• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 4件
  • 松竹伸幸氏:何があっても日本はアメリカについていくしかないのか

    2017-02-22 20:00  
    550pt
    マル激!メールマガジン 2017年2月22日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第828回(2017年2月18日)何があっても日本はアメリカについていくしかないのかゲスト:松竹伸幸氏(自衛隊を活かす会事務局長)────────────────────────────────────── 先週末の安倍首相の訪米は、トランプ大統領と安倍首相の間の親密ぶりを世界に見せつけることで、問題山積で国内的にも国際的にも孤立状態にあったトランプ大統領を、一時的とは言え窮状から救う結果となった。しかし、それは日米の同盟関係の強固さと同時に、異様にさえ見える日本のアメリカ一辺倒の外交姿勢を世界に強く印象づけた。 中国や北朝鮮など東アジア周辺に安全保障上の不安を抱える現在の日本にとって、アメリカとの同盟関係の重要さは論を俟たない。しかし、それにしても今のアメリカはトランプ大統領の誕生により、建国以来の基本的な価値を根本から転換しかねない大きな変革期を迎えているようにも見える。どこまでもアメリカに無条件でついていくことが、本当に日本の国益に適うのかどうかは、真剣に議論を始めるべき時期に来ているのではないか。 『対米従属の謎』の著者で、防衛庁OBで国際地政学研究所理事長の柳澤協二氏や伊勢崎賢治東京外大教授、加藤朗桜美林大学教授らと立ち上げた「自衛隊を活かす会」の事務局長を務める松竹伸幸氏は、世界でも他に例をみない日本のアメリカへの過度の従属ぶりは、第二次大戦後のアメリカ進駐軍による日本統治の形態の特異性に端を発すると指摘する。 日本と同様、戦争に負け、外国政府の統治下に置かれたドイツが、地政学的な理由や歴史的な経緯から常に戦勝4か国の共同統治だったのに対し、日本は専らアメリカ一国の支配下に置かれた。GHQによる日本の占領期間もドイツより長く、占領終了後はドイツがNATOの集団安全保障体制下に置かれたのに対し、日本はほぼ自動的にアメリカの対ソ戦略の中に組み込まれる形で日米安保体制へと移行していった。戦後70余年が経った今も、その流れは基本的には変わっていない。 それにしても今なお日本が対米従属を続ける背景には、他の選択肢も考慮に入れた上で、最も得策との判断に基づいているのだろうか。単なる思考停止に陥ってはいないか。今後、アメリカという国が大きく変質しても、日本はもっぱらそのアメリカについていくのが本当に得策なのか。プランB(他の選択肢)を用意しておかなくていいのか。 改めてアメリカ追従の是非を考えた上で、何が日本の自立を阻んでいるのか、日本の外交・安全保障の基本的なスタンスはどうあるべきかなどを、松竹氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・日本が“アメリカについていくしかない”理由とは・対米追従はどこから始まり、なぜ深まっていったか・日本が自立するための、たったひとつの処方箋・状況を変えるのは野党の奮起か、悲劇の共有か+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■日本が“アメリカについていくしかない”理由とは
    神保: 今回は「何があっても日本はアメリカについていくしかないのか」というテーマを設定しました。その動機になったのは、安倍首相とトランプ大統領の一連の首脳会談、握手、ゴルフの報道です。日本のメディアは無批判に、ただ「歓迎されてよかったね」というリアクションで、相変わらずアホだなと思ってしまいました。
    宮台: 単純なことですよ。僕はもう長い間、「対米ケツ舐め路線」という言葉を使っていて、先日「ケツからウンコが出ていても舐めるのか?」と言ったら、それも結構ウケました。それでも舐めるんですよ。
    神保: きれいなケツだったら、舐めても大したことないじゃないですか。
    宮台: そうやって認知的な整合化がなされるんです。見たくないものは見ないで、見たいものだけを見るというふうにしないと、自分のみじめさゆえに自分を保てない。個人だけでなく、集団、行政官僚制レベルでもそれが起こるということです。
    神保: それで本当に大丈夫なのか、ということをきちんと見ていきたい。まさにタイトルのとおりですが、アメリカがどんなことになっても、日本はそのアメリカにどこまでもついていくことが、本当に得策なのか。
    宮台: もちろん得策ではない。トランプ政権が途中で倒れて、スウィングバックが起これば、日本は放り出されて、まったく信用されなくなります。
     

    記事を読む»

