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記事 108件
  • 【15万字・記事15本詰め合わせセット】鶴屋怜、スターダム、武尊本、佐藤将光、ビンス、中嶋勝彦…

    2024-02-29 23:59  
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    part120◎【UFCと契約】鶴屋怜の可能性が恐ろしいよ!
    ◎セージ・ノースカット問題とは何だったのか?■シュウ・ヒラタ

    ◎「これがRIZINか……」佐藤将光、センターラインを超える◎【大人のMMAトーク】日本格闘技界がよくわかる15000字■DEEP代表・佐伯繁
    ◎嗚呼、矢地祐介! ああ、ヤッチくんよ!!
    ◎リングスジャパンは仲が悪かったのか?■長井満也
    ◎やりすぎくらいがちょうどいい……武尊『ユメノチカラ』を読んで
    ◎【閲覧注意】ビンス・マクマホンおぞましき性的虐待・性的人身売買の全貌
    ◎ボクシング界は安全面を議論していないのか■山田武士
    ◎続・全日本プロレスで何が起こっているのか

    ◎【ロッシー小川電撃解雇】スターダムは分裂するのか◎中嶋勝彦を見よう/「プロレスの仕組み」論■小佐野景浩の「プロレス歴史発見
    ◎冬木弘道は「俺はやっぱり死ぬんだな」とニヤリと笑った…■小佐野景浩のプロレス歴史発見

    ◎武尊、青木真也、三浦彩佳vs平田樹、ABEMA格闘技の光と…
    ◎ABEMAvsU-NEXT、スターダム岡田社長に言いたいこと

    ◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉プロレス格闘技業界のあらゆる情報に精通する事情通Zのコーナー。今回のテーマはスターダムは分裂するのかです!
    ――Zさん、スターダムの創業者にしてエグゼクティブプロデューサーのロッシー小川さんがスターダムを電撃解雇されました! スターダム側の発表によればロッシーさんが「多数のスターダム所属選手・スタッフに対する引き抜き行為があった」からだと。事実ロッシーさんは新団体設立を宣言しています。Zさんは事前にこの噂は聞いてたんですか?
    Z 全然聞いてなかったです(キッパリ)。
    ――事情通なのに!
    Z そこが今回のポイントのひとつだよ。水面下でこんな大掛かりな動きがあったのなら、なんでもかんでも書き殴る海外サイトが放っておくわけないでしょう。私が知らなかったりしただけかもしれないけど(笑)。
    ――たしかに海外で先に報じられていても不思議じゃない。
    Z 今回の件を受けて情報収集したら「ロッシーさんが新団体を作る」という話はスターダム周辺の人たちは知っていた。では、なぜその噂が広まらなかったのか。これは情報を整理したうえで、あくまで私の見立てなんだけど……。スターダムは2019年にブシロードに事業譲渡。それまではロッシーさんの個人商店だったスターダムという女子プロレスはブシロードのビジネスとなった。そのブシロード体制最初の社長が原田克彦氏。
    ――しばらく原田氏が社長でしたが、トラブルが多発したことを受けて昨年11月に岡田太郎氏が就任。両者ともにブシロードからの派遣人事です。
    Z ロッシーさんはエグゼクティブプロデューサー職に就いたが、一般的には会社をどこかに売り渡したら、元オーナーは身を引いたり、相談役的なポジションに落ち着く。そして時が来たらフェードアウトするでしょ。でも、プロレスは特殊な仕事というか、女子プロレスビジネスに関していえばブシロードは素人ですからロッシーさんに頼るしかなかった。
    ――WWEやUFCなんかも親会社が変わっても現場の人間はそのまま雇用されてますね。
    Z 同じブシロードグループの新日本から誰か呼んでくるわけにもいかない。やっぱり男子と女子では、飯伏幸太じゃないですけど「プロレスの仕組み」が違うわけですよ。ロッシーさんはあくまでも裏方でプロレスを作る部分を担当してもらっていたはずだけど、ブシロード側の意見も取り入れなければいけない。関係者によれば先代の原田氏はロッシーさんに意見が言える人だったらしい。そうなるとロッシーさんとして不満があったんだと思う。で、さっきも言ったように昨年のスターダムはいろいろとトラブルが起きたことで社長が変わった。それが昨年11月のことなんだけど、どうやら今回の新団体云々の話が出てきたのはこの時期らしい。
    14万字・記事15本詰め合わせセットはまだまだ続く…
     
  • 【11万字・記事14本詰め合わせセット】RIZIN大晦日、ブラックローズ、堀口恭司、全日本プロレス…

    2024-01-31 23:59  
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    part119◎笹原圭一の「泣いて、笑って大晦日RIZIN」を語ろう【17000字!!】◎ブラックローズ大晦日の裏側■証言:セコンド大塚隆史◎夢とトラウマを与えたアントニオ猪木の「死」■菊地成孔◎ざまあみろ大晦日……格闘“技”は憎しみを浄化させる◎大晦日の大混乱を締められる朝倉海は“持っている”■水垣偉弥◎2冠、結婚、プロモーター…堀口恭司「あれが本当のオレだから」◎堀口恭司、朝倉海はUFCと本戦契約できるが…■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク◎K-1のONEチャトリ批判は何が狙いだったのか?◎「これは中毒になりますよ……」佐々木憂流迦、プロレスデビューを振り返る◎全日本プロレスで何が起きているのか■事情通Zの「プロレス 点と線」◎キラー・カーン伝説を語り継ぐ■斎藤文彦INTERVIEWS◎クリス・ジェリコ性的暴行疑惑騒動の顛末◎ロック様のマーク・ケアー物語…MMAが「みじめな戦い」だった時代

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    大晦日RIZINで4選手のセコンドについた大塚隆史インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)
    ――かつて「暴言スーパールーキー」と呼ばれていた大塚さんが大晦日、若さあふれるブラックローズをサポートする姿には感慨深いものがありました!
    大塚 いやあ、ホッとしました。ボクは平本蓮くん、芦澤竜誠くん、篠塚辰樹くん、平本丈くんのセコンドについたんですけど。今回の4選手はまったくタイプや試合のテーマが違うこともあって、それで考えることが多かったですね。辰樹くんはキックルールなんで、ボクは何も言うことはなかったんですけど。
    ――大塚さんがセコンドについた試合は3勝1敗でしたね。
    大塚 エネルギーを注いだぶん勝ってくれたときの嬉しさは倍増で。まだ勝利に酔ってますよ(笑)。
    ――試合後の打ち上げも楽しそうにしている姿がSNSに流れてきました。
    大塚 あ、そうなんですか。全エネルギーを使いはたしたんですけど、打ち上げは俺も参加しようと。ただ、大晦日のサポートでエネルギーを使いはたしてしまったのか、そのまま酔い潰れましたね(苦笑)。
    ――しかし、大晦日に4回も花道を歩くことってなかなかないですよね。
    大塚 試合当日も忙しかったんですけど、試合前もけっこう疲れましたね。選手の練習に付き合いながら、寝る前にいろいろと考えたり。「もっとなんかいい方法はないか」「違う技術がないかな」とか映像チェックしていたら、脳と身体が全然休まらなくて。
    ――他人の勝ち負けを支えるからプレッシャーはありますよね……。
    大塚 そうですね。やっぱり責任感は感じてましたね。とくに蓮くんと丈くんはここ(T・GRIP TOKYO 雑司が谷)と渋谷ファイトクラブがメインの練習場所なので。大塚 たとえば中原(由貴)くんとは長い付き合いで試合のセコンドにつくんですけど、ここには週に1~2回くらい。あとはアライアンスや世田谷ロータス、横田(一則)さんのKクランに行ったりして、自己マネジメントで自分で考えながらやってるんですけど。蓮くん、丈くんに関してはほぼすべての練習にボクもいるので、彼らの勝敗には責任感を感じてました。2人とも才能とセンスがすごいから逆にやりがいもありますけど。
    ――大塚さんと平本選手たちのつながりは、岩﨑(達也)先生の剛毅會空手なんですよね。
    大塚 はい。そこから始まって、いまは先生が別の仕事で来られないときはボクが見たりしています。
    ――そうしたら強烈なキャラクターをもった格闘家が次々にやってきたと(笑)。
    大塚 先生はそういう若い子を惹きつけるんですよね(笑)。
    ――岩崎先生って知識も深いし、話も面白いですからわかります!
    大塚 言葉に力がありますよね。
    ――大塚さんはヘッドコーチ的存在なんですかね。
    大塚 うーん……コーチと言われると偉そうな立場になるので好きではないですね。「大塚コーチ」って言われるときもありますけど、上から何か指導してるわけじゃないし、みんなと一緒に戦っている感じですよね。みんなに勝ってほしくて一緒に戦っている意識は強いです。でも、蓮くんたちの注目度が高いから、試合後インスタに「大塚コーチありがとうございます!」というファンからのDMがたくさん送られてくるんですよね(笑)。
    ――いい話です!(笑)。いつぐらいからサポートするようになったんですか?
    大塚 蓮くんのドミネーター戦のときはそこまでじゃなくて。あの頃は数回来たくらいで全然喋ったこともないですし、それに足の指を骨折したことで試合中止になりかけたじゃないですか。
    ――メインイベントだったことでRIZINがキャッチウエイトを提案したことで中止は免れて。
    大塚 そうです。榊原さんと話し合ってやることになって、試合まで2週間も切ったあたりで先生から「見てやってくれないか」と。そのときは接点がほとんどなかったんで「……困ったなあ」と(苦笑)。
    ――しかも手負いの状態ですもんね。
    大塚 ドミネーターの映像をチェックして自分の中で思った対策を伝えて、数回練習した程度で。蓮くんが勝ちましたけど、そこまで深く関わってないです。斎藤(裕)戦のときはテイクダウンディフェンスに関して見て、練習メニューや戦略にはそこまで関わってない感じです。テイクダウンされて最悪な状態になったときにどう対処するかという部分だけで。最初は蓮くんとも信頼関係もあるわけではなかったんですが、蓮くんからセコンドをお願いされたことで、これをもう勝たせなきゃダメだなと。でも、この試合は戦略というよりはテイクダウンディフェンスのほうを任されていたので、その成果は出たんですが、斎藤戦はスピリットの判定負け。あの試合以降、いままで以上に先生とコミュケーションを取るようになったし、ボクも試合そのものに関わるようになりました。今回はYA-MANとの試合が決まってからは、先生から毎晩のように電話がかかってきて「今日はどう思った?」「明日の練習は……」「試合の戦略はこれでいいか?」という話をめちゃくちゃしてましたね。もう「また先生から電話だ」って感じでした(笑)。
    ――斎藤戦の負けを経て、チームとしてレベルアップしてるんですね。
    大塚 蓮くんはMMA3年目ですけど、K-1ではあの若さでゲーオやゴンナパーを倒してるわけで、とてつもない才能ですよ。そこは普通の選手とは違った感性を持っているから、自分の考えも大事にしてほしい。自分の考えや戦略があるときはどんどん言ったほうがいいよとは伝えてます。
    ――今回の大晦日は4人も試合に出たわけだから、岩崎先生も大塚さんも考えることは尽きないですよね。
    大塚 ここのジムの指導もあるし、脳と身体が疲れすぎてあんまりいい方向にマインドも働かなくなって、鬱になるじゃないかって(苦笑)。
    ――平本選手はYA-MAN選手に判定勝ちでしたが、どういうプランがあったんですか?
    大塚 YA-MAN戦に関してはしっかり打撃で勝負しながら、その中でテイクダウンを取るという作戦です。実際にしっかりスタンドで勝負できていたので。あと試合の中で打撃が交差をする場面でテイクダウンできたし、もっとトップキープができたらよかったはよかったんですけど、YA-MAN選手も耐えて耐えて立ってきましたよね。
    ――強打のYA-MANに対して打撃で勝負できると見てたんですね。
    大塚 蓮くんも試合1週間前に「よく考えたら打撃で負けるわけないすよね」って。実際に打撃で勝ってましたからね。さすがですよ。
    ――平本選手はYA-MAN対策の一環として梅野(源治)選手と首相撲の練習をしてましたよね。
    大塚 ボクはその練習には立ち合ってなかったんですけど、YA-MANは圧をかけてくるので首相撲やクリンチからのヒザで対応すると。ボクはテイクダウンに入る練習、トップを取ってからの抑え方やバックコントロールの練習を重点的にやってました。
    ――斎藤裕戦はテイクダウンディフェンスがポイントだったけど、今回はオフェンス。
    大塚 自分から仕掛けると。怖かったのは練習ではテイクダウンをやってるんですけど、試合ではこういうアタックはやってないことですね。実戦で組みで攻めるときはすごいエネルギー使うんですよ。ディフェンスするよりも使いますね。テイクダウンとトップコントロールで力んでしまってエネルギーが消耗する状況が怖かったんです。ちょっとそうなりかけてしまったんですけど……。RIZIN大晦日、ブラックローズ、堀口恭司、全日本プロレス…11万字・記事14本詰め合わせセットはまだまだ続く…… 
  • 【13万字・記事14本詰め合わせセット】金原正徳、佐藤将光、長井満也、万智、猪木映画……

