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RIZINフェザー級王者・鈴木千裕インタビュー「RIZINを舐めるな!」
RIZINフェザー級王座を見事に防衛した鈴木千裕11000字インタビューです!(聞き手/松下ミワ)
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・「パトリシオと再戦しても勝てます」■鈴木千裕MMAコーチ 塩田“GoZo”歩
――鈴木選手初の著書『夢を叶える「稲妻メンタル」』ですけど、なんと発売前に重版が決まったそうですね!千裕 決まったっすわー! 本当よかったっす!
――発売前ということは予約が殺到しているということですから本当に凄いです!千裕 テンション上がるっすよね、純粋に。――売れるかどうかドキドキしているところもありました?千裕 ありますよお。ボクひとりの作品じゃないんでね。本をつくってくれる人とか皆さんが関わってるんで、売れなかったらみんなが間違ってることになるじゃないですか。
――間違いまでは言い切れないですけど(笑)。夢を叶える「稲妻メンタル」
――そう考えると、やっぱり試合に勝つって大事なことなんですね。
千裕 勝ったからこそ道が開けますよね。だって、説得力ないですもん。負けたのに「本、買ってください」と言われても「買わねーよ」となるんで。
――メンタルを説いてる本だから、そこはよけいに。
千裕 でも絶対に勝つと思ってましたよ。アントニオ猪木も言いますよね。「出る前に負けること考えるバカいるかよ」って。チャリティーイベントをやった能登のみんなにも勝利を約束してたんで勝ててよかったです。――その金原正徳戦はもの凄い試合でした。金原選手が組みついてきたときにテイクダウンされなかったことが勝敗を分けたという意見が多いようですが、そこは実際どうでした?
千裕 当然、金原選手がやりたいことはボクを倒してグラウンドに持ち込むことなんで、ファーストコンタクトを防げるというのは勝敗を大きく左右したのかなとは思います。というか、組んできたことで確信に変わるんですよ。「やっぱり組んで倒したいんだな」って。――金原選手が最初に組んでくれたことで、相手のやりたいことが早めに見えたんですね。
千裕 フィジカルに関しても、組んだときに「いける」と思いましたしね。これだったら組み負けないと確信に変わりました。タックルにも反応できているし、組んでもパワー負けしない。これなら競り合えると思いましたね。
――あと鈴木選手の構えが低いのも印象的だったなって。
千裕 ああ、それは目線の問題ですね。ボクは目線を基準に構えるんですけど、金原選手はボクよりも背が低いんで、その目線に合わせただけです。それに、金原さんも腰が低いんで、そこに合わせたら必然的にそうなっちゃったのかなって。――タックルを警戒して姿勢を低くしたわけでもないんですか?
千裕 いや、タックルを警戒して姿勢を低くすると、逆に反応が鈍くなるんですよ。低く構えている状態で顔に打撃をもらうと、その瞬間に身体がアップライトになっちゃうんで、相手はテイクダウンに入りやすいんですよね。だから、中間くらいの目線がベストなんです。
――それで自然とあの姿勢になったと。序盤にローを連発していたことも作戦だったんですかね?
千裕 作戦というよりは、向かい合ったときの相手のリアクションでローが蹴れるなと思ったんですよね。インローを蹴って反応がなかったんで「これ、カーフを蹴ってもたぶんカットできないな」と。組みにいきたい選手って前屈みになるんで、前足重心になるんですよ。だから、前足を上げられなくてカットできないんですよね。キックボクサーはうしろに重心が乗ってるんで、前足を蹴られてもカットできるんですけど。
――なるほど。タックルにせよ、カーフにせよ、そうやって金原選手がやりたいこと、できないことを瞬時に探っていったわけですか。
千裕 しかも、ボクはスピードが速いんで「これ、反応できないな」と思ってカーフ蹴ってたら、だんだん相手のリズムが乱れてきたんで。そこで、こっちの戦い方をつくっていこうかなと思いました。
――そのリズムですが、鈴木選手の試合のペースがめちゃめちゃ速く感じたんですよ。
千裕 ああ、それでいうと、もともと金原選手はどっしり構えてるタイプだから、リズムに関しては早くないですし、直立でゆっくりなんですよね。そうやってガードをちょっと下げてオープンスタンスで立ってるんで、逆にボクが速く見えたんですかね。
――鈴木選手は1.5倍ぐらいのスピードで戦ってるように見えました。
千裕 ボクは1ラウンドからフルスロットルでいくと言ってたじゃないですか。馬力全開でエンジンかけてるんで、動きも必然的に速くなりますよね。
――フルスロットルというのはパワーもだけど、スピードもってことですね。
千裕 セーブせずにどんどん前に出るということも含めてですよね。もうガス欠になってもいいと思ってたんで。
――24歳の鈴木選手にいきなりフルスロットルでやられると、さすがに金原選手はついてこれてないという読みなんですね。
千裕 それはもうわかってましたね。キャリア後半を迎えてる選手のエンジンと言えばいいんですかね。それは10代、20代のエンジンと違って、どうしても古びてくるんで。車のパーツみたいに替えられたらいいんですけど、替えれない。人間の場合はメンテナンスし続けるしかないんですけど、その部分では絶対に負けないし、そこで遅れを取ったらボクの負けですよ。
――若さで勝負するというのはそういうことですか。
千裕 やっぱりボクもいろんな先輩方を見てきてますし、人間はどうしても劣化してしまうんですよ。どんなにいい治療を受けても10代のパワーは戻らないんです。
――そこからローでリズムを崩して、ボディから連打と。終始、鈴木選手のペースだったんでしょうか?
