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記事 9件
  • ハックルさんのトーク術とは? 「津田ブロマガeXtreme」第3回目書き起こし(前半)

    2012-11-22 16:39  
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    聞き取りにくい声で話すと、逆にカリスマ性が高まる?「ハックルさん」のニックネームで知られるベストセラー作家の岩崎夏海さんが、津田大介さんとの対談の中で話術の秘訣を打ち明けました。(企画・制作:ドワンゴ) これは2012年10月17日のニコニコ生放送番組『津田ブロマガeXtreme(エクストリーム)』の一幕です。岩崎さんは、2009年にダイヤモンド社から小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(通称:『もしドラ』)を上梓し、200万部を超える大ヒット作となりました。岩崎さんの話し方に「聞き取りづらい」というコメントがついたことを受けて、本人は以下のように発言しました。 「僕の声がやっぱり、ちょっとこもりがちなところがあるからね。でも、自分で言うのも何だけど、これも戦略の一つなんですよ。意識はしてないけど、多分、聞きにくい声を出すことによって、(周囲の)アテンション(関心)を高めているという」 あえて聞き取りにくい言葉で話すことで、周囲の関心を高める方法には実例があるのだそうです。岩崎さんはプロ野球の監督の話を例に挙げて解説します。 「監督によっては、本当に近くでしか聞き取れないようなボソボソ声で話すんですよ。だから囲み取材なんかだったら、記者が押しくら饅頭になっていて大変なんです。あれも、自分のカリスマ性を高めて、記者に対して『俺の声はありがたいんだぞ』っていう演出でやっているんですよ」 それと同じテクニックを無意識のうちに使っているのではないか? というのが岩崎さんの自己分析でした。このほか前半の無料放送部分では、岩崎さんが東京藝術大学の建築科に進学した際のエピソードや、津田さんが東京都杉並区の高円寺に長年住んでいる理由などを取り上げました。『津田ブロマガeXtreme』では、今後も定期的に生放送をしていく予定です。 この番組の全文書き起こし記事は、津田大介チャンネルに会員登録すると閲覧できます。
  • 【原発立地地域の町長「補償を求めない」】津田大介の「メディアの現場」特別号外ブロマガ編vol.8

    2012-11-21 16:02  
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    「脱原発で税収が落ちても、国に補償を求めることはない」――原発を抱えるドイツの町、エッセンバッハの町長はそう語ったそうです。津田大介さんのブロマガと連動して、3日間連続でお送りしたニコニコ生放送『小沢一郎ドイツ脱原発視察 現地取材リポート』。最終日となった2012年10月20日の放送では、引き続きネオローグの小嶋裕一記者と「国民の生活が第一」の森ゆうこ参院議員が、現地ドイツより生中継で登場しました。(企画・制作:ドワンゴ) 小沢代表や森議員ら「国民の生活が第一」の議員団が、現地時間の10月17日から19日にかけて、ドイツを視察しました。2022年に向けて脱原発の舵を切ったドイツの取り組みを調査するためです。これに津田さんが率いる「ネオローグ」の小嶋裕一記者が同行取材しました。小嶋記者のいるドイツと東京・高円寺のネオローグの事務所をネット回線で結び、小嶋記者と津田さんがテレビ電話をする形式で、3日間連続で現地レポートが生放送されました。今回はその最終日になります。 最終日は、廃炉が決定したエッセンバッハのイザール原子力発電所をはじめ、ドイツにおける再生可能エネルギーシフトの成功モデルと言われるメルケンドルフなどを訪れています。当日、視察で訪れた場所のVTRを交えつつ、脱原発の動きを進めるドイツの現状をレポートしました。日本からはジャーナリストの津田大介さんが、ドイツの取り組みの問題点や、日本でエネルギーシフトを進めていくための課題について、視聴者からのコメントを反映させながら2人に聞きました。 柏刈原発のある新潟県が選挙区の森議員は、長年、脱原発を訴えてきたコッペル連邦議会議員の取り組みを紹介しました。彼によれば最近は、むしろ日差しが強かったり、風が強い日には電力が余っていることが問題になっており、政府の補助金を減らしていくべきではないかという議論もあるそうです。森議員は、「コッペル議員は毎日毎日、新しいステージに行っている」と感慨を込めて語りました。一方、小嶋記者は「ドイツの経済界や政界など、いろいろな人が脱原発への問題を抱えつつも、これを必ずやり遂げるんだという合意・コンセンサスがきっちり形成されている点が、日本と大きく違うと感じた」とコメントします。原発立地地域であるエッセンバッハの町長が、「脱原発で税収が落ちても、国に補償を求めることはない」と語ったことは、そのコンセンサスの一例と言えるでしょう。 放送ではこのほか、ベルリン郊外にある太陽光発電所を視察する小沢代表らの様子がVTRで紹介されました。電気料金の値上げや企業の税負担など、ドイツは脱原発に伴う痛みを受け入れつつ、既にエネルギーの4分の1を再生可能エネルギーへとシフトしています。その取り組みから、日本がこれから進むべき道へのヒントを探りました。この番組の全文書き起こし記事は、津田大介チャンネルに会員登録すると閲覧できます。
  • 日本の産業界に首をかしげるドイツ財界人 津田大介の「メディアの現場」特別号外ブロマガ編vol.7

