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記事 4件
  • 「ファッションとしての立憲主義に誤魔化されるな」小林よしのりライジング Vol.163

    2016-01-26 21:35  
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     民主党は現在、維新の党と合流交渉を行っているが、合流が実現した場合は「民主党」の党名を変更することが既に決まっているという。
     民主党政権時代のマイナスイメージがどうしても払拭できないものだから、夏の参院選までに看板を掛け替えたいらしい。
     思えば自民党も、民主党に敗れて野党に転落した当時は見るも無残な落ち込みようで、「『自由民主党』の党名を変えるべきではないか」と真剣に言う議員もいたのだが、変われば変わるものである。
     そんな民主党の新党名について、朝日新聞1月22日の天声人語は「立憲民主党」はどうかという案を紹介していた。
     これは「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」なる一派の設立記者会見の中で出た提案だという。
     同委員会は憲法学者の小林節慶応大名誉教授や樋口陽一東大名誉教授らが代表世話人を務め、学者や弁護士ら約200人が参加している。
     団体設立の目的は、安保法に対するさまざまな反対運動を支えたり、夏の参院選に向けて広く政治のあり方について考えてもらったりするため、学識的に情報を分析し、発信していくことだそうで、小林節は会見で「この団体としては政治運動は一切しない」と発言した。
     ……「安保法に対するさまざまな反対運動を支え」「夏の参院選に向けて広く政治のあり方について考えてもらう」ための情報分析・発信って、それはどう見ても反自民党の政治運動だと思うが、何を言ってるんだ小林節は?
     世話人の一覧を眺めても、女優の木内みどりや城南信金相談役の吉原毅のように「脱原発」のテーマでゴー宣道場に登壇してもらった人もいるが、シールズの奥田愛基や異常精神科医の香山リカまで名を連ねていて、ほぼサヨク人脈という様相である。
     もっとも今回は、同委員会の批判がしたいわけではない。
     会見では「安保法の強行成立は、立憲主義を否定した暴走」とする声明を発表しているが、これには同感できる。 安保法制については、確かに立憲主義の無視であったとわしも思う。
     だがここで問題にしたいのは、護憲派サヨクが立憲主義を言い募る大きな矛盾についてである。
      安保法制について言う以前に、そもそも自衛隊の存在自体が、明確に憲法9条に違反している。
      にもかかわらず、改憲もされないままに自衛隊が存在する現状こそが、まさに「立憲主義の否定」そのものなのだ。
     この事実に目をつぶることは、欺瞞以外の何物でもないのである。
     だからこそ、わしは改憲を主張している。改憲派が立憲主義を無視してはいけないのは当然のことだ。憲法を重視しているからこその改憲論であり、憲法なんかどうでもいいと思っていたら、それをわざわざ改正する必要もないのだから。
     自衛隊は憲法9条に違反しているというのは、今でも憲法学界の通説である。
     まずは憲法9条の条文を確認しておこう。
    1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
    2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
     中学生程度の読解力があれば、読んだだけで「違憲」とわかるはずだが、もう少し詳しく解説しよう。
     上記のように、第9条は第1項と第2項でできている。
     まず議論になるのは、第1項が「侵略戦争」のみならず「自衛戦争」まで禁止しているか否かである。
     これも学説は分かれるのだが、ポイントは「 国際紛争を解決する手段としては 」の一文である。
  • 「アベノミクス『大本営発表』と日本の敗戦」小林よしのりライジング Vol.162