千裕 やっぱりテイクダウンだけは怖かったですし、打ち合いでもストレートをもらってたんで、金原さんも金原さんなりのリズムは取れてたんだと思います。だから、そこはお互いに勝負はできていたってことですね。ただ、ボクのほうがあの日、一歩だけ上手だった。勝敗を分けたのはそこだけです。
――結果は宣言どおりの1ラウンドKOでした。ただ、事前の下馬評は金原選手有利の声も多かったですよね。
千裕 そりゃそうっすよ。やっぱり、みんなそう見ますよ。でも、ボクは「未来は自分で変える」と言ったじゃないですか。周りを変えるのはボクだし、結局リング上で戦うのはボクなんで。だから「黙って見てろ」と思ってましたね。煽りVでも「全員うるせえんだよ」とあったじゃないですか。本当にそのとおりの気持ちです。
――ちなみに、以前パトリシオ・ピットブル戦についてお話をうかがったときに鈴木選手は「打ち合わざるをえないように仕向けている」と言われてましたよね。まさに、今回の試合もそうだったんですかね。
千裕 まあでも、総合格闘技って打撃からスタートするじゃないですか。「打ち合いに仕向ける」といっても、よーいドンが打ち合いなんで勝手にそうなるんですよ。よーいドンでタックルが取れたらいいですけど、いきなりタックルは怖いから打ち合いで相手を乱してテイクダウンにいくわけじゃないですか。単発でタックル取れるのはアマチュアまで、もしくはブッチギリで強いレスラーしかできないですよね。
――ところで、今回はキックを含めて人生初の防衛戦ですし、震災地の能登を訪問されたりしていろんな方の思いを背負った試合だったと思うんですが、そういうプレッシャーの面はどうだったんですか?・国歌吹奏の件・超RIZIN3も出たい・ベラトールのベルトはいらない・クレベルとの再戦は…・矢地祐介の発言について・朝倉未来選手スミマセン・いまはUFCよりも……11000字インタビューは会員ページへ続くいま入会すれば読める5月更新記事
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続々更新予定!!
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【プレイバック】ヒクソン来襲!! 安生道場破り、幻の長州戦真相――中村頼永インタビュー後編
☆2017年8月に掲載された記事です
大反響だったUSA修斗・中村頼永師父インタビュー前編! シューティング黎明期の知られざるエピソードが続々と披露されたが、後編となる今回はヒクソン来襲編! 渡米した中村師父がグレイシー一族と出会ったことが日本の格闘技界を大きく変えることになる……13000字のロングインタビューでお届けします!(聞き手/ジャン斉藤)
【前編はこちら】
――アメリカに渡った中村さんはジークンドーの学校に通ったんですね。中村 89年1月にアメリカに渡ったときに私がシューティングの人だと知った向こうの格闘技関係者から「グレイシー柔術という連中は誰にでも挑戦してくるから気をつけろ」と注意されたんですよ。――喧嘩上等のヤバイ奴らだったんですね(笑)。中村 「クレイジー柔術?」「そうなんだよ。クレイジーなんだよ」と(笑)。アルティメット(UFC)が始まる4年前のことですよ。――まだバーリトゥードの存在が知られてない時期ですね。中村 佐山先生とは「バリツーズ」について話はしたことがあるんですけど。佐山先生が新日本プロレスにいた頃、イワン・ゴメスというブラジル人のバーリトゥードファイターが留学してたじゃないですか。ボクらは「バリツーズ」とはブラジルの格闘技という認識で「なんでもあり」を意味するとは思ってなかった。――グレイシー柔術とはどういう出会いをしたんですか?中村 ボクは2つの学校でジークンドーを習ってたんですけど、89年のある日、1つの学校のオーナーが「俺の知り合いにシュートレスリングを教えてくれないか?」って頼まれたんです。向こうではシューティングは射撃を意味するのでボクは普段「シュートレスリング」と呼んで説明していたんですね。その知り合いの人に2〜3時間丁寧にシューティングのグラウンド技術だけを教えていたら、最後にオーナーが「じゃあ2人でスパーリングをやってみて」って言われて。