    2012-11-20 18:13  
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    「脱原発に反対という日本の経済界・産業界の立場は、私にはどうしても理解できません」。訪独した「国民の生活が第一」の小沢一郎代表との会談中、ドイツのヴォレー・商工会議所エネルギー政策課長はこう明言したといいます。2012年10月19日、津田大介さんのブロマガ生放送『小沢一郎ドイツ脱原発視察 現地取材リポート #2』で、同党の森ゆうこ参院議員が明かしました。(企画・制作:ドワンゴ) 小沢代表や森議員ら「国民の生活が第一」の議員団が、現地時間の10月17日から19日にかけて、ドイツを視察しました。2022年に向けて脱原発へ舵を切ったドイツの取り組みを調査するためです。これに津田さんが率いる「ネオローグ」の小嶋裕一記者が同行取材しました。小嶋記者のいる現地と東京・高円寺のネオローグの事務所をネット回線で結び、小嶋記者と津田さんがテレビ電話をする形式で、3日連続で現地レポートが生放送されました。その2回目になります。 視察2日目となる18日、視察団一行はヴォレー・エネルギー政策課長らとの会談に臨みました。森議員の説明によると、視察に同行した河合弘之弁護士(脱原発弁護団全国連絡会代表)が、ヴォレー・エネルギー政策課長に対して「日本においては産業界が脱原発に反発している。そのことについて理解できますか??」と質問したということです。 質問を受けて、ドイツ経済界側の立場であるヴォレー・エネルギー政策課長は、企業の都合をある程度理解した上で「だからといって脱原発に反対という経済界・産業界の立場は、私にはどうしても理解できません」と答えたのだとか。この言葉の背景には、原発は事故が起こった場合にリスクが高いことと、高レベルの放射性廃棄物の処理を最終的に企業が負担しなければならないことがあるようで、「経済合理性からしても、原発を続けていくということはあり得ない」と付け加えたそうです。 放送ではこのほか、ドイツでは再生可能エネルギーが投資や雇用を生むと考えられているという話が紹介されました。この番組の全文書き起こし記事は、津田大介チャンネルに会員登録すると閲覧できます。
  • 新仕分け会場にニコ生・コメント流れる、視聴者アンケート参考に議論

