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記事 5件
  • 山本太郎氏:人類は新型コロナウイルスといかに共生すべきかを考える

    2020-04-29 20:00  
    550pt
    マル激!メールマガジン 2020年4月29日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第994回(2020年4月25日)
    人類は新型コロナウイルスといかに共生すべきかを考える
    ゲスト:山本太郎氏(長崎大学熱帯医学研究所教授)
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     新型コロナウイルス感染症は、欧米諸国が落ち着きを取り戻しつつあるのに対し、日本は依然として正確な感染状況が把握できていないこともあり、早くも2週間後に控えた緊急事態宣言の期限の延長が取り沙汰される事態となっている。まだまだ行動制限による新型コロナウイルスの抑え込みが必要な日本ではあるが、同時に、抑え込みに躍起になっている今だからこそ考えておかなければならないことがある。それは、どう考えても現在のような行動制限を未来永劫続けられるわけがない以上、その出口のタイミングとそれ以降われわれはコロナとどう向き合っていくのかという問題だ。
     『感染症と文明』などの著書があり、感染症の歴史に詳しい長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授は、望むと望まざるとにかかわらず、この地球上に新型コロナウイルスというものが登場してしまった以上、人類はそのウイルスと共存するための道を探っていくしないと語る。撲滅させることは容易なことではないし、また必ずしもそれは得策ではないかもしれないと山本氏は指摘するのだ。
     それはどういうことか。例えば人類は天然痘の撲滅に成功した。感染症を引き起こすウイルスで人類が完全に克服したのは、後にも先にも天然痘が最初で最後なので、これこそが人類の感染症医学の金字塔のように称賛されることが多い。また、確かにこれが大変な功績だったことも間違いない。しかし、天然痘のウイルスが撲滅したことによって、その後に生まれた人類は撲滅前に生まれた人類が持っている天然痘に対する抗体を持っていないことになる。もし、将来、撲滅したと思っていた天然痘が何らかの理由で復活したり、あるいはそれと似通った感染症が登場した時、どちらの人類が生き残るチャンスがより大きいか。そのような意味も含めて、人類にとってウイルスというものは、単に抑え込んだり撲滅すべき対象と受け止めるべきではないと山本氏は言うのだ。
     実際、人類にとってウイルスは、共存の方法を見つけるまではもっぱら恐ろしい存在だが、いざ共存の道を見つけることができれば、むしろ多様なウイルスや多様な感染症を抱えている状態の方が、そうしたものとは無縁の状態よりも、より安定していると考えることができるのだと山本氏は言う。
     新型コロナウイルスも当面の医療崩壊を避け致死率を下げながら、共存の道を探っていけば、人類は2、3年以内に免疫の壁の目安となる人口の6~7割が抗体を持った状態を作ることは可能だろうと山本氏は指摘する。また、そうなった時、人類にとって新型コロナウイルスは他の4つのコロナウイルスと同じような、単なる風邪のウイルスの一つになっている可能性が大きいだろうと山本氏は言う。
     その一方で、数年以内にはワクチンや治療薬が開発される可能性もある。未来は神のみぞ知るだ。しかし、一つはっきりしていることは、新型コロナウイルスが人類にとって決して最後の「新型」ウイルスとはならないだろうということだ。地球温暖化などの環境の急激な変化によって、地球上に人類に影響を与える新たなウイルスが登場する頻度は確実に上がってきている。どんな感染症であろうが、強い病原性を持つウイルスに対しては、まずは人命を優先しなければならないが、危機的な状況を乗り越えたらやはり共存の道を探っていくのが現実的だろうし、人類にとって他に選択肢はないようにも思える。
     感染症と人類文明という観点から山本氏と、新型コロナウイルスとの向き合い方や「コロナと共存する」ということの意味、新型コロナは社会のあり方をどう変えるのかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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    今週の論点
    ・感染の速度が緩やかであれば、ウイルスの毒性は弱まる
    ・感染症が人類にもたらすものと、「ウイルス根絶」のリスク