スパーしてみたら寝技がとにかくしつこかったんです。シューティングは当時寝技30秒ルールだったり、膠着したらブレイクで、積極的に速攻で極めないといけないからポジショニングの考えがなかったんですね。――ポジションの概念が広まるのはUFC以降ですね。中村 ポジションを取ってバランスを取って、ちょっとずつ崩して極めるのは30秒じゃとても足りないですから。でも、その人はいまでいうガードポジションを取ってジワジワと攻めてくる。「変わったペースで攻めてくるなあ……」と思いながら、ボクは相手の攻めをすべてブロックしてたんですよ。ボクたちも下から極める関節技のトレーニングをたくさんしてたので防御は知ってて。あのスパーはギじゃなくてTシャツでやったので、Tシャツを着た汗まみれのドロドロした戦いはボクのほうがうまかったので、最後は横四方固めをとってから手で肩を掴んで前腕で首を絞めたんですね。それで相手はタップ。――そして、その相手の正体は……。中村 じつはその人はホリオンの道場の黒帯のちょい前の人間で。当時のホリオンのところにはヒクソンもホイスもいますからね。――知らないあいだにグレイシーの使い手とやらされていたんですね。中村 そのオーナーは「誰と誰をやらせたら面白いか」みたいなことをやらせる人なんですよ。でも、やらせる前にボクのほうの種明かしをさせるのはね(笑)。こっちは相手が何をやるか知らないですから。――グレイシーは当時は未知の格闘技ですもんねぇ。中村 一本取ったことで何が起きたかというと、オーナーとダン・イノサント先生(ジークンドー最高師範)が評価してくれまして。アメリカの格闘技界隈でも話題になって、ボクが格闘技雑誌の表紙になっちゃったんですよね(笑)。――日本から凄い格闘家がやってきた!と。中村 巻頭特集もされて、アイドルみたいにピンナップになったり、シュートレスリングという技術本も出すことになったんです。向こうは実証すると認めてくれる人種なんですね。そこからボクのシュートレスリングのクラスにいろんな人が来るようになって、アルティメット出場前のホイスも見学に来たんですよ。――メジャーデビューする前のホイス!中村 当時はホイス・グレイシーと言われてもピンとこないですから「ああ、この人がグレイシー柔術の人なんだな」って感じで。向こうは「いつか戦うんじゃないか……」って青白い炎を燃やしてたんですよ。フレンドリーじゃないというか、あきらかにバリアを張ってるんです(笑)。――ギラギラしてたんですね(笑)。中村 そうこうしてるうちにヒクソンもやってきたんです。――おお!中村 ヒクソンはボクと同じ89年にブラジルからアメリカに渡っていて。アメリカの永住権を取るには何人かのサインが必要だったんですね。ボクのクラスに来てる生徒の中にはヒクソンの道場に通ってる子もいて、共通の知人がいたこともあって、イノサント先生がヒクソンの身元引受人の一人になってくれることになったんですよ。ダン・イノサント先生には確固たる地位がありますから。――ヒクソンの身元引受人がイノサント先生。中村 その御挨拶でヒクソンがイノサントアカデミーを訪れて、一緒にご飯を食べに行ったんですね。ヒクソンとはそこからの付き合いなんです。当時はまだチョンマゲ頭の冴えない兄ちゃんって感じですよ(笑)。強いんでしょうけど。――その出会いがヒクソンの日本登場に繋がっていくわけですね。中村 そうなんです。93年に織田無道さんがシューティングのスポンサーになって賞金を出してくれて第1回オープントーナメントをやるんですけど。それまでシューティングのリングは8角形だったのに6角形になったんです。なぜかというと、織田無道さんのマークが6角形なんですね。――そんな理由が!(笑)。・織田無道トーナメントに出るヒクソン?・骨法を崇拝していた格闘技通信・アントニオ猪木vsヒクソンの幻の賞金マッチ・ヒクソンvs安生洋二道場マッチの裏側・長州力戦でフェイクを持ちかけた新日本……13000字インタビューはまだまだ続く!
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