    2023-10-31 23:59  
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    part117◎【クレベルに完勝】金原正徳インタビュー「みんなもっとMMAの練習をしよう!」
    ◎【RIZIN初参戦】佐藤将光センターラインな12000字インタビュー
    ◎RIZIN44とLANDMARK名古屋を語ろう■笹原圭一
    ◎万智がいろんな意味でヤバイ! 女子格NEXTスターインタビュー
    ◎暗黒時代の先にあったクレベルvs金原正徳という希望■余談で語るRIZIN44
    ◎至近距離から見たクレベル・コイケvs金原正徳■八隅孝平
    ◎UFC☓USADAの提携解消とは何か
    ◎【7戦全勝】UFC契約まであと1勝!! 原口伸インタビュー
    ◎長井満也インタビュー「いつのまにか解散してしまった新生UWF」
    ◎評判の悪い映画『アントニオ猪木をさがして』について
    ◎問題児マット・リドル、WWEを解雇…JFK空港狂言事件の顛末
    ◎2010年代を駆け抜けたスーパースター、ブレイ・ワイアット■斎藤文彦INTERVIEWS
    ◎熾烈を極めるWWE(NXT)vsAEWの「火曜テレビ戦争」
    ◎追悼“テキサスブロンコ”テリー・ファンク■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」
    ◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉クレベルに完勝した金原正徳インタビュー!!(聞き手/ジャン斉藤)
    金原 試合後、初めてのインタビューですよ。
    ――それは嬉しいです! 今日は事前のインタビューの答え合わせじゃないですけど、金原さんは「クレベルとは相性がいい」とおっしゃってましたよね。見る側からすると「ここまで相性がいいんだ!」という驚きがあったんですが、本人的にはどうだったんですか?
    金原 正直「組んでみなきゃわからない」というのが本音で、自分の寝技が通じるのか、通じないのか……。そこは実際に組んでみなきゃわからないんですけど、自分の信じていたものが通用しなかったときの怖さってあるんですよね。あのときの絶望感、それを日沖発との試合で味わっているんですよ。
    ――戦極のときの日沖発戦(2009年8月2日)。金原さんの判定負けでしたね。
    金原 日沖発との試合中に「ホントに強え」って感じたんですよね。寝技に自信があったのに、この男にはまったく通用しない絶望感。あの試合のイメージがどこかの頭の片隅にあって……。
    ――トラウマじゃないですけど。
    金原 トラウマまではいかないですけど、戦いながら「これは勝てねえや」って思っちゃったんですよね。そういう経験もあったからこそ、クレベルと組んでみたときに絶望感を感じるのかどうか?という怖さがあって。そこであまりネガティブになりたくないから「俺は強い、俺は強い」とメディアに発言するように心がけていたんですけど。でも、クレベルの試合映像を見たら「うわあ、やっぱり強いわ……」って。どこまで俺の組みが通用するのかなという不安も出てきたので、映像はそれ以降は見ないようにして(苦笑)。
    ――というと「相性がいい」は半分、強がりだったんですね。
    金原 そう(笑)。正直、強がりな部分はありますね。
    ――ボクがインタビューしたときも前半は威勢よかったんですけど、後半は「自信がない」とか言い出して。
    金原 ハハハハハハ。インタビューも最初は強気なんですよ。でも、喋っていくうちに「でもな……」って弱気になっていく自分もいたりして。あのときの精神状態はけっこう上下してましたねぇ。
    ――格闘技って絶対に勝てる試合なんてないわけだから、「俺は勝てる!」「いや、やっぱりダメかな」という自問自答の繰り返しだったりするでしょうね。
    金原 どんな弱い相手でも1%でも負ける可能性がありますもん。どんなに有利に試合を勧めていても、ゴングに鳴るまでわからないし。
    ――実際に戦ってみて、ここまでクレベルを圧倒できたのは、自分でも驚きだったりするんですか?
    金原 びっくりしてます。周りがびっくりする以上にボクが一番びっくりしてます。「俺、強いやん!」って(笑)。
    ――ハハハハハハ!
    金原 自分の持っているものがクレベルにこんなに通用するんだって。でも、これは終わったから言えることかもしれないですけど、クレベルとは練習で一度、組んだことがあるので。そのときは対戦するなんて1%もないと思っていたんですよ。クレベルはKSWに出ていたし、対戦するイメージもないまま普通に練習してて。でも、クレベルとやったイメージがないってことは、俺がやっつけてた可能性があるなって。やっつけられてたら「コイツ強いな」っていうイメージが残るじゃないですか。
    ――いま振り返ると、練習の時点で行ける感触があったと。
    金原 そうです。でも、クレベルはRIZINに出た当初より明らかに強くなってきてるし、伸びしろという部分でも怖さはありましたよね。
    ――試合前に「付け焼き刃でクレベル対策しても意味がない」と言ってましたけど、金原さんがいままで積み重ねてきたものがあっての勝利だったわけですよね。
    金原 そうですね。一番警戒していたのは三角とバックチョーク。そこは対策をするというよりも、組み手争いをちゃんとやろうと。細かいことをいうならば、いつもボクは脇を差してパスをするんですけど、あんまり脇を差しちゃうと三角が取られやすくなるんですよね。そういうイメージをしながらずっとスパーリングをしてました。
    ――対策はしないけど注意点はいくつかあったと。
    金原 組み手争いの段階でしっかり勝負する。そこでネガティブにならなかったのはけっこう大きいかもしれないですよね。クレベルと向かい合ったときに下がらない、引かない気持ち。技術という土台がちゃんとあれば、気持ちでどうにか立て直すこともできると思うので。もしクレベルの技で圧倒されたとしても弱気にならない。いつか右手を当てれば勝てる……と最後まで信じきれたところはありましたね。
    ――メンタルってやっぱり重要なんですね。相手に流れを持っていかせないのは精神と技術。
    金原 自信と覚悟ですよ。これで負けたらしょうがない。いままでコツコツ20年間やってきて、それは付け焼き刃の練習なんかじゃなくて。それで負けたら、ボクが弱かったよりもクレベルが強かったって褒めるしかない。そういう開き直りの部分もけっこうあったんですよね。だからさっきの脇の差し方とか簡単なミスで負けるのだけはイヤだったんですよ。「なんであそこであんなことしたんだよ」「もっとああしとけばよかったよ」って終わってからダラダラ言うような負け方だけはやめようと。小さなミスで負けるのだけはやめようっていう集中力はちゃんとありましたね。
    ――負け方にもいろいろあるってことですね。負けるにしても納得できる負け方。
    金原 そうですね。自分は「なんであんなことしちゃったんだ……」っていうミスで負けることがいままであったんで。前田吉朗戦やマイケル・マクドナルド戦もそうだったし、それだけはやめようって思いながら。
    ――戦った本人としてクレベルの敗因ってなんだと思います?
    金原 うーん、ボクをナメてたことじゃないですけど。
    ――クレベルはナメてました?13万字・記事14本詰め合わせセットはまだまだ続く
     
