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記事 4件
  • 石破茂氏:それでも私が内閣総理大臣を目指す理由

    2018-07-25 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2018年7月25日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第902回(2018年7月21日)それでも私が内閣総理大臣を目指す理由ゲスト:石破茂氏(衆議院議員)────────────────────────────────────── 通常国会が閉幕し、9月の自民党総裁選に向けた政局が本格化する。 自民党の総裁選は事実上、日本の首相を選ぶ選挙となることから、一政党の代表者を選ぶ以上の大きな意味を持つことは言うまでもない。 今のところ安倍首相の優位が伝えられているが、2年前に閣外に転じて以来、総裁を目指して着々と準備を進めてきた石破茂衆院議員の周辺も俄然、慌ただしくなってきた。 マル激は7月18日、そんな石破氏を国会の事務所に訪ねた。 石破氏は正式な出馬表明は今国会が閉幕してからとしながらも、ここに来て総裁選出馬を前提とした動きを活発に見せている。9月20日に投開票される今年の自民党総裁選挙は、党員票と国会議員票が同数となることから、2012年の総裁選で党員から圧倒的な支持を集めながら、国会議員票で安倍氏に敗れた石破氏が、台風の目となる可能性は十分にある。 石破氏に勝算を尋ねると、「勝負はやってみなければわからない」と、満更でもないといった表情を見せる。しかし、仮に石破氏が総裁選で安倍首相に勝利したとしても、所詮は自民党政権であることに変わりはない。石破政権は安倍政権とどこがどう違うのか。 この質問に対して石破氏は、経済政策、外交政策、社会政策などすべての分野で、独自色を出す強い意向を表明した。 経済政策では株高や企業収益の改善を実現したという意味でアベノミクスの成果には一定の評価を与えながらも、「今さえよければいい」という考えを排し、持続的に日本が経済的に繁栄していくためには、痛みを伴う改革も必要になるとの考えを示した。また、石破氏はアベノミクスの下で更に広がったとされる経済格差を是正する必要性も訴える。 外交面では日米同盟が日本外交の基軸であることに変わりはないとしつつも、「このままアメリカ一辺倒でいいのか」と、安倍政権による極端なトランプ政権へのすり寄りに懸念を隠さない。むしろ、日中関係や日韓関係を改善することが、より健全な日米関係の構築に寄与するというのが、石破氏の考え方だ。 社会政策については、人口減少と少子高齢化の中で、世界に冠たる日本の社会保障を維持していくためには、日本人一人ひとりが「稼ぐ力」を上げていかなければならないとして、そのためには格差を是正するとともに、地方の潜在的な力を伸ばしていく施策が必要になると語る。石破氏は地方創生相を務めて以来、日本各地を回る中で、経済が上手く回っている自治体と、そうでない自治体の差が開いていることを痛感したそうだ。ところが、上手く回っている自治体の情報が、必ずしも他の自治体と広く共有されていない点も改善が必要だと石破氏は言う。 また、憲法改正については、安倍政権が提唱する9条の条文を現状のまま維持した上で、自衛隊の存在だけを加筆するという案に対しては、否定的な立場を取る。日本が憲法9条で放棄している交戦権や自衛権の存在を認めた上で、安全保障基本法のような形でしっかりと歯止めをかけていくべきだというのが、憲法改正に対する石破氏のかねてからの持論だ。 いずれにしても、少子高齢化が加速することで、日本は財政的にもますます厳しくなっていくことが避けられない状況にある。そうした中で、国民から不人気になりかねない「痛みの伴う政策」を実行する茨の道をあえて選ぶ理由を問われた石破氏は、自身のクリスチャンとしての信念にも触れた。 「人間の知恵とか力を超えたことがこの世界にあるということを疑ったことは一度もない。そういう人間のいろんな思いを超えた存在がどう決めるか。そして、人間にできる限りのことをしたうえで、そういう計画に従うっていうことだと思う」と石破氏は語った。 総裁選出馬を事実上表明した石破氏に、石破政権の目指すところを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・アベノミクスは改革の前提を整えたに過ぎない・地方創生の真意とは・説明なき憲法改正はありえない・損得を超える“本物の政治家”としての姿を+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■アベノミクスは改革の前提を整えたに過ぎない
    神保: 今日は2018年7月18日水曜日です。非常にお忙しい方に出演をお願いして、そちらの事務所まで来ています。国会の議員会館で、ゲストは石破茂さんです。宮台さん、冒頭で一言、今回のポイントをお願いします。
    宮台: 総裁選が面白く、あるいは国民の耳目を引くものになるため、ぜひ石破さんにわかりやすくいえば華々しく、今までとは違う空気感を醸し出していただきたいと思います。
    神保: 最初に紹介してしまいましたが、ゲストは衆議院議員の石破茂さんです。石破さんは政治家としてはマル激で最多出演の3回目です。まだ正式に出馬はされていないと理解していますが、総裁選にチャレンジするたびにご出演いただくという感じになっています。今回は『政策至上主義』という本が出たばかりで、世の中ではこれが事実上の出馬宣言、あるいは政権構想と言われていますが、そういう意味ではなかったんですか。
    石破: 私は何度か本を出してきました。防衛庁長官が終わったとき、防衛大臣が終わったとき――と、やはりその都度、自分が何を考えているのか、ということを世の中に申し上げて、ご批判を仰ぐのは政治家の責任じゃないかと思っているんです。
     

