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2025年1月の記事 6件

<菊地成孔の日記 令和7年 1月18日>

 そろそろ情報公開されると思うんだが、近いうち(夏前)に中国でツアーを行う(凱旋の東京もあります)。なので第一にはパスポートを、第二には就労ビザを取りに行くわけだが、有明なんですよね。第二次UWF時代には行ったよなー。有明コロシアムテニスの森?で、着席していたら、当時、愚兄のライヴァルポジションだった夢枕獏さんに「菊地さんの弟さんですよね?」とか言って声かけられた事あったんだよなー。   それから10年代にはTHE OUTSIDERの初期(朝倉兄弟の登場前まで)の為に、もっと頻繁に有明に通うようになって(ディファですよディファ)、それからまたしても15年飛ぶわけで、もう、最近は「懐かしい」という感覚がオーヴァーフロウしたかあるいは逆にすり減っちゃったかして、そこにデジタル4Kリマスタリング時代も重なってきたおかげで、もう自分が何歳で、いつ何があったか全くわからないままに初老になっているから、例えば話題のヒス構文とかも、そうだな10歳若かったら「なんじゃあそりゃあー」ぐらいだったと思うんだけど、もう本当に何も感じない。「昔からあったよねそれはね」としか思わなくなった。「刑事コロンボ研究」は、もう老けメイクというか、「就中」とか「然るに」とか「果たして何をか言わん」とか「承前、御首肯賜る事なかれと」とかいうラインばっか使っているので、出版されたら何言われるかわかったもんじゃない。  

<菊地成孔の日記 令和7年 1月13日>

 <Mステ>と<人生、歌がある>責めによって、脳がすっかり歌脳になったまま、コロンボ本(書名「刑事コロンボ研究」に正式決定しました)上巻の詰めに入ったらロス山火事で、聖地としてのロケ地が毎日バンバン消失するのを呆然と見ており、USスティールのブチ切れ声明文を横目で見ながら、やっぱバイデンが大統領選で勝った時からずっと続いていた嫌な予感が駆け込みで現実化してるわと苦い思いをしていたら(あいつが就任してすぐに宣言した公約を覚えている人いますか?「2025年までに中国のCO2排出を現在の50%に抑える」と言ったのである笑。リベラル全員に言いたい。お前ら非常に面白いよ笑)、トランプが政治評論家全員を苦笑させる大暴れ、今月中に納品しないといけない映画音楽(これ、言っちゃって良いと思うんですけどね、むしろ宣伝になると思うんで。大塚信一監督の「Poca Pon ポカポン」という作品です)に取り組んでは飽きて、SUNO(音楽生成AI)にコロンボ全話のタイトルだけ入力したら、もうちょっと嫌な気分になるほどかっこいいヒップホップになったんで、何というか今っぽいなー、それは絶望的なんだけれどもワクワクするといった感じ。    とか斜に構えていたら、僕に何の断りもなく「KUNOICHI」(SASUKEの女性版)が7年ぶりに再開したので、全部投げ打って集中しちゃったよねM-1よりRIZINよりUFC女子より芸能人格付けよりもヤバいもんねKUNOICHIのが絶対。24時間放送してたら24時間見れるし。やっぱスーパーマリオ世代っていうんですかね。もう推しとかいないよ全員頑張れ以外ことばが無い界隈ですが、パリ五輪のトランポリン森ひかるがサイドワインダークリアした瞬間、少しおしっこ漏れちゃいました。まあ、トランポリンってヤバいなとは思ってたけど、ボルタリストとかボーダーとか、まあまあ、わかるわけですよ、どこをどう使ってるか。でもトランポリン全然わからん笑。森がなんの気なしにストレッチした時、腕が360度まわるんじゃねえの?っていうぐらい柔らかくてうおーってなったよ。    何だこんなに興奮するかわかるんだよ、それは一昨年、怪我しまくっちゃって、あれからずーーーーーっと運動できてないからで、パリ五輪もそこそこ楽しんだけど、オリンピックって(当たり前だけど)専門競技者が専門競技やるわけなんで、情報としては閉鎖系ですよアレ。SASUKEとかKUNOICHIは、いろんな、あらゆる選手が、スーパーマリオみたいな無茶に立ち向かうんで、開放系なのである(すでに「SASUKEの選手」という状況はできてるんだけど、まだ全然、開放系ですよ。28年のロス五輪から競技化するとか言ってるけど、どうせ1回だ絶対。ブレイキンももう無いんだからさ)。  

<菊地成孔の日記 令和7年 1月10日>

 バズ・ラーマンの、エルヴィス・プレスリー伝記映画「エルヴィス」は、いわゆるコロナ映画だ。20年に撮影が始まり、22年に公開された時、世界中のシネコンは葬式が明けたかのようだった。この時代の映画には特権性がある。    エルヴィス役を、かなりうまくやった(UKアカデミーとゴールデングローブで2冠受賞、オスカーと放送映画批評家協会賞とMTVからノミニー)オースティン・バトラーは、のちに24年、これもギリギリでコロナ映画と言って良いと思うけれども「デューン砂の惑星」のリメイクに、悪役で出演、ティモシー・シャラメと対決するが、その後のキャリアはパッとしない。僕が来週、今年最初の試写会にゆく「名もなき者」は、ボブ・ディランの伝記映画で、ティモシー・シャラメがディラン絵を演じている。    そして、この「エルヴィス」で、プレスリー役のファーストコールはティモシー・シャラメだったのである。ハリウッドあるあるだが、皮肉なものだ。    最初は「え!バズ・ラーマンがあのバズラーマン歌舞伎でエルヴィスの一生やんの!!」と少々たじろいだが、なんのなんの、ラーマン歌舞伎の良さとして、現実感とガジェット感が綺麗に棲み分けられて、棲み分けも確実でかなりよかった。    特に、いかにもラーマンが苦手そうな「黒人音楽」のシーン(エルビスは人種分離法が一番イケてた時代のメンフィスで育つ。そこでブルースやR&Bに天啓を受け、そのままカントリーミュージックを融合させ、つまり最初のブラック&ホワイトである。ビートルズやストーンズは、それをイギリス人が更に真似たものだ)が、僕が見ても仰け反るほど上手くできていたので、すっかり感心してしまった。  