  • 【15万字・記事16本詰め合わせセット】金原正徳、ドーピング、太田忍、長井満也、高木三四郎…

    2023-09-30 23:59  
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    part116◎金原正徳「クレベル戦が決まってから対策を練るレベルでやってない」
    ◎中村倫也は安定してUFCで勝ち続けることができる■水垣偉弥
    ◎計量問題を考える/アイポークの現場で起きたこと■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ◎【再掲載】初心者に優しい「MMAとドーピング」講座■タケ ダイグウジ
    ◎QUINTETは邪道?/ドーピング驚愕の実態■高橋“SUBMISSION”雄己
    ◎暗黒時代の先にあったクレベルvs金原正徳という希望■余談で語るRIZIN44
    ◎【令和のカート・アングル】太田忍「井上直樹は本物、朝倉海は人気先行」
    ◎朝倉未来はメンタルが弱い?/一寸先はRIZINなアゼルバイジャン
    ◎天心vs武尊・幻の放映権料/ジブリは「猪木☓新間寿」が続いた世界線
    ◎木村ミノル無限地獄
    ◎【アーセン戦!】DEEPフライ級GP優勝者・福田龍彌インタビュー
    ◎生まれ変わったK-1リバースを語ろう■「立ち技の生き字引」サーバル
    ◎ダーク・エージェントの戦いは真剣勝負だった■齋藤彰俊
    ◎CMパンク、AEW電撃解雇の顛末
    ◎高木三四郎大社長がやってきた■松澤チョロの脱線プロレス
    ◎地獄の新生UWF新弟子編■長井満也インタビュー
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    UWFやリングス、K-1まで、様々なリングで戦ってきた長井満也インタビューシリーズ第2弾! 地獄の新生UWF新弟子編です (聞き手/ジャン斉藤)前回はこちら
    長井満也「我が青春のスーパータイガージム、シュートボクシング」
    ――長井さんはシュートボクシングをやめて、当時人気絶頂だった新生UWFの入団テストを受けることになるんですよね。
    長井 入門テストを受けましたね。シュートボクシングで最後に試合をしたのは89年の2月くらいで、入門テストは6月だったんですよ。
    ――けっこう空いてますね。
    長井 そのときのUWFって履歴書を送ったら「じゃあテストしましょう」というわけではなく、定期的に入門テストをやってたんですよね。
    ――よく『週刊ゴング』や『週刊プロレス』に告知されてましたね。
    長井 私は第3回目の入門テストですね。そのとき受けたのが同期の垣原(賢人)くんと冨宅(飛駈)くんで。第1回目のテストの合格者は田村(潔司)さんです。
    ――テスト場所は世田谷区大蔵の道場だったんですよね。
    長井 世田谷の運送会社さんに間借りしていた道場で入門テストをやりました。参加者はすごい人数でしたよ。大げさかもしれないけど、20人30人はいたと思います。それこそ本気でプロレスラーになるために来ている子もいれば、ちょっと冷やかしっぽい子もいて。
    ――試験官は誰だったんですか?
    長井 おぼえてるのは前田(日明)さん、高田(延彦)さん、船木(誠勝)さん、あのへんがオールスターで揃っていましたから、けっこうすごい入門テストでしたね。緊張したし、ボク的にはシュートボクシングをやめてきているから、もう後がない。「テストに落ちたからシュートボクシングに戻ります」とも言えないし、受かるために準備はしてきましたけど、不安はありましたね。
    ――どんなテストメニューだったんですか?
    長井 なんとなくしか覚えていないけど、最初にスクワット500回。それを何分でできるのか。それが終わったら腹筋と背筋。UWFの道場の近くに有名な坂があって、そこでダッシュもやらされたような記憶があるんですよね。めちゃくちゃキツかったですねぇ。
    ――基礎体力的なメニューが中心で、ミットやスパーはなかったんですか?
    長井 それはなかったです。テストも道場の中じゃなくて、道場の前の車を置くような砂利のところでやってたんですよ。腕立て伏せにスクワットも腹筋もそこで。腹筋なんてケツのところが破れて血を流してやってる子もいましたよね。
    ――途中で脱落した人もいたんでしょうね。
    長井 いっぱいいましたね。たしか入門テストを受けに来た中で、垣原くんが一番若かったんですよ。15か16歳。もうそのときから船木さんに目つけられてて、腕立て伏せがきつくなって止まりそうになったら、船木さんが前に来て声をかけてましたね。
    ――船木さんも新日本の入門が15歳だったから、自分と重なり合わせてるところがあったんでしょうね。長井さんはシュートボクシングで鍛えられたことで、突破する自信はあったんじゃないですか?
    長井 体力はあったと思いますけど、シュートボクシングの中で腕立てやスクワットを500回やるみたいな経験がなかったんで。だからちゃんと用意してきましたね。そこで体力がなくて落ちたとなったら、「何しに来たんだ」って話じゃないですか。それまで自分のやってきたものを捨ててまで来たのに。
    ――昔のプロレスの道場ってまず体力ですよね。
    長井 たとえば月謝を取って練習生として教えるんだったら体力はなくてもいいけど、プロレスの団体にしたら将来スターになるかもしれない選手をお金をかけて育てるわけじゃないですか。やっぱり最低限の練習に耐えられるものを持った人が来てくれないと、会社も困りますよね。
    ――その体力テストを長井さんは最後までやりきったんですよね?
    長井 はい。合否は後日、郵便か何かで送られてきたような気がしますね。合格だったんですけど、嬉しかったというよりは、自分のやってきたものを捨てて挑戦したから、ホッとしましたねぇ。
    ――長井さんがシュートボクシング経験者だってことも合格にプラスに働いたんですかね。
    長井 シュートボクシングをやっていた奴が受けに来るってことは選手の皆さんは知ってたみたいです。だから試験前に前田さんや高田さんから声をかけられたりもしました。他の試験を受けに来た子からは「選手から喋りかけられてた奴がいたな。なんだよ、アイツ」みたいに言われてたのが聞こえてきましたね(笑)。
    ――注目のテスト生だったから、UWF側からすれば、テストをクリアすれば取ろうという考えはあったのかもしれないですね。
    長井 まあちょっとはあったかもしれないですね。
    ――そこから寮生活が始まるんですね。
    長井 そうですね。当時、寮が2つあったんですよ。中野(龍雄)さんと田村さんがいた寮と、もう片方に安生(洋二)さんと宮戸(優光)さん、鈴木(みのる)さんがいたのかな。
    ――中野さんのほうが狛江で、安生さんのほうが喜多見ですよね。
    長井 そうそう。ボクと垣原くんは宮戸さんのほうの寮で、冨宅くんは中野さんのほうだったんですよ。
    ――寮ってどんな感じなんですか?
    長井 いま思えば本当に汚いアパートというか(苦笑)。1階が6~8畳のキッチンがある部屋で、2階が6畳と4畳半の部屋。上に宮戸さんと安生さんがいたんだけど、ボクらが入る前に安生さんは寮を出られたんですよ。鈴木さんは下の1部屋だったような気がするな。
    ――当時の鈴木さんが寮に入っているのは意外ですね。
    長井 でも、ほとんどいなかったですね。彼女の家にいて(笑)。中野さんのほう2LDKのアパートで。中野さん1部屋で、田村さん、冨宅くんが同じ部屋みたいな感じで。そのあと中野さんは寮を出られたはずですね。
    ――そこから大蔵の道場に通う生活が始まるということですね。
    長井 そこから道場までけっこう距離があるんですよね。あまりに昔のことで思い出せないですけど、私と垣原くんは自転車で通っていたのかなあ。そういえば寮に入ってから鈴木さんに「マックで買ってきてくれ」って言われて。鈴木さんの原付を借りて、用賀のインターの乗り口にあったマックまで行ったら、帰り道エンストで動かなくなっちゃって。1時間かけて原付を押して帰ってきたことがありましたよ。鈴木さんから「遅せえじゃねえか!」と怒られましたけど、汗だくで「すいません!」って謝ったら許してくれました(笑)。
    ――あの頃の鈴木さんって正直、下の人たちからは恐怖の象徴的な存在ですよね。
    長井 新日時代の鈴木さんのことはわかんないですけど、寮に入って宮戸さんに道場に連れて行ってもらったんですよ。本当の初日ですよ。道場にいた鈴木さんに挨拶したら、鈴木さんが宮戸さんに「宮戸さん、コイツやっちゃっていいんでしょ?」って言われましたから(苦笑)。
    ――うわー、初日からイヤですねぇ。
    長井 それが初対面ですよ。そっからマウント取りたかったんじゃないですか。
    ――そこは長井さんはシュートボクシング出身だから「やれる選手」という意識もあったんじゃないですか?
    長井 そこもあったのかもしれないですね。あるときも「背がデカいからって、期待されやがって」みたいなこと言われましたから。まあ初日から「俺に地獄が待ってるんだな」って思いましたよ(笑)。
    ――実際に地獄でした?
    長井 地獄でしたねぇ(しみじみと)。あんまり細かくいうと、UWFファンから批判されそうですけど……。
    ――Dropkickメルマガの読者は大人のプロレスファンしかいないので大丈夫です!(笑)。
    長井 プロとして食べていくんだから練習がキツイのは仕方ないと思ってたんですよ。でも、それ以外がキツかったですねぇ。同期で入った子もあっという間にやめていったし。
    ――同期は何人くらい入ったんですか?
    長井 ボクがおぼえてるのが冨宅くん、垣原くん含めて5人か6人だったんですけど、ボクら以外は2~3日であっという間にいなくなりました。なので今度は補欠が入ったんですけど、それもあっという間にいなくなりました。朝起きたらいないこともあるし、ちゃんこ番のときに「大根、買ってきます!」と出たきり、いまだに帰ってこない奴もいるし(笑)。
    ――大根を探してさまよってますか(笑)。相撲社会から受け継いでる縦社会の人間関係、かわいがりが厳しいってことですね。
    長井 もちろん入ってきて体力がなくて練習についていけなくてやめてしまうのは仕方ないと思うんですよね。厳しい練習は当然ですから。でも、そうじゃない理由でやめるのは……いまだったら逮捕者が出るようなかわりがりですよ(キッパリ)。
    ――最近のプロレスインタビューの難しいところは、過去の細かい話を聞きづらいってところがあるんですよね。昔の話だとしても活字化できない内容もあって。
    長井 そうですよね。どこの団体とは言わないけど、会社からそういう話は絶対に禁止って言われてるみたいですよ。でも、そうあるべきだと思います。運動能力に優れてる子たちがそういう理不尽ないじめや暴力でやめていく。業界的にはすごいマイナスだと思います。それは本当にプロレスだけじゃなくて、他のスポーツも悪い習慣をなくしていくべきだと思いますね。たぶんですけど、ボクらの世代がそういうめちゃめちゃな時代の最後ぐらいだったと思いますね。
    ――長井さんは地獄を生き残った、と……。記事16本15万字の詰め合わせセットはまだまだ続く 
  • 【12万字・記事14本詰め合わせセット】極真幻想、三崎和雄、アイアン・シーク、新生K-1、アダルトビデオ…

    2023-07-31 23:59  
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    part114☆極真世界王者・上田幹雄「大山総裁ならRIZINに殴り込んでいたと思います」
    ☆計量オーバー、ドーピング、クマ襲来!! 嵐のRIZIN北海道■笹原圭一
    ☆RIZINアゼルバイジャン大会はできるのか?■谷口洋和
    ☆格闘技団体運営の現実とは何か■ファイティングネクサス代表・山田峻平
    ☆三崎和雄が“家族”としてクレベル・コイケを支える理由
    ☆令和闘魂三銃士騒動/RIZINドーピング情報公開が進む
    ☆“最後のエスニック系ヒール”アイアン・シーク■斎藤文彦INTERVIEWS
    ☆令和に“昭和”なプロレスラーたちはどう生きるか■齋藤彰俊
    ☆旧世界の復活、QUINTET……リブートK-1から見えてくるもの
    ☆【月刊FANZA編集長】プロレスとアダルトビデオ■松澤チョロの脱線プロレス
    ☆西川大和、フェザー級転向■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ☆アリスターはなぜRIZINに上がれないのか/野次がいらない理由
    ☆「パパはもうホームレスじゃないぞ。日本でも試合をするデスマッチファイターだ」
    ☆スキャンダル・プロレス爆発!! CMパンクが帰ってきた
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    空手幻想が爆裂する極真世界王者・上田幹雄インタビュー!(聞き手・ジャン斉藤)
    ――先日の北海道大会ではRIZIN初勝利おめでとうございます!
    上田 ありがとうございます!
    ――上田選手のMMA2戦目はGRACHANで秒殺KO勝利を収めてますけど、 RIZIN&MMAデビュー戦となった高阪剛戦では悔しい思いをしているだけに、勝利の喜びは違いますか?
    上田 嬉しいというよりも一安心という感じですねぇ。これでやっとスタートができる。そこがいちばんです。RIZINという大舞台で勝って、皆さんに上田幹雄という空手家をアピールできたと思うので、ここから勝ち続けて「これだったら日本代表として世界で戦ってくれるな」と期待してもらうところまで進みたいです。そのスタート地点に立った感じですね。
    ――フィニッシュはすごかったというか、10連打近くを隙なく打てる打撃はホントにすごかったです!
    上田 そこは空手の稽古の賜物というか、自然な動きなんですよね。今回の試合だけでいえば、打撃が効いたことで関根選手の目線が目が定まってなかったから追撃できましたけど、空手のクセがまだ抜けきれてないなと。直さなきゃいけないところはまだまだあります。そういうのって、1日2日程度の練習で修正はできないので、何百回、何千回、何万回と稽古を繰り返すことでようやく変えられるのかなと。
    ――極真出身の空手家が「何百回、何千回、何万回」と口にすると説得力があります。ホントに1万回やるんだろうなと(笑)。
    上田 そうですね。やっぱり極真は回数が重要ですから(笑)。
    ――前回の高阪戦と比べて何か変わった点はありますか?
    上田 やっぱり気持ちですね。いちばんは自信を持って戦えたことというか。高阪さんのときは「とにかく勝たなきゃ!」「自分の良さを出さなきゃ!」と気負いしすぎてアタフタしていたところがあって。今回は「試合を楽しめば自然に自分の良さが出せる」くらいの感じで、すごく冷静に戦えたのが前回との違いです。そこは1年間稽古を続けたことで自信を持てたとは思いますね。話がずれちゃうかもしれないですけど、デビュー戦で負けて「これからどうしようか?」って悩んだときに、今回セコンドをやってもらった長谷川(賢)さんの紹介でGENに誘っていただいて。
    ――日本の中・軽量級の猛者が集まるGENですね。
    上田 GENでヘビー級の選手や岡見(勇信)さんとかトップファイターと練習したことで自信が持てましたね。MMAってホントに戦略戦というか、たとえば「組みvs立ち」だったら立ちではこっちが勝つけど、組み合ったらあっちが勝つことはよくあることじゃないですか。
    ――シチュエーション次第で、内容や結果は変わってきますね。
    上田 今回の試合はこっちの作戦が当てはまりましたけど、まだまだ勉強が足りないと思ってるんで。自分には打撃という大きな武器がありますが、あらゆる部分で標準化していかないと、ちょっと何かスキを突かれたときに崩れてしまうのがMMAですよね。
    ――極真空手出身の上田選手でいえば、レスリングや寝技への不安はどうなんですか?
    上田 ボクは柔道と相撲をやっていたので基礎的なものはできていると思っているので、レスリングの怖さはないですね。寝かされたら「なんとかしなきゃな」っていうぐらいで。そこは相手によってまた変わってくると思いますし、寝技がホントにすごくてどうにもできない相手も出てくるかもしれないから、そこはまた稽古で補っていくしかないです。ボクは空手出身なのでこれからもストライカー扱いだと思うんですけど、理想としてはオールラウンダーなんですよね。そうじゃないといまのMMAではこの先、勝てないです。でも、空手を捨てたわけじゃないんです。そこも空手の教えというか、やっぱり何がなんでも勝てというのは大山倍達総裁の教えですよね。
    ――極真空手創始者! 大山倍達総裁は空手というジャンルを超えて現在の格闘技界に多大な影響を与えてますね。  
    上田 大山総裁は「右手がダメになったら左手を使え。手がダメになったら右足を使え。右足がダメになったら左足を使え。それがダメになったら頭を使えよ。それでもダメだったら呪ってでも倒せ」と。それが大山総裁の教えですから。
    ――「呪ってでも倒せ」は名言すぎます(笑)。ただ、いまはこの大山総裁のお言葉にしてもそうですが、極真のロマンがなかなか伝わりづらい時代で……。
    上田 そこなんですよ! こんな言い方をすると、ちょっと悪口になっちゃうかもしれないですけど、時代に合ってない。でも、ボクはそこが大好きなんです(キッパリ)。
    ――上田選手、最高ですね!(笑)。
    上田 昭和的思考というか、昔ながらの日本男児、武士道の考えが極真には残ってて。それがいまのこの時代に合ってないからこそ、ボクはそこを守っていきたいし、追求していきたいし、もっともっと広めたいんですよね。
    ――同世代に上田選手みたいな方、います?
    上田 正直、同世代の人間にボクみたいな奴はいないです(苦笑)。 ボクは95年生まれなんですけど、大山総裁は94年にお亡くなりになってまして、かかってないんですけど。やるだけじゃなくて極真オタクというか。昔のことを調べれば調べるほど、どんどん大好きになって、一種のマインドコントロールに落ちてんじゃないかってくらい依存してるんですよ。
    ――令和の極真依存症!(笑)。
    上田 だからいまの世の中で極真の凄さが知れ渡ってないのがくやしいんですよねぇ。たとえばボクのことを知らない人から「身体がでかいけど、何やってるの?」と聞かれたことがあって。「極真やってます」「あ、極真は知ってる。いまって誰がチャンピオンなの?」って世界チャンピオンの自分に聞かれたりとか……。「自分です!」って恥ずかしくて言えない。そういうくやしさの積み重ねが自分を動かしたっていうか、MMA挑戦を決意させたところはあります。
    ――上田選手はひさしぶりの日本人世界王者ですから、MMA転向は周囲から止められませんでした?
    上田 止められたというか、やっぱり「なんでやめるの?」みたいなことを言われました。けど、もういてもたってもいられなかったです。
    ――極真の凄さがわからせたい!と。
    上田 ボクがよく考えてたのは「大山総裁なら何をしたのかな?」っていうことなんですよ。たとえば、いまの時代に大山総裁がいらしたら、絶対にRIZINに殴り込んでんだろうなって。28歳の大山総裁なら、やってるんじゃないかって思っちゃったんですよねぇ。
    ――もしくは「キミィ、ちょっとRIZINで叩いてきなさい」ってお弟子さんの尻を叩いてたかもしれない(笑)。しかし、全世界の20代で上田選手がいちばん大山総裁のことを考えてますよ!
    上田 本当に極真が大好きなんですよ。昔から歴史が好きというか、偉人の伝説や名言に興味があって。ボク、西郷隆盛が好きなんですけど、年1回かならず鹿児島まで西郷隆盛のお墓参りするくらいで。やっぱり伝説的な人物の逸話に「うわ、かっこいい!」って痺れちゃうんですよね。
    ――大山総裁のいちばん好きな話はなんですか?
    上田 やっぱり“牛殺し”ですよね。いまやったら大問題ですけど。あと何ヵ月も山籠りするのもすごいし、世間に戻りづらくするために眉毛を剃る。適切な言い方はできないですけど、強くなるためには頭のネジが外れた行動を取るのが極真の良さですよねぇ。
    ――大山総裁ってあの時代に筋トレをガンガンやって分厚い身体を作ってる時点で只者ではないですよね。
    上田 時代と逆境している感じがカッコいいっていうか、そういうところに憧れを持っちゃうんですよね。みんなが右に行くのに左に行くというか。
    ――その大山総裁に影響を受けたお弟子さんたちが、超人追及を引き継いで極真空手ブームが起きたわけですもんね。極真と新日本プロレスがなかったら、いまの格闘技界のかたちはなかったというか。
    上田 先生方もすごかったですよ。中村誠先生や山崎照朝人先生……もう名前を挙げたらキリがないですけど、皆さんがやってきたことは、先生方の前では言えないですけど……おかしいんですよ(笑)。
    ――ハハハハハハ! ズバリ「おかしい」のひとことに尽きますね(笑)。
    上田 そのおかしい人たちが1日何試合も殴り合ってるわけですからね。昔の先生方は「回数の超人」なんです。ボクたち世代は絶対にやらないと思うんですけど、とにかくなんでも1000回やるみたいな(笑)。
    ――何か練習するにやるにしても1000回(笑)。
    上田 いまの考えだとただ回数を重ねても意味がないと思われがちですが、空手の考えとしては「無駄を無駄と知るのは無駄じゃない」というものがあるんですよ。1000回やってみて身体がどう変化するのかを知る。意味がなかったことを知るのが空手の考えなんです。たとえば冬に滝を浴びる、夏に暑いところで稽古することもそう。冬の寒い中、滝を浴びたら風邪を引いて無駄かもしれない。でも、身体や精神が強くなる場合もある。心の底から1回やってみることが大事なんですよね。
    ――極限状態に追い込むことでしか、わからないものがあると。
    上田 それは百人組手も同じだと思うんです。
    ――極真最大の荒行、百人組手! 上田選手もチャレンジされましたが60人目でドクターストップ。コロナ禍の最中にやってるから、よりハードだったと思うんですよね。
    上田 百人組手をやってみてわかったことは……命の危険ですね(苦笑)。
    ――うわー! でも、八巻建弐先生とか過去の挑戦者も長期入院を強いられるほどですもんねぇ。
    上田 それぐらいやっぱり身体に毒ですね。急性腎不全でボクは2ヵ月は練習ができませんでしたから。
    ――……すごいなあ。でも、極真世界王者であるならば、百人組手はやらなきゃならないものだと。
    上田 やらなきゃならないですね(キッパリ)。そこから逃げたくはなかったです。極真世界王者の使命というか。
    ――上田選手も充分「おかしい」です(笑)。
    上田 ありがとうございます(笑)。記事14本12万字の詰め合わせセットはまだまだ続く…… 
  • 【13万字・記事14本詰め合わせセット】斎藤裕、横山武司、臼田勝美、ケラモフ、計量失敗……

