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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】ロンブー淳 と ボクらの刀狩りなう 第10号
2012-11-26 07:00220pt毎月第一月曜日はニコ生岡田斗司夫ゼミの放送日。 今号では、11月5日(月)に放送した『ニコ生岡田斗司夫ゼミ「タブー完全無視の一問一答地獄」~kindleからフクシマまで~』から、運営S田(助田)がおすすめするハイライトを紹介します。 この回のハイライトはズバリ 「刀狩り」 。 「芸能人のTwitter撤退祭り」「ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん生配信騒動」から、岡田斗司夫氏は、私達が手放せなくなった 「刀」 について語り始めました。 岡田:最近の芸能人のTwitter撤退って面白いよね。トータルテンボスの人がTwitterでいろいろ言われてやめたじゃん。 同じようにTwitterで痛い目にあって、どんどんやめる人が増えているんだよ。
一時期ブログの女王とか、ブログですごい有名になった芸能人がいたんだけれども、今勢力地図が変わり始めて。まず、いろんな事務所が、これまではブログやTwitterっていうのは宣伝になるんだからどんどんやりなさいというふうに言っていたんだけれども、売れたら危険だからやめろと。
つまり売れていない頃は安全だし、無料の宣伝だからなんでもやれっていうふうに言ってたのが、売れてきたらやめろ、というふうになってきたので、ブログやTwitterをやってる芸能人が徐々に減ってきているんだよね。
このあいだも、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが駐車違反かなにかで警官と揉めて、その一部始終をネット上で生配信しちゃったんだよね。 それでえらい騒がれて、結局謝罪までしたんだよね。 (コメント:「うちの会社はFacebook禁止だよ」)そうそう。そういうふうになってきてるんだよ。 (コメント:「最近のTwitterは2ちゃんねる以上にひどいイメージ」)うん。(コメント:「Twitterはやらないのが正解」)。そうなんだよな。
この件で俺が面白いと思ったのは、警官に何か言われたら、かつての日本の民衆だったらどう思ったか想像すると、「警官は権力を持って俺たちにあたってくるから怖い」と思うはず。権力対市民というか、権力対弱者の対立構造として処理される場合が多かったんだよ。 たぶん、ロンドンブーツの淳さんも同じように考えたんだと思う。俺は単なる芸人だから、それ(権力)に対抗するには……っていうふうに思ったんだと思うんだけど。 ところが、生放送で思ったより味方が増えない。本来だったら、ネット民だったら警官に怒られるところを生放送して、自己防衛をしたら「よくやった」とか「市民としては、権力に対抗するにはそうやって放送するしかないよ」みたいなことを言ってもいいはずだと。たぶん、彼は計算したはずなんだよ。だから生放送をしたと思うんだよ。ところが案外そうはならなかった。
何故なのかを考えてみたいと思う。 今や、警察といえども、警官というレベルだったら既に権力ではなくて、権力であるのは変わらないんだけれども、それを全国放送するとか生放送するとか、有名人であるというレバレッジをかけた上での生放送行為というのは、それよりも更に権力的に見える。つまり相手を萎縮させたり、相手をビビらせたりするように見える。だから、罪もない警官のやっていることを有名人が生放送で全国に放送したっていうことになってしまったんだよ。だから叩かれたと思うんだけれども。 そのツールっていうのはツイキャスにしてもニコ生にしても既に全国民に配られ済みだと思うんだよな。
だから、こっから先が面白い。社員のFacebook禁止とか社員のTwitter禁止とかよくあるじゃん。さっきからコメントでも、皆「あるある」って書いてくるわけだけれども、これってさ、現代の刀狩りだよ。 既に僕らは、ネットとか放送というものを手に入れてしまって、そして、それは実は武器だということに気がついている人が一杯いるはずなんだ。僕らはさっきまでそういうふうに思ってなかったかもしれないけれども、俺、今回のこの事件ではっきり自覚したんだけれども、僕らは情報時代の武器を手に入れちゃったんだよ。