    2012-11-20 17:53  
    3年前に誕生した民主党政権が精力的に取り組んできた「事業仕分け」が、2012年11月18日、ついに最終日を迎えました。今回は、11月16日から3日間にわたって、東日本大震災の復興予算の有用性などを再検証してきましたが、「新仕分け」と銘打っているだけあって、初の試みが実施されました。会場内に設置した4台の大型液晶から、ニコニコ生放送のコメントや、Twitterのタイムラインが流れたのです。仕分け人はこれらのネット上の反応に取り囲まれる中で、仕分け作業を進めることになりました。 【参考HP】 ・行政刷新会議「新仕分け」特設ページ-内閣府 http://www.cao.go.jp/sasshin/shin-shiwake2012/index.html ・ニコ生とTwitterが流れる会場で議論 「新仕分け」で初の試み、「民主主義2.0」実現か!?-ねとらぼ http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1211/16/news113.html 今回の取り組みを受けて、最終日の18日には「仕分けを仕分ける」というお題で特別セッションが開催されました。これは、「新仕分け」の手法について、その意義や可能性などを議論するという内容です。岡田克也副総理や、編集者・ライターの速水健朗さん、社会学者の古市憲寿さんらに交じって津田大介も加わり、活発な議論が交わされました。 また、今回の新仕分けは、ニコニコ生放送でのユーザーのコメントや、アンケート結果が会場で読み上げられたという意味でも画期的でした。インターネットの意見として質問や、ニコニコ生放送のリアルタイムアンケートの結果が、仕分け人の席に座っている意見の一つとして、ネットの意見や意志が可視化され、一つ、空白の席としての『ネット代表』の席があって、参考意見としてネットを通じて参加できるようになった。仕分けがシステムとして完成形に近くなってきたように思います。 この他にも「事業仕分け」をネット中継して、会場で双方向的なやり取りを行ったことについて、多くの言及がありました。主な部分の書き起こしは以下の通りです。 ■「暇な人なら全部見ることができる」ことが大事 津田:今、速水(健朗)さんの方から「ニコ生のレベルが低いよ」「コメントがひどいじゃないか」みたいな話もあったんですけど、僕はある意味でいうと全く逆の感想を持っています。今日の最後の仕分けで取ったアンケートで、「今回の『新仕分け』のように、オープンガバメント(政府の積極的な情報公開)の取組みをどう思いますか?」というアンケートをやったら、思った以上に(評価する)感想が多かったんですね。「非常に意義がある」が56.8%、「まあまあ意義がある」が23.2%。両方合わせて8割近くが評価しています。 もう一つ、行政事業レビューシートについてのアンケートではより評価が高くて、「(このように)国がやっていることや、税金の使われ方について公開することをどう評価するのか」という質問に対して「非常に意義がある」が71.7%、「まあまあ意義がある」が18.6%でした。約9割が意義を認めるということで、みんな文句を言いながらも、取り組み自体に対しては、非常に評価して頂けた。これは意義深いことだなと思います。   ツイートを見ていても『少しでも政治に参加しているという気持ちを味わうことができた』とか『政策ってこんな雰囲気で議論されているのかって分かる』とか。ただ、見せ方の問題でいえば、(仕分けは)仕組み上、1時間ってバンバン切っていかないといけないので議論が深まることはできない。これは事業仕分けへのネガティブな批判として言われるんですけど、1時間で切らないといけないスピード感があるからこそ緊張感がある議論があって面白いし、それ自身がたくさんの人に見ているコンテンツ価値につながるんだと思います。 先ほど岡田副総理の方から発言がありましたけど、僕が「すごい象徴的だな」と思ったのは、今までは永田町や霞ヶ関だけで行っていた予算編成という物に、第三者が介入するということです。それがネットに開かれるようになって、1回目から実験的に行われてたけど2回目からはマストになりました。それが見ようという気になれば毎日8時間に及ぶ議論を全部、動画が公開されているわけだから、暇な人は見ることができるわけですね。そうやって公開されていることが何よりも重要です。 それにプラスして、ある意味で「最後の仕分け」とも言われている今回、インターネットの意見として質問や、ニコニコ生放送のリアルタイムアンケートの結果が、ここで実際に読み上げられました。ここの仕分け人の席に座っている意見の一つとして、ネットの意見や意志が可視化されて、一つ、空白の席としての「ネット代表」の席があって、参考意見としてネットを通じて参加できるようになった。そういう意味でシステムとしても完成形に近くなってきたんじゃないかなと思っています。 ・[ニコニコ生放送]津田の「全く逆の感想を持っています」発言から視聴-会員登録が必要 http://live.nicovideo.jp/watch/lv115221366#34:41 ■フワっとぶつけるのが「これからのメディア」 津田:さっき岡田克也副総理の閉会式のあいさつで、「無駄な予算の一刀両断じゃなくて、個別の案件に関して難しい問題を抱えているということが明らかになったということに意義がある」とおっしゃっていましたが、僕もその通りだと思います。情報がどんどん公開され、プロセスが透明化していくということは、いろんな人が関わり合いになるということでもあるんだけど、自分たちでコメントすることも含めて、ネットを使って参加するきっかけが増えていきます。でも、そうすると、古市(憲寿)さんの話とも関連してくるんですが「お上が悪い」「政治が悪い」って言ってられなくなるんですね。関わる機会が出てくるということは、今までは飲み屋で政治放談していれば良くて、それがある種の世論として消費されていたんですが、自分が関わって知ったことによって「結構、問題って複雑なんだね」というのに気が付いたときに、初めて進み出すこともあったわけですから。 (ネットでコメントを募集することで)しょうもないコメントもたくさんあったと思うんですね。ツイッターにしてもニコ生にしても。でも今回、この試みで「良かったな」と思ったのは、どちらかというと実名に近くてコメントの質が比較的高いと言われているツイッターと、ニコニコのコメント、両方あったのが良かったと思っています。意外と「おっ」と思うような意見はニコニコの方にあったりするんですよね。実名・匿名どっちも参加できるということによって(メリットを感じています)。 アイデアレベルだと良い物もあったりするので、「このアイデアは使えるんじゃないか」「いい質問じゃないか」と、そういった物の中からきちんと吸い取る。それってネットで可視化された「世論の上澄み」だと思うんですね。その「世論の上澄み」をカッコ書きの【世論】として、「これが一つの【世論】ですよ」と、「聞くべき意見がこんなにありますよね」という物を政治家や官僚の方にフワっとぶつける。それがこれからのメディアの仕組みなんじゃないか。それが本来、マスメディアがやんなきゃいけない一番重要な仕事に、今後なっていくと思うんです。 今回、行政刷新会議はものすごく良い仕事をしたと思います。だけど、既存のマスメディアは新しい取り組みとか、ネットから上がって来た物の可能性とかをほとんど報じていません。その意味で僕はマスメディアに関しては今回は落第だと思います。マスメディアは反省して欲しいですね。 ・[ニコニコ生放送]津田の「僕もその通りだと思います」発言から視聴-会員登録が必要 http://live.nicovideo.jp/watch/lv115221366#1:02:56
  • 【ドイツ環境相「日本は脱原発したのでは?」】津田大介の「メディアの現場」特別号外ブロマガ編vol.6

    2012-11-19 15:33  
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    「日本は脱原発したんじゃないの?」。訪独した「国民の生活が第一」の小沢一郎代表と会談中、ドイツのアルトマイヤー環境大臣は不思議そうな表情を浮かべたそうです。2012年10月18日、津田大介さんのブロマガ生放送『小沢一郎ドイツ脱原発視察 現地取材リポート #1』で、同党の森ゆうこ参院議員が明かしました。(企画・制作:ドワンゴ) 小沢代表や森議員ら「国民の生活が第一」の議員団が、現地時間の10月17日から19日にかけて、ドイツを視察しました。2022年に向けて脱原発へ舵を切ったドイツの取り組みを調査するためです。これに津田さんの会社「ネオローグ」の小嶋裕一記者が同行取材しました。小嶋記者のいるドイツと東京・高円寺のネオローグの事務所をネット回線で結び、小嶋記者と津田さんがテレビ電話をする形式で、3日連続で現地レポートが生放送されました。その第1回になります。 森議員の説明によると、視察初日となる17日に、小沢代表らと会談したアルトマイヤー環境大臣は次のように話していたそうです。 「どこよりも優れた技術を持っている日本という科学技術立国で、福島第一原発の事故が起きたことで、ドイツ国民は非常にショックを受けていて、原子力発電はもう続けられないという結論に達しました」 このとき小沢代表が、日本の主要政党で「脱原発」を掲げている政党が数少ないことを説明すると、大臣は「日本はすでに脱原発しているんじゃないの?」と、けげんそうな表情を浮かべたということです。森議員は津田さんに、ドイツの事情をこう解説しました。 「日本の原発は、特別に2基だけが再稼働しているだけで、あとは全部止まっている。ドイツでは今も9基の原発が稼働しているため、ドイツ人には『日本の方がドイツより脱原発が進んでいる』と思っている人が多くいるのです」 放送ではこのほか、ベルリン郊外にある太陽光発電所を視察する小沢代表らの様子がVTRで紹介されました。この番組の全文書き起こし記事は、津田大介チャンネルに会員登録すると閲覧できます。
  • 日本の「科学コミュニケーション元年」は近い?ーー3.11、iPS誤報問題で変わる、科学とのかかわり方