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  • 橋本淳司氏:水道民営化法案とかやってる場合ですか

    2018-07-18 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2018年7月18日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第901回(2018年7月14日)水道民営化法案とかやってる場合ですかゲスト:橋本淳司氏(水ジャーナリスト)────────────────────────────────────── 200人を超える人命を奪った西日本豪雨では、27万戸を超える世帯が断水に見舞われた。1週間が経った今も、20万を超える世帯で水道が復旧しておらず、復旧・復興の足を引っ張っている。断水の最大の原因は、水道管の破断によるものだ。久しく言われていることだが、1960年~70年代の高度経済成長期に一気に日本中で敷設された水道管の多くが今、耐用年数を過ぎ老朽化している。 日本はこれまで水道事業は基本的に自治体が運営する公営事業であり、国際的に見ても水道料金が割安に抑えられてきたため、老朽化した水道管を更新するための予算が積み立てられていない。無論、地方自治体も地方交付税に依存している中、水道管の交換に自治体予算を回す余裕はない。そこで政府が考えたのが、水道事業を民営化することだった。民営化の是非については、賛否両論があるだろうし、そのメリット、ディメリットがきちんと精査される必要があるだろう。しかし、実は水道民営化を推進する前提となる水道法の改正案が、実は今国会で既に先週衆院で可決し、終盤を迎えた国会で一気に成立してしまうところまで来ているのだ。 水は人間が生きるための基本財である水を供給する水道事業者には、災害や有事の際も水を提供する責任が伴う。丸ごと民営化してしまうと、事業者には重い公共責任が伴うため、民間企業にとってはリスクが大きすぎる。そこで今回政府が推進している「民営化」は、施設の所有権は現在のまま自治体に残しつつ、水道事業の運営権を民間企業に譲渡する「コンセッション方式」と呼ばれるものだ。 しかし、水問題に詳しい橋本淳司氏はコンセッション方式であろうが、他の形態であろうが、民営化では水道事業の公共性を守ることはできないと指摘する。 実は水道事業の民営化は欧米では以前から実施されている。しかし、実際はパリ、ベルリン、アトランタ、インディアナポリス、ブエノスアイレス、ヨハネスブルグなど多くの都市で、一度は民営化した水道事業を公営に戻している。主な理由は水道料金が大幅に値上げされたことと、民間事業者を監督することの困難さだという。 電気などと異なり水道事業は地域独占となるため、値上げをされても住民はそれを拒否することができない。当然、値上げが正当化できるかどうかの外部監査・監督が必要になるが、運営権を取得した企業はあくまで民間事業者なので、情報公開にも限界がある。 橋本氏は、コンセッション方式では、企業は利益が上げやすい大都市圏の大規模な水道事業にしか関心を示さないだろうから、利益が出にくい小さな自治体が切り捨てになる怖れがあると指摘する。とは言え、日本の水道インフラの老朽化が待ったなしの状態にあることも間違いない。今国会で政府が通そうとしている法案を通じて政府が主導しようとしている民営化には問題が多いとしても、水道事業をこのまま放置しておくこともできない。 蛇口を捻れば美味しくて清潔な水がいつでも飲める国というのは、実はそれほど多くはない。日本はこれまで非常に水に恵まれた国だった。しかし、長年にわたり水道施設の更新を怠ってきたことで、日本の水道事業は大きな曲がり角に差し掛かっている。 今ここで周回遅れの民営化という安直な責任逃れを許すのか、水という国民の安全保障にも関わる重大な問題を真剣に議論し、いかにして水道事業を維持していくかについて国民的なコンセンサスを得るための努力を始めるのか。水道民営化法案の問題点と、先行事例としての海外の民営化事情などについて、橋本氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・災害時に露見する、進まない水道の整備・日本企業が手を挙げない「コンセッション方式」が出てきた経緯・ヨーロッパでも進む水道事業の再公営化・水道だけでなく、国のグランドデザインにかかわる問題+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■災害時に露見する、進まない水道の整備
    神保: 西日本が豪雨に見舞われ、200人も亡くなっているという大変な状況です。気候変動の問題も真剣に扱わなければいけませんが、今回は入口として、「水の民営化」をテーマに議論したいと思います。今国会から、ベルトコンベアで進んでしまうような状況になっており、今回の災害を考えても、これはしっかり見なければいけません。いまもっとも深刻なのは断水で、その主要因は水道管の老朽化です。それを解消するために民営化が必要だというのですが、どさくさに紛れて進められていることが許しがたいと思います。水ジャーナリストの橋本淳司さんに伺っていきます。 前回は2017年6月、『民営化では水道事業は守れない』というテーマでお話しいただきましたが、今国会でまた法案が出てきました。中身は前回とほぼ同じですか?
    橋本: そうですね。水道事業が老朽化してきていて、それをどうやって持続させるか、というのがこの法案の骨子です。最初は法案のなかにそうした持続性についてしか書かれていませんでしたが、突然、「コンセッション」という言葉が明記されました。官民連携を促進するというなかで、非常に具体的な言葉が出てきたのです。「コンセッション」とは聞き慣れない言葉だと思いますが、つまり水道事業の運営権を長期間、民間に売却できるよ、という方式が突如として上がってきたということです。
     