    2023-06-30 23:59  
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    part113◎斎藤裕、石渡伸太郎が生き抜いた“冬の時代”のマネジメント術■遠藤正吾
    ◎超RIZIN2のあれこれ/K-1偽造コメント問題
    ◎JMOC講習会/武尊PPVの値段……
    ◎UFCアトム級新設? ケラモフとドーピング…
    ◎【vsクレベル】鈴木千裕インタビュー「相手が死んだときに攻めろ!!」
    ◎ヴガール・ケラモフ「憧れだったPRIDEの続きができて夢のようだよ」
    ◎【ゆるやかな狂気】横山武司「日本の柔術家で俺が最もMMAに向いている」
    ◎計量失敗のペナルティはどうあるべきか■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ◎伝説のバー『ココナッツリゾート』はこんな店だった■齋藤彰俊
    ◎17歳の外国人女子高生レスラー、後楽園のメインに立つ
    ◎【バチバチ最終回】臼田勝美「ありがとうバトラーツ」
    ◎ALL TOGETHERに見えたリアルな関係 ■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」
    ◎RIZINとクレベルを救った鈴木千裕のマジメな暑苦しさ
    ◎那須川天心ボクシングデビュー前後の超雑談■現地観戦の鬼サーバル
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    斎藤裕、石渡伸太郎をマネジメントする遠藤正吾氏インタビュー。メジャーイベントなき冬の時代を生き抜いてきた裏側を22000字のボリュームでお届けします!(聞き手/ジャン斉藤)
    ――最近は海外マネジメント会社と契約するのが流行ってますけど、それはそれでメリットはあるとして、個人マネージャー的にきめ細かいサポートまでやってくれる遠藤さんたちのほうがやりやすいこともあるのにな……って常々思ってます!
    遠藤 ありがとうございます(笑)。海外の大手マネジメント会社さんは将来性を高く評価されている選手だったり、UFCやベラトール、PFLクラスにならないと、なかなか本腰を入れてサポートしてくれない部分が多いですし、日本でのスポンサー獲得の営業活動なんかも選手に任せっきりだったりしますからね。
    ――いま遠藤さんはどの選手をマネジメントされてるんですか?
    遠藤 有名どころで言いますと、斎藤裕選手、中村K太郎選手、アキラ選手、越智晴雄選手、DEEPフライ級GPで活躍した本田良介選手や宇田悠斗選手、パンクラスのバンタム級1位・井村塁選手、元ムエタイ三冠王の雅駿介選手や、引退しましたけど石渡(伸太郎)さんなどです。デビュー戦の選手から国内トップクラスの選手まで担当しています。自分のほうからスカウトすることはなくて、基本は選手や関係者からの紹介ですね。あとは選手から直接ご依頼をいただいたり。
    ――下世話な質問ですけど、ビジネスになるのはトップ選手になってからですよね。
    遠藤 まあ、そうなりますね(笑)。メジャー団体と契約している選手、もしくはDEEPさん、パンクラスさん、修斗さんの王者や元王者、王者クラスもいますけど、それでもビジネスになるとは正直、言い難いところはあります。将来を見据えてサポートさせていただいているところはありますね。
    ――そこは芸能人やタレントのマネジメントと同じなんですね。売れっ子になるまでは赤字前提で。
    遠藤 そうです。なので新人だからといって、手を抜いたりとかは一切ないです。
    ――遠藤さんがもともとこの仕事に入るきっかけは?
    遠藤 2006年にトライファイトという格闘技のアパレルやグッズを扱う会社を設立しまして。それまでは格闘技ファンでした。ファイターになりたいという気持ちはなかったんですけど、格闘技に携わる仕事をやりたいなと思ってまして、当時グッズを扱うところが少なかったんですよ。イサミさん、ブルテリアさん、公武堂さんが有名どころで。会社を設立して自分1人が食べていけるぐらいはできるかなと。当時はPRIDE人気がすごかったんですが、UFCのブレイクでこれからいよいよアメリカのマーケットが開拓される感じもあったので、アメリカンMMAブランドを仕入れようと。そこはあんまり扱ってるところは少なかったんですよね。
    ――ブルーオーシャンじゃないかと。
    遠藤 はい。そこのシェアをほぼ獲得できるだろうと。いま思えば若かったし、楽観的に考えてたんですけど、もう全然PRIDEさんやHERO’Sさん、その後のDREAMさん、戦極/SRCさんの人気が凄くて、みんなアメリカのMMAブランドに目が向かずに日本の団体で人気のある選手が着用されているブランドしか売れないという(笑)。ちょっと早すぎましたね。
    ――その流れで選手のサポートが始まったんですか?
    遠藤 最初は物品提供とか、ショーツのプリントなんかでサポートさせていただいて。石渡さんと共通の知り合いがいて、その方の紹介で石渡さんから始まりました。当時の石渡さんはガッツマンさん所属で、そこの先輩だった廣田(瑞人)さんや奥野(泰舗)さんを紹介していただいて。
    ――いまのCAVEを立ち上げる奥野さんですね。
    遠藤 はい。当時、廣田さんや奥野さん、石渡さんにはマネージャーさんがいらっしゃったんです。でも、それだけで家族を養っていくのはなかなか難しいので、他の仕事もされていまして、そっちのほうがかなり忙しくなってしまったことで「代わりにやってもらえませんか?」と。格闘技自体は好きでしたし、業界の内側の方にも興味はありましたので「うまくできるかわかりませんが、できるかぎり頑張ります」ということで。
    ――日本人選手専門のマネジメントって珍しいですよね。
    遠藤 ほぼいなかったんじゃないですかね。
    ――あの頃は日本に外国人選手を招聘する役割が主というか。日本人選手は団体がマネジメントも兼ねるみたいな感じだったんですよね。
    遠藤 そういう選手が多かったと思いますね。マネージャーみたいな方はいたけど、選手のさまざまな仕事を管理する方はいなくて、そこは所属ジムの代表の方がやられていたり、友達にやってもらったりとか。それはいまでもありますけどね。
    ――遠藤さんもきっかけは「知り合いだから」ですもんね。
    遠藤 そうなんですよね。それで最初の仕事がUFCとの交渉だったんですよ(笑)。
    ――いきなりハードルが高い!(笑)。
    遠藤 当時の廣田さんはDEEPさんのライト級チャンピオンだったんですけど、UFCが久しぶりに日本大会を開催して。UFC144だったかな。
    ――ベン・ヘンダーソンvsフランク・エドガーのタイトルマッチがあったナンバーシリーズ。
    遠藤 せっかくUFCが来るので廣田さんと石渡さんを誘って観戦しに行ったんです。当時はたしか日本のメジャーは戦極/SRCさんは休止というかたちだったんですかね。
    ――戦極はもうやってなかったですね。DREAMもその年の大晦日の1回やっただけで。
    遠藤 国内では先が見えない中で、UFCの盛り上がりを目の当たりにして「やっぱり、いまはここを目指さなくちゃいけないのでは?」となったんです。当時のUFCのライト級のマッチメイカーはジョー・シルバだったんですけど……。
    ――90年代からUFCを支えた名物マッチメイカーですね。いまはリタイアしちゃいましたけど。
    遠藤 問い合わせたら「UFCはいまはライト級の枠がないけど、ストライクフォースだったらすぐ組めると思う」と言われまして。当時はショーン・シェルビーがストライクフォースのマッチメイクもやってたんです。
    ――いまのUFCのマッチメイカー。ストライクフォースがUFC傘下に入った時代ですね。
    遠藤 はい。それでショーンに連絡したら、パット・ヒーリー選手と次期挑戦者決定戦を提示されたんです。アメリカのニュースサイトや関係者からの情報によると、いずれストライクフォースはUFCに完全に吸収されるだろうという憶測もあって、すぐにUFCと契約できないならまずはストライクフォースと契約したほうがいいんじゃないかっていうことで。
    ――実際にストライクフォースの契約ファイターはUFCへ移管することになって、廣田さんもUFCファイターとなりましたね。ストライクフォースに参戦するにあたって、佐伯さんともお話はされたんですよね?
    遠藤 もちろんです。当時DEEPチャンピオンでしたので、佐伯代表に相談することがマネジメントとして、いの一番の仕事でした。佐伯代表もUFC日本大会を見られたとのことで「あの大会の盛り上がりを見たら上を目指す選手としては、現状だとUFCを目指さなくちゃいけないよね」と快く応じてくださいました。佐伯代表は廣田さんのマネジメントが変わるとなったときに「やっぱりウチのチャンピオンだから、そう簡単に、はいそうですかでは終わらせられない」ということで、ジム代表の奥野さん、元マネージャーさん、私の3人でDEEPさんの事務所にご挨拶にうかがわせていただきました。で、実際に会ったら「えっ、新マネージャーの遠藤さんってウチのグッズも扱ってる遠藤さんなの? 早く言ってよ~。だったら大丈夫ですよ」と(笑)。
    ――まったくの外部の人間だと共通言語が成立しない場合があったり。
    遠藤 そうなんですよね。言い方が適切じゃないかもしれないですけど、各業界それぞれのルールみたいなものがあるじゃないですか。そこにどっぷり漬かってないといけないわけではなくて、それなりの筋を通して物事を進めていったほうがあとになって揉めないですし、そこらへんは理解していたつもりではいましたけど。佐伯代表は「こうした場合はこうやったほうがもっとスムーズに進むよ」とかいろいろと教えてくださいました。プロモーターとマネージャーってファイトマネーなんかの交渉もするので、ある意味、敵みたいな関係性だったりする場合もあるんですけど、それでもすごく親切に教えてくださいましたね。なので変な話ではありますが、ボクにマネジメントのイロハを教えてくださったのは佐伯代表です。
    ――佐伯さんってプロモーターサイドでありながら、選手目線で配慮することが多いですよね。
    遠藤 そこのバランス感覚はすごいですよね。なかなか話が進まない場合でもWin-Winになるような落としどころを見つけてくださって「ここまではやれるけど、ここから先はできないよ」と正直に言ってくださるし、そのあとのことも考えてくださる。そのご配慮やお気持ちは選手にも伝わりますので。
    ――いまはそうでもないけど、団体側ってマネジメントに対して固い時代ってあったじゃないですか。
    遠藤 いまは時代が変わって、自分の場合はお世話になっているどの団体さんともコミュニケーションが取れてるとは思っていますけど、やっぱり線を引くところは引いてますよね。たとえばRIZINさんはコロナ禍以降は選手の控室にマネージャーは入れない決まりになってるんです。選手とセコンドだけ。マネージャーはある程度のエリアまでは入れるんですけどね。マネージャーがセコンドに入る場合はセコンド扱いになるので入れますが。
    ――昔のメジャー団体って選手の知り合いなら誰でもバックステージに入れちゃったんですよね。選手入場のときにみんなゾロゾロ一緒だったりしたのはそのせいで(笑)。
    遠藤 その点、RIZINさんはちゃんとしてますよね。ホテルから会場に向かうバスにも通訳さんは別として、選手とセコンドしか乗れないですし。公開計量はOKなんですけど、本計量のほうは選手とセコンドだけしか部屋に入れないです。
    ――RIZINらしからぬマジメぶりですね(笑)。
    遠藤 セコンドとファイターのパスは顔写真付きです。ファイターは誰でもわかりますけど、セコンドって元選手だけではないですし、わからないじゃないですか。やっぱりバックステージをフリーにしちゃうとトラブルが起きかねないですから。
    ――話を戻すと、廣田さんがストライクフォースと契約したときは、ファイトマネーの交渉もされたんですか?
    遠藤 交渉というか、向こうから「この額でお願いします」と。たしか当時の相場はまだ〇千ドル+〇千ドルのスタートだったんです。ただ、戦極で王者になってましたし、DEEPの現役チャンピオンということで〇千ドル+〇千ドルのスタートにしていただいて。
    ――ファイトマネーの相場を知っていないと、めちゃくちゃな数字を要求しちゃってトラブルになるケースはありますよね。
    遠藤 性格的にやるんだったらきちんとやりたいなと思いまして、そこは前もって相場を調べたり、多くの関係者に情報収集をしていたので。あまりにも安かったらどうしようかと考えてプランABCを立ててました。なにより選手が納得できるかたちで進めていこうと。興味のある世界なのでやっぱり楽しかったですね。「こういう仕組みになっているんだ」「この選手はだからよく使われるんだ」とか。
    ――どういう選手が売れるか見極めがついてくるわけですね。
    遠藤 でも、やっぱり一番は強くて、試合が面白い選手が売れていきますね。そこはどの団体も変わりはないと思うんですけど。たとえば代役出場だったり、バーターとか何かしらのきっかけがあっても結果を残さないと長くはチャンスをもらえない。
    ――最近でいうとRIZINで萩原京平選手は白川陸斗選手の対戦相手としてピックアップされたけど、そのチャンスを最大限に活かして。
    遠藤 そこはもう萩原選手がアッパレですよね。あそこまで人気が出ましたし。それは萩原選手がチャンスをものにする力や魅力があったってことだと思います。
    ――具体的な数字は言えないと思うんですけど、最初のマネジメント料はどれくらいだったんですか?
    13万字・記事14本詰め合わせセットはまだまだ続く…… 
  • 【13万字・記事15本詰め合わせセット】斎藤裕、平本蓮、引き込み問題、今成夢人、サイモン猪木…

