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2019年1月の記事 4件

「制度のために眞子さまを駒として扱えない」小林よしのりライジング Vol.301

 秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんのご結婚が延期になっていることについて、わしは「FLASH(2月5日号)」の『よしりん辻説法』で、 「眞子さまがかわいそう…」 と嘆き、週刊誌が何を書こうが、大衆がどう言おうが、そして、たとえ秋篠宮殿下が難色を示そうが、 「眞子さまと小室圭くんを結婚させてほしい!」 と訴えた。  これが、原稿を描いたのは数週間前なのに、発売と同じ日に小室さんのコメントが公表されて、あまりにもタイムリーなものになったので驚いてしまった。  ところがその翌日からの週刊誌やワイドショーは、そのほぼ全てが小室さんの母の元婚約者「金返せ男」の言い分を一方的に流し、小室さんバッシングに拍車をかけてきたのだから、本当に呆れてしまった。  結婚を約束した女性と、その子供のために使ったお金を、別れたからといって 「あれは貸したものだ、返せ!」 なんて言い出す奴は、どっからどう見てもサイテー男としか言いようがないのに、なぜそんなのをみんなで応援するのだ? どう考えても、感覚が狂っている。  しかも小室さん母子は実名・顔出しなのに、「金返せ男」は匿名・顔出しNGで言いたい放題なのだから、卑怯にも程があるというものである。 「週刊文春(1月31日号)」のトップ記事は、 『小室圭の乱「眞子さま洗脳」』 というおどろおどろしいタイトルを大々的に掲げていた。  ところがその記事の中身は、「金返せ男」の言い分の他は、匿名の「宮内庁関係者」が語る小室さんへの誹謗と、秋篠宮殿下も不信感を持たれているようだとする憶測ばかりで、確証のある事実は何も書かれていない。  タイトルにデカデカと掲げられている「眞子さま洗脳」に至っては、匿名の「宮内庁関係者」が言った 「眞子さまはまるで“洗脳”されている状態と言えます」 という、このたった一言だけを基にしているのだから、これでは「羊頭狗肉」にすらならない。詐欺にも等しい完全な看板倒れである。  そもそも根拠が、誰だかわからない、実在するのかどうかもわからない「関係者」の話にすぎないのだが、その言においてすら、あくまでも個人の論評にすぎず、しかも「まるで〝洗脳〟」という「比喩表現」に留まっているのである。  それをタイトルで「眞子さま洗脳」として「事実」扱いにしているのだから、こんなのを書いた奴、出版した奴には、もう死んでもジャーナリズムを名乗ってほしくはない。  こんなことが許されるのなら、誰ともわからない何者かが「まるで○○だ」と言いさえすれば、どんなことだって「事実」扱いにして週刊誌のトップ記事のタイトルにすることができて、それを新聞広告や電車の吊り広告に載せて宣伝しまくることも可能じゃないか。  これじゃまるで極悪犯罪集団だ。そして「まるで極悪犯罪集団」と言えるのなら、「週刊文春は極悪犯罪集団」と事実扱いにして言いまくってもいいということになるわけだ。   週刊文春に載る匿名の「宮内庁関係者」の証言がいかにインチキかということは、25年前の皇后陛下バッシング記事を見れば明白である。  あの時文春は、皇后陛下のことをワガママ放題、贅沢三昧で天皇陛下にも制御できない「女帝」として書きまくり、皇后陛下を失声症に追い込み、右翼に銃弾を撃ち込まれてようやくバッシングをやめたのだ。  その時の記事の全てが事実無根であったことは、今や完全に明白になっているのだが、文春はそれを一切総括も反省もしないままに、似たようなことを繰り返している。  文春は、小室家バッシングなら右翼に銃弾撃ち込まれることもないと、調子に乗っているのかもしれないが。   本来、わしの主張は「女性宮家創設」であり、眞子さまには、ご結婚後も宮家の当主として皇室に残っていただきたいというのが、わしの望みである。

