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記事 8件
  • 「好きな海を嫌いになって欲しくない」

    2021-05-10 07:00  
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     連休明けの誰もいない浜辺をランニングしていた朝のことだ。地元の小学生が三十名ほど列を為してやってきた。赤青黄色の体育帽子。一年生から三年生くらいだろうか。遠足か何かかなと思っていると、おもむろにリュックの中からビニール袋とトングをひとり一つずつ取り出して、浜のゴミ拾いを始めた。
     

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  • 「プラスティックの海」

    2021-04-05 07:00  
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     子どもの頃に受けた映画『猿の惑星』のラストシーンの衝撃は今も僕の胸にはっきりとした傷跡を残している。
     宇宙の果てを目指す航海で不時着した未知なる惑星。船長のテイラーがそこで見たのは原始生活を送る人間が武器を手にした猿に支配される姿だった。なぜそんな非人道的なことをするのかと問う彼に対して「人間は災いをもたらすからだ」と言葉少なに目を背ける猿。その言葉の意味を彼は海岸の遺跡で知る。核戦争の果てに破滅した人間の文明。有名な朽ち果てた自由の女神像である。彼はようやく気づいたのだ。「ここは地球だったんだ!」「人間はなんて取り返しのつかないことをしでかしてしまったんだ!」 同胞の愚かさと罪に血のような涙を流す彼は、何ら疑いを抱いていなかった人間社会の愚かさに初めて気づかされた僕自身だった。
     

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  • 「半島の夜」

    2021-03-15 07:00  
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     午後八時、凪の潮騒が聞こえてくる静けさに妻がぽつりと言った。「なんか、島で暮らしているみたいだよね」 二時間ほど前には眩しさに目を細めなければならないほどの夕陽に染まっていた海と空は漆黒の闇に包まれている。街灯りはほとんどなく、江ノ島の灯台が規則正しい心音のような明滅を繰り返しているだけだ。
     

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  • 「海」

    2021-03-10 07:00  
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     毎日海を見て生きているからこそ、十年前のあの日を忘れることはない。
     広島での三日間公演というライブの仕事の真っ最中だった。地震が発生した日は休演日で、僕は当時大阪で暮らしていた結婚前の妻の部屋にいた。一年前に三浦半島の海沿いに建つ今の家に引っ越したばかりだった。東北の沿岸を数十メートル級の大津波が襲った様子をテレビ中継で何度も目の当たりにした後も自宅のある沿岸部一帯には津波警報が発令され続けていた。
     

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  • 「海辺の町、春の仕事」

    2021-03-01 07:00  
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     地平線まで続く半島の広大な畑が春大根と春キャベツで溢れている。初めて見たときはそのとんでもない量に驚いた(これだけあっても県内の食料自給率は数%に過ぎないことも含めて)。でも何年か暮らしていると今度は出荷できない規格外のものが余りに多いことに驚かされる。少し曲がっている大根とか、大き過ぎるキャベツとか。食べる分には何の問題もないのに、商品にならない。文科省が定めた学生を育てようとする日本の教育みたいだ。
     

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  • 「浜辺の果実」

    2021-02-24 07:00  
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     強い風が吹くたびに季節が改行される。三方を海に囲まれた半島の特徴なのだろうか。連日の波浪警報を経て、週末はビーサンで浜辺を歩けるほどの陽気だった。
     陽射しを浴びて浜辺を歩く。波が水底の堆積物を砂と一緒に巻き上げたせいで、様々な漂流物が打ち上げていた。中でも目を引くがオレンジだ。
     

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  • 「この山」

    2021-01-29 07:00  
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     浜辺を通り過ぎて、漁港の船着き場を囲むように伸びる堤防まで歩くと、海から町を一望することができる。山の裾野から海の間に広がるとても小さな集落だ。目に入る住宅の半分は別荘利用だったり、空き家だったりなのでなので一年を通じて人通りは閑散としている。
     

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  • 「風の便り」

    2021-01-06 07:00  
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     風の便り、という言葉を久し振りに聞いた。
     

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