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記事 26件
  • レンガ職人、警備員、寿司職人からUFC王者へ……フィゲイレードはフライ級を救うか

    2020-12-18 14:17  
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    不定期更新「ジャン斉藤のMahjong Martial Artas」――今回のテーマはレンガ職人、警備員、寿司職人からUFC王者へ……フィゲイレードはフライ級を救うかです!【1記事から購入できるバックナンバー】・【宗教と幻想、システム論】修斗は朝倉未来に勝ったのか・さらば“人間”ロード・ウォリアーズ■ジャン斉藤・マーク・コールマン、性的虐待の告白・アポロ菅原 SWS鈴木みのる戦シュートマッチ全真相1万字インタビュー
    デイブソン・フィゲイレードは不遇のUFCフライ級の救世主となるのか。フライ級初代王者デメトリアス・ジョンソンが11連続防衛記録を果たしても人気は出ずに、その絶対王者を破ったヘンリー・セフードもフライ級を支えることはなく現役引退。「フライ級廃止」という名目でファイターが次々に放出され、一時はクローズ寸前だったフライ級が年の瀬のUFCを救った。
    12月12日のUFC256で予定されていたビッグガードが相次いで消滅。11月21日に防衛戦をはたしたばかりのフィゲイレードと、同大会で勝利したブランドン・モレノが21日間という短いスパンでUFC256で激突することになった。これまでUFCのタイトルマッチのショートノーティスは、ロンダ・ラウジーとマット・ヒューズのそれぞれ56日間。新型コロナの不測事態がその記録を大きく塗り替えたといえる。
    フィゲイレードは母国ブラジルに戻ることなく試合当日までラスベガスで調整することになった。ブラジル時代から彼を支えるマネージャーのヴァリッジ・イズマイウから1日間だけ休暇を許され、ラスベガスで買い物や食事を楽しみ、5万ドルを費やした。<会員ページへ続く>
    この続きと、斎藤裕、北尾vsテンタ、斎藤裕、所英男、西良典、スダリオ剛…などの12月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事21本の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1980138この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック! 1記事100円から購入できます!
     
  • “ベストバウトマシーン”ケニー・オメガ、真の全米デビューを飾る

    2020-12-15 15:17  
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    アメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマはケニー・オメガ、真の“全米デビュー”を飾るです!AEW旗揚げから1年数ヵ月……ケニー・オメガがようやく“全米デビュー”を飾った。12月2日にAEW(オール・エリート・レスリング)が放送する水曜夜の定期番組「AEWダイナマイト」の特別編「Winter Is Coming」で、ケニー・オメガがジョン・モクスリーを下し、第3代AEW世界王者になった。“ベストバウトマシーン”と呼ばれ、新日本プロレス時代には幾多の名勝負を繰り広げ、トップレスラーとして君臨してきたケニー・オメガだったが、AEWでは副社長ということもあってか、どちらかというと一歩引いた位置からAEWを支えてきた感があった。
    もともと日本を主戦場にしていこともあって、アメリカでの知名度はそれほど高くなかった。それゆえ視聴者数の多さが優先されるAEWでは、一般的にも名前が知られているような元WWEのクリス・ジェリコやジョン・モクスリー、Codyらテレビプロレスがなんたるかを熟知している選手たちが前面に出ていた。AEWがテレビ放送を始めて1年2ヵ月、ようやく機が熟したのか、“ベストバウトマシーン”が稼働する出番が回ってきた。日本を離れてから2年が経とうとしていた。
    2年前、2019年1月4日に東京ドームで行われた新日本プロレスの「WRESTLE KINGDOM 13」、いわゆるイッテンヨン大会のメインイベントは、時のIWGPヘビー級チャンピオンのケニー・オメガに、前年度G1覇者の棚橋弘至が挑戦する試合だった。イデオロギー闘争などと煽られた年間最大興行のメイン戦に敗北を喫したケニー・オメガにとって、これが新日本プロレス最後の試合となる。
    翌日に行われた1・5(イッテンゴ)後楽園ホール大会に、ケニー・オメガの姿はおろか、前日のドーム大会に出場したヤングバックス、Cody、アダム・ペイジらの名前もなかった。全員イッテンヨン大会では黒星配給係となった。
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  • デスマッチ新世代!! サイコパスボーイ佐久田俊行インタビュー

    2020-12-15 14:17  
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    アメリカインディ連載でおなじみタカ中山が聞くサイコパスボーイ佐久田俊行インタビューです!佐久田選手についてのコラムはコチラ!米デスマッチをこよなく愛す、155センチ世界最小デスマッチレスラー佐久田俊行
    【1記事¥90から購入できるバックナンバー】
    都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される■斎藤文彦INTERVIEWS俺と剛竜馬とパイオニア戦志12000字■松崎和彦インタビュー