アメリカ人っていうのは、銃刀法というものの中で国民は武装する権利があるから武器を手放さない。だからアメリカでは銃の乱射事件がいまだに起こる、と。それに対して日本は銃を持たない社会だから平和だと言われるんだけれども、今や日本人は子どもにまでスマホを持たせる。スマホ イコール 何かというと放送機材なんだよ。子どもにまでテレビの放送局を持たせる時代についになってしまった。つまり僕らはそこまで、個人的な兵器を持つようになってしまったわけ。だから刀狩りみたいに、会社に就職するときは「それを手放せ」って言われるわけだけど、そんなもの手放すはずがないんだよな。
そうなると、こっそり、実は武器を持っていますというようなアメリカ型の社会になっていく。何かされた時には復讐で放送するっていうのは、何かされた時に鬱屈したことがあったら、銃を持って乱射するのがアメリカ型の個人の追い詰められ方だとすると、たぶんこれからの僕等っていうのは何かあって鬱屈したら。それを罵詈雑言の形でネットに薄くバラ撒くか、もしくは、もっとすごいことをやるようになっていくんだろうなと思う。
なんかね、ネットとか携帯とか、こういうメディア装置っていうものは武器だと認識したほうが、世の中がちょっと見えやすいんじゃないかなと思います。
(コメント:「刀狩りをしても包丁は手放せない」)そのとおり。だから、僕らがなんで年収がどんどん下がっても生きていけるのかというと、実はネットがあるからなんだよな。 ネットこそが、日経平均が下がっていても僕らが暮らせる理由なんだ。 これまでだったらキャベツと卵しかないとか、なんとかしかない、となったらメニューがパターン化されていたのに。今や、クックパッドとかを見たら、色んな料理方法がわかるから。だから僕らは豊かに生きていけるっていうのがかなりあると思う。 実は、僕らの経済事情が悪くなっていても食っていけて、そしてそれなりに幸せなのはネットの力だと思うんだ。 それは同時に武器にもなる。なんだかすごいものを手に入れてしまったので、引き返すことが出来ないと思うんだけどね。 だからそこで、刀狩りとかしてもしょうがないんじゃないかなって僕はそんなふうに思います。 -
【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】まど☆マギお金事情 鈴木敏夫もプール付きの家に住んでない 第8号
2012-11-12 12:00220pt先日、ニコニコの口車にまんまと乗っかり話題の映画「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編]永遠の物語」を視聴するはめになった岡田斗司夫氏。 風邪気味の体に鞭を打ちながら観た「まどか☆マギカ劇場版」に岡田氏は何を思ったのか?何を感じたのか?
というわけで、 10月22日(月)放送『岡田斗司夫の「まどか☆マギカ劇場版」を金払って観たから言いたいこと言うよ!』 から、運営S田(助田)がおすすめするハイライトを紹介します。
都内某所の劇場からスタジオに到着した岡田氏の口から開口一番飛び出した話題は「劇場版アニメビジネス」についてでした……。
岡田:最初に劇場版の感想から言います。 面白いよ。当たり前だけど。 それはなぜかというとテレビとまったく同じだから。 (「違 うよ」というコメントを見て)ちょっと違う? そのちょっとなんて、もうね、限定品でここの色が違いますよくらいの差なんだよ。もう俺くらいの年齢になっ たら、「ここ、これがちょっと違いますよね」と言われてもかげんにせえというようなもんで、最後に1分くらいする新作の予告編が付いてくるわけだけど、そ れを観に行くようなもんかなとも思ったんだけど……。 まあ、全話まとめてでかいスクリーンで観るのはいいよね。 (「新作の資金稼ぎか」というコメントを観て)……いやいや、違うんだよ。 あのね、 劇場で「まどか」の新作を作ろうと思ったら「テレビ版の再編集を劇場でやるしかない」っていう、まずこの仕組みから説明しようか 。
資金集めとかじゃない。資金的にはね、うーん……、プリントって言うんだけど、映画用の35ミリフィルムを作って、全国の劇場に配って、宣伝費掛けて、今日くらいの(客の)入りだったら、多分プラスマイナスでとんとんだと思うんだよね。
