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記事 5件
  • 【「電子雑誌」と「遺体」の現場】津田大介の「メディアの現場」vol.79

    2013-05-31 19:00  
    220pt
    今年に入って女性誌『GLAMOROUS』『Grazia』、音楽誌『WHAT's IN?』『PATi・
    PATi』が相次いで休刊を発表するなど、雑誌の不調が続いています。そんな中、
    この4月に創刊されたiPad版のデジタルマガジン『PERISCOPE(パラスコープ)』
    が密かに注目を集めています。動画やサウンドをふんだんに取り入れたインタ
    ラクティブな仕掛けが満載のPERISCOPEはまさに「電子雑誌」と呼ぶにふさわし
    い出来映え。これを発行しているのが、出版社や著名人ではなく、ニューヨー
    ク在住の日本人を中心とする個人のグループというのも「メディアの現場」的
    には興味深いです。そこで今回は、本メルマガにも何度か寄稿いただいた
    『PERISCOPE』編集長でフリーライターの佐久間裕美子さん(@yumikosakuma)
    にインタビューを行いました。
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    ◆iPadで展開する次世代の“ストーリーテリング”とは?
     ――ニューヨーク発のデジタルマガジン『PERISCOPE』創刊!
    津田:アート、映画、小説、デザイン……さまざまなかたちで表現するニュー
    ヨークのクリエイターたちにスポットを当てたデジタルマガジン『PERISCOPE』
    [*1] 。この4月、ついに創刊号となるiPad版 [*2] がリリースされました。僕
    も早速アプリをダウンロードして読んでみたのですが、お世辞抜きでよくでき
    ていますね。記事にざっと目をとおすと、ファッション誌やデザイン誌のよう
    な作り込まれた「雑誌」に近い印象を受けるものの、デジタルメディアなので
    もちろん「雑誌」ではない。かといって、既存の雑誌を「電子書籍」にしたも
    のとも違っている……まさに「デジタルマガジン」としか言いようがない。こ
    の新しい読書体験を本メルマガの読者のみなさんにも知ってもらいたくて、今
    日は『PERISCOPE』編集長の佐久間裕美子さんにお越しいただきました。佐久間
    さん、よろしくお願いします。
    佐久間:よろしくお願いします。

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  • 【川村元気の創作の秘密に迫る】津田大介の「メディアの現場」vol.78

    2013-05-26 21:50  
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    2012年10月、無料メール通話アプリ「LINE」が初めての連載小説を配信し、話
    題になりました。小説のタイトルは『世界から猫が消えたなら』。著者は、
    『告白』『悪人』『おおかみこどもの雨と雪』をはじめ数々のヒット映画を世に
    送り出し続ける東宝の映画プロデューサー・川村元気さんです。その後、単行
    本として発売された小説は、現在までに30万部以上を売るベストセラーに。映
    画という枠にとどまらず、初めて書いた小説までも大ヒットに導けたのはなぜ
    なのか。川村さんご本人に話をうかがいました。

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    ◆いまの時代が求めているモノとは何か?
     ──ヒットメーカー・川村元気が作品に込める「日常の中の違和感」

    (2013年3月5日 J-WAVE『JAM THE WORLD』「BREAKTHROUGH!」より)

    出演:川村元気(映画プロデューサー、作家)、津田大介
    企画構成:きたむらけんじ(『JAM THE WORLD』構成作家)


    津田:出版不況と言われて久しい近年、なかなか本が売れない状況が続いてい
    ます。そんな中、ある新人作家の処女小説が26万部を超えるベストセラーとな
    り、さらに全国の書店員が選んだ“いちばん売りたい本”を決める「本屋大賞
    2013」[*1] にもノミネートされました。小説のタイトルは『世界から猫が消え
    たなら』[*2] 。著者は、大ヒット映画『告白』[*3]『悪人』[*4]『モテキ』
    [*5] 『おおかみこどもの雨と雪』[*6] などの話題作を次々と手がけてきた東宝
    のプロデューサー・川村元気さんです。映画好きの間では「ヒットメーカー」
    として知られる川村さんですが、まさか小説までベストセラーになるとは……
    と驚いた人もいるのではないでしょうか。川村さんが映画という枠を超えて表
    現する「時代が求めているもの」とは何なのか。作品を通じて一緒に考えてみ
    たいと思います。それではさっそくご紹介しましょう。川村さん、こんばんは。

    川村:こんばんは。よろしくお願いします。

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  • 【アラブの春とビッグデータ】津田大介の「メディアの現場」vol.77