  • 石川敬史氏:トランプ政権を操るオルタナ右翼の正体

    2017-02-15 20:00  
    550pt
    マル激!メールマガジン 2017年2月15日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第827回(2017年2月11日)トランプ政権を操るオルタナ右翼の正体ゲスト:石川敬史氏(東京理科大学基礎工学部准教授)────────────────────────────────────── 今週末は安倍首相が訪米し、トランプ大統領との間で首脳会談やゴルフなどを通じて、日米同盟の緊密さを再確認したことなどが大きなニュースとなっている。トランプ政権の人権や既存の秩序を軽視する姿勢に対して、世界の主要国首脳の大半が苦言を呈する中、日本としてはなり振り構わずトランプの懐に飛び込む以外に選択肢はないと考えての深謀遠慮なのだろう。しかし、何が起きようともとにかくアメリカに抱きつくしかないという現在の日本状況は、日本がアメリカ依存一辺倒で来たことのリスクを露呈させる結果ともなっている。日本既定の外交路線の妥当性を再検証するいい機会なのではないか。 さて、そのトランプ政権だが、1月20日の発足以来、衝撃的な大統領令を連発し、既存のアメリカの政策・外交路線から一気に離脱する構えを見せている。選挙向けの大言壮語と思われていた数々の暴論に近い選挙公約も、どうやら本気だったことがここに来て鮮明になってきている。 しかし、それにしてもトランプ政権は一体、どのような思想や理念、政治信条に基づいて、そこまで大胆な路線変更を行っているのだろうか。大統領自身は『Make America Great Again』や『America First』などのスローガンを繰り返すばかりで、その発言からは政治理念などは一向に見えてこない。 現在、トランプ政権の理念的支柱の役割を果たしているのが、大統領の主席戦略官兼上級顧問を務めるスティーブ・バノンだ。そして、そのバノンはオルトライト(オルタナ右翼)と呼ばれる思想の持ち主であることを自認している。 オルトライト自体は昨年あたりから突如として表舞台に出てきた保守・右翼思想のいち流派で、NPI(National Policy Institute=国家政策研究所)なるモンタナ州の正体不明のシンクタンクを主宰するリチャード・スペンサーという人物が、自らをそう名乗ったことが端緒となっている一派だ。果たして思想と呼べるだけの理論体系が整っているかどうかも定かではないが、問題はその主張が、人種、ジェンダー、宗教を問わずあらゆる差別を推奨し、白人至上主義を自認してやまないという、どう見ても危険な思想であることだ。 今のところ大統領自身がどこまでその思想に染まっているかは不明だが、トランプ自身はこれまでどちらかというと思想や政治信条とは縁遠い人生を生きてきたと考えられているだけに、ハーバード卒、ゴールドマンサックス出身で高い知的能力を有するといわれるバノンが主導するオルトライト思想に、政権が容易に操られてしまうことが懸念されている。いや、バノンがトランプの選挙運動の責任者を務めたトランプ政権誕生の立役者だったことを考えると、トランプ政権は少なくとも政策面では、発足前からオルトライトに牛耳られていたと考える方が自然だろう。 実際、トランプは当選後の最初の人事でバノンの主席戦略官兼上級顧問への就任を発表しているし、政権発足直後には、政権の安全保障政策を企画、立案する最高意思決定機関の国家安全保障会議(NSC)の常任委員にバノンを昇格させると同時に、軍関係者を同会議から降格させるなど、バノンの重用ぶりを隠そうともしていない。 オルトライトとはどのような思想なのか。それはアメリカ、そして世界をどこに導こうとしているのか。アメリカ思想史に詳しい石川敬史氏とともに、アメリカの建国以来の政治思想の流れを再確認した上で、今オルトライトなる思想が前面に出てきた背景を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が探った。
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・顔を覗かせる「アメリカの源流」・オバマ、トランプに至るアメリカの思想史・「オルトライト」とは一体何なのか・カギを握るスティーブ・バノンに、思想はあるか+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■顔を覗かせる「アメリカの源流」
    神保: 今回もアメリカ、トランプの問題を取り上げますが、僕のなかでは忸怩たる思いもありました。今度書籍化しますが、すでに多くて入り切らないような状態で、「トランプを取り上げすぎだ」ということがあった。しかし、今回のテーマだけは、どうしてもやっておきたかったんです。一般メディア、NHKでも入国禁止令の控訴裁判がトップニュースになっているし、メディア的にはトランプを取り上げれば数字が取れる、ということなのでしょうが、今回は“トランプ洪水”のなかで、あえてその背後にある問題を取り上げたい。要するに「オルトライト」についてです。
    宮台: 安倍さんがトランプと仲よくするということの意味を見定めるためにも、トランプは何者なのかということを知っておくことには意味があると思います。オルトライト――アメリカ版ネトウヨとは、あるいは新反動主義者(neo reactionarist)とは何であるのか。僕たちが考える昔ながらの保守的なものとはまったく違っていて、恐るべきテクノロジストだったり、場合によってはスターリン主義者のようであったり、何か異様です。
    神保: そもそも「右」と呼んでいても、何を「保守」しようとしているのかが必ずしもわからない。一応、オルトライトだから「右翼」なんですか?
    宮台: 右と左をどう定義するかによりますが、もともと僕の考えでは、右と左の分離は、主意主義者と主知主義者によります。主知主義は「いい制度を設計すれば、社会がよくなって、みんなが幸せになる」という考え方。右というのはそうではなく、どんなにいい制度を設計しても、人はそんなんじゃ幸せにはならないと考える。つまり、人間にはある種の過剰さがあり、それをどういうふうに発露させるのか、ということに気を使うのが大事だと。要するに、みんなに囲まれて楽しく生きていけたらそれでいいかというと、そうではないという考え方があり、特に宗教の必要性を議論するとき、主知主義者は「要らない」と考えるが、主意主義者は「要る」と考えます。
     