    ・補償とともに、来たるべき新しい社会のイメージを伝えることの重要性
    ・言葉の自動機械になり、感染者を糾弾する日本
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    ■感染の速度が緩やかであれば、ウイルスの毒性は弱まる
    神保: 今回は半分実験的な意味も含めて、宮台さんにもご自宅にいていただき、三元中継でお送りします。ゲストは長崎大学熱帯医学研究所教授の山本太郎さんで、大学の研究室からご参加いただきます。
     山本さんには2008年、今となっては隔世の感がありますが、当時重大な課題になっていた新型インフルエンザとの付き合い方についてお話を伺いました。まず、新型インフルのときと今回で一番違うのはどんなところでしょうか。
    山本: 世界中で同時多発的に感染が起こり、パンデミックという状況で、しかも感染者の数、死亡者の数がリアルタイムで出てくるわけですよね。その数字に我々は毎日一喜一憂するという、ある意味で感染症のパンデミックと共に、“情報のパンデミック”に直面している状況なのだろうと思います。
     

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  • 岩田健太郎氏:向こう数年間は周期的なロックダウンを繰り返すことになる可能性も

    2020-04-22 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2020年4月22日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第993回(2020年4月18日)
    向こう数年間は周期的なロックダウンを繰り返すことになる可能性も
    ゲスト:岩田健太郎氏(神戸大学大学院医学研究科教授)
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     新型コロナウイルスが人類にとって、100年に一度あるかないかの最悪の感染症になりつつあることが、次第に明らかになってきている。
     ダイヤモンド・プリンセス号の内部の問題点を告発したことで話題を呼んだ神戸大学医学研究所の岩田健太郎教授は、自身が長年国内外で感染症に取り組んできた経験から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は人類にとって20世紀初頭に5億人が感染し、何千万人もの死者を出したスペイン風邪に次ぐ最悪の感染症になってしまったと言う。
     しかも、その理由が「恐くないところが恐い」という厄介なものだ。ウイルス自体はそれほど病原性が強くないので感染者が少ないうちは簡単に抑え込めるが、甘く見ていると無症状者や軽症者が感染を広げ続け、いつの間にか水面下で感染爆発が起きている。気がついた時はもう手が付けられなくなっている。
     その様を岩田氏は「真綿で締められるように感染が広がっていく」と表現する。
      岩田氏は当初、日本が採用してきた、検査人数を絞り込みクラスターを抑え込むことに集中する戦略は、一定の効果をあげていたと、これを積極的に評価する。しかし、この戦略はクラスターを抑え込むことで時間を稼ぎつつ、その間に病床の数を増やしたり検査態勢を強化する「キャパシティ・ビルディング」を行うことが前提にあるはずだった。ところが、「日本はうまくいっている」という思い込みからそれを怠る結果となり、当初の戦略の奏功によって稼いだ時間を無駄に浪費してしまったと岩田氏は言う。
     クラスターの抑え込みがプランAだとすると、感染者の半数以上の感染源が追跡不能になってしまった現在、戦略の転換は不可避だ。岩田氏は現在の緊急事態宣言に基づく、緩やかなロックダウンが日本にとってのプランBだと指摘した上で、もしこれで感染の広がりを押さえ込むことができなければ、プランCとしては、より厳しいロックダウンしか選択肢は残されていないと言う。
     日本はクラスターつぶしで対応できるフェーズは既に終わり、行動制限が必要な段階に入っていることは間違いない。あとは、どの程度の行動制限を課せば、R0(基本再生産数=一人の感染者が平均して直接感染させる人数)を1以下にすることができるかだ。
     岩田氏はコロナとの戦いは長期戦になることは必至だという前提の上に立ち、今後世界は周期的にロックダウンを繰り返さなければならなくなる可能性が高いとの見通しを示す。新型コロナウイルスが地球上から一掃されない限り、ある程度行動制限を解除すれば、またコロナが戻ってくる。流行の広がり具合を横目で睨みながら、「空襲警報のように」(岩田氏)行動制限を強化したり緩めたりの繰り返しになるだろうと、岩田氏は言うのだ。