「制度のために眞子さまを駒として扱えない」小林よしのりライジング Vol.301

「NGT48強姦未遂事件の闇」小林よしのりライジング Vol.300

 わしはもうAKBヲタはやめたと公言しているのだが、何か事件が起こるとわしの意見を聞きたいと思う人がまだずいぶんいるようで、NGT48・山口真帆さんへの強姦未遂事件が明るみに出ると、わしの個人サイトへのアクセス数が一気に3倍にも激増してしまった。  はっきり言って、この事件の真相は今のところネットの情報が一番信憑性がある。AKBグループはもはや行政やマスコミを巻き込む利権産業となっているので、マスコミですら真実は暴きにくい。  そうなると真実の隠蔽はAKBグループの運営とマスコミ、場合によっては警察も含めて、総ぐるみで行われるので、山口真帆さんを守る媒体は、ネットの中にしかないのかもしれない。  ネットの中では、山口さんや他のメンバーや襲撃犯の、すでに削除したツイッターや動画まで復元されてしまうので、事件に至る経緯や痕跡が把握され、週刊文春の記事の疑わしさもバレてしまう。   週刊文春が実名を出しているし、ネットの中ではメンバーの実名を出しまくりなので、わしだけが実名を避けるのは却って不自然だ。   ネットの情報には確実な証拠もないので、憶測になるが、憶測ならそれを否定するのはNGTの運営の責任である。運営が事実で反論しない限り、ネット内の信憑性のある憶測で判断するのはやむを得ない仕儀になる。   しかも、運営が「事件を隠蔽していた」という事実は100%事実なのだから、「山口真帆さんを守りたい」という目的がある限り、ファン(わしも王道アイドルまほほんのファン)としては、頼るものがネットの情報にしかない。 「SPA!」のような部数の多い雑誌では書けないだろうが、この『小林よしのりライジング』は、ある程度閉ざされた有料配信なので、信憑性の高い憶測で書くのは許されるだろう。  かつてわしは、NGTを猛烈に推したことがある。  2017年の選抜総選挙の時、公式ガイドブックの予想で「NGT48メンバーを選抜に入れて、フレッシュ48にするしかない!」と主張し、NGTメンバーを5人入れたのだ。  この年はNGTにとって2回目の総選挙参加で、前年は生え抜きメンバーでは加藤美南が76位に入っただけに留まったこともあり、他の識者はNGTにはほぼノーマークで、わしだけが推していた。  そして結果は、荻野由佳の5位を筆頭に10人のNGTメンバーがランクインして予想的中となり、周囲を驚かせた。  わしはAKBの初期のような、そして一時期まではHKTに感じていたような一途な純粋さが、NGTには存在するように思って推したのだ。  だが、こんな事件が起きてしまっては、その幻想も吹き飛んだ。  この事件の核心は、NGTの不良メンバーが、不良ヲタを相手に「枕営業」をすることが常態化し、運営がそれを黙認していたということに尽きる。「枕営業」という言葉が悪ければ「援助交際」だ。どっちでも同じことだが。 「風紀の乱れ」などというオブラートに包んで、実態を直視しない書き方はしないので、読むのが苦痛ならやめた方がいい。   真面目にアイドルをやっていた山口真帆さんは、不良メンバーと不良ヲタとの異常な関係性をやめさせようとして今村悦郎支配人に直訴したが、不良メンはそれを恨み、不良ヲタを唆して山口さんを襲わせた。   犯行は未遂に終わり、警察沙汰になったが、今村ら運営は不良メン・不良ヲタの側とベッタリになっていて、山口さんを切り捨て、事件のもみ消しを図った。 これが、真相だろう。  まずは、山口さんが1月9日にツイッターで行った告発(後に削除)を転載しよう。明らかな誤字や重複のみ修正した(引用部分、以下同)。

