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「いつから集まるのに理由がいるようになったのだろう」
2025-03-12 07:00会員無料多摩丘陵を上ったところにある霊園を訪れたのは二年振りだった。平成の終わりに他界した父の七回忌と昨年亡くなった叔母の三回忌だった。同じ霊園に母方の曾祖父や祖父母、叔父と叔母たちも眠っている。父には故郷である熊本の墓地という選択肢もあったのかもしれないが、三男であることと、自分の親兄弟より長く人生を共に過ごしたことから母方の親族と同じこの場所を選んだのかもしれない。いずれにせよ父と母が二人だけで話して決めたことだった。
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「夏蜜柑は冬に色づく」
2025-03-10 07:00 -
「静か過ぎる夜だった」
2025-03-05 07:00会員無料静かな日曜の夜だった。海辺の町は風さえ吹いていなければ物音ひとつしない。そう、風さえ吹いていなければ。改めて静かな夜だなと感じたのはこのところ風の強い日が続いていたせいだと気づく。
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「移住することは、視点を変えること」
2025-02-28 07:00110pt一日の大半は仕事部屋で16インチの窓から世界を見ている。良い報せと悪い報せ。情報。コミュニケーション。現在過去未来。百万都市を歩いているとき以上の人々の声。誰かの溜め息に寄り添い。誰かの罵詈雑言を音楽で掻き消しながら、アイデアを搾り出し、想いを言葉に乗せて紡いでいく。出来上がったものを窓の向こうにそっと置いておく。自分の言葉が誰かのノイズにならないことを祈る。
席を立つたびにもうひとつの窓を見る。そこにはいつも海が広がっている。夜明け前の静けさの中で操業する漁船。午後の青い煌めきと旋回する鳶。茜色の夕焼けと子どもたちの笑い声。季節の移ろいがある。自然と共に生きている人たちの営みがある。
雪化粧をした霊峰富士が守っている。
窓の外にいつも海がある町で暮らし始めて15年。生活者としての視点は大きく変わった。海に多くの大切なことを教わった。結果としてそれは幾つものあたらしい出会いへと繋がっていた。この町で海を見つめ、里山で土に触れ、汗を流して感じたことを日々言葉に紡いできた暮らしが自分を想像もしていなかった未来へと連れてきてくれたように思う。
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「解禁」
2025-02-21 07:00110pt -
「わたしたちの社会」
2025-02-17 07:00110pt -
「青春のわすれもの」
2025-02-14 07:00110ptある町の路線バスで大学の受験票を握り締めた女性を見掛けた。年齢はぼくと同じか少しだけ下くらいだろうか。「××大学はこのバスで合ってますか?」 心配そうに運転手さんに訊ねる。「あとどのくらいで着きますか?」 社会人受験だろうか、などと考えているうちにバスが大学前に到着した。受験票を握り締めた女性が真っ先に降りていく。打ち合わせの訪問先がそのバス停だった為、ぼくも続いて降りる。
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「ラストチャンス」
2025-02-05 07:00110pt -
「砂浜が消えていく」
2025-01-31 07:00110pt -
「習慣を変えれば人生が変わる」
2025-01-29 07:00110pt「小学校一、二年は毎日学校に通うという習慣を身につけることが大切」だという。
娘は毎朝7時45分に家を出て学校に通っている。おかげで妻もぼくも朝の早起きが習慣化した。仕事でどんなに遅くなっても朝は娘とともに6時半に起きるようになった。朝が辛いので終バスで帰った後にビールを飲むなんてこともなくなった。
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