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  • 吉田文久氏:世界がこれだけサッカーに熱狂するわけ

    2018-07-11 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2018年7月11日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第900回(2018年7月7日)世界がこれだけサッカーに熱狂するわけゲスト:吉田文久氏(日本福祉大学スポーツ科学部教授)────────────────────────────────────── サッカーのW杯ロシア大会の決勝トーナメント1回戦の日本対ベルギーの試合は、試合開始が日本時間で午前3時という悪条件にもかかわらず、テレビ中継の瞬間最高視聴率が42.6%を記録したという。 実際、ワールドカップの人気は凄まじい。今大会はまだベスト4が出揃っていない段階だが、既に前回大会を上回る関心が集まっているそうだ。前回のブラジル大会では、全試合のテレビの延べ視聴者数が世界207カ国で260億人に達した。これは平均すると毎試合10億人以上が視聴している計算になる。 なぜ世界中のこれだけ多くの人々が、サッカーにこうまで熱狂できるのだろうか。サッカーの起源と言われる「民俗フットボール」に詳しい日本福祉大学スポーツ科学部の吉田文久教授は、サッカーは極端に点が入りにくいルールにしたことが、世界的に人気を博している理由であると同時に、サッカーを退屈だと感じる人が多い原因にもなっていると指摘する。 確かにサッカーほど点が入らないスポーツは、他に例を見ないかもしれない。90分テレビにかじりついていても、せいぜい2~3回しか得点シーンを見ることができないのがサッカーだ。無論、だからこそ、点が入った時の喜びも、点を取られた時の絶望も大きくなる。 吉田氏によると、サッカーが点が入りにくいスポーツになっていることには、歴史的な経緯も関係しているという。イギリスには今日のサッカーの原型と言われ、街全体を舞台に街中が参加して行われる「民俗フットボール」が、今も多くの地域に残っているが、その多くは、どちらかが点を取った段階で勝者が決まるサドンデス方式なのだそうだ。 実は後から加えられたオフサイドルールだけは、点がより入りやすくするための措置だったというのが意外だ。オフサイドは攻撃側にとって大きな制約になっているように見えるが、実は伝統的なフットボールではボールを持った選手の前にいる選手は全員がオフサイド扱いだったそうだ。つまりボールを持った選手は、ボールを前に進めるためには自分自身がドリブルで前進するしかなかった。 今もラグビーはボールホルダーよりも前にいる選手は全員オフサイドでプレーができないが、一切手を使えず、ゴールは狭く、しかもゴール前には自由に手が使えるゴールキーパーがいるサッカーは、多少オフサイドのルールが緩和されても、最も点が入り難いスポーツであることに変わりはない。 また、一切手を使えなくしたことで、ラグビーのように身体的に大きな民族が必ずしも優位にならない点も、サッカーが多くの国で盛んになった理由に数えられるかもしれない。ルールが単純で誰にもわかりやすく、ボール一つあれば誰もがプレーでき、体が小さくでも大選手になる夢を持つことができる。そう考えてみると、民俗フットボールから枝分かれした数々のフットボールの中でも、サッカーはもっとも多くの人に受け入れられるルールを採用したと言っていいのかもしれない。 これから佳境に入るW杯を横目に、民俗フットボールから生まれたサッカーがいかにして現在のような世界で最も人気のあるスポーツに成長していったのかなどについて、数ある民俗フットボールの中でも最も伝統的なシュローブタイド・フットボールを現地で取材してきた吉田氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・フットボールから枝分かれした、サッカーの歴史・今も残る「民俗フットボール」とは・“シンプル”かつ“不自由”な、サッカーのルール・人々はなぜ、サッカーに熱狂するのか+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■フットボールから枝分かれした、サッカーの歴史
    神保: 日本がW杯で負けた次の週にわざわざサッカーを取り上げるなんてどういうことだ、と思われるタイミングで、あえてサッカーをテーマに選びました。もちろん、日本が負けたことを喜んでいるのではなく、宮台さんが「サッカーがとにかくつまらない」と言うので、きっとそう思っている人も他にたくさんいるのだろうと思いました。
    宮台: 子供の頃はみんなサッカーをやるし、やっている方としては、野球のように休んでいるところがないから楽しかったです。しかし、試合を観ていると非常に時間の無駄感があるんです。球回しの時間がイライラします。僕にとって観るのに一番いいのは格闘技ですね。
    神保: 格闘技であれば、トイレなんか行ったらその間に試合が終わってしまいますよね。サッカーは延々と球を回し、一瞬だけ盛り上がりますが、そのときに観ていなかったら終わり、みたいなところが嫌だということでしょうか。
    宮台: 嫌ですね。そういう人も絶対多いでしょう。
     