(「グッズで稼いでるだろ」というコメントを見て) ……うーん、グッズで稼いでいても、そんなに稼げるもんじゃない。あの、ガンダム劇場版って(コメントを)書いている人いるけど、それもそうなんだよ。 つまり、なんでアニメって劇場版つくるのが大変なのかっていうと、日テレが押している……例えば、細田(守)監督とか、ジブリ作品だったら、いきなり劇場でかけられるんだよ。それはなぜかっていうと、宣伝費が掛かんないからだよな、宣伝費が。 日本テレビが、自社のタイアップ枠ってやつで、バンバンバンバンやってくれるからほぼ無料で(宣伝が)出来るんだ。 宣 伝費が実は映画の制作費で一番大きいんだよ。一番大きいというか、いくらでも掛かっちゃうもんだから。だからアニメ自体は2時間のアニメだったら、正直5 億円とか6億円くらいしか掛かんなくて、それ以上の予算をどうやって掛けるの?って話なんだけども、それをどうやってリクープ(回収)するのか、何が難し いかっていうと、宣伝費で簡単に10億円くらいいっちゃって、総予算15億円くらいになっちゃうんだよな。
で、「まどか☆マギカ」の場合は総集編ということで前編後編を劇場でかけたじゃん。 そうしたら、これが儲かろうが儲かるまいが実はどっちでも良いんだ。それよりも劇場にちゃんと人が来るというふうに、興行筋っていうのかな、映画館ビジネスやっている人たちに実績が残せたって事がすごい大事なの。そうすると新作の映画作ってもいいよって話になるんだよ。 その実績がないと、僕らファンがいくら「まどか☆マギカ」が面白いって言っていても、テレビシリーズで視聴率をそんなに獲れたわけじゃないじゃん、正直。 DVDもめちゃくちゃ売れた訳じゃないんだよ。そうなると他の劇場の作品って、正直こんな話したくないけどさ、アニメって格がいわゆる劇場の映画に比べて3つくらい下なんだよ。有名な俳優さんが出ているわけでもないし。
なんだろうな、アニメのプロデューサーで良い生活している人いないじゃん。こんなこと言うのはなんだけど、 鈴木敏夫ですらプール付きの家には住んでいない 。 でも実写の映画だったら業界の上の方に食い込んでいるとか、テレビ局の上の方に食い込んでいるとか、そういうのは一杯あってさ。だから作っている映画がつ まんなくても、宣伝は簡単に出来たりする。吉永小百合が出るといったら、それだけで日本中のテレビ局が一応宣伝番組を作ってくれんだよな、無料で。
ジブリがさ、声優をあんまり使わないのにも理由があって、声優を普通の俳優さんというかアイドル系のタレントも含めてやっちゃうと、そしたらワイドショーでそのタレントさん呼んでくれるじゃん。 その時に新作映画の告知ですってやってくれるから、あれで何億円もお金使わなくて済むんだよな。だからジブリ鈴木敏夫のやり方ってすごくクレバーではある。 でも「まどか☆マギカ」さ、それをやってないじゃん。声優に詳しくない俺がスタッフリストを見たら、聞いた事もない名前がダーッと出てくるんだよ。 あ、 まどかの声ってこの人なのー、ほむらの声ってこの人なのーって、聞いた事もねえなっていう。普通のおじさんが見たら、そう思うような名前ばっかり出てく る。あれやらなきゃ、ほんと言えば、もっと宣伝費は助かるんだよね。で、制作者側としてはそんなことやりたくなかったので、ちゃんと作りたい。 じゃあ、 テレビ版の再編集だけでも人が入りますって証拠を見せたかった、見せなきゃいけなかったんだろうな 。 そういうわけで、劇場版というのはテレビの再編集になっちゃった。そう思うわけです。
ちなみに、劇場版の出来としては、あの……出来というのは「ナイ」な。 テ レビ(版を)くっ付けただけだからで。で、だけじゃないよ、準新作だ!と言う人もいるかもしれないけど、俺にはあんまり見分けがつかなかったし、歌も付い ているんだけど、歌もどうでもいいよな。俺はもう、エンディングの歌を飛ばして、早いところ予告編を見せてと思っちゃったから。 (コメントより)「ファンなら行くべきですかね」いや、ファンならそりゃ行くべきだろうけども、それ言い出すとなんでもそうだから。 まああの、なんにでも僕たちはお布施を払わなきゃいけないし、それが果たして意味があるのかどうかって言うのは、30歳越えた時、40歳越えた時に振り返って、あれはやっぱり良かったなっていうのと同じであって。 「まどか☆マギカ」に行って「総集編じゃん、騙された!」って思うのは、やっぱり付き合っていた女の子のそんな所を見て、お前そんな女だと思わなかったー!っていうのと同じでさ 。「でも、好き」っていうのがあるからこそ 「俺たちはそんな女だと思わなかったー!」って言う訳だからさ、まぁいいと思うんだけどね。
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