    プロレス番記者が見た「北尾光司の真実」■柴田惣一

    人間風車ビル・ロビンソンから何を学べるか?■対談・中井祐樹×鈴木秀樹
    中山 もともと出会いは佐久田選手がプロレスデビューする前にボクのお店(『米インディプロレス専門通販フリーバーズ』)の通販を利用されていて。通販客に大分のお客さんってそんなにいなかったし、佐久田という名前も珍しかったので印象に残っていて。
    佐久田 ボクは沖縄出身なんですけど、当時は大分の大学に通ってたんですよね。中山 その後に大日本プロレスに同じ名前の選手が入ったのを知ったんですけど、プロフィールが「沖縄出身」だったんで別人なんだろうなあと。そのあとアブドーラ小林さんと会ったときに「今日はウチの佐久田も来たがってたんだよ」と。じゃあ、あの佐久田さんなんだなと。
    佐久田 大学の頃は通販でデスマッチ関連の映像をバンバン買ってましたね(笑)。デスマッチを見始めたのは14歳ぐらいで。その前は新日本プロレスやPRIDEやK-1なんかの格闘技も見つつ。
    中山 佐久田選手は総合格闘技もやってましたからね。
    佐久田 レスリングと総合格闘技をやっていて。どちらかというとプロレスの方が好きだったんですけど。その頃の沖縄はたまに新日本とドラゴンゲートが来るぐらいで、あと沖縄プロレスができて。沖縄プロレスには通ってるっていうわけじゃないですけど、たまに見に行ってましたね。沖縄プロレスには常設会場があってほぼほぼ毎日やっていて。観光客相手にやりたかったみたいですけど、なかなか難しくて2~3年で閉めちゃいましたけど。生観戦というよりは映像を通してプロレスを楽しんでましたね。
    中山 当時はインターネットの配信なんかはなかったですもんね。
    佐久田 YouTubeがギリギリって感じですよね。マッドマン・ポンドがハサミかなんかで切られたのが「閲覧注意動画」みたいな扱いで出てきて。それを中学2年生の頃に見て「これはヤバイな」という怖いもの見たさでハマっていって。
    中山 その頃のデスマッチはちょっと落ち気味というか。どのジャンルにも言えることですけど、凄いことをやっちゃうとその反動で一旦落ちることがありますよね。やっぱりデスマッチいえども超えちゃいけない線はあるので。
    佐久田 ホントに死んじゃうわけにはいかないですからね。ボクがデスマッチを見始めたのは伊東竜二さんが出てきて大日本が再び盛り上がり始めた頃で。 葛西(純)さんが合流したり。
    中山 CZWのザンディグがいなくなって、大日本プロレスが経営的な危機を迎えた頃ですよね。
    佐久田 やっぱり小学生・中学生って面白いと思ったら自分でもやってみたくなるじゃないですか。プロ野球選手に憧れるのと似てますよね。デスマッチとプロ野球じゃだいぶ違いますけど(笑)。
    中山 ハハハハハハハ。 
    佐久田 なんでデスマッチなのかといえば、音楽もJ-POPとか大嫌いでパンクが好きだったりしたんですよね。デスマッチも後ろ指を差されるようなジャンルだったじゃないですか。そこがパンクと通ずる部分があって、プロレスの中では反骨心を現すジャンルなのかなと思って。 中2って反抗期ですし、中2に刺さるものがデスマッチだった感じですよね(笑)。
    中山 周りにデスマッチ好きの中学生っていたんですか?  新日本プロレスがちょうど落ちていた頃だからプロレスファン自体が少なかったはずですよね。
    佐久田 プロレスファン自体はそんなにいなかったので、デスマッチ好きもいなかったですね。デスマッチを勧めたら、見たら見たで面白いなっていう人はいたけどボクみたいにドップリはいなくて。
    中山 デスマッチってアイデアが問われますよね。プロレス頭が問われて。
    佐久田 けっこう武器も出尽くしてますからね。最近は流行ってないけど、10年前20年前に使われていたものを掘り出したりとか。いまはもう忘れられてしまった形式やアイテムを使ってみたりとか。生き物系は最近はちょっと難しいかもしれないですけどね。
    中山 動物愛護の面からうるさいですからね。
    佐久田 芝刈り機とか最近使われてなかったので使ってみようと思ったり。魚串とか誰も使ってなかったので。
    中山 魚串は佐久田選手の代名詞になってますよね。
    佐久田 考えるというか、思いついたらやってみるというか。これが試合に使えると思ったらやってみるようにはしていて。それで魚串はカチッとはまったというか。
    中山 あんまりうまくいなかった例もあるんですか?
    佐久田 けっこうありますね。クッキーを作る型抜きってあるじゃないですか。あれをいっぱいボードに貼ったんですけど、お客さんがいまいち何かわからなかったみたいで。まさかクッキーの型抜きがデスマッチアイテムになってるとは思えませんよね(笑)。
    中山 人形の上に相手選手を落とすやつは面白かったですね。
    佐久田 庭に置いたりする小人の人形7体ですね。見た目がファンシーだけど、あその上に落とすといい感じで割れるんですよね(笑)。
    中山 小人は三角の帽子を被っているので、明らかに痛いという(笑)。小人がデスマッチ凶器だと精神的に怖さもありますし。
    佐久田 最近は6体しか使ってなくて「7人目は自分だ」というニュアンスなんですけど、 あまり伝わってないんですよね。誰も拾ってくれないから自分でツイッターに書いてるんですけど(笑)。
    中山 そんなこだわりもあるんですね(笑)。ここ最近のデスマッチは形式自体はそんなに変わってないですよね。
    佐久田 たとえば魚串デスマッチをやると発表したら、もう魚串が出てくるのはわかるので驚かないじゃないですか。ボクが提案するのはプラスアルファ持ち込み武器みたいな形式で。いまは蛍光灯や有刺鉄線ボードが出ようが出まいがそんなに驚きはないので、 そこにプラスアルファで何が出てくるのかなという興味をもたせて。
    中山 「何が飛び出てくんだろう?」って興味の惹き方ですね。アメリカには観客持ち込み武器使用デスマッチっていうのはあるんですけどね。向こうは会場まで車で観戦に来るので、武器を車に積んでこられるんですね。日本だと電車だから、もしバレたら捕まっちゃいますし(笑)。
    佐久田 ボクは武器を持ったまま電車で運んでたりするんですけどね(笑)。いまは会場の問題で何ができる・できないっていうのもありますし。コアなファンなら「この会場なら蛍光灯はないんだろうな」っていうのはわかると思うんですよね。火がダメなところも多いというか、火が使える会場が珍しいんですけど(笑)。
    この続きと、斎藤裕、北尾vsテンタ、斎藤裕、所英男、西良典、スダリオ剛…などの12月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事21本の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1980138この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック! 1記事100円から購入できます!
     
  • 朝倉未来はジョーカーを引いてしまったのか? 弥益ドミネーター聡志1万字インタビュー

    2020-12-13 10:28  
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    朝倉未来はよりによってジョーカーを引いてしまったのか? 知性のナイフと変幻自在のシャッフルの打撃を持つ男、元DEEPフェザー級王者・弥益ドミネーター聡志1万字インタビューです(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】
    【1万字インタビュー】シュウ・ヒラタが「RIZIN大好きさん」とのバトルの内幕を激白!

    【格闘技ブームをつくった男】石井和義館長に訊く「国立競技場の借り方」

    扇久保博正、浅倉カンナを生み出したパラエストラ千葉に迫る■鶴屋浩 代表インタビュー

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    レスリングを20年間、撮り続けきたカメラマン――保高幸子インタビュー


