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記事 13件
  • 「HUMAN」

    2019-09-30 07:00  
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     少年期を過ごした70年代は当然のように人類は滅亡するものだと思っていたし、そういう映画ばかり見ていた。中でも僕自身は核戦争か、異常気象による天変地異という人類の愚かさがテーマになっている作品を好んでいた。
     

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  • 「君住む街へ」

    2019-09-27 07:00  
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     機嫌を取るのが苦手だ。まあ、好んで取っている人もいないと思うけれど。それが長年ひとりで暮らして来た理由でもある。機嫌の悪い人は空気を悪くする。周囲の人間まで不機嫌にさせる。「勝手にしろよ」と心の中で毒づいてさっさとその場を離れるのが不機嫌というウイルスの感染から身を守る唯一の方法だ。
     

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  • 「1969年のラブレター」

    2019-09-25 07:00  
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     秋の彼岸は、桜が咲き始めた頃に亡くなった父の半年命日でもあった。時とともに少しずつ悲しみも癒え、引っ越しを決意した母とともに家の中を片付けた。父の背広などは供養して貰い、箪笥や食器棚などの大きな家具は処分する。棚に飾られていたよく分からない様々を容赦なくゴミ袋に入れる。長年一緒に暮らしていた僕以外の家族にとってはひとつ一つに想い出があるのかもしれないけれど、18歳で自分に関わる一切を処分し、ボストンバッグひとつで実家を離れてしまった自分にとっては単に埃をかぶった無用物でしかない。母が僕に片付けを一任した理由が少しだけ分かった気がした。
     押し入れの天袋に弟と妹の私物を大量に見つけ、どうしようか迷った挙げ句、それだけは自分たちで処分するよう連絡した後、その片隅に思いがけないものを発見した。 「生いたちの記」。1969年5月31日の誕生とともに母が書き始めた、僕の育児日記だった。
     

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  • 「父の書棚」

    2019-09-23 07:00  
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     酔った勢いでショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』を衝動買いした。19世紀を代表するドイツの哲学者が「世界は不幸なものであり、存在しない方がずっと良かった」という帰結に基づく真理について書き記した全3巻の名著であり、ペシミストのぼくにとっては頷けることばかり。どのページを開いても心が落ち着く聖書のような書物だ。
     

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  • 「蜘蛛の恩返し」

    2019-09-20 07:00  
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     また蜘蛛だ。小さな黒子みたいな奴が白壁の上を音もなく這い回っている。知らない人が見たら飼っていると思われるかもしれないね、と妻が笑う。
     

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  • 「ぼくらは海に試されている」

    2019-09-18 07:00  
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     海洋放出という言葉を耳にするたびに胸がざわめくのは、毎日海を見て暮らしているせいなのだろうか。毎日のように海に触れて生きているからだろうか。海の存在など少しも感じない内陸の都市に人生のすべてがあれば、海洋放出なんて関係のない話だと聞き流していただろうか。
     

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  • 「家族旅行の写真に」

    2019-09-16 07:00  
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     数少ない家族旅行の写真に父の姿はほとんどない。父は片時もカメラを手放すことなく写真を撮っていたからだ。
     

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  • 「暗闇の中で飛べ」

    2019-09-13 07:00  
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     台風15号が秋谷海岸を直撃したのは9日の深夜未明のことだった。数時間前から天気図を見るたびに、その進路がどんどん自分がいる場所に向かっているような気がしておそろしかった。波が見たこともないくらい高く上がっている。経験のない状況の中で最悪の事態も想像した。
     

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  • 「被災者」

    2019-09-11 07:00  
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     気がついたら被災者になっていた。
     

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  • 「子供とこども」

    2019-09-09 07:00  
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     ぼくのような人間がなんとか投げ出すことなく子育てに取り組めているもっとも大きな理由は、やはり「こども」という生き物が観察及び取材対象としてこの上なく興味深いと感じているからだと思う。ましてやぼく自身の細胞が受け継がれた生命だ。そういう意味では自分の内面への興味が尽きないのと似ているのかもしれない。
     

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