    2012-11-18 16:30  
    【iPS誤報問題から考える科学報道】津田大介の『メディアの現場』vol.47 より 今年10月、「世紀の誤報」だとして世間を騒がせた、森口尚史氏をめぐる「iPS誤報問題」。この問題によって、日本のメディアの科学リテラシーの低さが浮き彫りになりました。一見、私たちの生活にはあまり関係ないように思える科学報道ですが、3.11以降の原発報道などで、科学技術の知識が行政や専門家、メディア、そして国民の間で共有されておらず、混乱を招いたことは周知のとおりです。理想的な科学報道のかたちと、それに必要不可欠な科学コミュニケーションの役割とは? 今回は、科学技術ジャーナリズムを専門とし、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコースで僕と共同で「Webジャーナリズム」の授業を担当している田中幹人准教授(@J_Steman)にお話を伺いました。
    ◆日本の「科学コミュニケーション元年」は近い?ーー3.11、iPS誤報問題で変わる、科学とのかかわり方
    津田:まず、今回の森口尚史さんをめぐるメディアの動きを整理すると、イントロは10月11日。読売新聞が朝刊一面で「森口さんらハーバード大のチームが、iPS細胞から作った心筋の細胞を6人の心不全患者に移植した」と報じて、共同通信、日本テレビ、産経新聞も「iPS細胞を使った世界初の臨床応用」と続きましたが、実はこれが虚偽だった。[*1] だからいずれも「ごめんなさい」した。[*2] そして、共同通信からニュースの配信を受けている全国の数多くの新聞社も、図らずも誤報をやらかす [*3] ことになってしまったものだから、その中の一つ、東京新聞も「共同配信の記事だけど、本紙も掲載した責任は免れない」と社説で謝罪 [*4] しましたね。
    田中:その一方で、NHK [*5] と朝日新聞 [*6] は「オレたちにも森口さんから売り込みはあったけど、ダマされなかったぜ」と発表しましたね。
    津田:またその一方で、日本経済新聞は「実はウチは2009年に森口さんを取り上げていたんだけど、その記事の中にも誤りがありまして……」という検証記事まで出したという……。[*7] 田中さんはこの一連の騒動をどうご覧になりましたか?
    田中:読売、共同のことをいったんさておくなら、NHK、朝日あたりが「オレたちは引っかからなかったよ(キリッ」とやっているのがちょっと気になるんですよね。釣られなかったのはエラいんだけど、そのことばっかり言われるとね……。
    津田:「『読売と共同は誤報したけど、ウチはしなかったぜ』って、そんなことわざわざ記事にすることじゃねぇだろ!」ってツッコミたくなりますよね(笑)。
    田中:あともう一つ、朝日に「森口さんは流動研究員的な立場だから」「身分が定まっていない人だから」というニュアンスの記事 [*8] がありましたよね。実際、ネットなんかで科学者に叩かれましたけど、あれは非常に“新聞的”な世の中の見方なんですよ。
    津田:権威主義的なうえに、誤りでもある。客員や特任の学者たちが重要な研究をしている事例は山ほどあるのに、「プロパーで何十年も研究している学者こそがエラい」という、いかにもエリート主義的な固定観念に縛られてる。
    田中:あれこそが世の中が持っている科学者観なんだろうな、という気はします。実際には学者を含め、多くの科学関係者が、3年契約くらいで学校や研究所、部門から異動しなきゃいけない――それこそ派遣社員と同じような生活を送っている [*9] のに、その業態をメディアが全然拾えていないんです。「ポスドク問題」と報じられる [*10] ことはたまにあっても、それが科学の営みの一つとして、うまく結びついていない。
    ◇なぜ読売新聞は「誤報」を出してしまったのか?
    津田:ただ、そういう批判もあるものの、朝日新聞やNHK、あと毎日新聞なんかは森口さんのウソに引っかからなかった。一方、なぜ読売新聞や共同通信は引っかかったんでしょう?
    田中:それがすごく不思議なんですよね。もちろん、すでに各社が自省しているとおり、「基本的な確認ができていなかった」ということはその通りなのでしょう。ただ、いつも誤報をしているというわけではないので、普段はできているはずのものが、今回はなぜできなかったのか。それがはっきり見えてこない部分はあります。ちょうど誤報騒ぎがあった頃、慶應義塾大学医学部総合医科学研究センター特任准教授で幹細胞生物学者の八代嘉美さん(@Yashiro_Y)[*11] と一緒にいて、二人で「なんで引っかかったのかね?」なんて話をしていたくらいですから。ただ「読売や共同に限らず」という話であれば、いくつか理由を推測することはできます。まず、今回引っかかったのは、読売新聞つくば支局の記者ですよね。経験はあったけれど、iPSの分野には不慣れだった。そういう、ある分野に慣れていない記者が「スクープかな?」と思って、科学者の売り込みやニセ学者の話に乗っちゃうことは実はよくある話なんです。本来なら、どの分野のニュースであっても「売り込み」は疑ってかかるべきなのですが……これは大手四紙すべてに言えることですね。ご存じのとおり、新聞社に記者職で入社すると、まずは地方の支局に回される。そこで取材活動をしていると、結構な頻度で「町の発明家が永久機関を発明しました」的なネタを拾っちゃうんですよ。[*12]
    津田:あはははは!(笑)
    田中:記者は新人のうえに、所属するメディアはいわゆる文系社会で、科学教育を受けている確率は低いですから。で、地方支局発の地域面の記事ということもあって、特に科学部のチェックも入らずに「町のちょっといい話」として扱われるわけです。「昨今取り沙汰されているエネルギー問題を解決すべく、○○町のおじいちゃんが頑張っていろいろ発明しました」みたいに。その実、科学者から見ると「いや、それ永久機関だろ!」っていう代物だったりするわけですけど、まぁ、新聞には載ってしまう、と。
    津田:ある意味、そういうレベルの記事ならあまり問題にはならないわけですよね。あくまで「ほほえましい町ネタ」として消費されるだけで、社会的影響がほとんどない。
    田中:ええ。ただ、「放射能を分解するEM菌」とか「血液型占い」なんかになると、潜在的な危険はありますけどね。前者の場合、高い濃度の放射性核種に汚染されてしまった地域では、当たり前の対応をしていれば問題ないのに、畑に撒いたEM菌を信じて自分で作った作物を食べている人は内部被ばくしてしまいます。[*13] 後者の血液型占いは、本気で信じている経営者なんかが、従業員をリストラする際の基準にしちゃったりしていますから。[*14] こういったネタは「不慣れな分野のもっともらしく見える話題」を信じた記者が記事にするのですが、森口さんの一件は、その「デカい版」――地続きの話とも言えるんですよね。
    津田:「デカい版」である以上、今回の場合は、しかるべきチェックを受けるべきだったと。ただ、読売の第一報はつくば支局の記者に加えて、東京科学部と大阪科学部の記者の連名になっていた――つまり、「専門部局」である科学部を通しているんですよね。それでもウソを見抜けなかった。
