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角谷浩一氏:選挙特番・総選挙と最高裁国民審査で問われるもの
2017-10-25 23:00550ptマル激!メールマガジン 2017年10月25日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第863回(2017年10月21日)選挙特番・総選挙と最高裁国民審査で問われるものゲスト:角谷浩一氏(政治ジャーナリスト)────────────────────────────────────── 総選挙の投票日がいよいよ明日に迫った。同時に最高裁判所の裁判官の国民審査も行われる。 衆議院選挙では当初、内閣支持率の低下から大幅に議席を減らすと見られていた自民・公明の与党だが、解散後の目まぐるしい政局で最大野党の民進党が2つに分裂する嬉しい誤算にも助けられ、選挙自体は与党が優に過半数を超えそうな情勢だ。 選挙自体は民進党の分裂によって野党4党による共闘体制が崩れ、それが与党の有利に働いたことは否めない。しかし、一時は政権交代を実現しながら、その後、路線対立や党内のガバナンスの不備などから自民党に対抗し得る勢力に脱皮できずにきた民進党が保守派の希望の党とリベラル派の立憲民主党に分裂したことで、選挙後の日本の政治がより有権者からわかりやすいものになる可能性が出てきた。 選挙後の日本の政治の方向性を占うという意味でも、この選挙には注目したい。 また、最高裁判所の裁判官の国民審査については、憲法学者の木村草太氏と「2015年参院選の一票の格差」、「2014年衆院選の一票の格差」、「民法の夫婦同姓規定」、「民法の6か月の再婚禁止期間」、「令状なしのGPS捜査」、「厚木基地騒音飛行差止請求」、「森友学園問題の電子データ保全請求」、「辺野古埋め立て承認取り消し」などの8つの判決を取り上げたニュース・コメンタリーの内容を参照しつつ、主に「2015年参院選の一票の格差」、「辺野古埋め立て承認取り消し」の2つの判決で、今回の審査対象となっている裁判官の立場を明らかした。++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・内閣の意向でバランスが変わった、最高裁判事の人事・損得/忖度判事に「バツ」を・初歩的なレベルでブランド化に失敗した、小池・希望の党・深刻だった前原氏の共産党アレルギー 選挙後の注目ポイントは――+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■内閣の意向でバランスが変わった、最高裁判事の人事
神保: 今日は2017年の10月20日金曜日、863回目のマル激です。今回は少しイレギュラーな構成です。まず、選挙(10月22日)直前であり、そして何と言っても最高裁の審査がある。実際に罷免に追い込むような状況にはまだほど遠いのですが、われわれはしつこく最高裁問題を取り上げてきた経緯があり、最高裁や裁判というものに世の中がもう少し関心を持つきっかけになるかもしれないと考え、テーマを設定しました。木村草太さんに解説をお願いしたのですが、スケジュールが合わず、事前にNコメ(最高裁裁判官国民審査のポイント/http://www.videonews.com/commentary/171021-01/)というかたちで収録し、それを見ながら、議論したいと思います。また後半は、僕の古くからの友人でもある角谷浩一さんに久しぶりに来ていただき、ワイドショーではなかなか言い切れないところも含めて、選挙について聞いていきます。 さっそくですが、まずは最高裁裁判官の国民審査について。僕らはよくひどい制度だと文句を言ってきましたが、最高裁の審査というのは、就任した最初の総選挙でなぜか国民審査をやらされます。一番長い人でもまだ3年間しか実績がなく、場合によっては選挙の直前になった人もいる。これでは国民は何も判断できないし、しかも、ほぼ全員が60~65歳くらいで、定年の70歳までに再度審査を受けることがないんです。
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河村小百合氏:アベノミクスこそがこの選挙の最大の争点だ
2017-10-18 23:00550ptマル激!メールマガジン 2017年9月13日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第862回(2017年10月14日)アベノミクスこそがこの選挙の最大の争点だゲスト:河村小百合氏(日本総研上席主任研究員)────────────────────────────────────── 安倍政権は2012年に政権奪回以降、国政選挙のたびにアベノミクスの継続を選挙の争点に掲げ、毎回勝利を収めてきた。ところが今回の総選挙では消費税の使い道と北朝鮮を選挙の争点に自ら設定し、アベノミクスを選挙の争点にすることをあえて回避している。アベノミクスの最大の眼目である「異次元」の金融緩和が今も継続中であるにもかかわらずだ。 安倍首相は10月8日に日本記者クラブで行われた8党党首討論会で、アベノミクスの成果で日本の雇用は改善し、GDPの伸びや株高などが実現していることを強調している。大きな成果があがっていると胸を張るのであれば、なぜ首相はこの選挙でアベノミクスの継続の是非を問わなかったのだろうか。 アベノミクスの果実が大企業や富裕層に偏り、経済格差を拡大させているとの批判は根強いが、とはいえ安倍政権発足後、企業収益やGDP値が伸びていることは事実だ。