    ――先ほど出席されたカード発表記者会見ですが、しゃべりがウィットに富んでいてとても面白かったです。筑波大学院卒という学歴からしても頭がいいんだろうなって。
    弥益 いやいや、ハードルが上がってくのが怖いので勘弁してもらえますか(苦笑)。こういう業界だから目立っているだけで、逆にそういう世界からすれば、胸を張れるようなことでもないとは思ってますので。自分はもっと上の大学出身の方に学歴のコンプレックスを抱いていた時期もありましたし、だからいざ「学歴凄いですね」と言われると「こんなの全然ですよ……」って言いたくなりますね。
    ――学歴が高くても人間的にどうなんだろう……というタイプの方もいますけど、弥益選手は知的な感じが伝わってくるというか。
    弥益 恐縮です(笑)。
    ――現在は大手食品会社に勤務されていて、就業後に格闘技の練習をされて、DEEPのチャンピオンまで登りつめたんですよね。
    弥益 会社ではずっとデスクワークなので、顔が多少腫れていても困らないですね。
    ――弥益選手はツイッターだと毒舌キャラなので、紳士然として普段とはギャップがあると言われませんか?
    弥益 ツイッターのイメージが独り歩きしてるところはありますね。DEEPの芦田(崇宏)戦と、計量失敗叩きのイメージが強すぎて毒舌で他人のことディスっている、人の道を外れてるイメージがどんどんと一人歩きして(笑)。
    ――DEEPの解説でも言いたい放題やってますよね(笑)。
    弥益 自分を見てくださっているツイッター上の格闘技ファンの人たちも、そのキャラクターに乗ってくれているので。そのイメージが強くなってしまってるところあると思うんですけど。ただまあ、自分この業界で生きづらくなってもそんなにダメージないので(キッパリ)。
    ――あ、エンジンがかかってきました(笑)。
    弥益 もちろん周りの人や仲間の人とは仲良くやっていきたいですけど(笑)。嫌われたりしてもそんなにダメージもないですし、他の人が言えないことは自分が言っていい立場かな、と不必要な使命感みたいなのも勝手に感じてるぐらいなんで。
    ――遠慮する立場にないってことですね。自分の素の部分を誇張してるというか。
    弥益 そんなイメージで問題ないと思います。ちょっとたまにお酒が入ってコントロールしきれないところが……。
    ――変な話、ストレス解消もあったり。
    弥益 まあ、それもあるかな……いや、それはないと言わせてください(笑)。
    ――今回の朝倉未来戦のオファーはいつ頃あったんですか?
    弥益 ちょうど2週間前ぐらいですかね。正直今年はもう完全にオフだと思っていたので、マネージャーからオファーの電話があった瞬間もポテチ食べながらで「えっ、体重だけ確認しもらえますか」って(笑)。
    ――大晦日のRIZINはないと。
    弥益 はい。当然ないと思ってました。
    ――大晦日は朝倉未来選手の再起戦が予定されていて、フェザー級の日本人トップファイターがリストトアップされる。前DEEP王者で芦田(崇宏)選手に2度勝っている弥益選手の実績からすれば、候補者に入っても不思議ではないですよね。
    弥益 うーん、冗談まじりで「あるんじゃない?」って言われてることあったんですけど。「ないな」と自分の中では区切ってましたね、そこは。
    ――それはなぜですか?
    弥益 やっぱり前回の防衛戦で負けてるのが一番大きいのかなと。結局ベルトがないとなると、弥益ドミネーター聡志をどうやって打ち出すかっていう話になるのかと。たしかに「元チャンピオン」とか「第9代チャンピオン」という言い方をすれば聞こえはいいのかもしれないんですけど。はたして仮にこないだで負けたとはいえ、世間の注目を浴びる朝倉選手の相手として、見ている人を納得させられるのかな……ってところがひとつ気になってはいました。なので自分ではなく、何かしら他の引っ掛かりを持ってる人が選ばれるだろうなとも思ってました。
    ――現DEEPチャンプの牛久(絢太郎)選手や、現在RIZIN参戦中の芦田選手が選ばれるんじゃないかと。
    弥益 芦田選手はそもそもRIZINで1勝してますし、かなり昔に朝倉選手とやるかもしれないみたいな話も聞いてるんで、そっちのほうが引っかかりがあるのかなとは思っていたので。自分はたぶんないだろうなっていうのはずっと感じてましたね。
    ――では意外なオファーだったんですね。
    弥益 こないだタイトルマッチで負けましたけど、あの試合こそ勝ったらRIZINからいいオファーがあるタイミングだったじゃないですか。負けた直後にマネージャーから「オマエは持ってないな」と言われてしまって(苦笑)。自分は持ってるタイプの人間だと思ってたんですけどね。で、今回マネージャーから電話があって「朝倉未来だよ!」みたいな。
    ――マネージャーも興奮している(笑)。
    弥益 そのあとあらためて「オマエやっぱ持ってるなあ」と言い直してしていただいたので。“持っている”ということでお願いします(笑)。ただ今回RIZINさんが作ったカード表ですが、これ7年前の写真なんですよね。
    ――ガハハハハハハ!
    弥益 そんなに古い写真しかない元チャンピオンってのもなかなか珍しいんですけどね(笑)。
    ――会見では「対戦相手の朝倉選手の復帰戦ということで、絶対に落とせない試合の相手に自分みたいな『ただ格闘技を習っているだけの会社員』を選び出すという素晴らしいリスクマネジメント能力によって、自分がここに座っています」とかなり攻めた発言が飛び出しましたね。
    弥益 ハハハハハ。もう厳選に厳選を重ねてこれなら勝てるっていうところだと思うんですよね、はい。
    ――芦田選手、牛久選手、弥益選手の中から誰か選べと言われたら、ボクは弥益選手が一番面白くなるとは思ったんですよね。で、実際に会見の段階から凄く面白くて。
    弥益 ありがとうございます。その3人だったら自分が一番面白くなりますし、自分が一番勝率が高いと思います。
    ――そういう自信はあると。朝倉選手の斎藤裕戦はどう見ましたか?
    弥益 朝倉選手本人も言ってましたが、やっぱり待ちすぎてましたし、余裕を持ちすぎて余力を残している感じはしました。どっちが必死だったか?っていう話ですよね。その姿勢がもちろん見てる人にも響きますし、ジャッジに響きますし。結果どっちが頑張ってたのか、精一杯やってたかっていうところが見る人に響いたと思うんですよね。
    ――朝倉選手は前回の反省を活かすのか1ラウンドから攻めると。
    弥益 ありがたいです。早く終わらしたいですからね、もたないのでスタミナが(笑)。
    ――あ、そういう理由(笑)。ああいう発言自体、駆け引きだと思わないですか?
    弥益 駆け引きだったら自分から行くしかないので。相手の出方ではなく、自分を出せるかどうかと思ってます。
    ――弥益選手の打撃はシャッフルスタイルなので独特で面白いですね。
    弥益 自分が格闘技を始めたジムは、わりとできたてだったので、そういう意味でも放任主義だったんです。基本の基本は教えるけど、そこから先はもう自由に勝手にスパーしててみたいな感じなんです。それで自分はナジーム・ハメドの打撃を見て「これは楽しいな、これやろう」と。途中で自分の大学の同期でもあるし、格闘技の同期でもある奴が……
    ――神田周一選手。
    弥益 アイツがアメリカのアルファメールに海外修行に行って、ドゥエイン・ラドウィックからシャッフルのエッセンスを持ち帰ってきて、そうやって積み上げてきましたね。
    ――弥益選手のリングネームの「ドミネーター」はシャッフルの第一人者ドミニク・クルーズから取られてますね。あの芦田選手にも打撃で打ち勝って。
    弥益 2回も勝ってるんですよ(笑)。
    ――そんな「じつは……」みたいな言い方(笑)。朝倉選手の打撃はどうですか?
    弥益 やっぱりうまいですよね。相手の打撃をよく見てカウンターを打ちますし。なので打ち合ってこないと思いますけどね。
    ――「1ラウンドから攻める」とは言っても。
    弥益 朝倉選手はケンカキャラですけど、そういう格闘技的なケンカはしてこないタイプだと思ってるので。やっぱり立ち回りのうまさ。どんな出方になるかは自分もわかんないです。朝倉選手自身もわからないと思います。
    ――元王者という実績から抜擢はされましたが、弥益選手の発言からは、ストレートにいうと“噛ませ犬”として選ばれたんじゃないかという捉え方もあったり。
    弥益 それはもちろん。生け贄だなっていうのは認識してます。
    ――でも、そういう雰囲気があの会見では出なかったんですよね。弥益選手が自虐的にそういうボールを投げたからかもしれませんが。
    弥益 こういう場は初めてだったので、記者の方のリアクションが掴みきれなくて。実際自分の言ったことがどういう風に受けとられているのかっていうのがか全然わかんなかったですよね。なんかもう自分が早口で何か喋ってて、ただ単純に滑ったんじゃねえか……っていう気もしていて(笑)。
    ――弥益選手のやつって内心ニヤリとするものだったりしますから(笑)。
    弥益 自分の前に中原太陽選手が佐山聡さんのことを言ってたりして、タイガー・スープレックスの話をしているのに記者の方から全然反応がなかったので。いまここにいる全員で滑らされてるんだっていう気持ちがずっと強かったし、ちょっと怖かったですね(笑)。
    ――記者会見で服を着たままですけど、朝倉選手と向かい合った印象はどうでしたか?
    弥益 じつは練習をちょっとしたことがあって。ずいぶん前ですね、3年4年前。
    ――朝倉選手がRIZINに出る前ですかね。
    弥益  そこから朝倉選手が跳ねていくさまは見ていたので。印象としてはわりと世間が見ている姿っていうのは彼の素とまでは言わないですけど、その延長線上にある姿なのかなと思ってます。無理に作ってるわけじゃない感じはしてますね、印象としては。
    ――YouTubeの姿は実像に近い。だからこそ人気が出たんでしょうね。
    弥益 そうですね。逆に無理してるんだったら、どっかで壊れちゃってると思います。
    ――フィクションに耐えきれないという。朝倉選手と練習してみた印象は?
    弥益 普通にMMAのスパーを1~2本ぐらいですね。あの当時の朝倉選手はまだ東京での練習環境が整ってないぐらいの頃だと思うんですけど、それでも凄く強かったですね。そこから練習することはなくなって、RIZINに出て幻想をまといはじめたことによって、自分の中で像がボヤけていったというか。どれだけ強いんだろう。いや、これ逆に弱いんじゃないか……ってボヤケちゃって(笑)。 
    ――YouTuber の人気を専攻していることで格闘家としての実像が見えづらくなっていると。会見では「斎藤チャンプに負けて、幻想みたいなものは崩れたかもしれないですけど、それによって単純に強い選手という姿が浮かび上がったと思います」と、称賛とも挑発とも受け止められる発言でしたね。
    弥益 ハハハハハ、あれはいちおう褒めてるんですよ。褒めたつもりなんですけど、キャラ的に穿った見方をされがちなんですけど。練習したときも凄い強いなと。RIZINで斎藤チャンプという国内有数の選手とやっても正直、自分は朝倉選手の勝ちでもいいかなって思ったぐらいの内容だったんですよ。それを受けてたしかに幻想は取り払われたんですけど、結果浮き彫りになったのはもう国内トップクラスの日本人選手だったっていう印象でした。
    この続きと、斎藤裕、北尾vsテンタ、斎藤裕、所英男、西良典、スダリオ剛…などの12月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事21本の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1980138この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック! 1記事100円から購入できます!
     
