• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 436件
  • 「同学年」

    2023-09-08 07:00  
    110pt
     社会人になってからの同学年との出逢いはうれしいものだ。50歳を越えてからの同学年との出逢いには初対面なのに幾多の戦場をくぐり抜けて生き延びた同志と再会したような感慨がある。
     

    記事を読む»

  • 「人生をスキャニングする」

    2023-09-01 07:00  
    110pt
     遅ればせながらスキャナーを買った。きっかけはコストカットの為に始まった事務所のフリーアドレス化だった。個人の所有物としてロッカーに堆積していた膨大な紙資料や税務帳簿を片っ端から電子化していく。ダンボール箱のひとつ一つに仕事を始めた20歳の頃からの歴史が冷凍保存されていた。永久凍土の下で何万年も眠っていたゾンビウイルスみたいに。
     

    記事を読む»

  • 「人生は長い暇潰しである」

    2023-07-05 07:00  
    110pt
     娘が夏休みの計画表を作っていた。「やるべきこと」と「やりたいこと」を書き出してカレンダーの空欄を埋めていく。「先生がね、無駄に過ごす日を作らないようにして下さいって」「無駄に過ごす日ってどんな日?」「だらだら、ごろごろしているとか」 無駄に過ごす日があってもいいと思うけどな、とぼくは言った。「まだまだ先は長いんだからさ」 無駄に過ごさなければ一生気づかなかったこともたくさんある。無駄の効用とでも言おうか。まあ、無駄の大切さに気づくのは人生の第二章ででも遅くはないのだけれど。
     

    記事を読む»

  • 「眠れない夜もある」

    2023-06-30 07:00  
    110pt
     これでいいんだろうか、と娘の寝顔を見るたびに不安になる。天井の闇を見つめ、ぼく自身の行き当たりばったりな人生が娘にも行き当たりばったりな人生を強いているのではないかという茫漠たる不安に苛まれる。余計なことを考えずに早く眠ってしまいたいと思う。だが、そういうときに限って眠れない。これもまた夜しっかり眠れるように一日の生活を組み立てて来なかった報いなのかもしれない。
     

    記事を読む»

  • 「人生の泳ぎ方」

    2023-02-17 07:00  
    110pt
     娘と市民プールに来ている。日曜の昼時のプールはエアポケットみたいに人がいない。午前中の水泳教室と午後から夕方に掛けての自主トレーニングの合間だからだろうか。監視員のおじさんののろまな欠伸すら場内に響き渡っている。
     

    記事を読む»

  • 「この街の未来」

    2023-02-06 07:00  
    110pt
      この国から子供が少なくなっている。昨日今日始まった話じゃない。ぼくは想像する。子供がいなくなってしまった街を。大人だけの世界で生きているのに慣れているとなんとも思わないかもしれない。むしろ静かでいいと思う人もいるかもしれない。だから時計をダイヤルをもう少し先に進める。未来を想像する。すると、そこには老人しかいない。そこで人は初めて思い知ることになる。20年後の大人は20年前の子供だったのだと。
     

    記事を読む»

  • 「諦めること、諦めないこと」

    2023-02-01 07:00  
    110pt
     他者に育てられた経験しかなかった頃のぼくは幾つになっても子供のままだった。ましてや一度も就職経験のない個人事業主。組織というしがらみの中で自分を押し殺したこともない。自分中心の人生。周囲には迷惑を被った人もいたと思う。それでも「人の気分は人の気分だ」とTheピーズの「何様ランド」を歌いながら自分中心で生きて来てしまった。
     他者に貰い続けた「愛情」のポイントカードもいっぱいになったまま持て余していた。親孝行という形で両親に還元していれば良かったのだけれど、素直になることができなかった。
     

    記事を読む»

  • 「2022-2023」

    2023-01-02 07:00  
    110pt
  • 「ありがとう、を言われて改めて気づいたこと」

    2022-11-25 07:00  
    110pt
    「勤労を感謝されたの初めてじゃないかな」と妻が顔を綻ばせた。隣りで娘が笑っている。小さな手に「いつもありがとう」と書かれたキャンディー型のラッピング袋。中に紙粘土で作った自作の磁石が3個入っていた。
     確かに言われてみれば、だ。30年以上社会人として働いて来たけれど、誰かに勤労を感謝されたことはない。もちろん仕事相手に内容で感謝されたことはあれど働いていること自体に「ありがとう」を言われたことはなかった。
     

    記事を読む»

  • 「昨日の小松菜」

    2022-11-23 07:00  
    110pt
     朝ごはんは小松菜と油揚げの味噌汁だった。前日に娘が畑で収穫させてもらった小松菜だ。小松菜を食べた瞬間に昨日のことが甦った。昨日の朝食のことまで遡っていた。友達のところでいつもと違う海を見ながらの朝ごはんだった。友達が切ってくれたバナナはイルカのカタチをしていた。
     

    記事を読む»