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記事 5件
  • 「キャッシュレス化とアメリカからの要望書」小林よしのりライジング Vol.309

    2019-04-02 20:20  
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     ライジングvol.307「キャッシュレス化と国民性」に関する追跡調査をしたので報告したい。
     政府は「外国人観光客」を理由にキャッシュレス化を推進するつもりのようで、前回は「2027年までにカードや電子マネーによる決済を4割程度にまで増やすようだ」と書いたが、その後調べてみると、平成30年10月に経済産業省がまとめた『キャッシュレス社会への仕組み』という資料が手に入り、新たな記述を見つけた。
     
      経済産業省「キャッシュレス社会への取組み」(平成30年10⽉)
     ここに、こんな記述がある。
    ● 大阪・関西万博(2025年) に向けて、「未来投資戦略2017」で設定した キャッシュレス決済⽐率40%の⽬標を前倒しし、 より⾼いキャッシュレス決済⽐率の実現を検討会として宣⾔。
    ●さらに、 将来的には、世界最⾼⽔準のキャッシュレス決済⽐率80%を⽬指し、必要な環境整備を進めていく。
     なんと、韓国やスウェーデンに追いつくべく、 キャッシュレス80% を目指す計画なのだ。もちろん技術の進歩にはついて行かねばならないとは私も思っているが、もう政府の頭の中は、すっかり爆走モードである。
     この資料は、日本が世界と比べていかにキャッシュレス化が遅れているかということと、キャッシュレスを推進すれば、どれほど経済的メリットがあるかということがまとめられているのだが、特に「QRコード」による決済は国を挙げて標準化に持っていきたいらしい。
     
      QRコード。
      ★ところでこのコードは何を示しているでしょうか? 気になる人はスマホで撮影してみてね。
     資料を読むと、日本でキャッシュレス化が普及しにくい背景としては、やはり 「治安の良さや偽札の少なさ等の社会情勢」 がまず挙げられており、つぎに 「コスト」「現金に不満なし」「キャッシュレスは不安」 と分析されている。
     
     治安の良さに由来しており、不満もないのだから、そのままでいいじゃないかと思うが、これは「キャッシュレス化推進」のための資料だから、安心材料はまるっと無視され、コスト問題や不安払拭こそが“課題”とされている。
     ちなみに、男性よりも、女性のほうがキャッシュレス化に反対しており(男性41.3%、女性61.5%)、その理由トップ3は、 「浪費しそうだから」「お金の感覚が麻痺しそうだから」「お金のありがたみがなくなりそうだから」 。日本人女性はなんて堅実なのだろうと思った。だが、政府はその感覚を無視する方向へと舵を切るらしい。
    ●「信用情報」が物を言う社会
    「QRコード標準化」なんて聞くと、IT企業の金儲けのためだろうとしか思えなくなるが、クレジットカードにせよ電子化された決済にせよ、必要になってくるのは 「与信」 だ。
     例えば、クレジットカードには、よほどの大金持ち以外は、人それぞれに与信枠=「使用限度額」がある。カードを契約したり、ローンを組んだりする際に、金融機関がその人の年収や仕事内容、過去の借金や返済履歴などの信用情報を調査して、信用の枠を与えるものだ。買い物をして、金融機関が先に代金を肩代わりするという仕組みだから、 「この利用者は、いくらまでなら必ず期日までに返済すると信じていいのか?」 と審査されるのは当然である。
      この与信審査に必要な個人の信用情報は、各機関で共有されている。 A社で返済履歴が滞ったりすると、他社・他機関にもその情報は共有され、B社で新たなカードを作ろうとしても審査が通りにくくなったり、限度額が低く抑えられたりするのだ。住宅ローンや自動車ローンも組めなくなる場合もある。
     私も、金融公庫から借金をしていた間は、銀行のクレジットカードの限度額がずっと低いままだった。完済して何年か経った頃、急に銀行から「限度額を倍額にする」と通知があったので、慄いた。
    「ちゃんと完済されたことを評価して、あなたの信用度が高くなりましたから、いままでの2倍、あなたを信じて支払いの肩代わりをしますし、現金が必要なら貸しますよ」
    という意味である。やっと返したのに、また貸す貸す言うなよって感じだが。
     この信用情報の共有は、利用者にとっては雪だるま式に借金を増やさないためのストッパーにもなるが、困窮しているのにどこからも借り入れを断られてしまったり、ギャンブルや買い物に依存して歯止めが効かなくなったりすると、いよいよヤミ金に手を出すしかなくなる人もいる。そこでは信用調査が甘い分、取り立てが異様に厳しくなるという仕組みだ。
     殺伐とした現実だが、「QRコード」なんていう浮かれたネーミングの決済手段だって、最終的な支払いは金融機関が担うのだから、利用者に対する与信、信用調査は当然発生するだろう。 そして、キャッシュレス化社会にするということは、この 「信用情報」の調査結果が物を言う社会になる ということでもある。
  • 「NGT48強姦未遂事件の闇」小林よしのりライジング Vol.300