  • 【1記事から購入できる必読記事厳選集】DropkickバックナンバーBEST100

    2020-12-11 11:27  
    2000記事近くの中から必読人気記事をピックアップしました! 
    橋本宗洋氏の武藤敬司批判原稿に関して
    レスリングエリートをMMAファイターに育てる方法■宮田和幸インタビュー
    【プロレスファン必読】RIZIN電撃参戦! 宮本和志ロングインタビュー
    朝倉兄弟とYouTube論■菊地成孔
    K-1からKNOCK OUTへ…「K」の職人・宮田充は何を考えているのか
    プロレスの青春! 新日本プロレス学校の最後を見届けた男■渡辺宏志
    世界的な詐欺事件? パンクラス商標騒動を追う■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    「魔法の煽りVをつくる男」 RIZIN演出統括・佐藤大輔17000字インタビュー
    沢村忠から天心vs武尊まで…キックボクシングの始まりと、その光と影■細田昌志☓高崎計三
    新日本プロレス入門、野上彰だった頃/AKIRAインタビュー
    【必読】笹原圭一広報「RIZINの判定基準について説明いたし
  • 晩年のロード・ウォリアーズ■斎藤文彦INTERVIEWS

    2020-12-11 10:25  
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    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは晩年のロード・ウォリアーズです!

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■ロード・ウォリアーズの衝撃

    ■日本発世界…コロナ禍の近未来ビジネスモデル

    ■追悼! 佐山タイガー最大の難敵・初代ブラックタイガー

    ■WWEが体現する「ウイズ・コロナ」 の時代のプロレス■全女消滅後の女子プロレス新世界

    ■木村花さんはドウェイン・ジョンソンのようなスーパースターになるはずだった■無観客レッスルマニアが生み出した“異常な2試合”

    ■女子プロレスの景色を変えた女帝・ブル中野■マッハ文朱が女子プロレスというジャンルを変えた■棚橋弘至vsクリス・ジェリコから見る新日本・AEW提携の可能性

    ■エンド・オブ・デケイド――プロレス界の2010年代■新日本プロレスの“ケニー・オメガ入国妨害事件”という陰謀論■WWEvsAEW「水曜日テレビ戦争」の見方■WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』■AEWチャンピオンベルト盗難事件■「ミスター・プロレス」ハーリー・レイスの偉大さを知ろう■ウルティモ・ドラゴンの偉大なる功績を再検証する■ネット社会に出現したニュータイプAEW、その可能性■都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される ■レッスルマニアウィーク現地取材レポート■平成という「アントニオ猪木が去った時代」■アメリカの新団体AEWは脅威になりえるか■それでもケニー・オメガは新日本プロレスに残るか■【追悼・爆弾小僧】すべてはダイナマイト・キッドから始まった
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」



    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期


    ■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■旭日双光章受賞!! 白覆面の魔王ザ・デストロイヤー■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
    ■馬場、猪木から中邑真輔まで!「WWEと日本人プロレスラー」■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る

    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期

    ■超獣ブルーザー・ブロディ

    ■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……
    ■『週刊プロレス』と第1次UWF〜ジャーナリズム精神の誕生〜




