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 「ビットコイン」が最初に出てきた時(それは東日本大震災の年だけれども)、僕はそれがどんなもんで、どうやって手にするかもさっぱりわからなかったが、バブリーなオモチャだとはあんまり思わなかった。

 

 それより「ああ、貨幣や金で帝国主義が回っていたのがすっかり元気なくなったんで、<新しい貨幣(金=GOLDに似た)>が生まれたんだな。結局世界は帝帝政時代を求めてるということね。まあそれもいいね」と思っていた。まだトランプが1回目の当選をする前だ。

 

 ビットコインが生まれた年の大統領はオバマであり、中国共産党書記長は胡錦濤(こ・きんとう)で、ロシアはプーチンだったが、今ほど皇帝化していなかった。そして北朝鮮では、オレたちの女神であるプリンセス・テンコーを「家に帰さないぞ」とか言っていたジョンイルが1月に亡くなり、ジョンウンがデビューした年でもある。皇帝デビューは、ジョンウンが一番乗りだという事は押さえておいたほうが良い(嘘。別にどうでも良い)。

 

 <突然の解散で消費税の減税が争点に浮上>とかいってニュースが騒いでいるけれども、何度も言うように総理は無意識的にはW浅野でもある訳だし(誰も指摘しない。若い人々はそもかく、50代以上の国民もエッセイストもサブカルメガネは全滅だこの国は)、意識的にはサッチャーなのだから(もうそんなの捨てたと思うけれども)税金と動物が首を絞めるのは必定である。

 

 サッチャーは狂牛病の直接の責任者ではないが、狂牛病がシンドローム化した責任者(自由経済の水深が肉骨粉をばら撒いた説)として批判されているし、退陣のきっかけは悪名高い人頭税である。「人頭」とか「狂牛」とか、サッチャーには、残虐というか、UKワイルドな言葉が寄り添っていた。

 

 と、そんなこととは一切関係ないのだが(あるいは大いに関係しているのだが)、昨日の晩、バナナマン日村が日本中の唐揚げを食う番組を見て(Snow Man佐久間とバナナマン日村の「サクサクヒムヒム」)、ああ、うまそーうと思いながら寝て、起きてテレビをつけたら「バナナマンのせっかくグルメ」という番組で日村が、金沢の片町で笑、チャーハン食っていたので、年がら年中、バナナマン日村が何かを食っているようだ。

 

 久米宏が亡くなって、例によってオールドメディア一本槍だけれども、最初は尊厳死だと思った。以前書いたが人類の平均年齢は近代に入っていきなり2倍になり、21世紀には更に1・5倍になるらしいので、130ぐらいまで寿命が伸びたとして、尊厳死はカジュアルになると思う。自死は負けをイメージするが、負けでない自死があるとしたら、過去には戦士しかなく、未来には尊厳死があると思う。

 

 別にスキャンダラスなことを書いているのではない。20世紀中盤までの俗流ソフトSFの多くは<人間は不老不死になって、デカダンになる>とするのが平均的なものだったが、やはり現実になると違う、小説には未来への予兆性はない気がする。音楽や絵画と比べると象徴の力が著しく低いからだ。

 

 久米宏に関して、特にファンだとかアンチだとかいうことは無いが、世代的に仕事のほとんどは知っている(それが一番「強い」ということだと思うけれども)。その上で、日本人で「尊厳死」がカジュアルになる時代の先駆けとして、ある種のダンディズム(「ニュース・ステーション」の最終回のビール一気飲みと同じ、ソーダ一気飲みの後、元日に死亡。と妻が発表。というのはムッチャクチャ昭和和風ダンディー=「そんなに上手くいくかい笑」)をキックボードに「実行」する有名人がいるとしたら、後出しの発想になるが、久米宏しかいないのでは無いかと思ったからだ。

 
ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

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菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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