    2013-05-18 05:54  
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    僕が出演した番組やトークイベントなどで、内容が面白かったものをテキスト
    で読みやすく再編集してお届けします。原発・放射線の問題や政治全般、著作
    権、音楽の話までテーマは多岐にわたる予定です。

    2011年春、日本では東日本大震災とそれに伴う津波、そして福島第一原発事故
    が起きました。そして同じ時期、日本から遠く離れたアラブ世界では、政治体
    制の劇的な変化がありました。問題は違いますが、これらの出来事にソーシャ
    ルメディアが大きな役割を果たした——その事実は、本メルマガでもたびたび
    お伝えしてきたとおりです。東日本大震災とアラブの春からちょうど1年が過ぎ
    た2012年2月、アラブの市民社会のリーダーたちと日本でお話しする機会に恵ま
    れました。少し前の記事ではありますが、個人的にとても貴重な体験だったの
    で、このタイミングで転載したいと思います。ソーシャル時代のリーダーに必
    要な素養とは何なのか? 参加者それぞれのお国柄が垣間見える国際色豊かな対
    談をお楽しみください。

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    ◆コミュニティづくりにおけるSNS時代のリーダーシップ
      ──東日本大震災とアラブの春に学ぶ

    (国際交流基金 [*1] 発行「国づくり・コミュニティづくりにおけるリーダー
    シップ : 東日本大震災と『アラブの春』を経て──SNS時代のリーダーシップ」
    より転載)

    参加者:
    Ahmed El Mehalawy(ペトロ環境サービス会社 IT&コミュニケーションスーパー
    バイザー)
    Atef Mohsen Ali(Arkan建築 Co-Founder / AlWasat党青年部メンバー)
    Ghada Aly Mohamed Ahmed Gabr(Stabl Antar Dream Project(SohbetKhair 
    (NGO))Project Founder)
    Ibrahim Farag(エジプト国際商業銀行 クレジット・マーケティング担当)
    Tamar Ashraf Badreldin(起業家ビジネスフォーラム理事)
    Tarek Mrad(ラジオエクスプレスFM ラジオホスト)
    津田大介


    司会:本日の午後はソーシャルメディアについてです。先程の記者懇談会でも
    ソーシャルメディアがアラブの春 [*2] に果たした役割について語られていま
    したが、日本で大地震 [*3] が起きた時もソーシャルメディアが非常に役に立
    ちました。今日はその辺の話を今回のテーマでありますリーダーシップと少し
    絡めながら、メディアジャーナリストの津田大介さんにお越しいただいて、お
    話を伺いたいと思います。津田さんは、一言で言うならば、今回このグループ
    が日本で会っておくべき若手リーダーの1人だと思われます。皆様が今回お話を
    伺ってソーシャルメディアの役割を考えることはもちろん大切なのですが、も
    う1つ、津田さんがどうしてこういうお仕事をされ活動されているのか、そんな
    ことにも興味を持って聞いていただけたらと思います。

    津田:みなさん、こんにちは。津田大介と申します。日本で今、ソーシャルメ
    ディアがどのように使われていて、かつ震災でそれがどのように役に立ったか
    ということ、私が感じていること、ソーシャルメディアが何故これだけ広まっ
    たかということ、そしてその特徴をお話ししようと思います。まず、日本でソー
    シャルメディアを利用しているのが何人位なのかを見てください。日本の人口
    が1億3000万人位で、インターネットを使っている人口が1億弱、約9500万人 
    [*4] と言われています。日本のインターネット普及率は非常に高いのですが、
    注意していただきたいのは、9500万人という数字には携帯電話でメールしか利
    用しないというユーザーも含めているということです。実際にPCを使って情報
    検索したり、情報を発信したりするユーザーは大体4000〜5000万人と言われて
    います。今、いろいろなソーシャルメディアがあります。ツイッターやフェイ
    スブック。日本オリジナルのサービスもありますが、ツイッターとフェイスブッ
    クが非常に多いです。どちらも1300万人位 [*5] です。細かい数字よりも今覚
    えていただきたいのは、日本のパソコン・ユーザーの約3人に1人がソーシャル
    メディアを使うようになったということです。

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  • 【オバマスタッフが語るネット選挙の舞台裏】津田大介の「メディアの現場」vol.76