    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■「現場監督」長州力と取材拒否■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑■ドナルド・トランプを“怪物”にしたのはビンス・マクマホンなのか
    ――今回はロード・ウォリアーズ後編です。 前編はこちら ■ロード・ウォリアーズの衝撃
    フミ  スーパースターとなったロード・ウォリアーズはついにWWE(当時WWF)に移籍することになりますが……その前にWCWで数年過ごします。WCWの前身はNWAクロケットプロ。1984年から開始されたWWE全米侵攻作戦により、各地のマーケットは次々に潰れていきます。バーン・ガニアのAWAや、フリッツ・フォン・エリックのダラス、シークさんのデトロイトやディック・ザ・ブルーザーのインディアナポリス、NWAフロリダ、NWAセントラルステーツといった主要マーケットも潰れてしまって、アメリカの勢力分布図ががらりと入れ替わったんです。その中で唯一勢力を拡大していったのはノースカロライナ州シャーロットを拠点とするNWAクロケットプロでした。
    ――クロケットプロは弱体化した各地のマーケットを吸収していったんですね。
    フミ  それまで栄華を誇っていたNWA加盟団体の最後の砦で主役はもちろんリック・フレアー。フロリダからダスティ・ローデス、レックス・ルーガーたちがクロケットプロに移籍。ロード・ウォリアーズも加わることで、WWEに唯一対抗できるメジャープロモーションだったんです。しかし、急激に巨大化したことで制御できなくなったこともありNWAクロケットプロも88年11月に頃に沈没してしまいます。そこでNWAクロケットプロは、テレビ王テッドターナーのTBSに身売りすることになったんです。TBSが放送していたNWAジョージアのテレビ番組のタイトルが「ワールド・チャンピオンシップ・レスリング」だったことから、その略称のWCWがそのまま団体名になりました。ロード・ウォリアーズはそのままWCWにスライド移籍しますが、1990年にWWEと契約を交わします。
    ――WWEにはすでにウォリアーズをマネたタッグチームがいましたよね。アックス&スマッシュのザ・デモリッション。
    フミ ビンス・マクマホンは以前からロード・ウォリアーズを取りたがっていたんですけど、なかなか契約できなかった。だったらウォリアーズそっくりなタックチームを作ってしまえ!ということで、まずはデモリッションが登場しました。アックスの正体はマスクド・スーパースター、クラッシュは元ロシア人キャラのクラッシャー・クルスチェフ。もともとは地元ミネソタでウォリアーズとはトレーニング仲間だったバリー・ダーソウですね。
    ――よくそんなパチモノを作りますよね(笑)。 
    フミ メジャーリーグには「ウチに来るまではメジャーじゃない」という感覚があるんでしょうね。日本からはWWE がウォリアーズのコピー版を作ってそれっぽく売ろうとしてるなって見えるんですけど、アメリカには「WWEしか見ない」というファン層がいるんですね。 大げさに言ってしまえば、WWEのテレビに映っていなければプロレスにあらずと。
    ――いまのアメリカもそんな雰囲気ですよね。 
    フミ 他の団体でメインイベンターだったとしても、WWEにくれば、あくまでもWWEのお作法やマーケティングに乗らなければいけない。ウォリアーズが最初にWWE と契約したときには、マネージャーのポール・エラリングは必要とされなかったんです。 ポールが“3人目のロード・ウォリアーズ”としてホークとアニマルの隣にいたからこそ、ウォリアーズは突然変異的なかたちで大ブレイクした。テレビ画面からはポールの重要さは伝わりづらいですけど、ポールは若手だったホークとアニマルに「こういう風にすれば売れる」とレクチャーしてきたんです。海千山千のプロモーターたちにうまく利用されず、ウォリアーズのブランドを壊されないように、あそこまでノシ上がれたのはポールのおかげといえる。どの土地で試合をしようが、誰が相手だろうが「負けない」ことを徹底してきた。ポールはウォリアーズの知恵袋として重要な役割をはたしてきましたが、WWEからすればもう彼は必要ではないと。ホークとアニマルの2人だけと契約しました。
    ――でも、これからはWWEがプロデュースすると。
    フミ その話の流れでいえば、ウォリアーズは自分たちの版権や知的所有権を管理してグッズなどのビジネス展開をしてきたんですが、 WWEからするとキャラクターの権利は団体が管理するのがあたりまえ。それでウォリアーズは「リージョン・オブ・ドゥーム」(以下LOD)にリングネームを変えざるをえなくなったんです。
    ――それも凄い話ですよね。ロード・ウォリアーズという名前に頼らないと。
    フミ これもまた恐ろしい話なんですか、WWEだけを見てるファンからするとロード・ウォリアーズという名前にはピンとこない現実もあるんです。 WCWもメジャー団体でしたが、ニューヨークが拠点のWWEからすると「南部のプロレスでしょ?」となる。ニューヨーカーの傲慢さといったらそれまでの話ですが。 
    ――プロレスいえどもWWEは別世界ということなんしょうね。
    フミ 日本から見るとさらに異様なのは、ウォリアーズがLODとして参戦したときに、ウォリアーズを模倣したデモリッションはまだ活動していて、さらにアルティメット・ウォリアーがシングル部門のトップだったんです。
    ――アルティメット・ウォリアーもウォリアーズのコピーですね。
    フミ  当時のWWEの番付ではアルティメット・ウォリアーのほうが上にレイアウトされていました。 顔のペイントにしても、3分レスリングの暴走ファイトにしても、ありとあらゆる作品のモチーフはウォリアーズで、そのウォーリアーズがいなければアルティメット・ウォリアーはそもそもプロデュースされてないんですけどね。ホークとアニマルはWWEでは特別扱いされなくなったということです。対戦相手もアースクエイクを名乗っていたジョン・テンタとタイフーンの巨漢コンビだったりして、彼らと向かい合うとウォリアーズのほうが小さくみえてしまったんですよ。
    ――スーパーヘビー級相手だとウォリアーズ得意の暴走ファイトも難しくなりますね。
    フミ とくにホークは自分の感性で試合をするタイプなので、WWEからあれやこれや言われるのがストレスになっていったんです。リング外でも「この飛行機に乗らなくちゃいけない」「何時にこの会場に着かないといけない」とか管理が厳しい。何か不満があっても、ビンス・マクマホンにも簡単に会って話をすることはできない。WWEのビジネスモデルというかプロレスのかたちには馴染むことができなかったということですね。
    ――ウォリアーズいえどもビンスと会うことは難しいんですね。
    フミ 特別扱いはしない。LODのグッズもあることはあるんですけれど、あんまり力を入れて作ってない感じはありましたし。ロード・ウォリアーズはメインイベントに置くと輝くチームなんですけど、アルティメット・ウォリアーとの6人タッグで脇を固めたり、サバイバー・シリーズでは5vs5や4vs4の中の2人という扱いだったりすると……。
    ――それだとアルティメット・ウォリアーの家来に見えちゃいますね。
    フミ そのレイアウトだとそう見えちゃいますよね。それでもWWEに馴染もうと努力していたアニマルと比べると、ホークの不満はどんどんと募っていって。ウォリアーズは最終的に3回ぐらいWWEを出たり入ったりしてますね。
    ――元マネージャーだったポール・エラニングもWWEに合流したり。
    フミ ウォリアーズが最初に契約してから2年後にポールは呼ばれています。ホークとビンスが揉めてしまってポールがいれば丸く収まるだろうと。ホークがいなくなればウォリアーズでさえなくなっちゃいますからね。アニマルは「もうちょっと我慢しよう」と説得するんですが、ホークは「俺はもう出ていく」と。
    ――ちなみにホークとビンスはなぜ揉めたんですか?
    フミ  ひとつだけの理由ではなく積もり積もったものがあったんでしょうね。他人が聞けば「えっ、そんなことで!?」と思ってしまうことかもしれないけど、本人からすれば「俺は絶対にこれはイヤだ」と。WWEを離れたホークは一時、髪の毛を伸ばしたそうです。とはいってもスポーツ刈りぐらいの長さですけどね。その頃にヘルレイザース計画が動き出しました。
    ――パートナーはパワー・ウォリアーに変身した佐々木健介。
    フミ ヘルレイザーズの発案者はマサ斎藤さん。ホークが1992年の秋、新日本と専属契約を交わして健介をパートナーする。最初は「ニュー・ロード・ウォリアーズ」という名前にしようとしたんですけど、ホークは「ロード・ウォリアーズは自分とアニマルのチームだから、 それは使いたくない」と。面白いのはチーム名が決まらないままシリーズが始まってしまったんです。2週目ぐらいにヘルレイザースと決定するんですけどね。
    ――チーム名のアイデアは他に用意されてなかったんですか?
    フミ マサ斎藤さんや新日本プロレスは「ニュー・ロード・ウォリアーズ」という名称が使えるという感触で進めていたのかもしれませんね。ヘルレイザーズに決まったのはホークが六本木のミストラルというお店で飲んでいるときに、 店内に流れてきた曲がオジー・オズボーンの「ヘルレイザー」だったんです。ロード・ウォリアーズのテーマ曲はブラック・サバスの「アイアンマン」だった。「ヘルレイザー」はブラック・サバスからソロになったオジー・オズボーンの曲ということで、ホークの中で何かピンときたんでしょうね。
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  • 「まだこの世界にいていいんだ」――所英男43歳、RIZINに帰還

    2020-12-07 10:58  
    130pt
    3年5ヵ月ぶりのRIZIN参戦となった所英男インタビュー! 五輪レスリング銀メダリスト相手にひさしぶりのMMAに臨む心境は?(聞き手・松下ミワ)【1記事から購入できるバックナンバー】


    ・23歳・格闘技経験なしの女子がなぜ突然キックを始めたか/ぱんちゃん璃奈インタビュー

    ・スアキムをムエタイ引退に追い込んだギャンブラーとは何か■鈴木秀明


    ・【堀口vsDC徹底解説】コールドウェルはなぜパウンドを打てなかったのか?■水垣偉弥
    ・RIZINで魚井フルスイングが炸裂! 大沢ケンジ絶叫セコンドの裏側!



