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「海辺の光景」
2021-12-31 07:00110pt12月29日
12月に入ってから折りを見て少しずつやって来た大掃除の仕上げ。リビング照明の傘を洗い、娘の棚を一緒に整理する。遊ばなくなったおもちゃをダンボールに詰め、最近夢中になっているものを並べていく。子ども用のタブレット。ビーズのアクセサリーが作れるキット。あやとりの本と糸。トランプ。初めての国語辞典。脳の処理能力と手先の成長。気がつけば一年後となった小学校の準備段階に入っているのを遊び道具からも実感する。
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「イタリアの冬」
2021-12-29 07:00110pt12月25日 サンタがやってきた朝、車が動かなくなった。ギアがニュートラルから動かなくなってしまった。洗車を終えてスタンドから134号線に出ようとしたところだった。娘と一緒に数キロ先の農園にクリスマスケーキ用のイチゴを摘みに向かうところだった。
やれやれ、とエンジンを停めたり掛けたりすること15分。車がジャンプするように跳ね上がってようやくギアが入った。ゆっくりアクセルを踏み込むと冷えた鉄が擦れ合うような異音が聞こえる。またいつ停まるか分かったもんじゃない。イチゴは諦め、Uターンして自宅を目指す。途中にある精肉店にだけ立ち寄ってクリスマスディナー用の鶏肉を仕入れる。娘はいつもコロッケをくれるおばさんに自分で書いてきた一年間の感謝の手紙を渡していた。おじさんとおばさんの笑顔とコロッケがたくさん書かれた絵だった。
なんとか家に辿り着くと、娘が「旅だったね」と苦笑いしていた。
イチゴ農園に謝罪の電話を入れ、ディーラーに連絡する。冬の寒さで同じような故障が殺到していて修理できるのは二月になってしまうとのこと。他を当たることにする。
午後、横浜の自宅まで迎えに行くはずだった母が電車とバスを乗り継ぎ訪ねてきてくれた。イチゴも買って来てくれた。母と娘はクリスマスケーキ作り。妻はチキンバスケット作り。僕はみんなの姿を写真におさめながら修理工場探し。年末なので対応は年明けになるという中、少しでも早く修理できるところを探す。が、どこも同じような故障が殺到しているという。
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「マリアージュごっこ」
2021-12-27 07:00110pt娘はごはんを食べるのが遅い。保育園の給食が時間通り食べ終わった日は「今日はごちそうさまに間に合った!」と開口一番自慢するくらいだ。特に朝ごはんはいつも遅い。おかげで週に何度も遅刻する。まあ、子どもなんて大体そんなもんだ。僕だってそうだった。だから急かさない。そもそも子どもは急かされるのが一番嫌いだ。僕自身がそうだった。「早く早くって言われるの嫌だよね?」娘にも聞いた。「嫌だ」と言われた。だから急かさない。子どもが嫌がることをするのは虐待しているのと同じことだ。だからと言って放っとくわけにも行かない。
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「五年目のサンタクロース」
2021-12-24 07:00110pt -
「選ぶ力」
2021-12-22 07:00110pt毎晩、寝る前に欠かさず絵本の読み聞かせをしている。生まれたばかりの頃からだからもう五年になる。一日平均三冊。毎晩繰り返し読む絵本もある。時々思い出したように読む絵本をある。一度しか読まなかった絵本もある。それでも読んできた絵本はゆうに五百冊を越えている。読み手は大体が妻で、妻が不在のときは僕。最初の頃は読む本を一緒に選んでいた。今では娘が今日の三冊を選んでベッドに持って来る。
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「いつもと違うこと」
2021-12-20 07:00110ptいつもと反対方向の電車に乗ってみようとか、いつもと違う駅で降りてみようなんていう日が誰にだって年に一度や二度はあるだろう。自由への衝動。繰り返しの毎日の中で自由であることを確かめておきたいという欲求。
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「小さなレジスタンス」
2021-12-17 07:00110pt都心に比べて温暖な三浦半島でも冬の朝はそれなりに冷える。あたたかい布団から出るのが億劫に感じられる朝もある。大人だけじゃない。陽射しが降り注ぐ日中は半袖で浜辺を走っている子どもでさえ平日の朝は布団から出るのを躊躇うものだ。寒さのせいだけじゃない。休日との切り替えが必要な週の初めなんかは特に、あと5分だけ、あと1分だけと惰眠をむさぼりたくなるものだ。
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「2021年の小春日和」
2021-12-15 07:00110pt小さな子どもが波打ち際を裸足で駆け回っている。十二月も半ばの小春日和。冷たい海風が吹き荒れる厳しい寒波と穏やかな陽射しが降り注ぐ日が交互に訪れるのが三浦半島の冬だ。時化と凪が交互に訪れるのが三浦半島の冬の海だ。
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「サプライズ」
2021-12-13 07:00110pt「ディズニーランドに行ってみたい」 五歳の娘がそんなことを口にし始めたのはコロナ禍でのことだった。気軽に遊びに行ける場所ではなくなっていた。言葉通りの「夢の国」である。そんな中で完全予約制のチケットを妻が申し込んだのは感染状況が落ち着いてきた十一月のこと。しかし、運良く取れたのは一ヶ月後のチケット。また感染状況が悪くなっているかもしれない。突発的な仕事で行けなくなるかもしれない。どうせ直前まで言えないのだったら、現地に行くまで内緒にしておくのはどうだろう。僕らはそんな風に考えた。愛する我が子のびっくりして喜ぶ顔が見たいという思いとともに。
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「12月の浜辺で」
2021-12-10 07:00110pt週末、久し振りに娘と海に行った。ずっとベランダに転がっていたサッカーボールとともに。娘が「これやりたい」と言い出したのだ。保育園で地元マリノスの選手が開いてくれたサッカー教室が楽しかったらしい。
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