    2016-01-19 18:00  
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     年明け早々、安倍首相の 「パート月収25万円」 発言が波紋を呼んだ。
     こういう発言が首相の口から出ると、わしとしては「やっぱり自民党というのは、国民の実情をまったく知らないで、経済政策をやっているのだな」と確信する。
    「ただ株価だけしか見ない首相によって、富裕層向けの経済政策しかする気がないんだな」と思わざるを得ない。
     だが、それでも自民党の支持率は50%を超えている。他の政党よりマシだからというニヒリズムな理由によって。
     わしは今回もあえてアベノミクスにこだわろう。
    「パート月収25万円」 発言は1月8日の衆院予算委員会で、民主党の山井和則議員の指摘に反論する中で出てきたものである。
     山井議員は 、民主党政権の時よりも、第2次安倍政権の時の方が実質賃金は減少している と指摘、それに対して安倍はこう反論したのだ。
    「景気が回復し、そして雇用が増加する過程において、パートで働く人が増えれば、一人当たりの平均賃金が低く出ることになるわけであります。
     私と妻、妻は働いていなかったけど、景気が上向いてきたから働こうかということで働き始めたら、(月収で)私が50万円、妻が25万円であったとしたら、75万円に増えるわけでございますが、2人で働いているわけですから、2で割って平均は下がるわけです」
     景気が回復し、雇用が増加する過程においてはそういうデータが出ることもあると言ったわけだが、そこで例として言ったことが、妻がパートで働いて月収25万円…一体、どこにそんな職場があるというのか!?
     今どき、正社員だって月収25万円に満たない人はザラにいる。 最近のパート労働者の平均月収は、厚労省の毎月勤労統計調査によると8万4000円。「世帯主の配偶者」の収入で見ると、6万円程度だ。
     そもそも 「景気が上向いてきたから働こうか」 って、そんな人いるか!? ほとんどの家庭の主婦は、かつかつの家計を少しでも助けようとパートに出ているんじゃないか!
     さすがにこの発言はネット内で「炎上」する事態となったが、中には「例として計算しやすい数字を出しただけ」と安倍を擁護する者もいて、安倍も後日同様の釈明をした。
     バカなことを言ってはいけない。 普通の生活感覚があれば、「主婦がパートで月収25万円」なんて、例としてでも口には出ないものだ。
     安倍は庶民のことなど一切考えてもいない。それどころか、自分に庶民感覚が完全に欠落していることを自覚すらしていない。絶望的なほど世間知らずのバカ坊ちゃんのまま総理をやっているということが、一番の大問題なのである。
     首相の月給は205万円、これにボーナスなどの手当てを加えれば、年収で5000万円ほどになる。安倍にしてみたら「月収で私が50万円であったとしたら」という数字も、計算しやすい例として「安い」数字を挙げたつもりだったのだろう。
     かつて麻生太郎は首相だった頃、国会でカップ麺1個の値段を質問され、 「今、400円ぐらい?そんなにはしない?」 と答えに窮し、あまりにも庶民感覚が欠落しているとマスコミから袋叩きにあった。
      安倍の「パート月収25万円」発言は、それよりもはるかに大きな問題であることは間違いないのに、これがほとんど報道されていない。 マスコミが政権に抑えられている証しである。
     振り返れば第1次安倍政権の時は、
  • 「トリクルダウンがなければアベノリスクは確定」小林よしのりライジング Vol.161

    2016-01-12 17:55  
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     今年は元旦の『朝まで生テレビ』出演からスタートとなったが、番組はいつもより長丁場で5時間近くに及んだにもかかわらず、そのうち3時間近くがアベノミクスに関する議論に費やされた。
     そのために予定にあった慰安婦問題の「日韓合意」に関する議論は一言も触れられずに「時間切れ」で終わってしまった。
     
     わしはアベノミクスの議論をテレビでやってもしょうがないと思っている。テレビにはスポンサーが必要だし、スポンサーはアベノミクスを批判してほしくないのだし、年頭から景気が悪くなっているという悲観論を好むはずがない。
     大企業はアベノミクスの恩恵を受けているし、円安の為替差益だけでぼろ儲けして、内部留保を溜め込んでいる。
     経団連は安倍政権と蜜月状態なのだから、大企業はアベノミクスを批判するようなテレビ番組のスポンサーにはなりたくないだろう。
     さらにテレビ局の上層部は頻繁に安倍総理とゴルフをしたり、食事会をしたりしてるのだから、政権擁護になるのは仕方がない。
     アベノミクスに不利な番組作りをするはずがないのだから、この議題で3時間を費やすのは、安倍政権の応援としか思えないのだ。
     本気の議論ならわしなんか呼ばずに、浜矩子や榊原英資を呼べばいい。芸能タレント化している森永卓郎では勝てるはずがない。
     それよりも、年末のどさくさ紛れにバタバタと行われ、未だ評価の定まっていない慰安婦問題の「日韓合意」の方が視聴率が取れるはずだし、そのためにわしが呼ばれたのかと思っていた。
     この議論をやれば、共産党の小池氏と、民主党の辻元氏と、リベラルの三浦氏が安倍首相を擁護して、わし一人で批判するという興味深い対立が生まれたはずなのに、最後まで慰安婦問題は触れられなかった。
     それでわしはテレ朝に対する疑惑が生じてしまい、そこに「ヤラセ問題」が発覚したので、愕然としてしまったのだ。
     番組中に観覧席から「一般人」として民主党批判の発言をした大森昭彦なる人物は、実は自民党の大田区議だったという「ヤラセ疑惑」が放送終了後に発覚する事態となった。
     大森は約20年前から朝生のディレクターと知り合いで、当然ながらディレクターも大森が区議であることを知っていた。
     番組では、客席から意見を求める際に進行役の渡辺宜嗣アナが「大田区で建築板金業を営んでいらっしゃる大森さん、いらっしゃいますか」と指名して意見を求めたし、画面では大森がマイクを握ると「大森昭彦さん 建築板金業」という字幕が出た。
     大森が「自民党区議」であることを隠し、一般の「建築板金業者」として発言することは、事前に仕込んであったのだ。特定の政治的意図に基づいた「仕込み」だったのか否か、そこはわしには分からない。
      マスコミに安倍政権の圧力が浸透し、番組スタッフも権力に迎合していると、囁かれている現状があるにも関わらず、「朝ナマ」のこの失態はどうしたことか?
     実はこの件に関しては、今月中に田原総一朗氏と対談することになっている。来月の「SAPIO」に掲載されるだろう。
     とはいえ、いくら周到に安倍政権の擁護工作をしたところで、想定外の事態は起こるものだ。
     この日のわしにとっての最大の収穫は、元総務相・慶応大教授で、今も政府の産業競争力会議の議員を務める 竹中平蔵の口から、 「トリクルダウンなんてありえない」 という発言を引き出したことである。
  • 「皇位継承は黄信号である」小林よしのりライジング号外