    ――今日のRIZIN記者会見を拝見していて、所選手がこういった大きな会見の場にいらっしゃるのが凄く感慨深かったです!
    所 いやあ、ボクも久しぶりだなと思いました。先日の大阪大会でカード発表があったので、「会見も出なくちゃいけないのかあ……」と思っていたんですけどね。
    ――もう会見には出なくてもいいんじゃないかと?
    所 なんというか、正直あんまり話すことないんだけどなあという感じで。でも、よくよく考えたら大晦日の会見に出られることなんかないと思って、ちょっと気合入れてきました(笑)。
    ――ハハハハハ。実際、出てみてどうでした?
    所 やっぱり、あんなフラッシュの光る中に立たせてもらったりして……いいっすよねえ(しみじみと)。あらためて「RIZINって凄いところだなあ」と思いました。
    ――会見では、「自分は堀口(恭司)戦以降、冷凍保存されていたような感覚で戦う」みたいな話もありましたけど、たしかに所選手ってビジュアルも含めて本当に変わらないですよね。
    所 いやいや全然。髪の毛とかも染めたりして、けっこう変わってますよ。
    ――髪の色なんて前から変化が激しいじゃないですか(笑)。
    所 フフフフ。でも本当に堀口選手と試合をしたすぐあとに今回の試合があるような感じがして。「あのままの状態で試合するんだ!」と思ってますね。逆にそういうつもりじゃないと、いろいろ弱気になってしまう部分もあるので。
    ――冷凍保存といえば、リング上のマイクも冷凍保存感があったような……。
    所 いやあ(苦笑)。あれは音の跳ね返りというんですか? あれが来ちゃったので、途中から自分が何を話しているかわからなくなっちゃって。「ボク、何しに大阪に行ったんだろう……」みたいな感じでちょっと反省しました。
    ――そういうことだったんですね(笑)。今回、久しぶりにMMAの試合でしたが、オファーがきたときはどう感じました?
    所 やっぱり、オファーをいただけるのって凄くありがたい話で、3年半、総合格闘技をやっていない状態でとんでもないゴールデンルーキーというか、オリンピックのレスリング銀メダリストと戦えるというのは本当にありがたいですね。
    ――じつは、太田忍戦が決まる前も紆余曲折あったとうかがっていて。最初は、佐々木憂流迦選手と試合をすることが決まっていたそうですね。
    所 ああ、そうです。ほぼ決まりかけていましたね。もう憂流迦さん用の練習も始めていました。
    ――それは、最後の最後で試合交渉が詰め切れていなかった状態だったんですか?
    所 いや、決まりかけてて、ボクもその試合をするつもりでいたので、契約書が送られてきていたらサインする予定でした。
    ――でも、その契約書がまだ届いていなかった。
    所 そうですね。そういうタイミングでRIZINの方から連絡があって、「太田忍選手とどうですか?」と。
    ――それは凄いタイミングですね!
    所 ビックリですよね。候補の一人に入れてもらえたのかどうなのか、まあ詳しくはわからないですけど、太田忍さんとの話が来たので決めました。大阪大会で発表されたときも、バックステージにいた谷川(貞治・元K-1プロデューサー)さんに「これはボク好みのカードだよお!」と言われたので、「よっしゃ!」と思いました。
    ――谷川さん好みというのは、つまりバリバリの大衆向けのカードということですよね。
    所 まあ、それは太田選手だからなんですけど、今回はそこに乗っからせてもらってます。
    ――そもそも、最初に提案された憂流迦戦も、モチベーション自体は高かったという感じですよね?
    所 かなり高かったです。勝村(周一朗)さんと飲んでるときに、酔うとすぐ熱い話になっちゃうというか、まあ熱い話をしたいがために酔っているところもあるんですけど。
    ――けっこう語るタイプなんですね(笑)。
    所 そういうときに、やっぱりもう自分が目標としている選手とは対戦できなさそうなので「どうしましょうか」という話をしていて。そしたら勝村さんが「憂流迦でしょ!」と。憂流迦さんは自分の名前を出してくれましたし、それによってボクが「まだこの世界にいていいんだ」という励みにもなったので。だから「やっぱり憂流迦さんですよね」と。なので、今回は対戦できなかったですけど、またどっかのタイミングでできたら面白いし、ありがたいなと思います。
    ――名指しされるって存在確認じゃないですけど、やっぱりうれしいですよね。
    所 いや、本当に存在確認ですよ。本当にうれしかったです。
    ――ただ、凄いタイミングで太田戦の話が入ってくるという。所選手って、本当に持ってますよね。
    所 いやあ、持っているというか、ホントに「タイミングがいい男」です。
    ――ハハハハハ! 自分で言いますか(笑)。
    所 いや、今回の件に関しては、自分でもビックリしています。でも、このチャンスを活かすも殺すも自分次第だと思うので、お互いに上がるような試合をしたいですね。
    ――そういう点では、所選手って全キャリアを通して本当に“持ってる”といいたくなるような対戦が多いですよね?
    所 なんかツイてるっすよねえ。HERO’Sに出られたのもレミギウス(・モリカビュチス)のおかげですし。
    ――あれって、谷川さんと前田日明さんがレミギウスの視察にZSTに来たときに、対戦相手だった所選手も目に留まったという流れでしたよね。
    所 ホイス(・グレイシー)さんと対戦できたのも、まあ秋山(成勲)さんが腰をケガして出場できなくなったからで。なんというか、自分の人生、そういうところで変えてもらってますね。
    ――あとは金子賢さんとの対戦だったり。
    所 ああ、金子さんもありましたねえ。いまやったら絶対に勝てないですよ。
    ――ええ!?(笑)。 
    所 いやだって、いまの金子さんの身体、凄いですもん! あんな身体の人には勝てないです。
    ――金子賢さんはボディビル方面で活躍されてるみたいですね。あとは、田村潔司さんとの対戦もありました。
    所 いやあ、それはもう本当に。もう、ありがとうございます!
    ――「ありがとうございます」ですか(笑)。
    所 だって凄いっすよね。あんなことが経験できるなんて考えられないです。しかも、そのあとRIZINのエキシビションマッチで、田村さんとヴァンダレイ・シウバのタッグチームと、ボクと桜庭(和志)さんのタッグチームが対戦するという。これ、凄いですよ。田村さんの入場曲のあとにヴァンダレイ・シウバが入場して、そのあとなぜかボクが入場するという(笑)。
    ――ハハハハハ! さらに桜庭選手の入場が続くわけですからね。金子賢さんや田村選手にしても、まずオファーが入るわけじゃないですか。そういうとき所さんってどう判断していたんですか?
    所 まあ、オイシイという言い方したら失礼ですけど、当時はずーっとオファーを断らずにやってきたつもりで、そういうときに特別なオファーがきたらテンション上がってましたよね。だって、ホイスさんなんて、そもそも触れることができるような相手じゃないというか。ボクなんか階級も違いますし。それが試合できるとなったときには……、あれはもう、ボクの人生の中で一番強かった日です。
    ――たしかに神がかってましたねぇ。
    所 いま考えても「あれはボクじゃないな」と感じます。
    ――それって、対戦するホイス側にとってもオイシイ試合である、ということは認識していたということですよね?
    所 まあ、「小さい相手にサクッと極めてやろう」と思ってたのかもしれないですよね。でも、だからこそきっと調整不足とかもあったと思うんですよ。それがボクにとってはいい方向に転がって、ああいう試合ができたのかもしれないです。
    ――そういう注目されそうなカードを提案されるというのは、「所英男だったらやってくれる」という信頼があるからということですよね。
    所 でも、そういうチャンスを何度も与えていただいて、たとえばRIZINだったらクロン・グレイシー戦とか、堀口(恭司)戦とか、うまくいかなかったことのほうが多いと思いますね。ただ、なんとなくイメージで「よかった」と言っていただけるんでありがたいというか。それまでに「所英男といったらこの試合」というのも残せてこれたので、凄く幸せ者です。
    ――逆に、色がついたカードを嫌がる選手もいるじゃないですか。田村さんやホイス戦にしても体重が違ったり。
    所 ああ~。でも、ボクはやっぱりリングスを観て育って、ZSTに上がっていたので、そう思う人とは感覚が違うんですかね。
    ――そういうカードが舞い込んできたときは、もう脊髄反射というか。
    所 もう「よっしゃ!」ですよね(笑)。
    ――ガッツポーズ(笑)。
    所 当時は、マネジメントの上原(譲・元ZST代表)さんと「よっしゃ!」でした。上原さんもプロレス好きだったので喜んでましたし。なんかやっぱり、自分の中でそういう世界に憧れもありますから。
    ――見ている人を驚かせたい、みたいな。
    所 あとはやっぱり、谷川さんにも育てていただいて。やっぱり「ボク好みのカードだよ」と言っていただいたときは、「ああ、ボクはこの人に育ててもらえたのかな」と思いましたね。“テレビ格闘技”の視点というんですかね。そういう視点で育ててもらったんだなと。
    ――そこはプロデュースする側と、ファイターの相互理解がないとうまく回らないですよね。
    この続きと、斎藤裕、北尾vsテンタ、斎藤裕、所英男、西良典、スダリオ剛…などの12月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事21本の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1980138この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック! 1記事100円から購入できます!
     
