わせしている海に駆けだしていく。
　

　日曜の午後、鎌倉は雨だった。
　

　娘がホットケーキを焼いてくれた。
　

「それは、結果論だよね」
　というのが映画『ウィンストン・チャーチル～ヒトラーから世界を救った男～』見終えての第一声だった。2017年に公開され、ゲイリー・オールドマンの特殊メイクを手掛けた日本人の方がオスカーを受賞したことでも話題になった作品だ。そして2023年の今、改めて見る価値のある一本として話題になっている。ウクライナとロシアの戦争のせいだ。
　

　コロナという非日常が完全に日常になった。 
  新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に移行された。重症化率は下がったのかもしれないけれど、ウイルスが消滅したわけではい。ようするに非日常的な病気から日常的に共存している病気になったという話だ。