    2023-05-31 23:59  
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    part112◎斎藤裕、平本蓮戦を振り返る…「ボクのほうが負けられない状況でした」
    ◎「自分に負けました」……平本蓮、斎藤裕戦を反省する
    ◎【MMAミステリー】牛久絢太郎はなぜ引き込んだのか? ■セコンド横田一則
    ◎【ミノタウロスの迷宮】RIZIN代々木を語ろう■笹原圭一
    ◎RIZIN有明、超RIZIN!! 笹原圭一の「気分はインスタライブ」
    ◎井上直樹vsアーチュレッタを絶対に見返したくなる話■セコンド水垣偉弥
    ◎【ROAD TO UFC!!】神田コウヤ「すべてを拳でひっくり返せるのが格闘技です」
    ◎【カラダの研究】計量失敗する人・しない人■タケ ダイグウジ
    ◎【配信時代を語る】DEEPはなぜU-NEXTに入ったのか■佐伯繁
    ◎K-1MAXのあの日から繋いできたRIZIN代々木の熱
    ◎元・娘婿サイモン・ケリーが語るアントニオ猪木「倍賞美津子さんのサプライズは……」
    ◎今成夢人のファンタスティックな話■松澤チョロの脱線プロレス
    ◎WWEが人種差別的なストーリー? シナリオライターの告発
    ◎ビンス・マクマホンの幕引きはいつか■斎藤文彦INTERVIEWS
    ◎遺されたエディ・ゲレロファミリーの告発と確執
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    RIZIN代々木で平本蓮を破った斎藤裕インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)
    ――2年ぶりの勝利おめでとうございます!
    斎藤 ありがとうございます!
    ――一部では「塩試合」みたいに言われてますけど……勝利はどんな味ですか?
    斎藤 全然しょっぱくないです(笑)。
    ――ハハハハハハ!
    斎藤 最高ですよ。勝ったらなんでもいいとは思いますけどね。
    ――勝っても納得がいかなかったことってあるんですか?
    斎藤 うーん、ただ本音のところでは、ケラモフ戦はどうかな?と思いましたけど。内容的にもあんな感じだったんで。
    ――ケラモフの反則三昧がポイントになってしまって。
    斎藤 ちょっと後味が悪いというか。お互い出し切ったうえでだったら、まだいいんですけど。もうちょっとなんとかならなかったのかなっていう感情はありましたね。せっかくの東京ドームだったし。
    ――今回の平本戦は内容も含めて納得できたんですか?
    斎藤 はい。やっぱり強かったですね。思ったより、すごくしっかり練習してきていることを感じました。もうちょっと楽にいけるかな……って考えもあったんですけど、途中から「これは3ラウンドになるかもな」と。
    ――いろんなシチュエーションを想定して臨んだんですね。
    斎藤 そうですね。背中を付けることができたら、うまくいったら一本獲れると思いました。1ラウンドで獲れなくても2、3ラウンドでいけるかなと。そこまで持っていけなかったんで、ちょっと時間かかるなって。最終的にフルラウンドになってしまいましたね。1ラウンドの四つからのテイクダウンで立たれて、そこからもう1回トライしようと思ったんですけど、ちょっと対応がうまいなって思ったんで。これはちゃんとやらないとテイクダウンできないかもなって思い直して。背中は見せてくれるかなと思ったんですけど、小手で巻いてやってきたんで、あれはちゃんと練習してきてるってことですね。
    ――想像以上に平本選手が対応してきたと?
    斎藤 ケージを背負ってディフェンスして、それに耐えて打撃っていう選択だったのかなって思ったんですけど、組みを受けてくれるんだったら大丈夫かなと。
    ――試合を通して危機感をおぼえた瞬間はありましたか?
    斎藤 効かされてないんで、打撃で。なんかわかんないけど、顔が切れたり鼻血を出したりしてるんですけど(苦笑)。「効いた!」「うわ、イヤだな!」っていう打撃はなくて、たぶんケージ際のコツコツなのかな。スタンドで効いたのは足を蹴られたぐらいで、こんなに蹴られたことはなかったです。蹴りは早かったですよね。サウスポーのインロー。さすが立ち技出身。
    ――ここまでテイクダウンを許さなかったのは意外だったけど、逆にパンチで攻められなかったのも意外というか。
    斎藤 本人も背中をつけたらヤバイってのはあったと思うんで、全力で凌ぐ、全力で立ち上がるっていう。でも、それが結果的に彼の攻撃力や体力を奪ったと思いますね。
    ――MMAは連動しているわけですね。
    斎藤 どっちにしても自分がどんどん仕掛けていく試合をやろうと思ってました。
    ――1ラウンドの平本選手は、やや後ろ重心だったんじゃないですか。途中で前傾になりましたけど、また後ろ重心に戻した。そのへんはどう察知されてたんですか?
    斎藤 そこはセコンドの岩崎(達也)さんの指示どおりに本人が動いてたのかなとは思うんですけど、ボクはあんま気にもならなかったです。どっちだろうが大丈夫かなと。
    ――平本選手の手数が出ていないんじゃないかという声が一部ありますが、対峙してどう思われました?
    斎藤 最初はサウスポーで構えましたね。ボクはサウスポーのほうがやりやすいなと思ってましたけど、距離を取って入り際に合わせるってことを狙っていたと思ったんです。自分のテイクダウンのプレッシャーに対して、どんどん下がっていって受けになった感じがあったかなって思ったので。ボクはサウスポーでもオーソでもやりやすかったですね。
    ――入り際に合わせてくるプレッシャーは感じましたか?
    斎藤 狙ってるなとは思いました。もともと時間をかけてやるつもりではいたので、入れるときに入って倒しにいくという簡単なプランというか。対応できなかったらドミネーターさんみたいな感じになるのかなと思ったんですけど、向かい合ってみて大丈夫だと思いました。
    ――一瞬バックを突かれたじゃないですか。
    斎藤 ああ、あれはボクのミスですね。イージーミスですね。ちゃんと試合を振り返ってないんで、断片的なんですけど。自分がテイクダウンにいったときに平本選手が小手で立ち上がってきたからガブろうと思ったんですけど、それがちょっと甘くて脇に潜られたっていう感じです。後ろに突かれて何回か崩されたんですが、ああやって崩していくほうも疲れるんですよね。あえてもう少しやらせようかなと思ったんですけど、印象的によくないかなと思ってすぐに切って。バックのときも殴られてはないですけど、攻められてる感じはありますね。もう1回、自分のターンにしないとなって思いました。
    ――平本選手がCAVEに来られたときはシチュエーションスパーで肌を合わせたくらいですけど。それだけでは計れないかもしれないですが、あの時期と比べても成長してる感じはありましたか?
    斎藤 1年前ですよね。それは成長してますね。いろんな組み技の攻防を覚えてきてるというか、違和感はなくなってきてるとは思うんですけど……それはディフェンスに関してはですね。
    ――ディフェンス以外が今後問われてくるっていうことですか?
    斎藤 ちょっと説明するのは難しいんですけど、組み技を受けながら、打撃で攻めるのって疲れるし、打撃も少し誤差が出てくるというか。打撃だけで考えれば手も張らないし、組み技をやらないほうがきれいに出せると思うんですけど、ああいうグチャグチャな攻防をやると手がパンパンなってくるし、その状態でしっかり相手を狙って打撃を打つ。その厳しさは経験しないとわかんないんですよね。
    ――そこは練習だけでは身につかない。
    斎藤 練習と試合ってやっぱり違うんで、そこを実戦で感じて自分のものにするのが難しいんですよね。そこはアマチュア経験も大事だし、それはやらないとわからない。彼にその景色を見せられたかなと思いました。
    ――打撃と組みという異なる技術が不規則に絡み合う競技の過酷さですね。
    斎藤 本当に試合と練習では違うんですよ。そこはいろいろ感じてもらえたらとは思ってました。
    ――判定って割れると思いました?
    斎藤 ……「ウソだろう!?」って声が出かかりましたね(苦笑)。13万字・記事15本詰め合わせセットはまだまだ続く…… 
     
  • 【13万字・記事14本詰め合わせセット】平本蓮、平良達郎、武藤引退、鈴木秀樹、西川大和…

    2023-03-31 23:59  
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    非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! part110大好評記事13本14万字で600円!!(税込み)
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    part110
    ◎平本蓮「佐山聡さんを意識して戦います」

    ◎平良達郎が頼もしいくらい贅沢なことを言ってくれる!!