  • 美濃輪育久、ミノワマンに求めた格闘ロマンの行く末

    2020-12-07 10:33  
    110pt
    この記事は美濃輪育久、ミノワマンに求めた格闘ロマンの行く末を語ったDropkickニコ生配信を編集したものです(語り:ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・格闘技という名の青春、完結編―― 「ミノワマン、家族と共に故郷パンクラスに帰る」の巻!!
    ・【宗教と幻想、システム論】修斗は朝倉未来に勝ったのか・さらば“人間”ロード・ウォリアーズ■ジャン斉藤・【デビュー20周年と100戦目】KEI山宮インタビュー――パンクラシストの憧れと死を見つめて
    RIZINの追加カードは評判いいですけど、やっぱり「知っているファイター同士」だと見やすいですよね。現時点でRIZIN初参戦はレスリング銀メダリストの太田忍選手とミノワマンの2人だけですけど、この2人は世間的な知名度はありますし。「知っているファイター同士」だと両方の視点で試合が楽しめますからね。ひとつの視点しかないカードってなんだろうな。たとえば日本人スターvs初来日の無名外国人とか。今年2月の朝倉未来vsダニエル・サラスのカードって朝倉未来ファンなら「未来、勝って!」と応援できるけど、そうじゃない場合は集中しづらいし、捻くれたファンは「未来、負けてしまえ!」とアンチ度が増しがちですよね(笑)。
    今回は両選手の視点から見れるカードばかりなので、逆に追加カードのハードルが高くなりますよね。あちこちで選手たちが「大晦日、空いてます!」みたいなアピールしてるじゃないですか。こんなに濃い大晦日に何のテーマ性もないカードで出るって怖い(笑)。明らかに浮きますからね。那須川天心や朝倉未来だったら誰が相手でもテーマを成り立つと思うんですよ。那須川選手の場合は彼が出れば「那須川天心ショー」になるし、朝倉未来はどうやって斎藤佑にたどり着くかという戦いになりますからね。
    で、先ほどはミノワマンは知名度があると言いましたけど、RIZIN以降格闘技ファンになった方はミノワマンのことを詳しくないだろうし、PRIDE以前の美濃輪育久のことを知らない方も多いと思うんですよね。どうしてもイロモノっぽく見られるところもあって……。
    ちょっと話がズレますけど、最近MEGA2021が開催されるということで、ズンドコ研究家のボクに「ズンドコが楽しみですよね?」みたいに振られることが多いんですが、最近「ズンドコ」という言葉にうるさい自分がいるというか。SNSやYouTubeなんかでズンドコ風味なものを作って騒ぎにしていく手法が目に付きますよね。「こんなズンドコやってます、面白いでしょ~」みたいな。でも、大真面目にやってズッコける面白さが本当のズンドコであって。こんなこだわりを持つのはバカバカしいですけど(笑)。
    ミノワマンというキャラクターはズンドコ風味ではなかったわけですよ。大真面目に突っ走る面白さはパンクラス時代、本名の美濃輪育久の頃からの持ち味で。船木誠勝vsヒクソン・グレイシー以降、パンクラスが完全MMAに移行した時代において、パンクラスの希望の光だったんです。
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  • RIZINフェザー級王者・斎藤裕「彼とはどこかでまた会うかもしれませんが、ダイレクトリマッチは…」

