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記事 13件
  • 「親はなくとも子は育つ」

    2017-07-31 07:00  
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     4ヶ月の赤ん坊の胸を足で数回踏みつけて殺害した疑いで母親が逮捕。4歳の子供に暴行を加え、脳挫傷などの重傷を負わせた疑いで両親が逮捕。寝たきりの母殴られ死亡、38歳長男を逮捕。3300万人の高齢者のうち600万人が要介護を認定されている中、介護を苦にした親族による認知症高齢者の虐待は年間一万六千件余り。毎日のように目にするこんなニュースが他人事じゃないと感じられる人は一度でも子育てや介護に関わったことがある人だろう。僕も去年まではそうだった。
     

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  • 「それは模倣なのか、それとも本能なのか」

    2017-07-28 07:00  
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     仕事中、デスクチェアーの下に気配を感じる。またか、と、椅子を回転させないよう注意しながら振り返ると、9ヶ月の娘が座面のバーに掴まって立っている。目が合うとニッと笑う。でも驚くのはそこからだ。娘はただ掴まり立ちをしているのではない。バーを両手で掴んだまま腰を落としてはまた立ち上がるという動きを繰り返しているのだ。そう、スクワットである。
     

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  • 「死滅回遊魚」

    2017-07-26 07:00  
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     その哀し過ぎる学名に取り憑かれたのは10年以上前のことだ。オートバイでひとり海を見に行ったとき、気まぐれで立ち寄った新江ノ島水族館で目にした熱帯魚の水槽に記されていたのが「死滅回遊魚」という世界一悲しい運命を背負わされたような名前だった。
     熱帯で生まれ育った彼らはちょうど今ぐらいの暑い季節、黒潮に乗って日本の太平洋岸に流れ着き、水温が下がる冬に子孫を残すことなく死んでしまうことから死滅回遊魚と呼ばれている。僕が暮らす三浦半島では漁港や水深が十センチにも満たない潮溜まりにいることもある。近海では珍しい熱帯魚であることから近年では葉山の海に潜るダイバーたちにも人気だそうだ。 

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  • 「便利さというのは僕にとって何番目くらいに大切なものなんだろう」

    2017-07-24 07:00  
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     便利か、不便かというのは今の僕にとって何番目くらいに大切なものなんだろう。 
     

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  • 「よく笑い、よく泣いて」

    2017-07-21 07:00  
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     生まれたときは嘘みたいに柔らかかった娘の足の裏がだいぶ硬くなってきた。這い這いや掴まり立ち、柔道の受け身みたいな遊び(仰向けに寝転がった姿勢で両足を床に叩き付けるのに合わせて「どん、どん」と声を掛けてやると嬉しそうな顔をする)なんかをするようになって足の裏に筋肉がついて来たのだ。自分の足で立って歩くのに必要な筋力が。
     

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  • 「海と毒薬」

    2017-07-19 07:00  
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     浅瀬で仰向けになって波に揺られていた時のことだ。ひとりの男がじゃぶじゃぶと波を掻き分け歩いて海に入ってきた。思わず見てしまったのは男が火の付いた煙草を咥えていたからだ。身につけているものは水着だけで、首などに携帯灰皿を下げている様子もない。灰が当たり前のように海に落とされていく。声を掛けて注意しようとした瞬間、男が誰かの名前を呼んだ。その笑顔の先にいたのは浮き輪に掴まって波と戯れている男の子だった。おそらく男の子供なのだろう。男は息子を抱きかかえようと、短くなった吸い殻を足下の海に捨てた。そのしぐさには1ミリの躊躇もなく、まるで呼吸をするのと同じくらい自然だった。「今、海に煙草捨てたの、子供が見てたよ」僕は言った。
     

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  • 「夏草」

    2017-07-17 07:00  
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     それにしても雨が降らない。福岡や大分ではむごい土砂崩れを引き起こすほどの局地的豪雨だというのに、三浦半島は田畑の水も枯れるほどの空梅雨だ。日本の梅雨はいつからこう両極端なものになってしまったのだろう。
     

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  • 「流木の旅」

    2017-07-14 07:00  
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    「この流木はどこから来たのかな?」
     もうひとりの僕が訊く。当たり前のように海を歩く生活をするようになって、自然に漂着物について考えることが多くなった。
     

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  • 「確かなもの」

    2017-07-12 07:00  
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     彼女はどんな思いで黄昏の空を見つめているんだろう。どんな思いで寄せては返す波を見つめているんだろう。今はまだそんな風に腕の中にいる娘の気持ちを想像することしかできない。いや、言葉を話せるようになったからといって掴めるものは心の中のほんの一握りの感情に過ぎないのだろうけど。
     

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  • 「7月7日の宵祭り」

    2017-07-10 07:00  
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     数日前、母から小包が届いた。開けると小さな甚平が入っていた。母は裁縫が得意で手作りの布製品を浅草の外国人客向けの土産として売ったりしているのだ。
     

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