    田中:それが推測される2つめの理由なんです。これも推測ですが、科学部の記事が一面トップを取れることなんて滅多にないので、科学部も、はやったというか、チェックが甘くなったというのもあるんじゃないですかね。もちろんダメなことなんだけど、メディアを知っている人間からするとすごくわかりやすいし、同情できなくもないじゃないですか。
    津田:ええ。記者やジャーナリストをやっている以上、スクープをものにして、他社を出し抜きたいという気持ちは絶対に生まれますよね。
    田中:山中伸弥先生がノーベル賞を受賞した直後で、祭りの余韻というか、メディア内部にそういう基底和音があったんだろうな、という気がしています。そして、共同通信なんかの場合は、文字どおり後追い。特オチ――ほかのメディアがこぞって取り上げているのに、自メディアだけが報じない状態を恐れるあまり、読売が飛び出したのにつられて、自分もスタートしてみたら「あれっ!? 飛び出したのオレたちだけ?」「もしかしてフライング?」っていう状態だったんだと思います(笑)。
    津田:もう一つ「森口さんはどこまで本気でウソをつき通す気だったのか?」という疑問もあります。今回、彼が発表した臨床応用って個人ではなく、共同研究になっているじゃないですか。だったら、共同研究者に取材すれば一発でウソを見抜けたはずだし、事実、10月12日には共同研究者として名前を挙げられていた医師が「そんな事実はない」とコメントを出している。[*15] まあ、読売や共同については「スクープを狙うあまり、共同研究者への取材をすっ飛ばしたのかな?」「森口さんや識者に対して『検証材料をもってくるから、質問に全部答えてくださいね』なんてやってるヒマはなかったのかな?」「森口さんを信じすぎたのかな?」という気もするんです。でも、森口さんのほうがわからない。彼はなぜ「共同研究者がいる」なんてすぐにバレるウソをついたんでしょう?
    田中:ある意味、科学部の記者と同じような気持ちだったんでしょうね。森口さんも森口さんで、自分たちの研究が新聞の一面を飾るようなおおごとになるとは思っていなかった。
    津田:「新聞に載ったらいいな」くらいのノリで売り込んでいたら、山中さんのノーベル賞受賞の影響もあって、iPS細胞が新聞一面をにぎわすような大ネタになってしまった。そして、列挙した共同研究者から否定のコメントが届いてしまった――そんな感じでしょうか。
    田中:ですね。2ちゃんねるでも「森口、もういい……休めっ!」[*16] と書かれるなど、痛々しいという視点で語られていましたけど、森口さんにしてみたら、わけもわからずマイクなんか向けられちゃって、一世一代の大舞台に上げられてしまった――そんな感じだったんじゃないですか。ただ、共同通信はiPS関係の一流の研究者、まさに心臓への応用も視野に入れている研究者に事実確認をしているらしいんですよね。
    津田:なのになぜ、後追い誤報をしたのか――。
    田中:僕がもしiPS細胞の研究者だったとして、新聞社や通信社から「世界初のiPS細胞の臨床応用が海外で行われたらしいんですけど」という連絡をもらったら、きっと囲み取材を受けた時の山中さんと同じリアクションをしたと思うんですよ。「えっ、本当なの!? 本当だったらスゴいことだけど、詳細を把握していないから、ちょっと私にはわからないなぁ」と。これは逃げでもなんでもなくて、ただ単に「本当にわからない」から、そう言わざるを得ない。きっと共同通信の取材を受けたセカンドオピニオン、サードオピニオン的な専門家も同じ反応をしたんだと思います。共同の記事を読んでみると、そんなコメントを受けての雰囲気――「これはうさんくさいなぁ」という嗅覚が働いているようにも見える内容になっていますから。
    津田:「決して全部を信じたわけじゃないよ」という内容になっていた?
    田中:ええ。森口さんの発表についてひととおり書いたあと、セカンドオピニオン、サードオピニオンの「わからない」というコメントも添えている。「他紙も読売の後追いをするかもしれないけど、ウチは違うぜ。ちょっと引き気味のスタンスだから」っていう体裁にはなっているんです。だから、もし森口さんの件を新聞各紙が報道していたら「共同は比較的懐疑的だった」という評価すら受けていたのかもしれない。結果的に、フライングしたのは読売と共同だけだったわけですが。
    ◇科学報道をめぐるメディアの問題点
    津田:裏取りや専門家取材という話だと、田中さんも2008年に『iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?』という書籍を出されています。[*17] もともと科学者だった田中さんもこの問題の「専門家」であり、その後大学で科学技術報道について研究されているという希有な立場でもあるわけですが、この件で、田中さんのところに取材のオファーはなかったんですか?
    田中:ある新聞からありましたよ。「森口事件について研究なさってますか?」と聞かれたので「今回のことについては特に研究するようなことはありません」「この先も研究はしないと思います」って答えました。というのも、森口さんの一件ってはっきり言ってショボいんですよ。
    津田:ショボい?
    田中:情けない話だけれど、この手の論文捏造って科学の世界では珍しくなくて、森口事件のひな形ともいえる上に、もっと大きな事件に発展したものも少なくないんです。たとえば有名なのはシェーン事件。[*18] これは現在、Eテレの『すイエんサー』[*19] などの番組を手がけているNHKのプロデューサー、村松秀さん [*20] が2006年に書いた『論文捏造』(中公新書ラクレ)[*21] という新書でも取り上げられています。2000年、ドイツの元物理学者、ヤン・ヘンドリック・シェーンという人が、一見すると画期的な手法を打ち立てて、それまで9年くらい破られていなかった超伝導の臨界温度の最高記録をあっさり塗り替えたという論文を発表したんです。「これはスゴい」ということになり、世界中の科学者や研究機関が何十億円、何百億円もの予算を投じて検証実験を繰り返しました。しかし2002年になって、実はその高温超伝導の論文は、すべてシェーンが捏造したものだったと発覚した大事件があったんです。
    津田:何百億もの無駄金や多くの人の労力が失われていない分、森口さんの一件は罪が軽いとは言わないまでも、ショボいというわけですか?
    田中:そうです。大規模な銀行強盗とピッキング騒ぎの違いというか。また、より深刻な被害を生んだものに、「マスコミが作り上げ、マスコミが騙された」黄禹錫(ファン・ウソク)事件というのもあります。[*22] 2004年、韓国の獣医学者、黄禹錫がヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)の作製に成功したと発表したものの、その論文はすべて捏造だったことが2005年に発覚した。こう言っちゃうと悪いんですけど、韓国社会にはノーベル賞コンプレックスがあって、科学の世界に対しても「いつ、誰が獲るんだ?」という強いプレッシャーがあるんです。そこにヒトクローンでES細胞を作ったという黄教授が現れたものだから、政府もメディアも「これでノーベル賞を獲れるぞ」と色めき立ってしまった。[*23] 日本で言えば文部科学省に相当する韓国科学技術部は、黄教授を「最高科学者」第一号に認定し、メディアも彼を国家のヒーローに仕立て上げたんです。そして、日本ではあまり報道されていないんですけど、韓国国内ではそうしたフィーバーの影響も手伝ってか、まだ検証が済んでいない幹細胞治療を脊椎損傷の患者に適用しちゃっている。その患者さんは一時的には「立てるようになりました」と報道されていたんですけど、それはプラシーボ効果だったのか、結局、症状は以前よりもヒドくなった。車イス生活だったのが、寝たきりになっちゃったらしいんです。