    岩田氏は、コロナと長く付き合っていくためにはソーシャル・ディスタンスという概念が不可欠となることから、日本はもっと個人が他者と違う生き方や違った行動を取ることに寛容になる必要があると指摘する。日本の伝統的な「周りを見ながらみんな一緒に」の行動規範が、コロナ時代には適合していないというのだ。その上で、とにかく「距離と手」がポイントになることを知って欲しいと語る。つまり、他のどんな手段よりも、まず人から飛沫を浴びない程度の距離(1.5メートルから2メートル)を開けることと、ほとんどの感染が手を通じて口から入ってきていることから、手洗いや消毒の重要性を強調する。
     日米両国で感染症専門医の資格を持ち、世界で感染症の実態を見てきた岩田氏と、COVID-19の現状、そして日本のコロナ対策に対する評価とリスクコミュニケーションのあり方などについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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    今週の論点
    ・選択肢はロックダウンか、より厳しいロックダウンしかない
    ・「神話」にすがり、感染症対策を貶めてきた日本の官僚
    ・新型コロナが収束に向かう3つの仮説
    ・散発的なロックダウンが日常化することも考えておくべき
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    ■選択肢はロックダウンか、より厳しいロックダウンしかない
    神保: 今回はなんと、飛沫防止装置というものを導入しました。視聴者の方から、何の対策もせずに普通に番組をやっているのはよくない、というご意見もいただいて、ホームセンターに行って、アクリル板で自作したんですよ。テレビもリモートでやっていますが、専門家でも何でもないコメンテーターがわざわざリモートで出ているのは不思議ですね。
    宮台: 省けばいいのですが。
    神保: そんな状況で普通にトークしているのはダメでしょうし、かと言ってマスクをしてしゃべるのも、しゃべる方も聞く方もしんどいので、せめて飛沫を防止しようということです。また、これもマル激として初めてですが、ゲストの方もリモートでご出演いただきます。神戸大学の岩田健太郎教授です。今は研究室でいらっしゃいますか。
    岩田: そうですね、大学の研究室にいます。
    神保: 岩田さんが4月15日に出されたばかりの『新型コロナウイルスの真実』という本がAmazonで1位になっています。
    宮台: 具体的なメソッドとノウハウが非常にわかりやすく書いてあるので、皆さん手に取るべき本だと思います。マル激を見てらっしゃる方にはもう少し抽象度を上げて、どういう原理原則に基づいてこの本が書かれているのか、あるいは岩田さんのご意見があるのかということを伺いたいなと思います。
    神保: また、2018年刊行の『インフルエンザ なぜ毎年流行するのか』も非常に面白く、参考にさせていただきました。さて、岩田さんはダイヤモンド・プリンセス号の動画を公開されて、相当評判になり、日本外国特派員協会でも会見をやっていただいたりしましたが、当時の反響の大きさをどう受け止められていますか。
     

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  • 西田亮介氏:コロナとの長期戦に勝つためには冷静なリスク評価が必要

    2020-04-15 21:00  
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    マル激!メールマガジン 2020年4月15日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第992回(2020年4月11日)
    コロナとの長期戦に勝つためには冷静なリスク評価が必要
    ゲスト:西田亮介氏(東京工業大学准教授)
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     緊急事態宣言が発令され、いよいよ日本も本気でCOVID-19の抑え込みにかからなければ、爆発的感染(オーバーシュート)などが起き、取り返しのつかない惨禍に見舞われる恐れが現実のものとなりつつあるところまで状況が進んでしまった。
     原因は必ずしも定かでないが、諸々の条件から中国、韓国や一部の欧米諸国と比較すると、これまで感染の拡大が比較的軽微に抑えられてきた可能性の大きい日本だったが、政府も市民の側もそのボーナスをやや無駄に浪費してしまった感があることは否めない。