しかし、それは大変な犠牲の上に成り立っていると、中央銀行の政策に詳しい日本総研上席主任研究員の河村小百合氏は指摘する。それは単なる格差の拡大にとどまらず、近い将来、国民に膨大なツケが回ってくるリスクが日に日に大きくなっていると河村氏は言う。 黒田バズーガと呼ばれる未曾有の金融緩和に続いて、マイナス金利まで導入して経済を刺激しても、2%おろか僅かなインフレすら起こせない事態に業を煮やした日銀は今、年間80兆円にものぼる国債や株式の買い付けを行うことで市場に膨大な資金を投入している。しかし、これが日銀のバランスシートの異常な肥大化を生み、日銀が支え切れる能力を超えているために、破綻のリスクが現実味を帯び始めていると河村氏は警鐘を鳴らす。 また、日銀が事実上の財政ファイナンスによって人為的に株価を釣り上げているため、株価市場は20年ぶりの高値に沸いている。しかし、日銀の買い支えによって釣り上げられたこの株価は、企業の現実の経営実態を反映させたものとは到底言えない。企業努力をしないでも高い株価が維持できると、企業側に経営努力や合理化のインセンティブが働きにくくなり、ガバナンス欠如による数々の不祥事の遠因になっていると見ることもできる。 欧州諸国やアメリカもリーマン・ショックから立ち直る過程で金融緩和政策を採用してきたが、彼らが常に出口を意識しながらコントロールされた金融緩和を行ってきたのに対し、日本の金融緩和は一度走り出したら止まらない暴走列車の様相を呈していると河村氏は言う。その姿に河村氏は先の大戦の失敗がダブって見えると嘆くが、あとさきのことを考えずに暴走すれば、河村氏が指摘するような「経済敗戦」が現実味を帯びてくる恐れもある。 日本がこのままアベノミクスを継続するとどうなるのか。日銀はこれまでどこの国も経験したことのないサイズにまで肥大化した巨大なバランスシートを支え切れるのか。アベノミクスに安全な出口シナリオなるものは存在するのか。最後にそのツケが回ってきた時、国民はどれだけの負担を強いられることになるのか。 そもそもアベノミクスによる量的にも時間的にも異常なまでの金融緩和は、金融の実務を理解していない安倍政権が、人事権を盾に本来は日銀の専権事項であるはずの金融政策に手を突っ込んだことから生じた歪んだ政策だったと指摘する河村氏に、アベノミクスの現状と膨れ続けるリスク、そして近い将来予想される影響を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・出口戦略なきアベノミクスのツケは、国民が払う・事実上行われている財政ファイナンスと、すでに“手遅れ”の現状・日銀の異常なバランスシートと、その意味・やはり見られる根深い問題――損得勘定に基づく振る舞い+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■出口戦略なきアベノミクスのツケは、国民が払う
神保: 22日に選挙が行われます。われわれはさまざまな形で選挙を取り扱ってきましたが、今回はあまり得意とする分野ではないものの、金融政策をやっておかなければならないだろうと考えました。つまり、争点になっていないことがむしろ問題だと思われるのが――「アベノミクス」という言葉でいいかどうかはともかくとして、金融政策であると。特に、異次元緩和がこのまま続くと何が起こるのか、ということについて、あまりにも議論がない。真っ向から反対している政党もそれほど見当たりません。アベノミクスならぬアベノリスクというものが、今回のテーマになります。
宮台: ここでは野口悠紀雄先生に複数回出ていただいて、国の借金が、国債残高という形で増えていくことのリスクについて議論しました。
神保: 「ドゥームズデイ」(最後の審判の日)という言い方をされていましたね(2012年2月25日/第567回『消費増税ではDoomsdayは避けられない』)。
宮台: そのころは某銀行が国債を買い、その国債を銀行が買うが、元手は僕たちの預貯金で、国民貯金のキャパシティには限界があり、そこに到達するのがドゥームズデイだ、ということでした。しかし、いまは市中銀行ではなく、政府が発行した国債を日銀が買いまくっていて、日銀が6割以上(残高)買っているという状況になっているんですね。
神保: 新規発行の倍近くを買っていると。気をつけなければならないのは、安倍政権の政策を採用したことで一見、数字的にはよくなっているが、実はその裏でもともとあったリスクがむしろより大きくなっている可能性がある、ということです。その政策で事態が切り抜けられればいいが、4年半続けてきて、どうも切り抜けられそうもない。安倍さんは2回の衆議院選挙でアベノミクスを問うていますが、今回だけは問うていないんです。それはなぜか――選挙の争点は政府側ではなく、有権者側が決めることなので、金融政策のリスクがどれだけふくらんでいるか、ということはきちんと押さえたいと思います。 われわれも専門の分野ではないので、われわれが分かればおそらく、普段あまり金融に関心がなかったり、ご存じない方も分かると思いますので、そういう内容にするよう努めたいと思います。ゲストには、日本総研上席主任研究員の河村小百合さんをお招きしました。 実は今回、河村さんのご著書『中央銀行は持ちこたえられるか-忍び寄る「経済敗戦」の足音』(集英社)を拝見して、「これは大事だ」と考えてオファーをしました。まず、なぜこのタイミングでこのタイトル、かつ新書という一般向けの本としてまとめようと考えたのでしょうか?