    2016-01-05 12:45  
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    ゴーマニズム宣言 「皇位継承は黄信号である」  昨年12月に開催された宮内庁職員による文化祭に、秋篠宮家の長男・悠仁さまが作られた信号機の模型が出品された。
     その出来は9歳の子供の作品とはとても思えないもので、高さ3.3メートル、横2.4メートルのほぼ実物大で、精巧に模している。しかも実際に点灯し、点灯時間は青51秒、黄3秒、赤53秒と計算されているという。
     悠仁さまは幼稚園の頃、信号機が電球からLEDに切り替わることを聞いて以来、信号機に興味を持たれたという。文献なども参考にされたようで、製作された模型は今ではほとんど姿を消した、1970年前後の電球式信号機を再現したものだった。
     また「赤坂表町」という地名標識が添えられているが、これは秋篠宮邸近くにあった、50年前に廃止された地名だという。
     正確な模型を作る能力といい、今は失われた昔の機種や地名に目をつけるセンスといい、すごい才能である。
    http://withnews.jp/article/f0151212001qq000000000000000W02j0401qq000012840A
     この話題自体は素晴らしいことである。
     だが、これを紹介した週刊文春(2015.12.24)記事のタイトルを見て、途端に苦々しい気分になってしまった。
    「悠仁さま9歳にしてこの大傑作
     皇室の未来も“青信号”!」
     ……皇室の未来が青信号だって!?
     まったく、無知は罪だ。せめて勉強する意欲があればいいのだが、その気もない輩が、無責任に脳天気な放言をしてくれるから落胆する。
      皇室の未来には、ずっと前から「黄信号」が点灯している。早急に手を打たなければ、じきに「赤信号」になり、取り返しのつかない事態になってしまうのだ!!
      女性が皇位に就けない現在の規定では、皇太子殿下、秋篠宮殿下よりも若い世代の皇位継承有資格者は、悠仁さまただ一人である。
     今のままでは、皇太子殿下の長女・愛子さまも、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまも結婚したら皇室を離れることとなり、いずれは宮家がすべてなくなってしまう。
      そして、悠仁さまが結婚されて、男児が生まれない限り、そこで皇統は断絶!日本から皇室が消滅してしまうのである!!
      皇統断絶を防ぐには、女性皇族にも皇位継承資格を与え、ご結婚後も宮家を創設できるように皇室典範を改正するしかない。
     普通の常識からいっても、世界の趨勢からいっても、女性が元首になることには何の問題もない。
      しかも日本の場合は、歴史上にも女帝はおられた。そのうえ日本の皇室の祖先は「天照大神」という女神なのだ。
     だが、男尊女卑というシナの思想が日本に入り込んでいて、それが日本本来のものであるかのように思い込んでしまった自称保守どもが、皇位継承者は「男系男子」に限ると主張し、女帝にも女性宮家にも強硬に反対している。
      小泉政権下で進められていた、女帝を認める皇室典範改正を独断で潰したのが当時官房長官だった安倍晋三。野田政権下で進められていた、女性宮家創設を認める皇室典範改正を潰したのも、後任首相の安倍晋三である。
      それならば、「男系男子」限定でも安定して皇位継承が行われるように、早急に手を打たなければならないはずなのだが、安倍政権は発足後3年を経過しても、何一つやろうとしない。
     なぜ無為無策で通すかと言うと、もう安倍晋三自身も、「男系男子」限定の継承が無理だと分かっているからである。
     だが、安倍政権のコアな支持層が「男系固執主義者」だから、皇位継承問題に手を付けるのを止めているのだ。