     とは言え、まだ遅くはない。いや、まだ遅くないかどうかは最終的な結果を見てみなければわからないが、遅かろうがどうだろうが、今われわれはできることをやるしかない。
     しかしその「できることをやる」上で、気になることがある。それは、どうもわれわれが、危機に際して単純思考に陥る傾向が強いことだ。これは世界中どこの国でも大なり小なりそのような傾向があるものなのかもしれないが、緊急事態だとかロックダウンだとか言う言葉が独り歩きをし始めると、社会の方々で過剰にその言葉に適応しようとする動きが見られ、それに加わらない人に対するバッシングなども起きる。
     かと思うと、しばらく時間が経って自粛疲れなどが出始めると、周囲も緩んでいるのを確認した上で、人々は一斉に街に繰り出してしまうようなところがある。まさにその現象が3月末の連休中に起きたことで、もしかするとそれが後になって日本のコロナ対策における最も重要な局面だったことが明らかになる可能性すら指摘されている。
     いずれにしても今は、できる限り政府の行動制限の要請に協力し、当面の感染拡大の抑え込みに集中することが不可欠なことは論を俟たない。しかし、同時にコロナとの戦いが明らかに長期戦になることも念頭に置いておく必要がある。ワクチンや画期的な治療薬が開発されるまでは、人口の一定比率、それも恐らく半数以上が感染し抗体を獲得することで免疫の壁が作られるまで、コロナウイルスの感染拡大は止まらないと考えられている。現在は短期間の感染爆発により医療崩壊を防ぐという大目的のために行動制限を実施しているが、行動制限を強化すればするほど、免疫の壁の確立までに時間がかかることも事実だ。今年抑え込みに成功すれば、来年ウイルスの集団感染が起きるリスクがかえって高まるというジレンマの中にわれわれは置かれていることを忘れてはならない。
     安倍首相自身が「長期戦」という言葉を使っているように、コロナとの戦いが年単位の長期戦になることは明らかだ。当面の感染爆発の抑え込みに成功したとしても、その後の長期戦略が不可欠となる。その際は、いつまでも強力な行動制限ばかりを課し続けるわけにもいかないだろう。経済活動の縮小による経済的なリスクも、既に人の命に直結する大問題になりつつある。場合によってはコロナに感染して死亡するよりも遙かに多くの人が、経済的要因の犠牲者になるとの指摘もある。極度に人と距離を置くことが推奨されることから生じる社会的な分断や、その結果としての孤独死やうつなどの社会的なリスクや共同体の崩壊、そして国際的には感染拡大を阻止する目的で一旦は閉じた国境を再び開放し、以前のようなグローバル化の世界に再び戻すのかどうかなども、予め議論をした上で、よくよく考えておかなければならないことだろう。
     日本では目の前に大きな危機が迫っているタイミングで「その後」の議論をすること自体が不謹慎扱いされる向きも一部であるようだが、せっかくの春日和の4月、外に出かけられない分、ただ巣ごもりして家で燻っていてもつまらない。少しコロナとその後のことをわれわれと一緒に多角的に考えてみようではないか。
     というわけで今週は気鋭の社会学者・西田亮介氏とともに、新型コロナウイルスとその対策がもたらす社会への影響とそのリスクなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
     なお、ビデオニュース・ドットコムでは緊急事態宣言の発令を受けて、新型コロナウイルスの特設ページを設け、感染症やウイルスや公衆衛生の専門家らのインタビューや記者会見などを随時無料で配信しています。新型コロナウイルス(正式名称はサーズ・コロナウイルス2=SARS-CoV-2)やそのウイルスが引き起こす新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、及びその対策については、特設ページの方もご参照ください。
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    今週の論点
    ・法律の具体的内容も客観的なデータも伝えられていない日本
    ・合理性より世論への配慮で決まる政策
    ・ロックダウンが招く別のリスクが検討されない状況
    ・遅れてくる“成績表” 手応えのなさに人々は耐えられるのか
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    ■法律の具体的内容も客観的なデータも伝えられていない日本
    神保: 緊急事態宣言が出て最初のマル激です。安倍さんの記者会見が抽選で外れてしまったため、テレビで見ていたのですが、テレ東もTOKYO MXも含め、全チャンネルで中継していました。