「NGT48強姦未遂事件の闇」小林よしのりライジング Vol.300

「書くのも大事、読むのも大事、会話も大事」小林よしのりライジング Vo.299

 不動産屋とマンションの契約をしたら、「今後もし困りごとがあればメールで連絡して欲しい」とメールアドレスを渡された。マンションの困りごとなんて、水漏れや鍵の紛失など急ぎの要件が多いのだから、メールより電話じゃないのと思ったが、相手はメールのほうが応答しやすく都合が良いらしい。それならいいが、困りごとで不安になっている時は、人の声で安心できるところもあるから、私は電話のほうがいいのだけど。  こんなことを言うと年寄りみたいだが、 「用件は電話でなくメールで」 と言う人がものすごく増えた。私自身、かなりの長時間パソコンで仕事をしているので、連絡事項ならメールでやりとりできるほうが便利だともちろん思っているが、複雑な感情や考えのすり合わせ、些細なニュアンスなど、電話で話したほうが良さそうな内容でも、長々とメールでやりとりしなければいけない時もあって、ちょっと面倒だ。メールで通信している相手に電話をかけると、「どうしました!?」とびっくりされたりもする。  いまやそれが当たり前なのかもしれないけれど、私の感覚では、人と話すことをしていないと、言葉を選ぶ頭の回転がにぶり、ボキャブラリーがどんどん貧弱になっていくように思う。話すことの中でしか使われない表現というものもあると思うのだ。 ■庶民の生活から飛び出す言葉 「世の中ものすごい超高齢化よな。うちのおばあちゃんも93歳で相当な年寄りやと思ってたけど、病院へ行ったら、同じようなお年寄りが 佃煮にするほど寝とるんさ! 」  母が、祖母を入院させた時のことをこう語った。 「佃煮にするほど寝とる」 というのは、 小魚やイナゴのように有り余って佃煮にするほど大勢の人が寝ている という意味で、感情を込めて強調したいときに出る表現だ。書き言葉というよりは、庶民の生活の中から話し言葉として《飛び出す》タイプのものだと思う。母や祖母が使うのを7~8年に1度聞く程度だが、そういやこんな表現が飛び出すことはもうほとんどないよな、と思った。  まったく聞いたことがないという人もいると思うが、方言ではない。雰囲気的に落語から広まったように想像するが、もとは間違いなく佃煮を作る地域から出たものだろう。太宰治や坂口安吾らと共に無頼派と称された織田作之助は、この言い回しが気に入っていたようで、戯曲や小説に使っている。   死んでもいい人間が佃煮にするくらいいるのに、こんな人が死んでしまうなんて、一体どうしたことであろうか。 (織田作之助『武田麟太郎追悼』)   この阿呆をはじめとして、私の周囲には佃煮にするくらい阿呆が多かった。就中、法科志望の点取虫の多いのには、げっそりさせられた。 (織田作之助『髪』)  そもそも佃煮は、漁村から広まった保存食だから、この表現が定着しやすい地域とそうでない地域があったのかもしれない。私の地元は旧漁村で潮干狩りの名所だから、祖母がよく貝の佃煮を腐るほど作っていた。バケツに何倍分もの佃煮にするほどの貝を腐るほど佃煮にするんだから、すごい。ただ、自宅で佃煮を作ったことがない家も多いだろうし、スーパーやコンビニで小さな佃煮パックしか見たことがない人になると、正確なニュアンスは想像できないだろう。  でも面白い表現だし、佃煮は日本の特有の食べ物だからチャンスあらば使っていこうと思っている。ネトウヨをからかうのにももってこいだ。なにしろ佃煮にするほどいるからね。 ■4歳下の代で消えていた言葉 「子供の時はまだこの辺りは田んぼでさあ、夏になると、よく地面にしゃがみこんで、 かんぴんたん 拾って遊んだよなあ」 「姉ちゃん、 かんぴんたん て何?」 「え! あんた、 かんぴんたん 知らんの?」