    ◎闘争家、北米PFLへ!! 西川大和「自分が好きな格闘技で生きていける」

    ◎井上直樹vsキム・スーチョル幻のバンタム級王座決定戦■シュウ・ヒラタ

    ◎西川大和はなぜPFLを選んだのか?

    ◎vs朝倉未来!! 牛久絢太郎インタビュー

    ◎【ナマズ節】芦澤竜誠インタビュー「皇治はバカ」

    ◎春の閉店セール? RIZIN最終回説/RIZIN広報・笹原圭一◎同期・船木誠勝が語る武藤敬司vs蝶野正洋 「2人はデビュー戦から大人でした」

    ◎武藤vs内藤が問う観る側のプロレス・リテラシー■斎藤文彦INTERVIEWS

    ◎猪木さんは「おまえ、俺のことを信用してねえだろ」と……鈴木秀樹インタビュー

    ◎「プロレスLOVE」以前の武藤敬司が大好きだった

    ◎アメリカから帰ってきたSareee 「“戦うプロレス”がずっと私の中にあります」

    ◎いまだ「AEW所属」CMパンクの見えない復帰ロード


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    IGFのゲノムを受け継ぐ鈴木秀樹が語るアントニオ猪木!(聞き手/ジャン斉藤)
    ――猪木さんのIGFでデビューされた鈴木選手にお話を伺いたいなと。
    鈴木 猪木さんが亡くなられたのは10月1日ですよね。あっという間ですねぇ。
    ――みんなが猪木さんのことをずっと語っていることもあって、亡くなられた感じがしないんですよね。
    鈴木 ボクは亡くなられた翌日の朝に「お顔を見に来ませんか」と連絡があったんですね。ボクは猪木さんの近しい人とは言えないんですけど……。
    ――謙虚ですね(笑)。
    鈴木 いやあ、謙虚というか、猪木さんがつくった会社(IGF)で仕事してましたけど、そんな人間はたくさんいるわけですし、決して特別じゃないですよ。それでも行かせていただいたんですが……接点があった方の亡くなった姿を見るのは、本当に何十年ぶりぐらいですね。北海道から東京に出てきてからは、そういう機会がなかったんで現実感がなかったです。猪木さんの顔はリラックスされてるというか……最後は大変だったじゃないですか。
    ――ずっと闘病されてましたもんね。猪木さんに最後に会ったのはいつですか?
    鈴木 2021年にWWEに行く前に、ビザを取得したんですけど、それがアーティストビザっていうやつなんですよ。取得するのが難しいビザで、ピースの綾部(祐二)がなかなかアメリカに行けなかったじゃないですか。それはそのビザを取得するのが難しいからです。書類もたくさん用意しなきゃいけなくて、証人が必要だったということで、猪木さんにお願いをしました。当時の猪木さんの事務所は麻布だったのかな。猪木さんをマネージメントされてた甘井(ともゆき)さんがつないでくれたんですけど。猪木さんと最後に会ったときのツーショット鈴木 猪木さんはやっぱり国際的にも名前がある人ですからね。議員をやったことや、モハメド・アリと戦ったこの2つが一番大きいんじゃないですかね。
    ――WWEで仕事するのに猪木さんにサインしてもらうっていい話ですね。
    鈴木 そのあとは全然、早かったです。アメリカ大使館の面接あるんですけど、とくに何も聞かれず。「WWE?誰、好き?」という話だけして終わったんですよ(笑)。WWEは上場企業だし、アメリカ合衆国政府からも信頼されてますからね。
    ――そのときの猪木さんは闘病生活に入る前ですよね?
    鈴木 そうですね。転んで大ケガしたくないから杖を付いてるだけで「普通に歩けんだよ」って全然元気でしたよ。そのあとは体調が悪くなって……本当にお疲れさまでしたという感じでしたね。
    ――やることはやり尽くしたって感じですよね。
    鈴木 いや、まだプラズマがやりたかったんじゃないですか?(笑)。
    ――そうか、発明だけは心残りですね。失礼しました(笑)。
    鈴木 ボクが会ったときもプラズマの話をされました。そういう話を聞けると「猪木さん、元気だな!」と思いました。ジャンさんならわかると思うんですけど、猪木さんってプロレスの話は能動的にされないじゃないですか。
    ――積極的にプロレストークはしないですね。
    鈴木 聞けば返ってくるけど、そうでもなくて……。
    ――モハメド・アリ戦の質問をしても、いつのまにか世界平和の話になってますからね(笑)。猪木さんが言いたいことを無視して質問するぐらいじゃないと。
    鈴木 ボクも、わりとそんな感じで突破してましたよ(笑)。最後に会ったときも「英語しゃべれんのか?」「全然、しゃべれないです」みたいな話をしていたら、いきなり「俺はいまプラズマなんだよ」と(笑)。
    ――それが猪木さんですよね(笑)。
    鈴木 ボクがIGFをやめるときも、議員会館でお会いしたんですけど。1時間のうち55分ぐらいはまったく関係ない話で。猪木さんからすれば、やめる・やめないは小さい話なんですよ。
    ――亡くなる前に旧IGFの方と和解したのも、小さい話はどうでもいいってことですよね。誰とでもシェイクハンドできる。
    鈴木 裁判の話は詳しくなかったですけど、最終的に猪木さんが決断したんだったら、それでいいんじゃないかなと思います。奥様がつくった会社のスタッフの人たちは、何か思うところがあったのかもしれないですけど。結局、最後は本人の意志になるし、猪木さんがやると決めたことが違うと思ったのならば、猪木さんから離れればいいだけで。合ってるとか間違ってるとか関係ないですよね。
    ――ボクも「いいか・悪いか」で物事をジャッジしないのは、猪木さんの影響もありますね。基本的にIGF以降の猪木さんってウオッチされてないというか。IGFのことをよくわかってないプロレスファンが多いと思うんですね。
    鈴木 IGFの中にいたボクも、IGFのことはよくわかんなかったです(笑)。
    ――ハハハハハハ! 引退後の猪木さんってプロレスに関心がなかったなんて言われますけど、スイッチが入るときもありましたよね。
    鈴木 あります。食事の席で何か質問すると答えてくれましたし、猪木さんのプロレスの話で覚えてるのは、IGFでピーター・アーツとはじめて試合したときですね。会場入りした猪木さんに挨拶に行ったんです。そうしたら「ちょっと待て。オマエ、ゴングが鳴ったら、浴びせ蹴りに行け。俺が試合でやっていたのがわかるか?」と。猪木さん、試合開始早々よく浴びせ蹴りをやってたじゃないですか。「当たんなくてもいいからいきなり行け。ゴングが鳴った瞬間、何も考えずにやれ」と。もうひとつは、「アーツは身体がデカイから何回もロープブレイクができちゃう。最初のうちはいいけど、3回目ぐらいにブレイクしたら、そのあと蹴れ」って言われてたんです。
    ――なるほど! 
    鈴木 ボクはそれまでお客さんが試合で湧くことを感じたことがなかったんですよ。あったのかもしれないんですけど、もしかしたら湧かせることができないレスラーかなと思ってて。でも、その試合は負けたんですけど、猪木さんのアドバイスを活かして戦ったら、すごい盛り上がってくれたんです……IGFなのに(笑)。
    ――IGFって唐突に試合が終わっちゃうことが多いから、湧くに湧けないことがけっこうあって(笑)。
    鈴木 しかも相手がキックボクサー、プロレスラーじゃないんですよ。はじめて湧いた試合が異種格闘技戦で。
    ――ピーター・アーツ相手に、いきなり浴びせ蹴りやれば、お客さんは意表を突かれますよね。で、ロープブレークが多くなるとフラストレーションは高まるから、そこでストピングをやれば盛り上がる。
    鈴木 ということだったんですかね。猪木さんはボクとアーツの身体のサイズから、そこまで読んだんでしょうね。でも、ボクは浴びせ蹴りをやったことなかったんですよ(笑)。かたちは知ってますよ。で、ピーター・アーツと試合することに気乗りしてなかったんですよね。怖いとかじゃなくって、プロレスの試合をしたかったんです。猪木さんはもしかしたら、そこも見透かしてたかもしんないですけど。浴びせ蹴りをやったら、緊張がほぐれて、わりと落ち着いて試合に入ることができた。結局、IGFでピーター・アーツとはタッグも含めたら6回ぐらいやったんです。
    ――その試合が好評だったからですか?
    鈴木 たぶん、そうだと思います。当時のIGFって、受けたら何回でもやるんですよ。月に1回しか試合がないのに(笑)。
    ――どこでもアーツ(笑)。
    鈴木 お客さんがもっとも評価してくれたのがアーツの試合です。プロレスラーとの試合じゃないのにいつも受けたのは不思議です。それは猪木さんのアドバイスがきっかけですね。
    ――猪木さんは計算じゃなくて感性なんでしょうね。
    鈴木 本人はたぶん計算してると思うんですよね。でも、計算してる意識はないというか。だからあの時代に異種格闘技戦ができたのは、猪木さんだからこそだったんじゃないですかね。
    ――初めてプロレスのリングに上がる格闘家相手に戦うって、強さとセンスが問われますよね。
    鈴木 猪木さんはホントに強かったですよ。猪木さんがIGF道場に来られたときに、横四方の抑え込みを見せてくれたんですよ。何人か相手にやったんですけど、急にボクのほう見て「……オマエは信用してねえだろ?」と。
    ――それはつまり、わざと接待してるんじゃないかと?
    鈴木 はい(笑)。「みんなが遠慮してやってると思ってんだろ?」みたいなことを言われたから「はい。やってもらっていいですか?」と。
    ――鈴木選手も素直ですね!(笑)。
    鈴木 猪木さんは「いいよ」と言ってくださって。あれは2010年頃だったから猪木さんは60後半ですかね。ボクも接待するのはイヤだったし、ダニー・ホッジやビル・ロビンソンのときも遠慮しなかったんですよ(笑)。
    ――ハハハハハハ! そこで体感した燃える闘魂はどうでした? 
    13万字・記事14本詰め合わせセットはまだまだ続く…… 
  • 【15万字・記事14本詰め合わせセット】佐藤大輔、猪木側近、堀江圭功、梅野源治、清宮「顔面蹴り」…

    2023-02-28 18:07  
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    part109
    ◎「PRIDEのテーマ」を使った理由■RIZIN演出統括・佐藤大輔