    2013-05-16 00:23  
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    2012年のアメリカ大統領選挙において、オバマ大統領の選挙活動を支えたボラ
    ンティアのチーム「オバマ・フォー・アメリカ」[*1] 。4万人ものボランティ
    アが結束し、有権者への呼びかけを行ったことが、オバマ大統領の選挙戦での
    勝利に大きく貢献しました [*2] 。前回の大統領選挙では、自ら運営するSNS
    「マイ・バラック・オバマ(MyBO)」[*3] や種々のソーシャルメディアを活用
    して個人献金を集め、奇跡的な勝利を収めた [*4] と言われるオバマ大統領で
    すが、今回はさらにその仕組みが大きく進化し、データ解析による効率的な選
    挙戦で優位に立ち [*5] 、また、スマートフォンのアプリケーションなどボラ
    ンティアを支えるアプリケーションも大きな力を発揮したと言われています
    [*6] 。今回は、オバマ・フォー・アメリカにエンジニアとしてボランティアで
    参加したAmazon Web Services, Inc.のソリューション・アーキテクト、マイル
    ズ・ワード氏にインタビューし、選挙戦の舞台裏についてお話を伺いました。
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    ◆ビッグデータはいかにオバマを勝利させたか?
     ――マイルズ・ワードが明かす2012年米大統領選の舞台裏
    ◇ボランティアを支えた200以上のアプリケーション
    津田:はじめまして。さっそくですが、自己紹介とともに、マイルズさんがオ
    バマ・フォー・アメリカで果たした役割を教えていただけますか。
    マイルズ:わかりました。私の役職を一言で言うと、Amazon Web Services, 
    Inc.のAmazon Web Service [*7] のソリューションアーキテクト [*8] という
    ことになります。弊社とパートナー企業をつなぐエコシステムのマネージャー 
    [*9] もしていますね。ただし、この肩書きとオバマ・フォー・アメリカには何
    の関わりもありません。米国では企業が特定の大統領候補を応援するのは禁じ
    られていますので、オバマ・フォー・アメリカにはボランティアとして、無給
    で参加したんです。具体的には、バックエンドのシステムの設計を行うアーキ
    テクト、そしてコアシステムの開発を行うエンジニアとして仕事をしていまし
    た。

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  • 【ハフポスト日本版の船出はいかに?】津田大介の「メディアの現場」vol.75

    2013-05-07 19:05  
    220pt
    全米No.1とも言われるユーザー参加型のニュースサイト「ハフィントンポスト」。
    独立したネットメディアがユーザーから圧倒的な支持を獲得した結果、大手メ
    ディアコングロマリットに買収され、全米一の報道メディアに成長していった——
    その過程は、僕に大きなヒントや勇気を与え、本メルマガを作るうえでも大き
    な影響を与えました。この5月7日、その日本版がスタートします。日本版の編
    集長を務めるのは、果たしてどんな人物なのか。そして、舵取りの難しいユー
    ザー参加型のニュースサイトを、どのような戦略をもって運営していくのか。
    ハフィントンポスト日本版の松浦茂樹編集長にお話を伺いました。

    ■ハフィントンポスト日本版
    http://www.huffingtonpost.jp/

    (構成:松本香織/ハフィントンポスト日本版ブログエディター)

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    ◆全米No.1ニュースサイト「ハフィントンポスト」が日本に上陸
     ——編集長・松浦茂樹氏が語る「成功のフレームワーク」とは


    津田:「ハフィントンポスト」[*1] をご存じでしょうか。いまや全米No.1とも
    言われるユーザー参加型のニュースサイトで、ツイッターやFacebookのような
    ソーシャルメディアと連動してうまく連携しており、サイトを訪れるユーザー
    は月間4600万人、寄せられる投稿は月間800万件にも上ります [*2] 。オバマ大
    統領やマイクロソフト創業者のビル・ゲイツをはじめ、3万人もの人がハフィン
    トンポストにブログを開設しています。

    しかし、その歴史は決して長くはありません。リベラル系の論客だったアリア
    ナ・ハフィントンという女性が2005年、数十人のスタッフとともに立ち上げ、
    8年間で爆発的に成長しました [*3] 。現在は本国のほか、イギリスやイタリア
    など、海外数カ国でも展開しています。

    そのハフィントンポストがこの5月7日、朝日新聞と組んで日本に上陸します 
    [*4] 。メディア関係者から注目を集めているハフィントンポスト日本版。その
    編集長を務めるのは、果たしてどんな人物なのか。そして、舵取りの難しいユー
    ザー参加型のニュースサイトを、どのような戦略をもって運営していくのか。
    政治メディアの立ち上げを控えている僕にとっても、気になるところです。

    そこで本日は、ハフィントンポスト日本版の編集長を務める松浦茂樹さんをお
    招きし、お話を伺っていきます [*5] 。松浦さん、よろしくお願いします。

    松浦:松浦です。よろしくお願いします。ウェブサイトの立ち上げは、最後の
    ほうはデスマーチになることも多くて、たいへんです。でも今は、それも含め
    て楽しみながら、立ち上げ準備を進めています。

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