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記事 3件
  • 「不敬!靖国宮司」小林よしのりライジング Vol.288

    2018-10-09 22:20  
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     ありとあらゆるところで人間の「劣化」が進んでいるとしか思えないような事態が起きているが、よりによって靖国神社トップの宮司が「靖国とは何か」ということを一切理解しておらず、天皇陛下に全く筋違いの罵倒を浴びせていたという事実が出てきたのには、さすがにあきれ果てた。
     週刊ポスト10月12・19日号が報じ、ネットに音声も公開したが、宮司は高圧的な口調でこう発言している。
    「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていくんだよ。そう思わん? どこを慰霊の旅で訪れようが、そこには御霊はないだろう?遺骨はあっても。違う?(中略)
     はっきり言えば、今上陛下は靖国神社を潰そうとしてるんだよ。わかるか?」
      天皇皇后両陛下がライフワークとしてこられた戦没者慰霊の旅を、あろうことか、靖国神社を潰すための行為だとして非難しているのだ。
     発言した宮司の小堀邦夫は今年3月に宮司に就任したばかりで、来年の靖国神社創立150年に向け、これからの靖国神社がどうあるべきかを考えるとして「教学研究委員会」なるものを組織し、6月20日に靖国神社の社務所会議室でその第1回会議を開き、神社幹部10人が出席した。
     問題の発言はその会議におけるものであり、単なる放言ではなく、「これからの靖国神社がどうあるべきか」に関する、小堀の確たる持論であることは間違いない。
     だが、小堀の持論は完全に狂っている。
      靖国に祀られているのは戦闘に参加して亡くなった軍人・軍属などであり、靖国神社は国のために命を捧げた人々のみたまを「英霊」として「顕彰」する場である。
      だが、天皇皇后両陛下が戦地を訪れて行ったことは「顕彰」ではなく、「慰霊」である。そして、その対象は軍人・軍属だけではない。
     例えばサイパンでは、追い詰められた在留邦人が崖から次々海に身を投じて死んでいる。中には、幼子を抱えて飛び降りた母親もいる。
     そのみたまは、靖国には祀られていない。だからこそ、天皇陛下は、その人たちの霊を慰めるためには現地へ赴かなければならなかったのだ。
      天皇は日本人だけの安寧を願っているのではなく、全世界の平和を祈る存在であり、陛下は慰霊の旅では日本人の霊だけではなく、敵兵の霊も、巻き込まれた現地人の霊も慰めておられる。
     これは、天皇陛下にしかできないことだ。しかも、こうして両陛下が戦地を訪れて慰霊をなさることで、若い世代が戦争のことを知るきっかけにもなる。
     靖国神社と、両陛下の戦没者慰霊の旅は、全く性質の異なるものである。
      ところが小堀は、靖国神社が何のためにあるかも知らず、両陛下の慰霊の旅が「靖国潰し」であるなどと邪推して、罵倒したのである。
     こんな馬鹿に、靖国神社宮司の資格があるわけがない。
     しかも小堀は続けて、皇太子ご夫妻まで罵倒している。
    「あと半年すればわかるよ。もし、御在位中に一度も親拝(天皇が参拝すること)なさらなかったら、今の皇太子さんが新帝に就かれて参拝されるか? 新しく皇后になる彼女は神社神道大嫌いだよ。来るか?」
     もはや「殿下」の敬称すらつけていない。しかも、 雅子妃殿下が「神社神道大嫌い」というのは一切根拠がなく、これは完全なネトウヨのデマである。
     この宮司、ほとんどネトウヨだと思って間違いない。そしてネトウヨと同様に、皇太子殿下と雅子妃殿下が大嫌いなのだ。間違いなく男系絶対も唱えているのだろう。
     そのうえ小堀は、天皇陛下のご譲位について、こう言っている。
  • 「間違った戦争でも靖国神社に祀るか?」小林よしのりライジング Vol.93