    ◎NARIAGARI皇治 人生の成功者インタビュー

    ◎【ヤバイだろ】梅野源治「職人のままで終わりたくなかった」

    ◎“平成のブレイキングダウン”地下格闘技とは何だったのか? 佐野哲也

    ◎堀江圭功「すべてをさらけ出して強くなった!」

    ◎清宮海斗の「顔面蹴り」と「平和ボケ」■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」

    ◎“最後の側近”甘井もとゆきが語るアントニオ猪木&ズッコ夫妻

    ◎ジェイ・ブリスコよ、安らかに眠れ…追悼番組を巡るAEWの献身と戦い

    ◎中村倫也「修斗、レスリング、PRIDEがUFCに連れて行ってくれた」

    ◎井上直樹、RIZINとの契約残り1試合■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク

    ◎キックとスキャンダル、プロモーター論■KNOCK OUT 宮田充プロデューサー

    ◎「大沢ケンジvsジョビン」論争に微妙に巻き込まれた水垣偉弥

    ◎WWE身売り説とSNS情報の暴走■「斎藤文彦INTERVIEWS」

    ◎ぱんちゃんの復帰は甘いのか/那須川天心はメインイベントにすべきか

    ◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉アントニオ猪木のマネージャーを務めた甘井もとゆきインタビュー!! 16000字でお届けまします!(聞き手/ジャン斉藤)
    ――甘井さんは2022年7月まで猪木さんのマネージャーをされていました。いわば猪木さん最後の側近というか。
    甘井 私が会長のマネージャーを務めさせていただいたのは、2017年の6月から2022年の7月までの5年間ですね。その前から会長とは繋がりはあったんですけどね。
    ――甘井さんは猪木さんの奥さんのズッコさん(田鶴子)とも長いお付き合いがあって。
    甘井 はい。ズッコさんは昔はTBSのカメラマンをやられていて。お仕事を何回かするようになって。のちにズッコさんが六本木でやられるお店にも通わせていただきました。
    ――猪木さんは22年8月から、かつてIGFを一緒にやっていた方々がマネジメントすることになったんですが、その直後の10月1日にお亡くなりになるという。
    甘井 会長にしたらね、生きてるうちに全部片付けたかったんでしょうね。報道されているので皆さん知ってると思うんですけど……。
    ――旧IGFとは裁判で争っていましたね。亡くなる直前に和解して、再び一緒にやっていこうと。
    甘井 そういうものを残さずに全部片付けていきたいというのが会長の希望だったと思うんです。結局裁判というものは当事者が亡くなったとしても引き継いだり、残ったりするじゃないですか。相続に関してもそこはネックになってきたりするんで。会長は娘さんやお子さんに迷惑のかかることは避けたいと思われたんじゃないかな、と。
    ――生きているうちに和解しようと。
    甘井 会長は歳を取って体調も悪くなっていった中で、海外に住んでいるお子さんたちに会いたがっていたんですよね。寛子さん(倍賞美津子の長女)とよく電話していたので、寛子さんに来日のお願いを打診したことがあったんですけど、ちょうどコロナと重なったり、いろんな事情があって難しかったんですよ。会長は娘さんや息子さんに会いたかった思いが強かったです。
    ――息子さんもアメリカですもんね。猪木さんが旧IGFに戻られることで甘井さんはマネージャーではなくなったわけですけど、その寂しさは……。
    甘井 当然ありました。やっぱり寂しいのは寂しかったですけど、まあ会長が決められたことなんでね。
    ――その件に関して、猪木さんと何かお話はされたんですか?
    甘井 いろいろと話はしました。けど「もう俺が決めたことだから」と。会長が1回決まっちゃうと、頑固なんですよね。あとはやっぱり会長は昔から何事も見切り発車で始まって、走りながらかたちにしていく方なんで。
    ――闘病生活中の猪木さんをずっと支えていたのはズッコさんや甘井さんでしたよね。
    甘井 いちばん大変だったのは奥さんだと思います。ズッコさんのことでボクがちょっと寂しいのは、元・奥さんの倍賞さんは女優さんですし、会長とのあいだには娘さんもいます。会長のいちばんいい時期を支えたのは倍賞さんだみたいなことを書かれちゃいますよね。でも、やっぱりいろんな時期の会長がいて、会長の晩年を本当に支えたのはズッコさんだと思います。会長がよく言われてましたけど、ズッコさんは自分の寿命を削って、会長を長生きさせるために全力を尽くしてましたね。
    ――旧IGFとの裁判が和解されたのは、当事者のひとりだったズッコさんが亡くなったこともひとつの理由としてあるんですか?
    甘井 それまでは弁護士を立ててね、お互い直接会うこともなかったんです。けど、ズッコさんが亡くなられてから、向こうの方と会う機会も増えていったんです。まあ、猪木さんの場合は、こうと決めたら止まらないですから。
    ――周りからすると本当にびっくりすることが多かったんでしょうね。
    甘井 会長自ら「猪木の常識、非常識」って言われてますから(笑)。会長って逆張りするのが好きなんですよ。ひとつ感心したのが「俺が逆張りばっかりしてると思うけど、そこは感性は大事なんだよ。みんながみんながこっちだ、こっちだって発していたら、どうなるのか。戦争が起きちゃうんだよ。だから誰かが逆に張っていないとダメなんだよ」ってことはよく言われてます。あれだけ非難されても北朝鮮の外交にこだわっていた会長はすごいと思いますね。たぶん猪木会長が訪朝して、現地の映像なんかを持ち帰っていなかったら、北朝鮮って軍事パレードだけのイメージですよね。そういう意味では平和の役に立ってたんだなと思います。
    ――猪木さんは独裁国家や共産圏といった日本と繋がりの薄い国と交流を図ってましたね。旧ソ連やキューバ、そして北朝鮮と。
    甘井 キューバはね、IGFで計画していた興行をやってほしかったですね。あれはウルティモ・ドラゴンさんのサポートでやろうとしてたんです。キューバがアメリカと国交回復した頃に、ローリング・ストーンズの120万人コンサートが実現するんですけど。もしプロレスもやれたら、それに匹敵するような話題性はあったと思うんですけどね。会長はそういうのが大好きじゃないですか。
    ――とにかくあっと驚かせるのが猪木さんのやり方で。
    甘井 誰かにボールを投げ続けたい方ですよね。会長をコントロールしようとするとすごくつまらないんです。やっぱり会長に自由にやってもらったほうが圧倒的に面白いし、会長に「これはダメですよ」って繰り返すと絶対にやるんですよ(笑)。
    ――「押すなよ!押すなよ!!」の精神ですか(笑)。
    甘井 そこは茶目っ気があるんですけど、ズッコさんにも言われたんですよ。「会長にこれはダメですよってしつこく言うと、絶対やっちゃうわよ」って。
    ――PRIDEのときも「何か言うように頼まれたんですが、忘れてしまいました!」とか言い出す人ですよね(笑)。そこはセオリー通りにはいかないというか。
    甘井 こんなこと言ったらいいのか悪いかわからないですけど、昭和のプロレスラーって狂ってる部分もすごいあったと思うんですよ。狂気をはらんでいるというか。そういった会長と向き合ったのは中邑(真輔)選手が最後ですよね。
    ――最近よく猪木さんの名前を出すオカダ・カズチカは、そういうアントニオ猪木を知らないですよね・
    甘井 会長もオカダ・カズチカ選手のことはよく知らないんですよ。オカダ選手は、会長が中邑選手や棚橋弘至選手と絡んだときのこと、知らないはずですよね。新日本が割れて、どれだけ大変だったとかも。そのへんで苦労した人たちは、会長と関わることはタブーでしたよねぇ。2017年にISMという大会を後楽園ホールでやったんですよ。ボクの友人が新日本オーナーの木谷(秀明)さんと知り合いだったもので、お会いすることになって。木谷さんに議員会館まで来ていただいたときに「ISMという大会をやりたいんで、新日本に協力してほしい。誰か選手を出してもらえないですか?」とお願いしたら、当時新日本所属だった北村(克哉)選手の名前があがって。
    ――先日急逝された北村選手。
    甘井 木谷さんは「北村選手だったらスタイル的にも合うんじゃないか。でもボクの一存で決められないんで、会社に戻って役員会で通してみます」という話だったんですけど。次に会ったときに「ごめんなさい。役員会にかけたら賛成したのがボクとタイガー服部の2人だけでした」と(苦笑)。
    ――異常なアントン・アレルギー!(笑)。
    甘井 それからしばらくしてオカダ選手が会長の名前を出したときがあったじゃないですか。
    ――2020年2月の札幌大会のリング上ですね。「気になっている人」ということで突然猪木さんの名前を出しました。
    甘井 そのすぐあとに新日本からボクのところに電話がかかってきて、オカダ選手が会長の名前を出してしまったと。ボクらの世界ってそういうことを根回しなしにやらないですよね。それでこっちが反応しなかったら、会長は言われ損になっちゃいますし。
    ――そもそも新日本は猪木さんと絡みたくなかったのに。
    甘井 なにかしら落としどころをつくるというか、コール・アンド・レスポンスがあるような感じにはしたいということで、結局Numberで会長とオカダ選手が対談することになったんですけどね。あのへんから面白いことになったんですよ。Numberの対談のあとに、YouTubeで新日本の同窓会みたいな会があったじゃないですか。
    ――宮戸優光さんの「ちゃんこの台所」に猪木さん、坂口征二さん、長州力さん、藤原喜明さん、小林邦昭さん、栗栖正伸さん、木村健悟さん、新倉史祐さん、北沢幹之さん、ヒロ斎藤さんが勢揃いした。
    甘井 あのとき、じつは坂口さんが棚橋選手を連れてきたんです。でも、写真を撮るにしても棚橋選手が写っているものはネットにはあげちゃダメと。来ていることは隠すことになって。
    ――どうしてですか?
    甘井 これはあくまでボクの考えですけど、オカダ選手は新日本の中でも反体制派なんですかね。急に猪木さんの名前を出すくらいですから。
    ――とくに猪木さんを敬遠していない木谷さん寄りかもですね。
    甘井 オカダ選手が猪木さんに接近したから、今度は棚橋選手が……ってバランスを取ってるのかなって思っちゃいました。
    ――あー、なるほど。でも、あんまり大事にはしたくないと。
    甘井 そういうことです。猪木さんの存在ってある意味で毒なんですけど、独占されるのはちょっと困るのかもしれないってことですね。やっぱり会長くらい大物になると政治色が強くなるんだと思います。で、棚橋選手が収まった記念写真を1枚だけ撮ったんですけど、それだけは公開しちゃダメだという話だったのに、長州さんがツイッターに上げてしまって(笑)。
    ――ハハハハハハ!
    https://twitter.com/rikichannel1203/status/1309976924144295936
    甘井 会長とオカダ選手が初めて会ったのは、2017年に放送されたテレビ朝日の「プロレス総選挙」のときですね。オカダ選手が控室まで挨拶にきて、会長は「今日は時間ないから今度メシでも食おうか」と。後日、各団体のいろんな選手を40人ぐらい集めて食事会を開いたんですよ。
    ――猪木さん主催の伝説の食事会ですね。
    甘井 『ワールドプロレスリング』の方が選手を集めてくれたんですけど、ほとんどの団体の選手が来ましたよ。前田(日明)さん、長州さん、武藤さん、坂口さん、あとノアや全日本からも来ました。撮影禁止なんですけど、じつはある選手がこっそり写真を撮ってたんですよ(笑)。猪木会長と前田さんとオカダ選手の写真かな。
    ――すごいスリーショット(笑)。
    甘井 『ワールドプロレスリング』の方は「いまになれば集合写真を撮っておけばよかったですね」っていうくらい豪華な顔触れでした。会長とオカダ選手を席移動で隣同士にする段取りだったんですけど、前田さんが酔っぱらって、そのあいだに入っちゃったりして(笑)。
    ――前田さんらしいですね(笑)。甘井さんがマネージャーをやられてる頃から、新日本と交流が解禁された感じですよね。
    甘井 服部さんやライガーさんが引退するときに会長がビデオメッセージを送ったり。会長ははっきりしてるんですよね。絡みがあったら「いいよ」と。服部さんやライガーさんとはリングで絡んでるから、全然いいんですけど。中西学さん引退のときにメッセージをお願いされたときは「俺、アイツとは当たってないんだよな……」って。実際には当たってるかもしれないけど覚えてない。だから何も言えないんですよ。
    ――機械的にメッセージを送ることはよしとしない。この記事を含む「15万字・記事14本詰め合わせセット」はまだまだ続く……
     
  • 【13万字・記事14本詰め合わせセット】大晦日RIZIN、PRIDE、斎藤裕、タノムサク鳥羽、臼田勝美……

    2023-01-31 23:59  
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    part108

    ◎斎藤裕「やっぱり俺に平本蓮が回ってきたなって感じです」

    ◎Switchが入った大晦日RIZINを語ろう■笹原圭一15000字

    ◎ベラトール全面対抗戦実現の舞台裏■RIZIN海外事業部・柏木信吾

    ◎武田光司インタビュー 大晦日の死闘とうつ病


    ◎奇跡のRIZINvsベラトール対抗戦はなぜ「PRIDE」がふさわしかったのか

    ◎【対抗戦寸評】なぜピットブルはクレベルをKOできなかったのか■水垣偉弥

    ◎UFCはベラトールを買わない?大晦日PPV売れた?

    ◎巌流島ボンバイエとはなんだったのか?