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  • 5金スペシャル マル激放送900回記念トークライブ 社会を壊さないために何ができるかを、あらためて考えてみた

    2018-07-04 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2018年7月4日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第899回(2018年6月30日)5金スペシャル マル激放送900回記念トークライブ社会を壊さないために何ができるかを、あらためて考えてみた────────────────────────────────────── その月の5回目の金曜日に、異色の企画を無料でお届けする5金スペシャル。 今回の5金は、マル激が来週、第900回放送を迎えるのを記念して、6月30日に外国特派員協会で行われた神保・宮台による公開ライブの模様をお届けする。 2001年4月の放送開始以来、マル激はジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司のコンビが、世界の政治、経済、社会、メディアなどの諸問題に加えて、社会のあり方や個人の幸せなどについても、多くのゲストを招き、いろいろな角度から議論を積み重ねてきた。 第900回放送を迎えるにあたり過去の放送を振り返ってみると、17年前の番組開始時に取り上げたさまざまな課題が、依然として今日、われわれの前に大きく立ちはだかっていることに、驚きを覚える。問題の処方箋はおろか、問題そのものを認識することが、ますます難しくなってきているという印象だ。いや、むしろ、誰もが処方箋はわかっているが、それを実行するための痛みにとても耐えられそうもないために、ずるずると流されているうちに、多くのことが手遅れになってきていると言った方が、より正確かもしれない。 しかし、誰のためにその痛みを甘受しているのかがわからなければ、誰も自分が損をするようなことはしたくないのは当然だ。また、その対象がわかっていても、それが自分たちの「仲間」だと認識できなければ、やはり痛みなど誰も引き受けようとはしない。 要するに、民主主義が機能していないのではなく、民主主義が機能する前提が機能していないのだ。 マル激ではこれまでその「前提」とは何で、どうすればそれが再構築できるかを、時間をかけて考えてきた。今回、第900回記念ライブでは、その中身をあらためて振り返り、この先、われわれが目指すべき新しいモデルを展望した。++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・初回から言っていることは何も変わらない・宮台真司が語る「クズ」と「クソ」の意味・マル激に出演し、いまは亡くなったあの人たち・さらに振り返る、出色だった放送回の数々+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■初回から言っていることは何も変わらない
    宮台: みなさんありがとうございます。座席、一週間で埋まったんですね。
    神保: 900回で何かやらなければと言いつつ、毎週の番組を埋めるのが精一杯で、あまり何もできなかったんです。そのなかで、ここの部屋(外国特派員協会)が取れることになりました。実はこの特派員協会は10月に移転することになり、おそらくこれが最後になると思います。
    宮台: こういう移転も、日本がだめになっていく象徴です。
    神保: ここは日本を取材する外国記者の拠点だから、日本を取材する価値が下がれば下がるほど、勢いが落ちていくということです。もちろん外国のメディアが衰退しているということもあるのですが、中国や東南アジアにはけっこう人を割いていますからね。
    宮台: 二流国化、三流国化の兆しがこういうところに現れているということで、われわれも覚悟した方がいいと思います。
    神保: 初っ端から悲観論で始まりましたが、今日は900回という節目の放送です。2001年4月から毎週、番組を作ってきて、第一回のタイトルが恥ずかしいことに、『前代未聞のインターネットトーク番組始まる』ですよ。ただ、その中身はいまやっていても全然おかしくありません。マスメディア、検察、民主主義の機能不全、共同体の崩壊のような問題を整理して、それに対して一つひとつ、スポットを当ててわれわれが何をできるのかということを見ていこう、という趣旨でした。そこから進歩がないのか、僕ら的には時代が本当にそういうふうになってきてしまったという感じもありますが、どうでしょうか。当時、僕は38歳でいまは56歳。宮台さんは41歳で、茶髪で伊達メガネをかけてしましたね。
     

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