    津田:それに比べれば、森口さんの件は臨床例がないのにでっちあげたという意味では、被害者はゼロですよね。本人は「5例はウソだけど、1例は本当。実際に臨床応用した」と主張していますが、[*24] その部分についても怪しいですよね……。
    田中:加えて、捏造に対するメディアの感度の鈍さも韓国に似ているからこそ、森口さんの件については「何を今さら」という気がするんですよ。黄禹錫事件ではヒトクローンES細胞を作製したことに「画期的だ」という注目が集まったわけですけど、正直な話、クローン胚作製の技術そのものは、2004年までにとっくに確立されていたんです。1996年には英国のイアン・ウィルマット博士がクローンヒツジのドリーを誕生させているし、それ以前からカエルによる実験などが進められていた。それから、これは黄禹錫さんの発表の中で唯一の事実だったんですけど、彼はイヌクローンを生み出していたし、そのほかサルでの成功例があるとも言われていた。あとは「ヒトでやるか? やらないか?」というだけの話であって、別段、ノーベル賞レベルの画期的な発見や実験ではなかったんです。世界的には「ヒトでもクローンはできるだろうけど、倫理的に問題があるし、そもそもほかのクローン技術も病気治療にはまだまだ応用できてないのに、ヒトクローンを無理に作る必要はないよね」「新しくES細胞を作るのは、将来ヒトになる受精卵を潰す=殺すこととも解釈できるから、しばらくは今までに作ってしまったES細胞だけで実験しよう」という雰囲気だった中、黄教授が「やった」と発表しただけ。だから、バイオ業界的には「えっ、韓国はヒトでやっちゃったの?」っていう感じだったんですよ(笑)。
    津田:にもかかわらず「ノーベル賞」というキーワードに煽られて報じてしまっているあたり、構図としては森口さんの件に似ていますね。
    田中:しかも、生物学の世界には伝統的に、必要ならば遺伝子やクローンの取り扱いについて研究の手を止めて、きちんと取り決めようという雰囲気がまだあるんです。1975年、遺伝子組み換え技術が確立されたことを受けて150人前後の科学者が「アシロマ会議」[*25] というのを開いたんですね。そこで、遺伝子に安易に触るのは危険かもしれないからと、研究のガイドラインについて議論するために、いったん研究をストップしているんです。だから、多少科学的素養のあるジャーナリストなら「そういう経緯がある中で、黄教授は本当にヒトクローンを作ったのか?」という疑問を抱けたはずなんですよね。
    津田:なるほど。となると、科学的素養のある人から見たときに、森口さんの発表やコメントにはどんなツッコミどころがあったんですか?
    田中:科学以前に当たり前のことですが、臨床応用のセオリーとして、心臓のような失敗すると致命的な器官から始めることはありえません。万が一の時に比較的ダメージが少ない網膜などの器官に対して、ようやくiPS細胞を応用した治療が始まろうとしているところだった――そんな相場観があったのでピンときました。もう一つ引っかかったのは、読売新聞の取材に対する「親方日の丸じゃダメ」という森口さんのコメント。[*26] あれは山中さんがノーベル賞を受賞した際の「日の丸の支援がなければ受賞できなかった」[*27] という発言を意識した、ある種のルサンチマンから発せられた言葉でしょう。そこから「あっ、この人名前を売りたいだけかも」という推測もできたはずです。それに、この「親方日の丸」的発想自体にも問題がある。「日本ならいろいろな規制があってできなっただろう。このまま日本でやっても書類の山を溜めるだけだった」と、さも米国だから臨床応用できたような発言をしているんですけど、これもそんなに単純な話じゃないんです。
    津田:確かに米国のほうが自由に研究できそうなイメージはありますけど……。
    田中:少なくとも、森口さんがコメントしているようなことはないんですよ。日本ではほとんど報じられていませんが、オバマとロムニーの大統領選の争点の一つになるくらい、米国は再生医学研究の取り扱いには慎重です。[*28] キリスト教国ですから、「生命倫理的配慮が必要だ」という縛りが強いんですね。もしも何らかの実験をしたいのであれば、とにかく大量の書類を書かなければ、その研究機関の倫理委員会を通らない。しかも、人種的配慮など、日本よりもチェックされる項目は多いんです。仮に、最初に心筋iPS細胞を適用する患者が黒人ばかりとなれば、すぐに「人種差別の人体実験だ」と言われますから。つまり、「日本より米国のほうが臨床応用しやすかった」という言葉を鵜呑みにすることはできないんです。プラス「過冷却」という謎の技術を使っているあたりも、引っかかると言えば引っかかる点ですし。
    津田:その「過冷却」という言葉に田中さんが引っかかったように、論文の内容自体に科学者から見て気になる点はなかったのでしょうか? 盗用があったんじゃないか、なんて指摘もありましたけど。
    田中:英国の科学誌『ネイチャー』が、森口さんは山中さんやほかの人の論文を盗用していたのではないかと報じ、[*29] 日本のメディアも「もともと盗用するような人だった」というニュアンスで後追い報道していますけど、[*30] それもまたちょっと読みが甘いんですよ。実際に彼の論文を読み込んでみた八代さんに教えてもらいましたが、盗用があったとされているのは、論文というよりも「プロトコル(方法)」を紹介した報告――つまり、どのように実験を行ったか、その手法や手順を紹介するレポートです。ただ、方法というのは先行研究をもとに確立する面もあるので、難しいところですよね。まあ、ほかの論文と一言半句違わぬテキストになってしまっているのはどうかと思いますが……。
    津田:森口さんが弁明しているとおり、同様の研究をしているなら、同様の言い回しを使わざるを得ない面もある、ということですね。
    田中:だから『ネイチャー』の「丸々コピー&ペーストするのはいかがなものなの?」という指摘は正しいものの、国内メディアのように事の顛末だけを見て「もともと盗用するような人だから、ウソをついていたに違いない」と短絡的に結論づけることも危ないんです。ただ、『ネイチャー』の記事をもとに、森口さんのこれまでの研究のおかしな点を見つけることは不可能じゃない。その中には、ナマモノ――生物学者は細胞やネズミなどを用いた泥臭い実験のことをこう呼ぶことがあるんですけど――の世界に一度でも触れたことのある人なら、100%ゲラゲラ笑ってしまうようなポイントが一つあるんですよ。「うわっ! 森口さん、奇跡を起こしてる」って(笑)。
    津田:えっ、どんな奇跡なんですか?