河村: アベノミクスはやはり、日銀の異次元緩和にものすごく寄りかかった政策だと思います。中央銀行に国債をじゃんじゃん買わせて財政出動すれば、景気はよくなる。世の中も中央銀行が魔法を使えるような感覚で受け止めてしまい、将来的にどんな問題があるのかは、正直に語られていません。アメリカやヨーロッパも似たようなことはやっていますが、もっと誠実に先のことを考え、リスクも説明しています。ところが日本では、国会や記者会見の場で、いろんな人が「出口戦略をはっきりしろ」と聞いているにもかかわらず、日銀は一切、答えようとしない。そのなかで、みんなが何となく景気がいいという気分に浸ったまま走ってしまうと、後々に大変なことになってしまうのではないか。そのツケは安倍政権や日銀ではなく、私たち国民にまわるので、そこを少しでもお伝えできればという思いで、この本を書かせていただきました。
神保: 「忍び寄る『経済敗戦』の足音」という副題ですが、“敗戦”というと、みなさん先の第二次世界大戦を思い出すでしょう。これはどういう意味でつけられましたか?
河村: 先の大戦でも、この国は昭和20年までやってきたことをすべて否定されたと思います。GHQがグッと手を突っ込んできて、さまざまなシステムを変えたわけですね。同様に、このまま進めば単に財政破綻というだけでなく、この国の経済運営すべてが否定されるというか、すべてが本当にダメになってしまうような事態に陥ってしまうのではないかと。そういう思いで、「経済敗戦」という言葉を使わせていただきました。
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成田憲彦氏:いつの時代にも個人の自由と人権を守るのがリベラルの役割だ
2017-10-11 20:00550ptマル激!メールマガジン 2017年10月11日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
今週のマル激!メールマガジンは、衆議院選挙期間中のため特別編成でお送りします。
──────────────────────────────────────インタビューズ(2017年10月6日)いつの時代にも個人の自由と人権を守るのがリベラルの役割だゲスト:成田憲彦氏(駿河台大学名誉教授)────────────────────────────────────── 小池百合子東京都知事が保守を旗印に希望の党を結党したのに続き、枝野幸男元民進党代表代行がリベラルを掲げる立憲民主党を結党したことで、あらためて「保守」と「リベラル」の意味やその役割に注目が集まっている。 とりわけ「リベラル」については、日本におけるその定義は時代とともに変化してきたが、さりとていつの時代にも、リベラル勢力には一貫した役割がある。 また本来、保守とリベラルは対立する概念ではないが、日本ではとかくそれが誤解されがちなことも事実だ。 細川護熙首相の政府秘書官を務め、一連の政治改革の基礎を築いた政治学者の成田憲彦氏に、リベラルの起源や現在の政治状況におけるその役割などについて、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・政治に大きな地殻変動が生じた“原動力”は?・日本のリベラルとは何なのか・がら空きのリベラルを狙う、枝野新党の合理性・今後も果たされるべきリベラルの役割と、選挙後の風景+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■政治に大きな地殻変動が生じた“原動力”は?
神保: 今回は現在の政治状況についていろいろとお話を伺いたいと思い、駿河台大学名誉教授の成田憲彦さんにスタジオにおいでいただきました。さっそくですが、久しぶりに政治に大きな変動がありました。成田さんがまさにただ中にいた、93年の日本新党騒動以来ではないかと。枝野さんや前原さんは「勤続24年、一緒にやってきたのに」という言い方をしています。まず率直に、今回の政治状況をどう見ていますか?
