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記事 14件
  • 「家族写真」

    2017-05-31 07:00  
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     週末、妹の結婚式で半年ぶりに会った父からカメラを譲り受けた。コンタックスTVSというフィルムカメラで、父が持っている中でも一番の高級品だ。レンズはドイツのカールツァイス。1993年に定価二十万円で発売されたものでデジタル全盛の今でも中古市場ではフィルムカメラの名機のとして取引されている希少なものだ。
    「最近使ってなかったから」
     愛おしそうに箱から出したそのチタンボディは24年経っているにも関わらず、傷ひとつなく輝いていた。 

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  • 「都市と農について考えた夜」

    2017-05-29 07:00  
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     10年ほど前、農業の世界に初めて触れた時はあるエンターテインメント企業の方々と一緒だった。そこには農業そのものがビジネスになればという思いがあった。上場企業なのだから当然と言えば当然だ。けれど、命を育てるという営みの深淵とそこにある純粋な想いに触れれば触れるほど、個人的にはそれを金儲けにすることに対する違和感が募った(そもそも僕は「生きる為に必要な食うこと」に金がいるというシステムから自由になりたくて農の世界に足を踏み入れたのだ)。何より100円の人参を商品にするまでの手間と労力を身を以て体験すればするほど「農業で金を稼ぐ」なんて本業の傍らに生半可な気持ちでできるようなものじゃないことを思い知った。
     

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  • 「そこで一括りに日本人とされてしまうことの違和感が拭えない」

    2017-05-26 07:00  
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     子供の頃からずっとひとりだったからだろうか。「我々」という集団に対して常に懐疑心と恐怖心がある。暴走族や暴力団など社会にとって悪しき集団はもちろん、デモや政党など自分たちを良きものとして活動している人たちも「私は」という主語で正義を説く一個人としては平気なのだけれど、ひとたび「我々」という主語で同じ事を語られるとどうにも身構えてしまう。
     

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  • 「鎌倉の夜」

    2017-05-24 07:00  
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     日中は観光客でごった返す鎌倉駅前も夜20時を回ると閑散としている。賑やかだった表通りは軒並みシャッターを降ろし、代わりに灯りのともった路地裏の店で地元の人達がひっそりと酒を酌み交わし始める。
     

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  • 「ママはアイドル」

    2017-05-22 07:00  
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     ママはアイドル。かつてそういうタイトルのドラマがあったけれど、ようやくその本当の意味が分かった。
     

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  • 「面倒なことを面倒がらない」

    2017-05-19 07:00  
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     たとえば、ゆでたまごは黄身も白身も食べられるのに、目玉焼きは黄身しか食べられないこととか、チーズが嫌いなのにピザは好きだったりとか。「日本は1951年に独立しました」と教える先生の声が校庭の上を飛ぶ米軍機の爆音に掻き消されてしまうのが理解できなかったことや、法律そのものと現実の乖離に引っ掛かってしまって法学部の勉強がまるで進まなかったこと。さらには人生において結果的にいつも少数派を支持したり選んだりしているのは確固たる主義主張があるわけではなく、単に集団や行列が嫌いな天の邪鬼だからだということ等々、挙げたらキリがないけれど、とにかく子供の頃から面倒くさい子供だと言われ続けてきた。
     

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  • 「日曜日のしゃぼん玉」

    2017-05-17 07:00  
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     母親ってのは本当にすごい。娘の理不尽なぐずりや単なるワガママとも思える行動に対しても「はいはい」と笑顔を絶やすことがない。僕はダメだ。ついつい相手が赤ん坊だということを忘れて「やれやれ」という疲れた顔や仏頂面を見せてしまったりする。いや、妻がすごいのだろうか。「うー(怒)」「うー(怒)」などと対等に睨み合っている娘と僕を見ても「赤ちゃんが二人いるね」と決して笑顔を絶やさない。
     

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  • 「誰かと縁を結ぶのか、消費税を25%に上げるのか、それとも別に何か方法があるのか」

    2017-05-15 07:00  
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    「お父さんがあんたに墓の相談して来いって」
     先日、母からそう打ち明けられたのは、叔父の告別式の席上だった。身内の逝去で死というものをいつも以上に身近に感じたらしく、なんだったら今日その場で決めて来いと言わんばかりの焦りようだったという。
     

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  • 「ばばばばば」

    2017-05-12 07:00  
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     表面上は怒濤の、でも心の中はこの上ないくらい穏やかで満たされているのが子供のいる暮らしなのかもしれないと最近感じる。未だに父親という当時者よりも、観察者という意識の方がやや勝っているような気もするけれど。つまりはこの毎日が初めての連続という暮らしを楽しめているという証拠でもあるのだろう。
     

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  • 「みどりのゆび〜渋谷の農家と逗子海岸映画祭〜」

    2017-05-10 07:00  
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     その人の背中を見ているうちに、僕は『みどりのゆび』という児童文学のことを思い出していた。土でも鉄でもコンクリートでも、そして大砲の筒の中にでも、ゆびで触れて思い描くだけで、あくる日にはそこに素晴らしい花を咲かせることのできる力を持つ少年の話だ。
     

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