「書くのも大事、読むのも大事、会話も大事」小林よしのりライジング Vo.299

「IWC脱退 クジラを食うべし」小林よしのりライジング Vol.298

 昨年12月26日、日本政府は国際捕鯨委員会(IWC)に脱退を通告、今年7月より30年ぶりに商業捕鯨を再開することとなった。  年末に、何の国内論議もなく重大なことをやっつけてしまうというのは、もはや安倍政権の年中行事である。  捕鯨については17年前に個人雑誌『わしズム』の創刊号に描いた。その年・平成14年(2002)は下関でIWCの会議が行われ、そこで日本が商業捕鯨の再開を訴えることになっていたため、その前に世論を盛り上げようとしたのだ。  ところが、その後IWCで商業捕鯨が認められそうな気配は全くないまま時間が流れていき、むしろ反捕鯨国のペースに拍車がかかる一方となってしまい、ついにIWC脱退という結論に至ったわけだ。   商業捕鯨ができるのは日本近海と排他的経済水域(EEZ)に限られ、これまで南極海などで行われていた「調査捕鯨」はできなくなる。  日本近海とEEZ内ではこれまでも、IWC管轄外の小型のクジラを捕獲していたが、今後はそれに加え、この水域に入って来るミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラの三種を捕獲する予定だという。  水産庁は、漁獲量はこれまでと変わらないと試算しているが、調査捕鯨ができなくなったことで、漁獲量はむしろ減少するのではないかという懸念もあるらしい。  IWC脱退という決断が吉と出るのか凶と出るのかは、まだ現時点ではわからない。  だが、ここでわしが最も腹の立つのは、「クジラごときで、そこまで強硬な手段を取ることないじゃないか」という意見が出てくることだ。  今さら商業捕鯨を再開しても、鯨肉の消費量が増えるわけじゃないとか、わざわざ鯨肉なんか食べなくても、他に美味しいものはいくらでもあるとかいう声が普通に出てくるのは、実に不快である。   クジラの刺身は、わしが小中学生の頃、父親が生姜醤油に漬け込んだものが特に好きで、しばしば食ったものだ。クジラのベーコンは、今でも福岡に帰った時は博多料理で出されるから食っている。これは抜群に美味い。  昔はステーキというと鯨肉だったが、牛肉のステーキが普通に食えるようになったら、食わなくなった。竜田揚げも好きではない。     しかし、そんな鯨肉であっても、料理人というものはどうにかして美味しく食べさせる方法を開発してしまうものである。  わしは以前、ヒツジが臭くて食べられなかったのだが、今では美味しいヒツジ料理を食べられる店がいくつもある。  ジビエだって、素材自体は決して美味いものではないはずなのだが、それをいろいろ工夫して、ブームにまでしてしまっている。  クジラの美味い食べ方など、まだまだ開発できる余地はあるはずなのに、もうどうせ誰も食わないとか言って放り出そうとするのは、あまりにも浅はかなことである。  クジラが食べたいという程度の理由で、国際協調を崩していいのかという意見にも、全く賛成はできない。

「IWC脱退 クジラを食うべし」小林よしのりライジング Vol.298
小林よしのりライジング

常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!

著者イメージ

小林よしのり(漫画家)

昭和28年福岡生まれ。昭和51年ギャグ漫画家としてデビュー。代表作に『東大一直線』『おぼっちゃまくん』など多数。『ゴーマニズム宣言』では『戦争論』『天皇論』『コロナ論』等で話題を巻き起こし、日本人の常識を問い続ける。言論イベント「ゴー宣道場」主宰。現在は「週刊SPA!」で『ゴーマニズム宣言』連載、「FLASH」で『よしりん辻説法』を月1連載。他に「週刊エコノミスト」で巻頭言【闘論席】を月1担当。

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