    2014-07-15 20:10  
    153pt
    『 保守も知らない靖国神社 』(ベスト新書)が発売された。
     靖国神社をめぐる言論状況は、10年前と現在では全く違っている。それなのに自称保守論壇の頭脳は完全に硬直化していて、10年前の議論をそのまま繰り返し、「首相の靖国参拝に反対している国は中国・韓国だけであり、そんなものは気にせず堂々と参拝すればいい」とばかり言っている。
     昨年末の安倍首相の靖国参拝に対して米国政府が「失望した」と、かつてない強い表現で非難したことの意味など、まともに考えようとはしない。
     自称保守派の知性の劣化現象は目を覆うばかりで、もはや靖国神社が何のための神社であるかも知らず、安倍首相が何のために靖国に参拝したのかを意識することもなく、ただ首相が靖国を参拝したというだけで大喜びしている。
     安倍晋三の参拝は、実は靖国神社を侮辱したものであるということになど気がつきもせずに。
    『 保守も知らない靖国神社 』は、そんな自称保守派にはびこる反知性主義に対する警告として、現在の靖国神社を巡って考えておかなければならない論点を考え得る限り網羅した一冊である。
     発売翌日には、早くもAmazonのレビュー欄に最初の書き込みがあった。ところが評価が☆1つだったため、またネトウヨが読みもせずに罵詈雑言を書き込んだかと思ったのだが、読んでみるとそうではなかった。
    著者の靖国神社擁護論にはまったく賛同できないが、靖国の本質が「日本を戦争できる国にするための神社」であるという主張そのものは、完全に筋が通っている。著者の意図とは裏腹に、靖国神社が日本人にとっていかに危険な存在かを再確認させてくれる、ある意味で貴重な本である。
     …と、主張そのものには「完全に筋が通っている」と認めた上で反対していたのである。
     ただし「著者の意図とは裏腹に」というのは違う。ちゃんとわしが意図して「危険な存在」だと知らせたのだ。平和の施設ではないし、慰霊さえすればいいという施設でもないと。
     さらにレビューはこう続く。
    著者は、保守派とされる政治家が靖国に参拝して、「我々は二度と戦争はしません」と誓うことほど、英霊を侮辱する行為はないと憤る。なぜなら「靖国神社は、日本を戦争できる国にするための神社である」(191頁)からだ。
    米国の戦没者遺骨収集事業を見るがいい。実に専門的、科学的、組織的、そして総合的に行われている。なぜそこまで熱心なのか。「それは、『次の戦争』を前提としているからである」と著者はいう。「若い兵士に対して、たとえいつどこで死ぬことになろうと、自分たちは決してあなたを忘れない、どこで死のうと、必ず骨は祖国に帰してあげるという態度を明確に国として示しておかないと、次の戦争ができないのである」(188-189頁)。この指摘は正しい。国家が戦死者を祀るのには、それなりの理由があるのである。
    靖国神社も「次の戦争」のための神社であらねばならない、と著者は強調する(207頁)。そのためには、参拝者の増減で財政が左右される民間の宗教法人であってはならない。「やはり国営化しかない」(289頁)。靖国神社が国家による戦争を精神的に支える装置であるならば、そのような結論になるのは至極当然である。
     きちんと読んで、内容を理解している。
     だが内容を理解した上で、このレビューは結論において本書を否定するのだ。
    もちろん著者の脳裏には、国家が間違った戦争に国民を駆り立てる可能性など、寸毫たりともよぎりはしないのだろう。もしあなたが国家指導者も誤りを犯すことを知っているならば、彼らが靖国の権威を高めようと躍起になるときは、用心したほうがいい。著者が教えてくれたように、靖国は戦争をするための神社なのだから。
     おそらくレビュー筆者は『 保守も知らない靖国神社 』以外のわしの言論活動は知らないのだろう。
  • 「失笑!安倍首相の靖国参拝は『不戦の誓い』だった!」小林よしのりライジング号外

    2013-12-28 13:25  
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      ゴーマニズム宣言 「失笑!安倍首相の靖国参拝は『不戦の誓い』だった!」   首相の靖国参拝はもう新たな局面に入ったのではないだろうかと思っている。 どうせ来月発売の自称保守&ネトウヨ系の言論誌は、安倍首相よくやったと絶賛一色だろうが、国際的な感覚が全くない、内弁慶な議論でしかない。
     以前のように朝日新聞や左翼が中韓にご注進に及んでこの問題をこじらせてきたとか、中曽根総理が「公式参拝」を言い出すまでは普通に靖国参拝していたとか、その頃は中韓も文句を言わなかったとか、そういう歴史的事実を述べても、アメリカを始め世界に対して説得力を持つレベルではなくなった。
     安倍首相の靖国参拝を受け、在日米大使館は「失望した」と声明を出したが、それを安倍政権が軽く受け止めていたため、米国務省がさらに同じ内容の声明を出して、米政府の姿勢を明確にした。
     日米防衛相の電話会談も延期になって、ようやく日本政府も事の重大さに気づき始めたようだ。
     アメリカだけの話ではない。欧州でも安倍政権は失笑されている。
     一国の首相にしては世界からの視線に鈍感過ぎるのではないか?
     安倍首相は世界中から異様なタカ派だと見られている。
     フランスの極右政党党首ルペンや、ロシアの極右政党党首ジリノフスキーのように、短絡的で偏り過ぎた極右の首相と思われているだろう。
     わしの目からは、もはや完全な ネトウヨ首相 だ。ネトウヨと同レベルの国際感覚なのである。
     慰安婦問題もそうだが、首相の靖国参拝は、もう国際的には新たな局面に入ってしまって、自称保守論壇の内向きな強硬意見は、日本を孤立させるだけの自慰行為になってしまった。
     そもそもわしは小泉純一郎の首相在任中の靖国参拝の時も警告を発していたのだが、新自由主義・グローバリズムで、日本の国柄を破壊する政策を遂行するために、ナショナリズムは利用されるようになってしまった。
      靖国参拝はもはや新自由主義の隠れ蓑になってしまったのだ。
     この矛盾がどうしても自称保守&ネトウヨには理解できない。靖国参拝さえしておけば愛国者と認定する単細胞が、今の自称保守&ネトウヨなのである。
     しかもこの連中は皇位継承問題では「男系Y染色体固執」で団結しており、天皇陛下の御意思も踏みにじって恬として恥じない。皇統断絶の危機を将来している一群なのである。
      つまり「天皇なきナショナリズム」だ。
     天皇のため、郷土(クニ)のために戦った英霊たちは、悲嘆に暮れていることだろう。
     しかも自称保守にしても、かつて小泉が8月15日を避けて参拝した時には批判していたはずである。
     だが今回の12月26日という無意味な日の首相参拝には、なぜかこぞって称賛の声を挙げている。
     いつの間にやら靖国参拝のハードルはすっかり下がり、いつでもいいから、とにかく行きさえすりゃいいということになってしまったようだ。
     さらに肝心なことは、首相が靖国神社をどういう場所と捉え、何のために参拝するのかという意識である。
     安倍は今回どういう意識で靖国神社を参拝したのかを、談話で発表している。その談話のタイトルは 「恒久平和への誓い」 というのだ!
    http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/discource/20131226danwa.html
     これだけで、安倍は靖国神社がどういうところか一切理解していないということが明らかである。