    ◎【フライ級が来た!!】DEEPの殴り者、伊藤裕樹インタビュー

    ◎WWE女子王者解雇の理由は危険すぎるホームページ

    ◎タノムサク鳥羽☓松澤チョロの「歯無したちが語るイブシとか危険なハナシ」

    ◎バトラーツはこうして潰れた■臼田勝美インタビュー④


    ◎プロレス大賞の選考は毎年難しい■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」

    ◎スキャンダルの嵐の中、ビンス・マクマホンWWE電撃復帰

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    大会後恒例の笹原圭一RIZIN広報インタビューです! 今回は大晦日の振り返りを15000字で(聞き手/ジャン斉藤)


    ――笹原さん、あけましておめでとうございます! 昨日の大晦日RIZINは面白かったです!
    笹原 あの盛り上がりを見ていて「アレ、今日最終回だっけ?」って思いましたから(笑)。
    ――朝倉未来vs牛久絢太郎、斎藤裕vs平本蓮、皇治vs芦澤竜誠、パッキャオ参戦を発表しといてじつは最終回。「俺たちの戦いはこれからだ!」って打ち切り漫画の最後ですよ!(笑)。
    笹原 あらゆる具材をぶち込んだ超てんこ盛りシェフの気まぐれサラダですよね(笑)。まぁ喜んでいただけたなら何よりです!
    ――サプライズといえば、ネイト・ディアスのインスタの匂わせはなんだったんですかね?
    笹原 こっちが知りたいですよ! ネイトに問い合わせをしたいくらいです。
    ――ハハハハハハ! RIZINもよくわかっていない。
    笹原 いままでは具材を必死こいて買い集めていたわけですよ。「すいません、RIZINという料亭をやらせてもらっています」「は? 聞いたことねぇぞ。ウチは信頼を置けるところにした卸さねぇから。シッシッ、あっち行ってろ」みたいな感じだったのが、「RIZINさん、いいマグロが入ったんですよ。どうですか?お安くしておきますから」みたいになってきたってことです。
    ――みんなRIZINに絡もうとしているってことですよね。
    笹原 そうです。なのでたまに「あれ、これどこから仕入れたんだっけ?」みたいなことが起こるわけです。
    ――その具材、心当たりが多すぎですよ!(笑)。
    笹原 ネイトの件も、ネイト本マグロを本人が売り込もうとしているのか、それとも誰かが売り込もうとしているのかってことですね。
    ――AJマッキーから、レペゼンや日本統一まで、RIZINはあいかわらず闇鍋ですね(笑)。
    笹原 過去最高のラインナップと自画自賛できるほど贅沢な大晦日だったと思うんですが、例年と違うところはまだ具材が残っていることなんですよね。
    ――いつもは大晦日ですべて出しきって、開幕戦のマッチメイクに苦労する感じですよね(笑)。大晦日に発表された朝倉未来vs牛久絢太郎、斎藤裕vs平本蓮、皇治vs芦澤竜誠は3試合とも別の大会でやるってことですか? 皇治vs芦澤竜誠は大阪でやるんでしょうけど。
    笹原 そのあたりは記者会見で明らかにしますが、とにかく2023年のRIZINは開幕戦からアクセル全開で突っ走っていくので、みなさん振り落とされないように付いてきてください! で、去年の正月はシバター久保問題で1ミリも安息がなかったので、今年のお正月はゆっくりします、というかゆっくりしたいので、関係者の方は私に電話してこないでください!
    ――ゆっくりされる前に大晦日を振り返っていきたいんですが、まず第1試合のYUSHIvs中澤達也。
    笹原 これは負けちゃいましたけど、中澤選手はよかったですよね。何もできなかったと言われればそれまでですけど、最後まで諦めない根性を見せる、という自分の仕事をやり切ったと思います。
    ――途中にカット・インする人気任侠ドラマ『日本統一』のキャストの皆さんもいい味を出してましたよね。中澤選手は俳優として『日本統一』に出演していて。
    笹原 バックステージにも『日本統一』好きの関係者が結構たくさんいて、ちょっとした記念撮影祭りだったんですよ。
    ――ボクの非格闘技フォロワーが反応していたのがパッキャオ、シバターvs久保優太、そして『日本統一』ですからね(笑)。
    笹原 賛否両論ある試合でしたが、まぁでもオープニングの試合としてはアリなのではと思います。だって、YUSHIvs中澤で始まってサトシvsAJで締める格闘技イベントなんて世界中探してもウチくらいでしょうから(笑)。
    ――最初は映画キャストが集団で入場して、最後はお札が降っていますからね(笑)。第2試合“ブラックパンサー”ベイノア vs宇佐美正パトリックは宇佐美選手がノックアウト・オブ・ザ・イヤーなKO勝ち。
    笹原 宇佐美選手はRIZINというサファリパークでのびのびと暴れている感じですよねぇ。なんか解放されている感じが伝わってきます。
    ――RIZINって、外から来たファイターに寛容ですよね。
    笹原 いや、寛容というか放ったらかしですよね(笑)。「オマエの好きなことをのびのびやれ」というスタンスです。もちろん迷ったり、悩んだりしたときには手を差し伸べますよ。
    ――一方で負けてしまったベイノア選手、キャラクターは完全にできあがってますが、これからどうやって立て直していくのか。
    笹原 MMAに専念すると聞いています。覚醒するにはもう少し時間がかかると思いますが、あの身体能力と空手で鍛えた打撃がMMAにフィットすれば、それこそ鈴木千裕みたいになりますよ。
    ――第3試合は中原由貴 vs鈴木千裕。
    笹原 いやあ、この試合が今年の大晦日でいちばんビックリしたかもしれないです。W杯で日本がスペインに勝ったみたいな話ですよ(笑)。
    ――ブラボー!!(笑)。
    笹原 それくらい中原選手の実力は頭抜けていますから。いまRIZINに参戦しているフェザー級ファイターの中で、ある意味ジョーカーみたいな存在だったのが中原選手で、クレベルを仮に完封しても驚かないくらいの選手ですからね。
    ――中原選手にこんな勝ち方ができるフェザー級日本人がいたんだ……って驚きですね。
    笹原 ボクは鈴木千裕の「桜木花道説」を唱えたいんですよ。
    ――『SLAM DUNK』の新作映画が好評な時期に荒れることを言わないでください。
    笹原 「こいつを見ていると勝負したくなる」という千裕選手の感じ。中原選手からすれば、あれだけペースを握っていたんだから、もっとゆっくり落ち着いてMMAをやれば全然勝てたはずなんですよ。でも、鈴木千裕と戦うと無理やり打撃戦を挑まなきゃいけなくなるというか。
    ――そういえば山本空良選手も打ち合いにいっちゃいましたね。
    笹原 しかも殴り合いになると当て勘も破壊力もあるので、試合をものにしちゃうんですよね。
    ――キャラクターが誤解されているのもいい味なんですよね。平本蓮選手のイジリも面白いんですけど、あれを真に受けて「鈴木千裕、嫌い!」となっちゃう人はもったいないなあと思ってて。
    笹原 鈴木千裕のあのネジが外れた感じ最高ですけどね(笑)。本人は格闘技に対して超真面目で、花道のように1週間に2万本シュート練習をしちゃうような選手なんですけど、それがストレートに伝わらずになぜか誤解されて伝わるところも含めて鈴木千裕から目が離せないですよね。この中原選手からの勝利で、一気にタイトル戦線に絡んでくるでしょうね。
    ――次はジョニー・ケースvs大尊伸光ですが……公開計量のときの大尊選手のアキラ100%なパフォーマンスにヌルマゴが怒った説が流れています。
    笹原 なんかそうみたいですね(笑)。
    ――やっぱり(笑)。
    笹原 だからって大尊選手を「けしからん!」とは思わないですし、逆にヌルマゴがああいうパフォーマンスを嫌う姿勢も理解できます。過去にも、リング内外でのパフォーマンスはどこまで許されるか問題って取り沙汰されたことあるじゃないですか。
    ――でも、メイウェザーvs那須川天心があった公開計量のときは、メイウェザーに気を使って全裸の大尊選手に服を着てもらったんですよね。
    笹原 そんなもん、問答無用で着てもらいましたよ!(笑)。
    ――ハハハハハハハハ! あのときはダメ。
    笹原 あのときのメイウェザーは何か嫌なことがあったら即帰るモードだったんですよ。「明日、試合をしない」と言い出しかねないから「大尊、とりあえず服を着てくれ!」って。全裸にもTPOがあるってことですね。
    ――そもそもヌルマゴはベラトール軍のキャプテンという立場じゃなかったでしったけ?
    笹原 これもなかなかおもしろい話があるんですよ。今回のヌルマゴってRIZINからもベラトールからもお金もらってないんです。貸しを作りたくないから自費で来日して、ガジ・ラバダノフのセコンドだけをやると。ベラトールもアン・コントロールな存在。じゃあベラトールのキャプテンという話はなんだったのかといえば、スコット・コーカーが思わずそう言ってしまったみたいなんです(笑)。
    ――なるほど!(笑)。そんな話があるなら同じタイミングでRIZINもキャプテンを用意しますよね。
    笹原 ベラトールスタッフは「あー、またスコットのリップサービスが始まったぞ」というくらいの感じなんですよね。
    ――要するにサービス精神が旺盛だってことですね(笑)。
    笹原 そこはプロモーターの宿痾なんですけど、とりあえず口に出す。それがあるときはホントに実現することもあれば、逆に自分の首を絞めるときもある。周囲からすると「えっ、そんな話は聞いてないんだけどな……どうするんだろう?」と戸惑いながら物事は動き出すんですよね。
    ――ということは笹原さんも榊原さんに対して「あー、社長のリップサービスが始まったぞ」という、はた迷惑な感情があるってことですね。
    笹原 まぁ社長がこのインタビューをチェックしているとは思えないのではっきり言いますけど、そんなの毎日です(笑)。
    ――笹原さん、まだ無料公開ゾーンですよ!
    笹原 なのでスコット・コーカーのそうしたリップサービスも全然理解できるんですよ。もう皆さん麻痺してますけど、メイウェザーを呼ぶ話も最初はありえなかったじゃないですか。社長も自分で口に出して、自分で自分を追い込んで、周囲も追い込まれてホントに呼んでしまった。そこはまさに猪木イズムなんですけど。
    ――猪木さんのモハメド・アリ戦の実現もそんな感じですよね。
    笹原 スコットも自分が言ったことを忘れてるかもしれないですが(笑)。で、公開計量に話を戻すと、ラバダノフの計量のときにヌルマゴに一緒に上がってもらって、ドサクサに紛れてコメントをもらおうかな……って企んでいたんですけど。全裸の大尊選手の姿を見て、お怒りになられたと....。で、ここからが本当にいい話なんですけど、そんなことがあって怒りのボルテージを上げたままさいたまに来てみたら…… RIZINの演出やお客さんの熱に「信じられない」とえらく感動したんですよ。
    ――ヌルマゴの喜びと感情を引き出したRIZIN(笑)。さいたまスーパーアリーナがなぜ聖地だったかを肌で感じたことでしょうね。きらびやかなオープニングセレモニー、選手の入場が映える長い花道、それを包み込むお客さんの熱気……。
    笹原 「あんな風変わりなヤツもいれば、こんな素晴らしい演出と観客の熱がある。RIZINってなんてワンダフルなイベントなんだ」……って思ったのではと、勝手に想像しています(笑)。
    ――ある意味で大尊選手はいい仕事をしたってことにしましょう(笑)。次は元谷友貴 vsホジェリオ・ボントリン。
    笹原 元谷選手の完勝ですよね。素晴らしい内容でした。
    ――こっそり対抗戦の中に入れておけば、RIZINは1勝できたのに(笑)。
    笹原 だからRIZIN vs. UFCの全面対抗戦はRIZINの全勝ですよ!(笑)。ボントリンは調子が良さそうだったんですけど、元谷選手はファイトスタイルが変わってスキがなくなった感じがしますね。元谷選手は下からも全然強いから、昔は四つの体勢になったときに、平気で引き込んだりしてたんですけど、上位クラス相手だとやっぱり不利になるのでやらなくなった。それって相当組みを強化しなくちゃいけないですからね。
    ――堀口恭司もそうですけど、地道にコツコツやってきたことでスタイルチェンジに成功したわけですね。元谷選手は4連勝中でしたけど、ライコンでずっと「KOボーナス取れなかった……」って落ち込んでいたのでおかしくて。
    笹原 堀口選手がRIZINバンタム級のベルトを返上することになると思うので、元谷選手をはじめとして、朝倉海、キム・スーチョル、井上直樹がどう絡んでいくか。どんな組み合わせでも面白いですよね。あとは、ボントリンはあの会場の熱気に平常心ではいられなかったようですね。UFCファイターのボントリンやヌルマゴすら魅了する、日本の格闘技熱を作っている日本のファンの皆さんは、本当に胸を張っていいと思いますよ!
    ――平本蓮vs梅野源治のスタンディングバウト特別ルールが今回の変化球カードでしたけど、変化球カードの編成が超大変だったみたいですね。・平本蓮大晦日出陣の話し合いは、じつは……
    ・梅野源治の狂い咲き
    ・幻に終わったヒジありボクシング
    ・芦澤竜誠ワンマンライブ裏側
    ・PRIDEのテーマは乗り気ではなかった
    ・対抗戦MVPは武田光司
    ・ベラトールも驚いたアーチュレッタの○○
    ・泣き顔のクレベルと抱擁
    ・AJマッキー1000万円甲冑騒動……15000字インタビューを含む13万字・記事14本詰め合わせセットはまだまだ続く