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  • 【iPS誤報問題から考える科学報道】津田大介の「メディアの現場」vol.51

    2012-11-17 05:00  
    216pt
    今年10月、「世紀の誤報」だとして世間を騒がせた、森口尚史氏をめぐる「iPS
    誤報問題」。この問題によって、日本のメディアの科学リテラシーの低さが浮
    き彫りになりました。一見、私たちの生活にはあまり関係ないように思える科
    学報道ですが、3.11以降の原発報道などで、科学技術の知識が行政や専門家、
    メディア、そして国民の間で共有されておらず、混乱を招いたことは周知のと
    おりです。理想的な科学報道のかたちと、それに必要不可欠な科学コミュニケ
    ーションの役割とは? 今回は、科学技術ジャーナリズムを専門とし、早稲田
    大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコースで僕と共同で「Webジャーナリ
    ズム」の授業を担当している田中幹人准教授(@J_Steman)にお話を伺いまし
    た。
    =================================================================
    ◆日本の「科学コミュニケーション元年」は近い?
      ――3.11、iPS誤報問題で変わる、科学とのかかわり方
    津田:まず、今回の森口尚史さんをめぐるメディアの動きを整理すると、イン
    トロは10月11日。読売新聞が朝刊一面で「森口さんらハーバード大のチームが、
    iPS細胞から作った心筋の細胞を6人の心不全患者に移植した」と報じて、共同
    通信、日本テレビ、産経新聞も「iPS細胞を使った世界初の臨床応用」と続き
    ましたが、実はこれが虚偽だった。[*1] だからいずれも「ごめんなさい」し
    た。[*2] そして、共同通信からニュースの配信を受けている全国の数多くの
    新聞社も、図らずも誤報をやらかす [*3] ことになってしまったものだから、
    その中の一つ、東京新聞も「共同配信の記事だけど、本紙も掲載した責任は免
    れない」と社説で謝罪 [*4] しましたね。
    田中:その一方で、NHK [*5] と朝日新聞 [*6] は「オレたちにも森口さんか
    ら売り込みはあったけど、ダマされなかったぜ」と発表しましたね。
    津田:またその一方で、日本経済新聞は「実はウチは2009年に森口さんを取り
    上げていたんだけど、その記事の中にも誤りがありまして……」という検証記
    事まで出したという……。[*7] 田中さんはこの一連の騒動をどうご覧になり
    ましたか?