    記事を読む»

  • 瀬木比呂志氏:裁判所がおかしな判決を連発する本当の理由

    2017-02-08 20:00  
    550pt
    マル激!メールマガジン 2017年2月8日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第826回(2017年2月4日)裁判所がおかしな判決を連発する本当の理由ゲスト:瀬木比呂志氏(元裁判官・明治大学法科大学院教授)────────────────────────────────────── これまでマル激では数多くの裁判を扱ってきた。以前から首を傾げたくなるような不可解な判決は少なからずあったが、ここに来て特におかしな判決が多くなっているようだ。今、裁判所に何が起きているのか。 元エリート裁判官の瀬木比呂志氏は、裁判官の政治へのおもねりや自身の保身を優先する裁判官の基本的な習性は以前から大きくは変わっていないが、特に近年は裁判官の劣化が激しくなっているという。 劣化が露骨に顕れるのが、日米安保や原発のような国策を巡る裁判だ。こうした裁判では裁判所はよほどのことが無い限り国側に有利な判決を出すのが常だが、最近はそれを正当化する判決文すらまともに書けなくなっている。先の辺野古の埋め立て承認を巡り国と沖縄県の間で争われた行政訴訟でも、裁判所は沖縄県側の主張には見向きもせずに一方的に国側勝訴の判決を書いているが、その論理はあまりにもお粗末だ。以前であれば国側に勝たせるために必死でその理屈を考えたものだが、今やその能力も気概も失われてしまったように見える。 原発判決にしても、裁判官にとっては原発の稼働を止めたり、原発政策に転換を迫ることにつながる判決を書くことが禁忌とされていることは不変なので、ほとんどが最初に結論ありきの判決になるが、そこには未曾有の原発事故などなかったかのような文言が平然と並ぶ。稀に原発を止める判決を書いた勇気ある裁判官は、相変わらず左遷されたり冷遇されるなど、大勢に従わない裁判官に対する人事面での報復もいまだに健在だ。 裁判所の劣化の根底には、現行制度の下では裁判所に対して外部からのチェックが一切入らない仕組みになっているという問題がある。そのため裁判官たちは自分たちだけで小さな村を形成し、その中の特異な掟に沿った判断しかできなくなっている。 とは言え、裁判所は司法の中心にあり、司法は国の根幹を成す。司法の健全化なくして、国の民主主義は正常に機能しない。裁判所に何が起きているのか。裁判所を適切に機能するために何ができるのかなどを、元裁判官の瀬木氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が考えた。
    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・“権力補完機構”になった裁判所・異常な判決が出る理由はどこにあるのか・辺野古埋め立て訴訟にみる、“統治と支配の担い手”としての司法・権力と一体化する司法への処方箋+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■“権力補完機構”になった裁判所
    神保: 今回は司法について、個別の話ではなく大きな話として捉えたいと思います。裁判所が一番悪い、というのが自説です。もちろん、人質手法の例を見ても、検察や警察は悪い。ただ、令状を出しているのも、拷問まがいの取り調べによって出てきた調書をそのまま認めているのも裁判所です。しかし、その責任はほとんど追及されない。それが非常に不満だったので、このテーマを選びました。
    宮台: 誤解されないように、神保さんがおっしゃっているのは、こういうことだと理解しています。つまり、基本的に社会は“いいとこ取り”はできず、法実務の世界においても、裁判所の数や検察官の数、検察の行政的な営みの全体、検察官と政治、官房長官のかかわりなど、すべてが噛み合っているなかで、どこか一部分を変えることはなかなかできない。だから、裁判所がイニシアティブを取って、全体の配置を変えていく必要があると。そして、そういう全体性に目を配るような立場は、やはり裁判所だろうとおっしゃっている。
    神保: 裁判所とメディアですよね。
    宮台: そういう役割を果たしてくれていないというのは、何なんだと。
    神保: その理由が「それならしょうがないな」というようなものではなかったりすると思うので、問題にしたいと思いました。われわれが扱ってきた判決だけでも変なものがたくさんあり、明らかに怠慢をやっている。沖縄の埋め立て取り消しもそうだし、美濃加茂の高裁判決もそうです。後者は市長が再選されたのはよかったけれど、最高裁で有罪が確定すれば、その瞬間に失職しますから、予断を許しません。そして、個別の問題の上に、もう少し構造的な問題があるのではないかと。 ゲストは3年前にもご登場いただきました、元裁判官で明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志さんです。『絶望の裁判所』(講談社)という本をお出しになったあと、「誰も知らない裁判所の悲しい実態」と題してお話を伺いました。そして去年の10月に『黒い巨塔 最高裁判所』(講談社)を出されましたが、これはなんと小説です。最高裁の闇が、小説としてドラマチックに書かれている。実例もたくさんお持ちなのに、あえて小説という形を取られたのはなぜでしょうか。
    瀬木: 小説が好きで実際に書いたことがあった、というのがひとつ。もうひとつは、二冊の新書は客観的な事実、推論ということで、縛りがかなり強かった。そうすると、裁判所の実際の雰囲気や最高裁の権力構造というものが描けないんです。また、本書では原発訴訟が大きなテーマになっていますが、これも戦後日本の負の遺産がすべて集約して出てきたもので、日本的な権力構造の問題、戦後の歴史、政治の問題、あるいはそれを担ったエリートたちの問題まで、フィクションならリアルに書くことができると考えました。
    神保: ノンフィクションではなく、小説だからこそリアルなことが書けたと。
     

