-
熊野英生氏:アベノミクス、この1年の成果と課題
2013-12-25 23:00550ptマル激!メールマガジン 2013年12月25日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第662回(2013年12月21日)アベノミクス、この1年の成果と課題ゲスト:熊野英生氏(第一生命経済研究所首席エコノミスト)────────────────────────────────────── アベノミクスを旗印に政権の座に返り咲いた第2次安倍内閣が発足して1年が経つ。 安倍首相は、昨年9月に自民党総裁の座に返り咲くと、デフレ脱却のために日銀による大幅な金融緩和を実施し、2%のインフレターゲットを中心とする一連の経済政策を掲げて総選挙に臨んだ。タイミングが景気の底堅さが見えていた時期と重なったこともあり、アベノミクス、とりわけインフレターゲット論は、市場に好感を持って迎えられ、以後、市場は円安、株高の相場が続いている。ゲストの熊野英生氏も「アベノミクスがロケットスタートを切ったことは事実」と一定の効果を認めるが、その後の公共事業中心の政策には財政健全化への懸念がつきまとい、同時に、本来は消費税増税とセットであったはずの社会保障改革論議が棚ざらしにされているなど、懸念すべき点は多いと指摘する。 もともと安倍首相はアベノミクスは3本の矢から成ると説明している。1本目は金融緩和によりマネーの供給量を増やすこと、2本目が公共投資による景気の刺激、そして3本目が規制緩和などによる経済成長の実現だ。ひとまず1本目は実現し、2本目も国土強靭化基本法を可決し大型の補正予算を組むなど、着実に実行する方向にある。しかし、本丸とも言うべき3本目の矢については、今のところほとんど中身のある政策が見えてこない。 折しも16日に発表された日銀の企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観は、企業の業況判断が大幅に改善されるなど、景気回復の着実な進展を示している。今回は中小企業でも景気判断に改善が見られるのが特徴とされているが、日本経済の自律的回復の条件となる企業の設備投資への意欲が十分に回復しているところまでは至っていないようだ。また、なにより、個人所得に依然として下降傾向が続き、個人消費も改善には至っていない。 一方、18日に公表された11月の日本の貿易統計では、17ヶ月連続の輸入超過、つまり赤字の状態が続いている。熊野氏によると、貿易収支だけではなく、所得移転やサービスなどの輸出入を含んだ経常収支に関しても「数年前には考えられなかった年間での赤字を懸念する声がエコノミストの間でも出てきている」という。ここまでアベノミクスがもたらした経済回復への期待感には、一定の成果は認められるものの、今後、過度な円安に触れかねないリスクや、それがもたらすマイナスなどには依然として注意が必要なようだ。 来年4月には消費税が8%に引き上げられる。こうした状況の中で、アベノミクスは日本経済をデフレから救い出し、持続的な成長軌道に乗せることができるのか。また、アベノミクスの副作用について、われわれはどの程度懸念をする必要があるのだろうか。ゲストの熊野英生氏と共に、経済学者の小幡績氏と社会学者の宮台真司が議論した。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・“好景気”で忘れ去られる構造問題・「円安になれば輸出が増えて雇用が増える」は間違い・2014年、アベノミクスはどう変わるべきか+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
-
安藤光義氏:「減反廃止」で日本の農業は生き残れるか
2013-12-18 23:00550ptマル激!メールマガジン 2013年12月18日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第661回(2013年12月14日) 「減反廃止」で日本の農業は生き残れるかゲスト:安藤光義氏(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授) ────────────────────────────────────── 政府は12月10日に決定した「農林水産業・地域の活力創造プラン」で、「減反政策の廃止」を打ち出したとされる。安倍首相は9日の会見で「40年以上続いてきた米の生産調整を見直し、減反の廃止を決定した」と長年の課題だったコメ農政の大転換に胸を張ってみせた。しかし、専門家や農業関係者からは、今回決定した内容は実際には安倍首相が誇ってみせたよう -
福井健策氏:TPPの知財分野も国民の知る権利に関わる重要な問題
2013-12-11 21:30550ptマル激!メールマガジン 2013年12月11日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
──────────────────────────────────────
マル激トーク・オン・ディマンド 第660回(2013年12月07日)
TPPの知財分野も国民の知る権利に関わる重要な問題
ゲスト:福井健策氏(弁護士)
──────────────────────────────────────
国内では国民の知る権利を脅かす特定秘密保護法案が、多くの反対を押し切る形で強行に可決・成立したばかりだが、もう一つ国民の知る権利に関わる重要な交渉が、法案可決の翌日からシンガポールで行われている。TPPの閣僚会合だ。
日本ではTPPといえばとかく農業分野が取り上げられることが多いが、弁護士で知的財産権や著作権が専門の福井健策氏は、知財分野こ -
5金スペシャル・秘密保護法が露わにした日本の未熟な民主主義とアメリカへの隷属
2013-12-04 23:50550ptマル激!メールマガジン 2013年12月4日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第659回(2013年11月30日) 5金スペシャル秘密保護法が露わにした日本の未熟な民主主義とアメリカへの隷属────────────────────────────────────── 特別企画を無料放送する恒例の5金スペシャル。特定秘密保護法案の国会審議が大詰めを迎えるなかでお送りする今回は、法案をめぐる一連の議論が露わにした日本の課題を再考した上で、国家機密にまつわる映画を通して秘密法制と民主主義の関係を議論した。 秘密保護法案については、秘密指定権限が明確に決められていないことからくる濫用のリスクや外部チェック不在の問題など多くの課題が指
1 / 1