<菊地成孔の日記 令和7年 1月6日仕事始め>

 とまあ、歳時記、という感じで「仕事始め」とか書いてるけれども、いつ仕事休んだかなオレという感じで、1月はななななんと映画音楽の納品が1作と、最終打ち合わせが1作あり、とはいえまあ、それだけなんだけれども、まだスケジューリング中なんだがジャズドミューンが1月中にあるかも知れない。    っていうか、いよいよ正式に書名が「刑事コロンボ研究(上)」に決定した(オレ史上、最高にストレートで簡潔すぎる、ある意味でドスが効きすぎのタイトル笑)、以後、「研究」としまするが、上巻分の原稿は入稿したものの、ゲラ以前に、最初から全部読み直して、気になるところを加筆修正し始めたんだけれども、「あ、これ、誰かに止まられない限り一生やってるかも」と思い始め、とにかく通読後の直しは一回だけにして、ゲラに入ることにしたが、単著書き下ろしは初めてなので、正直「こんなに面白いか」という感覚と、初めて「誰が喜ぶのか(嫌がるのか)全くわからない」という感覚があり、ある意味でアマチュアの感覚に入っているとも言える。    今、内科医から帰ってきたところで、大晦日からずっと風邪みたいな症状が出てるのだけれども、あまりファンの皆さんを心配させるといけないのだが、リンパがまた晴れていて「おおお。また来るの笑」と思ったけれども、今回のは少なくとも壊死性リンパ結節炎ではない。    第一に発熱しないのである。ただ、腫れていて、触ると痛いのと、首から上の方、後頭部に向かっており、耳の中も痛いので、どうしましょ脳腫瘍だったら、とかも思うのだが(こんなこと書くから心配性の方が心配するのだが=重症の方は気絶したりするので笑、とはいえ、症状は止められないから、放っておくしかないんだけれども笑、心配性の方は、そうだなあ、心ゆくまで心配していてください笑、というのが一番クールで誠実だと思えてきた)、えーとそうね、事実を細密に書けば、クリスマスの日に行った(我ながらよくやったと思う、ライブ前に笑)人間ドックの結果で、その日にわかる奴は全て大丈夫だったのだけれども、10日に届く「これからわかるやつ」に、浮腫マーカー(全身の癌細胞チェック)と、頭部MRIがあり、これが出るまでは完全に安心はできない。頭部MRIに頭部腫瘍が出て、浮腫マーカーに癌細胞ありと出たらビンゴだし、とはいえ、痛いというのは悪性の腫瘍には出ない(なので発見が遅くなり怖い)ことだから、単に疲れ、というか笑(これ、筋疲労のことですほとんど。年末にものすげえ左手と首を使ったから。大友っちとのデュオで、ピアノを弾いた時、余りにサウンドがすごくて興奮し、リリースペダルを踏みっぱなしで10分間演奏したら、演奏後、膝と右手が体から外れるかと思った笑。踏み込んだ足が右足で、最低音域のコードを弾き続けたので、体が右に傾いていて、左が浮いていたのである)、単純にストレスと疲労かも知れない。  

<菊地成孔の日記 令和7年 1月1日元旦>

今年から歴表記を元号=和暦にしたが、これは去年1年間、神に誓って「令和だと何年」か、一回も考えないまま過ごしたので、反省の意を込めているのであった。   十二支は昔から好きで、僕自身は卯(うさぎ)年なので、有名な南方熊楠の「十二支考」で、兎は乱行(他の種目との生殖行為=人間のように遊戯に順化されたセックス)が出来る、淫乱な小動物なので、占いとかはまあ、フロイド的には魔女の文学なので興味はあるが臨床の分析対象としか思っていないが(あれは臨床とするのが適切でしょう)、熊楠はさすがだ。と思うものの、「だから」十二支が好きな訳ではないのだった。   それでですね、はっきりと嫌いなものは、ジャズと落語の融合とか、民謡をロックバンドが、とかいった、説明を要さないだろう、アレで、アレは本当に気持ちが悪い。先日DOMMUNEでも言ったが、細野晴臣が沖縄をトロピカルと捉えていて、人生の中で、一般的な日本人の沖縄観と全く違う沖縄観を人生の中で浮沈させながら生きているのは、そういうことだと思うけれども。   と、十二支の話に戻ると、僕が十二支(「干支」と言わず「十二支」と言うのは「十支」もあるからなんですよね。今から書く話は十支では不適切になるのである)をこよなく愛するのは、そもそも音楽は12進法、というより3進法と4進法のクロス進法なのだけれども、そのことと十二支はすごく適合するんですね。  

ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

著者イメージ

菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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