    宮台: それがまさに日本のメディアスクラムです。何の有効性もありません。ただ、今回の議論の口火を着るにはちょうどいい話題ですね。有効であるかは関係なく、ある種のお祭りになっています。
    神保: それほどの前代未聞の大ごとだということです。 

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  • 小幡績氏:コロナ緊急経済対策は中小企業支援と失業対策に集中せよ

    2020-04-08 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2020年4月8日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第991回(2020年4月4日)
    コロナ緊急経済対策は中小企業支援と失業対策に集中せよ
    ゲスト:小幡績氏(慶應義塾大学ビジネススクール准教授)
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     新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急経済対策について与党自民党などからは総額60兆円といった景気のいい話が乱れ飛んでいる。
     新型コロナウイルスの感染を抑えるために経済活動が制約を受けたことの影響は大きく、シンクタンクなどでは今期のGDPが前年度比で20%以上落ち込むとの見通しを打ち出しているところも多い。強力な経済支援が必要なことは言うまでもない。
     しかし、慶應義塾大学ビジネススクールの准教授で経済学者の小幡績氏は、政府の支援は倒産を防ぐための中小企業支援と、失業などで所得が減った人たちへの支援に集中すべきで、この機に便乗した人気取り目的のバラマキは避けるべきだと語る。
     コロナ対策としての自粛要請などによって店が閉まっていたり、移動が制限されるために経済活動が停滞しているのだから、そこにカネをばらまいたところで、コロナ対策にはならないと小幡氏は言う。そればかりか、コロナとの戦いが長期戦になることが必至の情勢下で財源を無駄に消費することが、将来必要となる支援策の選択肢を奪う怖れがあるという意味で、二重にすべきではない愚策だと小幡氏は指摘する。
     2008年のリーマンショックとは違い、現在はたまたまある期間、人々の行動を制約することで経済活動が縮小しているだけなので、コロナさえ解消すれば、経済活動は以前の状態に戻る。しかし、経済活動を制限している間に企業、特に中小企業がバッタバッタと潰れてしまったり、多くの労働者が失業などで路頭に迷ったり自殺に追い込まれたりすれば、コロナ禍が収束した後も、経済活動が元通りに復旧できなくなってしまう。そのため、経済活動の制限が解かれた時に再び経済が回り出せるように、現在のインフラを温存しておくための施策に集中すべきだと言う。
     また、行動経済学が専門の小幡氏は、日本を含む世界の新型コロナウイルスに対する怖がり方は、コロナウイルスの毒性の度合いや致死率を考えると過剰に思えると指摘し、「人間は未知のリスクに対しては、これを過剰に怖れるか、過小に評価して無視するかのどちらかになる傾向がある」と指摘した上で、新型コロナウイルスについては文字通り新型だったため、過剰に評価する方に偏っているとの見方を示す。
     無論、今日の日本にとって、新型コロナによる感染症の蔓延を押さえ込むことが最優先課題であることは論を俟たないが、そのために経済が致命的な打撃を受けてしまえば、結果的にコロナウイルスよりもより多くの犠牲者を生むことだって考えられる。ロックダウンによって経済活動を完全にストップさせなければならないような事態に追い込まれる前に、しっかりとした対策を打っておくことが重要になることは言うまでもない。
     治療が病気より悪い結果を生まないためには、コロナ対策の名のもとにどこまで経済活動に制約をかけることが正当化できるのか。人々がコロナウイルスのリスクに過剰に反応してしまうのはなぜか。感染の広がりが収束した時、経済が再びV字回復を遂げるために、今、われわれはどのような経済支援を必要としているのかなどを、行動経済学が専門でエコノミストの小幡氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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    今週の論点
    ・コロナウイルスが“人類初の危機”というのはまったくの嘘
    ・バラマキは意味がない 倒産や失業の対策に注力を
    ・コロナ以前/以降で世界は変わるのか?