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  • 【「ウェブ動」誕生秘話独占公開】津田大介の「メディアの現場」vol.50

    2012-11-14 01:00  
    216pt
    2012年11月13日に津田大介の新刊『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)が
    発売されます。年々深くなるインターネットと政治の関わり。マスメディアか
    らソーシャルメディアまで、さまざまなメディアからその問題を追い続けた津
    田は、本書で何を伝えたかったのか。あらゆるメディアに先駆け、同書の裏側
    を語るインタビューを掲載します。

    ◎ウェブで政治を動かす! 書籍版/861円
    →http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022734779/tsudamag-22

    ◎ウェブで政治を動かす! 電子書籍(Kindle)版/500円
    →http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00A47EMP8/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00A47EMP8&linkCode=as2&tag=tsudamag-22


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    ◆実際のところ『ウェブで政治を動かす!』ことはできるのか


    ——まずは新刊の発売、おめでとうございます。まさか本当に発売されるとは
    思いませんでした。

    津田:ありがとうございます。いやー、『音楽業界IT戦争』[*1] の二の舞に
    なるかな……と自分のことながら恐れていたんですけど、ホントに発売されて
    良かったです。感無量です!

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  • 【テレビ録画とジャーナリズム】津田大介の「メディアの現場」vol.49

    2012-11-01 08:30  
    216pt
    2012年9月17日、インターネット上のウェブサイトを保存収集している米国の非
    営利団体「Internet Archive」が、過去3年間に米国で放送されたテレビのニュー
    ス番組のアーカイブ「TV News Search & Borrow」[*1] を公開しました。なぜ
    Internet Archiveは商用著作物であるテレビ番組を保存・公開することが許さ
    れるのか。日米の著作権法の違いを探ります。

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    ◆なぜ米Internet Archiveはテレビのニュース番組を無料公開できたのか?


    ——それにしてもすごいですね、このサービス。ビックリしました。

    津田:すごいですよね。「ニュース番組のアーカイブ」って聞くと、古いニュー
    スを検索できるのかな? みたいに思いますけど、リアルタイムで話題になって
    るニュースもたくさんヒットする。例えば、同サービスにアクセスして発表さ
    れたばかりの「iPad mini」[*2] で検索すると、[*3] iPad miniがどのように
    ニュースで取り上げられたのかたくさんの番組のサムネイルがヒットして、画
    面をクリックすることで動画を見ることができます。

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