成田: 政治が動くときは、やはり急激に動くんですよ。なかなかゆっくり動かない。それからもう1つは、“選挙目当て”という表現がよく、特に自民党の方から言われますが、やはり選挙というのは政治を動かす巨大な力ですから、何か大きな政治の変動をもたらすことができるのは、やっぱり選挙のときなんです。安倍さん自身、選挙目当てで解散したわけですから(笑)。それに対して政党の側が、そのリアクションとして、選挙のためにさまざまな力を発揮して、政治が動く。これは極めて自然なことです。93年のときだって、解散してから新党が2つも(新党さきがけ/新生党)できたんですからね。そういう地殻変動につながるような大きな変動が、今回は起きるのではないかと見ています。
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5金スペシャル映画特集 ロクでもない世界の現実を映画はどう描いているか
2017-10-04 23:00550ptマル激!メールマガジン 2017年10月4日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第860回(2017年9月30日)5金スペシャル映画特集ロクでもない世界の現実を映画はどう描いているか────────────────────────────────────── その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。6月以来の3か月ぶりとなる今回は、前半で解散総選挙や民進党の事実上の解党に揺れる政局を議論し、後半にこのロクでもない世界を描いた映画を5作品取り上げた。 前半は民進の希望合流でポッカリと空いた穴は誰が埋めるのかについて議論した。今回は政治の立ち位置を縦軸に自由と再配分を上下に、横軸には市民参加と権威主義を左右に配置したマトリックスを描いた上で、その4象限の上で民進党の希望の党への合流がどこからどこへの移動を意味するかなどについて考えた。 これは世界的な潮流でもあるが、日本の政治もいよいよ、再配分をしない権威主義、すなわち上記の4象限の右上の象限に政治勢力が固まってきてしまったようだ。問題は元々左下、すなわち再配分と市民による参加主義を謳ってきた民進党が、自民党と同じ右上に位置する希望の党に吸収されることで、左下、すなわち弱者への再配分を主張し、何事も政府主導で決めるのではなく、市民参加を促す象限に位置する政治勢力が事実上いなくなってしまうことだ。辛うじて社民党と自由党がそのような主張をしているが、如何せん政治勢力としては弱小すぎる。 ちなみに自民党はかつては再分配を謳う権威主義政党だったが、小泉改革以降は小さな政府を謳い再分配に消極的な権威主義という意味で、右下から右上に移動している。また、共産党は再分配は主張するが、横軸では権威主義側に位置付けられる。左上の政府の権威も認めず、再分配も求めない象限はリバタリアンとなる。 民進党の希望への事実上の吸収合併は、左下のいわゆるリベラル勢力と呼ばれる勢力が日本の政治から消えることを意味する。これは日本の政治にどのような影響を与えることになるかをジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。 後半は、ロクでもない世界を独自の視点から描いた「サーミの血」「エル ELLE」「三度目の殺人」「砂上の法廷」「散歩する侵略者」の5つの映画作品を取り上げた。++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・損得勘定による野党再編・安倍自民党と小池希望の党にはどんな違いがあるのか・“社会から周辺化された存在”を描く映画たち・「法外の真実」を描く二作と、人間を諦めた『散歩する侵略者』+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■損得勘定による野党再編
神保: 今回は第5金曜日がある「5金」の週です。今回も映画を取り上げよう、と話していたのですが、前半はさすがに、この政局の激動のさなか、その話をまったくしないのはよくないでしょうし、いわゆる一票の格差、投票価値の平等についてトンデモ判決があったので、ここで取り上げようと思います。解散事態の問題点については、先週(第859回「安倍政権の下で国の形が大きく変わっている」ゲスト:鈴木邦男氏)の議論をご覧ください。 月曜日に予想通り、解散の表明があり、「希望の党」というものが立ち上がったかと思えば、民主党の前原(誠司)代表が合流を宣言し、民進党でも最終的に全会一致、満場一致になりました。これから一悶着、二悶着あると思いますが、1996年に旧民主党ができ、21年かけてここまでやってきた。確かに、政権をとって以降、民進党の抱えるスティグマは非常に重く、何を言っても聞いてもらえないところはありましたが、昨日できた党に、21年の歴史を持つ政党が身投げしたという状態です。しかも、負けが続いているとは言え、衆参合わせると100人以上の議員がいて、全国組織を持っている政党ですよ。昨日、これがわかった段階で宮台さんにメールしましたが。
宮台: 僕のリプライは「クズだわ」でしたね(笑)。今回は映画の話をしますが、この2年くらい、人間がクズになりつつあり、社会がクソになりつつある、という前提で話が展開するものが非常に多い。つまり、日本だけでなく、世界で国民国家を支えるとされていた前提がどんどん崩れていて、その結果、ブレグジットやトランプ現象など、政治の劣化として表れていますが、民主制が背後にあるので、政治家がクズになっているのだとすれば、それは投票している人間たちがクズになっているんだと。「クズ」というのを穏当に言い換えると、ここで繰り返しお伝えしている「感情の劣化」です。ポスト真実と言われる時代が、全世界的にシンクロナイゼーションを起こしていますが、これはデマゴギーに人々が騙されているということではない。つまり何が嘘か、真実かなんてことはけっこう分かっている人がいるのに、真実性に反応できず、例えば享楽になびいてしまう。
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