    ・ロックダウンしないことが最大の経済対策
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    ■コロナウイルスが“人類初の危機”というのはまったくの嘘
    神保: 今回は新型コロナウイルスの問題なかでも、経済をテーマにしたいと考えています。緊急事態、ロックダウンという話に振り回されていますが、宮台さん、一連の動きで何かありますか。
    宮台: 僕のゼミにベルギーから参加している学生がいますが、ドイツやフランスを含めて、ヨーロッパでは「三密」などという仏教用語みたいな話ではなく、「人との間隔を1.5メートルあけろ」というのが標準だといいます。いろんなところに列を作っている場合にも、基本的に警官が張り付いて、1.5メートル間隔をあけているか、ということを確認しているということです。このように、何を基準に行動すればいいのか、という目安を作らないとダメですよ。日本の場合、「夜は外出するな!」と言いますが、一人で散歩しているぶんには何も問題がないわけで。
    神保: 要するに、特定のお店には行くなということなのでしょうが、具体的に言いたくなかったようですね。確かに、夜の外出がダメだと言われれば、散歩もダメなんだと思っている人もいるでしょう。 

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  • 山田正彦氏:種苗法改正で国家100年の計を過つ事なかれ

    2020-04-01 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2020年4月1日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第990回(2020年3月28日)
    種苗法改正で国家100年の計を過つ事なかれ
    ゲスト:山田正彦氏(元農林水産大臣、弁護士)
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     世界各地でコロナウイルス感染症が重大な局面を迎え、経済活動への深刻な影響が全世界的に懸念され始める中、日本ではビジネス・アズ・ユージュアルよろしく、日本の将来に重大な影響を与えかねない法律や新しい制度が次々と実行に移されている。
     国会では4月から、種苗法の改正なる審議が予定されている。生死がかかるコロナ問題の真っ只中にあって、種の話など放っておけなどと言わないで欲しい。これはわれわれ日本人の胃袋に直結した問題になる可能性が十分にある。それは自然災害や有事や今回のような感染症が蔓延した場合などに、先進大国としては最低水準の食料自給率しか持たない日本にとって、文字通り死活問題となりかねない。
     安倍政権は2018年に種子法を廃止し、戦後の食料難以降、日本人にコメ、麦、大豆などの主要食糧を安定的に供給する源となってきた主要農産物の種子の公的管理制度を廃止している。種子の公的管理によって民間の参入機会が奪われているというのがその根拠だったが、現状では民間企業の種子の価格は公的に管理された種の10倍以上する。また、その場合の民間は国内企業に限定されるものではないため、多くの種子の知財権を独占する海外の巨大多国籍企業にコメを含む日本の主要作物の種を握られてしまう怖れもある。種子法の廃止は、同時に施行された農業競争力強化支援法によって、国や自治体が持つ知財権の民間への移転が促進されている。
     そして、今度はトドメともいうべき種苗法の改正である。政府は日本の優良品種の育成者権(その品種を開発した者の知財権)が海外に流出する恐れがあるとの理由から、品種登録制度を強化するとともに、登録品種の海外持ち出しを原則禁止するとしている。
     問題は今回の法改正によって、登録品種の自家採種ができなくなることだ。種子には自家採種ができないように品種改良されているため毎年企業から購入することが前提となっているF1種と、農家が伝統的に前年の収穫から一番良質な株の種を採取する自家増殖(自家採種)が可能な在来種・固定種の2つの種類がある。F1化されていない在来種の多くは自家採種が可能なため、多くの農家で先祖代々引き継がれた種を持っている場合が多い。少なくとも毎年企業から種を買う必要がない。しかし、種苗法の改正により、こうした品種の登録が可能になってしまえば、自家採種した農家は登録した企業から権利侵害で訴えられたら負けてしまう。
     品種の登録にはそれ相応の手間と費用がかかるため、小規模な農家ではとてもそこまで手が回らない。先祖代々自家採種してきた種を使って作物を作っていたら、ある日突然訴えられて、その作物が作れなくなったり、権利侵害で最大1億円の罰金を科される可能性があるのが、今回の法改正なのだ。
     今週は自身が農家を営んできた立場から種子法の廃止や種苗法の改正に反対の論陣を張ってきた元農水大臣で弁護士の山田正彦氏に、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、種苗法改正の意味することは何かなどについて聞いた。
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    今週の論点
    ・問題だらけの種子法廃止・農業競争力強化支援法施行
    ・不明確な基準で権利化され、自家栽培が禁じられる種苗法
    ・日本人が食べている輸入大豆は「家畜が食べるもの」
    ・「食糧安全保障」の観点が全くない安倍政権の問題
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    ■問題だらけの種子法廃止・農業競争力強化支援法施行
    神保: 新型コロナウイルスの問題については、これからさまざまに調べないとまだ不明なところが多く、すぐに結論は出ないと思いますが、追々取り上げていかなければと思います。今回はその陰で進んでいることについて議論したいと思います。知らない間に、和歌山カレー事件について高裁が再審請求を棄却していたり、報道の時間がコロナに割かれる分、ニュースから落ちてしまっていることが非常に多く出てきています。 

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