    2020-12-04 18:28  
    150pt
    朝倉未来を破りRIZIN初代フェザー級チャンピオンに輝いた斎藤裕インタビュー!!【1記事70円から購入できる過去記事】・内柴正人が出るなら出ません……矢野卓見、QUINTET出場辞退騒動を語る
    ・世界を知る男・水垣偉弥が見た朝倉未来vs斎藤裕
    ・TEPPEN判定はあるのか〜ジャッジを巡る議論〜/高崎計三
    ・クレベルvs摩嶋? 米山引退、憂流迦vs所は幻に……■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク――初代RIZINフェザー級王座獲得、おめでとうございます!
    斎藤 ありがとうございます。
    ――試合後は病院に直行しましたが、眼窩底骨折という最悪の結果ではなかったそうですね。
    斎藤 はい。鼻は折れましたけど……ここは近いうちに入院して手術する予定ですね。
    ――試合の反響は凄かったんじゃないですか?
    斎藤 周りはワーっと騒いでますよね。
    ――“知らない親戚”から連絡はきませんでした?(笑)。
    斎藤  高校卒業以来、会ったことないような人から……「おぼえてる?」みたいな(笑)。前からボクが格闘技をやってることは知ってたんですけど、今回の試合はそれだけ届いてましたね。地元の秋田でも、誰かの家に集まってみんなでPPVを見ていたみたいで。見られなければ評価されないので、ありがたいことだなと。
    ――ご家族は会場にいらしたんですよね?
    斎藤 秋田から大阪まで来ました。 こういう状況なので、大変だったと思うんですけど。
    ――ああ、コロナの第2波が凄いですもんね。
    斎藤 あまり無理はしてほしくなかったんですけど、来てくれるということだったので。
    ――試合後に何かお話はされたんですか?
    斎藤 試合後はすぐに病院に行ってしまったので、会うことはなくて。電話で話をするぐらいですね。「よかったね」くらいで。
    ――ご家族がわざわざ秋田から来られるということは、この試合の重要さを理解していたということですね。
    斎藤 そこは届き方を含めて、朝倉選手の知名度が凄いこともありましたね。
    ――斎藤選手にとって大阪城ホールはこれまでで一番大きい会場ではありますよね。
    斎藤 大きさはそんなに気にならなかったですけどね。リングチェックのときに見渡して「いい会場で見やすいなあ」と。8月のぴあアリーナMMもいい会場でしたけど。 
    ――地方の大会場で試合することに、いつもと違った点はありましたか?
    斎藤 同じ控室の関西系のファイター、セコンドの方々がにぎやかだったなあと。関東組は瀧澤(謙太)選手とボクぐらいで。
    ――あまり関西のノリは……
    斎藤 そういうわけではないですが、東北人と関西のノリが違うかなって、気質的に(笑)。
    ――東北人は寡黙ですからね。雪がしんしんと降る中、グッと堪える感じで。
    斎藤 そうです(笑)。東北人はガマン強い人が多いかもしれません。
    ――何日前に大阪入りしたんですか?
    斎藤 計量日なので大会前日ですね。体重を落としてから大阪に向かったので移動がキツイなあという感じで。移動で300グラムぐらい落ちました。それを考えると海外の選手はもっと大変ですよね。 飛行機の乗り継ぎもありますし。
    ――今回はメインイベントでしたけど、控室の過ごし方にルーティンはあるんですか? 
    斎藤 ギリギリまでリラックスしてるぐらいですね。直前でスイッチが入るのが理想かなと思ってるんですけど、セコンドと打ち合わせをしながら基本的にゆっくりしてますね。
    ――モニターで他の試合を見たりするんですか?
    斎藤 見たい試合は見ますけど、基本的には仮眠をとることが多くて。でも、今回は関西系の皆さんが……にぎやかだったので眠れなくて(笑)。
    ――東北人vs関西人(笑)。
    斎藤 ずっと何か話をしてるので。でも、試合が終わるとだんだんと人が少なくなっていったので、休憩ぐらいまでには静かになってきましたね。
    ――オープニングの入場式の雰囲気はいかがでした?
    斎藤 「いいなあ……」と思いましたね。緊張感もありましたし、お客さんが入ってる中でリングの雰囲気も把握できたので。
    ――入場式でリングに上がったときに裸足だったじゃないですか。
    斎藤 リングに上がる前にだいたい靴を脱いでますね。まず裸足でリングの感触をたしかめられるということがあって。あと試合のときにリングに嫌われて足をひねったりするのはイヤだなってて。何か目に見えない力があると思うタイプなので。道場でも掃除しないとケガをする、みたいな。
    ――姿勢を正して試合に臨むじゃないですけど。 
    斎藤 変なことを気にするA型ですね(笑)。 
    ――メインの試合前、入場ゲートの入り口で待機してるじゃないですか。今回の試合の 煽りVはご覧になりました?
    斎藤 煽りVはまったく見てないです。 ただ、どうしても音は耳には入ってきて「こういう感じなのかな……」と。 何か対立図式みたいものはわかりましたけど。
    ――なんとなくどう煽ってるのかは伝わってくるけど。
    斎藤 あんまり気にしてもしょうがないのかなと。もう心は決まってるので、 余計な情報を入れてもしょうがないのかなと思って。人によっては左右されちゃう人もいるみたいですけど。動揺したままリングに上がってしまったり。
    ――RIZINの煽りVは選手の内面までエグリますからねぇ。
    斎藤 そうですね。ちゃんと見ると凄いときがありますよね(笑)。  
    ――試合開始前、リング中央で朝倉選手と向かい合ったときに何か思いました?
    斎藤 とくに思うこともなく、裸で対面するのは初めてだったので「こういう感じなのかな」と。大きくは見えなかったです。そのままの彼自身の姿が見えていた気がします。
    ――8月の摩嶋一整戦が終わってからこれまで、朝倉選手のペースに巻き込まれないことを繰り返し言われてましたよね。 朝倉選手の幻想や存在感が大きすぎるから、気にしないようにしていたところもあったんですか?
    斎藤 朝倉選手のことを熱狂的に見ている人たちが多かったり、プロとして彼自身がそういうふうに見せていた部分はあると思うんですけど。 自分はそういう風には見ていなかったので「そういうやり方をする人なんだなぁ」くらいで。そこに左右されることはないですね。
    ――格闘家として評価しているところはあったわけですよね。
    斎藤 それはもちろん、はい。やる前から強いとは思ってました。強さがあって、自分のペースに持ち込むことがうまいというか。彼は矢地(祐介)選手のときと同じように戦えると思ったんじゃないですかね。
    ――矢地選手は朝倉選手のペースに巻き込まれた感はありました。
    斎藤 やりあっていく中で楽しくなっていくけど、試合は冷静で。矢地選手の試合は70キロ契約に彼が乗ったかたちなので、失礼な言い方かもしんないけど「勝てばいい」というか。内容よりも勝ちに拘ったんじゃないかなと思いますね。
    ――1ラウンドはお互いに探るじゃないですけど。
    斎藤 1ラウンドの最初に彼の右フックに合わせて左フックを当ててるんですけど、そのときに向こうがニヤッと笑って。「やるじゃねえか」っていうことなのかもしれないですけど、あれでだいぶ落ち着いた感じはありましたね。実際に右フックはもらってないし、初見で合わせられたのは大きかったです。向こうからすると精神的なダメージが……こっちからすると右フックは、よほど大きなミスをしないかぎりは大丈夫かなと。
    ――試合序盤の朝倉選手はパンチよりも蹴りのほうがうるさい感じでしたね。
    斎藤 左の蹴りは彼の得意だったので、あまり受けたくないなあとは思ってましたね。受け続けるとよくないかなと。でも、最初の2発ぐらいを受けて、自分が何か大きなミスをしなければ大丈夫かなと。
    ――その蹴りも途中からあまり出さなくなって。
    斎藤 出せなくなった、出さなかったのかは……たぶんテイクダウンがひとつの流れを変えたのかなと。
    ――朝倉選手の左ローキックをすくって押し倒して。
    斎藤 彼は公開練習のときに「左のインローから入る」って言ってたじゃないですか。ボクの公開練習のときにマスコミから「朝倉選手がそう言っていた」と聞いたんですよ。揺さぶりだったと思うんですけど、そんなことを教えてくれるなんていい人だなあと。
    ――斎藤選手の中に左のローの意識が刷り込まれたじゃないですけど。
    斎藤 ボクは素直に受け止めたんですけど(笑)。ホントに蹴ってきましたからね。あそこでテイクダウンされたので、また掴まれるんじゃないかなと思ったんじゃないですかね。
    ――1ラウンドにローブローがあったから控えたというわけでもないですもんね。
    斎藤 それはないですね。 あのあともローは出していたし、そんなことで萎縮するメンタルの持ち主ではないとは思いますけど。
    ――あのローブローのダメージはかなり深刻でしたか?
    斎藤 うーん、イヤだなあとは思いましたけどね。時間も与えてもらったので呼吸を整えて、しっかりやり直そうとは思いました。 レフェリーの方も「焦らなくていいから」と言ってくれて 。あそこで終わりはないですね。せっかくここまでたどり着けたので。状況もいろいろと不安定な中で、メインイベントということでやることになったので、ああいう終わり方は絶対にないですね。
    ――1ラウンド終わってみてどんな感想がありましたか?
    斎藤 5分間やってみて、距離感や構えはある程度、把握できたというか。2ラウンドには攻めていけるなと。
    ――実際に2ラウンドから斎藤選手がアグレッシブに前に出るようになりましたね。
    斎藤 1ラウンドはまだ怖いというか、クセやリズムもわからない中で不用意なことはやりたくないなって思ったんですけど。2ラウンドは行けるな、と。ちょっとずつ距離を詰めて、入り方を考えて行けるところは行く。カウンターを狙ってるので、正面から入らないように気をつけて。
    ――こう言ってしまうと極端ですけど、朝倉選手の攻撃パターンの見切っていったところあるわけですか。
    斎藤 見切ったというよりは2ラウンド、3ラウンドは攻めていけるなっていう感触を掴んだ感じですね。向こうも何か武器を温存してるかもしれないし、危険がなくなったわけじゃないですから。カウンターはうまかったですよね。 ちゃんと相手の動きを見て、どんなときでも合わせてくる。ただ、こちらが前に出ると、向こうはずっと受けていたので、こうなるとなんでもやりやすくなるなと。
    ――その流れで2回目のテイクダウンも成功して。
    斎藤 あれはタイミングで取れましたね。あそこで取れたことはもの凄く大きかったですね、試合の流れの中で。 彼がタックルでああやって倒されるところはあまりないし、少なからず彼の中でも動揺はあったんじゃないですかね。
    ――2ラウンドになると斎藤選手のキックのバリエーションも増えていきますよね。
    斎藤 そうですね、ミドルとかハイとか……あんまり言い過ぎると、次があるかもしれないので(苦笑)。
    ――ハハハハハハハ。
    斎藤 彼は絶対にこういう記事もチェックしてると思うんですね。見てないふりして見ているか、周りの方が伝えているのかはわかりませんが……カットしてもらえるならいいですけど、ボクが今回の試合で勝てた理由は◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ですね。
    ――あっ……たしかに。
    斎藤 これが◯◯◯なら◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯だったと思うんですよね。
    ――な、な、な、な、なるほどおおおおおおお!!!!!  今回の試合は多くの選手・関係者が感想を残してますけど、その指摘は誰もしてないですね……。
    斎藤 ボクが勝ったのは絶対にここがポイントだと思いますね。ボクのイメージしていた朝倉選手とは実際は違ったのかなあと。
    ――数十年後に“事実”を公開いたします(笑)。RIZINオフィシャルYouTubeのバックステージ映像ってご覧になりました?
    斎藤 ああ、見ました。 

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  • ZERO1お家騒動とは何か?■事情通Zのプロレス 点と線

    2020-12-04 15:38  
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    プロレス業界のあらゆる情報に精通する事情通Zの「プロレス 点と線」――。今回のテーマはZERO1お家騒動とは何か?です。【1記事から購入できるバックナンバー】・TAKAみちのくvs火野裕士のシュートマッチは実現するか?■事情通Zの「プロレス 点と線」
    ・【王道トーク】和田京平&木原文人「いまのプロレスってレフェリーの存在に意味があるの?」
    ・Uインターのヤバイ新弟子の話■金原弘光・さらば“人間”ロード・ウォリアーズ■ジャン斉藤
    ――た、た、た、大変です! 新体制となったZERO1から火野裕士選手が離脱したり、ZERO-ONE時代から関わりが深かった中村(祥之)さんが決別ツイートしたりと、かなりゴタゴタしていますが……。
    事情通Z ZERO1はここ数年、体制が目まぐるしく変わってきていた。ある団体が買収を持ちかけたこともあったりね。現在は株式会社ダイコーホールディングスグループの子会社となり、ダイコーZERO1となったけど、たびたび体制が変われば選手や関係者から「あのときのほうが……」とか「いまのほうが……」という意見は出てきがちだよね。
    ――やり方が合う・合わないって出てきますからね。
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