    記事を読む»

  • 山口真一氏:日本でネット炎上が後を絶たない理由が見えてきた

    2017-02-01 23:00  
    550pt
    マル激!メールマガジン 2017年2月1日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第825回(2017年1月28日)日本でネット炎上が後を絶たない理由が見えてきたゲスト:山口真一氏(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター専任講師)────────────────────────────────────── 今週のマル激のテーマはネット炎上。これまで何度か取り上げてきたテーマだが、その勢いは強まりこそすれ、弱まる気配を一向に見せていない。最近では毎日何らかのネタがどこかで炎上していると言っても過言ではなさそうだ。 今回マル激ではネット炎上に参加している人たちの属性を調査した国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)専任講師の山口真一氏をゲストに招き、調査で明らかになったネット炎上に参加している人の性別、所得、家族構成、メディアとの関わり方、価値観などから何が見えてくるかを考えた。 ネット炎上とは、ある人物や企業が発信した内容や行った行為について、ソーシャルメディアや掲示板などに批判的なコメントが殺到する現象のことを言う。その内容は、著名人による不倫疑惑から、様々な不正、汚職、スキャンダル、暴言、食品偽装等々、実に多岐に渡る。炎上したからこそ不正が明るみに出るような場合もあるが、多くの場合では特定の個人や企業の社会的地位を破壊したり、あまりにも多くの経済的損失を生む一方で、そもそも何が問題だったのかが議論できなくなるなど、行き過ぎた場合の弊害も大きい。 今回の調査では多くの意外なことが明らかになった。その中でも、もっとも意外だったのは、実際に過去1年の間に炎上に参加した人はネットユーザーの0.5%に過ぎないことがわかったことだった。その瞬間は日本中が「〇×叩き」に参加しているかのように見えて、実際は炎上事案の参加者が、ネットユーザーの0.5%に過ぎなかったというのは正直驚くべきデータだった。ネットユーザーの99.5%は炎上に参加したことがないということだ。 また、炎上に参加したことがある人のうち、多くが正義感から書き込みを行っていたこともわかった。誰かの反社会的行為や不正、暴言などを目の当たりにして、「許せない」との思いから批判的な書き込みを始めた人が、なんと炎上参加者全体の7割にものぼることがわかったという。山口氏の調査では、炎上に参加した人としない人を比較した時、炎上参加者には男性の方が女性より多く、若年層の方が年配者よりも多く、子供がいる人の方がいない人よりも多く、年収が高い人の方が低い人よりも多いなどの属性が浮き彫りになったという。 さらに、炎上に参加する人はテレビの視聴時間は比較的短い一方で、ある程度の時間をかけて新聞を読み、ラジオの聴取時間も長い人が多いこともわかったという。 要するに、比較的裕福で家庭生活も充実している上に、社会の出来事にある程度コミットしている人が、より炎上に参加する傾向があるということだが、これは何を意味しているのか。また、諸外国と比べても特に発生頻度が高いとされる日本のネット炎上と、われわれはどう向き合うべきなのか。山口氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・炎上参加者はネット利用者の0.5%だった・炎上の功罪と、参加者の傾向・なぜ炎上が問題なのか・炎上のさもしさに気づくために+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

    記事を読む»