    2019-01-22 19:45  
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     わしはもうAKBヲタはやめたと公言しているのだが、何か事件が起こるとわしの意見を聞きたいと思う人がまだずいぶんいるようで、NGT48・山口真帆さんへの強姦未遂事件が明るみに出ると、わしの個人サイトへのアクセス数が一気に3倍にも激増してしまった。
     はっきり言って、この事件の真相は今のところネットの情報が一番信憑性がある。AKBグループはもはや行政やマスコミを巻き込む利権産業となっているので、マスコミですら真実は暴きにくい。
     そうなると真実の隠蔽はAKBグループの運営とマスコミ、場合によっては警察も含めて、総ぐるみで行われるので、山口真帆さんを守る媒体は、ネットの中にしかないのかもしれない。
     ネットの中では、山口さんや他のメンバーや襲撃犯の、すでに削除したツイッターや動画まで復元されてしまうので、事件に至る経緯や痕跡が把握され、週刊文春の記事の疑わしさもバレてしまう。
      週刊文春が実名を出しているし、ネットの中ではメンバーの実名を出しまくりなので、わしだけが実名を避けるのは却って不自然だ。
      ネットの情報には確実な証拠もないので、憶測になるが、憶測ならそれを否定するのはNGTの運営の責任である。運営が事実で反論しない限り、ネット内の信憑性のある憶測で判断するのはやむを得ない仕儀になる。
      しかも、運営が「事件を隠蔽していた」という事実は100%事実なのだから、「山口真帆さんを守りたい」という目的がある限り、ファン(わしも王道アイドルまほほんのファン)としては、頼るものがネットの情報にしかない。
    「SPA!」のような部数の多い雑誌では書けないだろうが、この『小林よしのりライジング』は、ある程度閉ざされた有料配信なので、信憑性の高い憶測で書くのは許されるだろう。
     かつてわしは、NGTを猛烈に推したことがある。
     2017年の選抜総選挙の時、公式ガイドブックの予想で「NGT48メンバーを選抜に入れて、フレッシュ48にするしかない!」と主張し、NGTメンバーを5人入れたのだ。
     この年はNGTにとって2回目の総選挙参加で、前年は生え抜きメンバーでは加藤美南が76位に入っただけに留まったこともあり、他の識者はNGTにはほぼノーマークで、わしだけが推していた。
     そして結果は、荻野由佳の5位を筆頭に10人のNGTメンバーがランクインして予想的中となり、周囲を驚かせた。
     わしはAKBの初期のような、そして一時期まではHKTに感じていたような一途な純粋さが、NGTには存在するように思って推したのだ。
     だが、こんな事件が起きてしまっては、その幻想も吹き飛んだ。
     この事件の核心は、NGTの不良メンバーが、不良ヲタを相手に「枕営業」をすることが常態化し、運営がそれを黙認していたということに尽きる。「枕営業」という言葉が悪ければ「援助交際」だ。どっちでも同じことだが。
    「風紀の乱れ」などというオブラートに包んで、実態を直視しない書き方はしないので、読むのが苦痛ならやめた方がいい。
      真面目にアイドルをやっていた山口真帆さんは、不良メンバーと不良ヲタとの異常な関係性をやめさせようとして今村悦郎支配人に直訴したが、不良メンはそれを恨み、不良ヲタを唆して山口さんを襲わせた。
      犯行は未遂に終わり、警察沙汰になったが、今村ら運営は不良メン・不良ヲタの側とベッタリになっていて、山口さんを切り捨て、事件のもみ消しを図った。 これが、真相だろう。
     まずは、山口さんが1月9日にツイッターで行った告発(後に削除)を転載しよう。明らかな誤字や重複のみ修正した(引用部分、以下同)。
  • 「書くのも大事、読むのも大事、会話も大事」小林よしのりライジング Vo.299

    2019-01-15 20:35  
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     不動産屋とマンションの契約をしたら、「今後もし困りごとがあればメールで連絡して欲しい」とメールアドレスを渡された。マンションの困りごとなんて、水漏れや鍵の紛失など急ぎの要件が多いのだから、メールより電話じゃないのと思ったが、相手はメールのほうが応答しやすく都合が良いらしい。それならいいが、困りごとで不安になっている時は、人の声で安心できるところもあるから、私は電話のほうがいいのだけど。
     こんなことを言うと年寄りみたいだが、 「用件は電話でなくメールで」 と言う人がものすごく増えた。私自身、かなりの長時間パソコンで仕事をしているので、連絡事項ならメールでやりとりできるほうが便利だともちろん思っているが、複雑な感情や考えのすり合わせ、些細なニュアンスなど、電話で話したほうが良さそうな内容でも、長々とメールでやりとりしなければいけない時もあって、ちょっと面倒だ。メールで通信している相手に電話をかけると、「どうしました!?」とびっくりされたりもする。
     いまやそれが当たり前なのかもしれないけれど、私の感覚では、人と話すことをしていないと、言葉を選ぶ頭の回転がにぶり、ボキャブラリーがどんどん貧弱になっていくように思う。話すことの中でしか使われない表現というものもあると思うのだ。
    ■庶民の生活から飛び出す言葉
    「世の中ものすごい超高齢化よな。うちのおばあちゃんも93歳で相当な年寄りやと思ってたけど、病院へ行ったら、同じようなお年寄りが 佃煮にするほど寝とるんさ! 」
     母が、祖母を入院させた時のことをこう語った。
    「佃煮にするほど寝とる」 というのは、 小魚やイナゴのように有り余って佃煮にするほど大勢の人が寝ている という意味で、感情を込めて強調したいときに出る表現だ。書き言葉というよりは、庶民の生活の中から話し言葉として《飛び出す》タイプのものだと思う。母や祖母が使うのを7~8年に1度聞く程度だが、そういやこんな表現が飛び出すことはもうほとんどないよな、と思った。
     まったく聞いたことがないという人もいると思うが、方言ではない。雰囲気的に落語から広まったように想像するが、もとは間違いなく佃煮を作る地域から出たものだろう。太宰治や坂口安吾らと共に無頼派と称された織田作之助は、この言い回しが気に入っていたようで、戯曲や小説に使っている。
      死んでもいい人間が佃煮にするくらいいるのに、こんな人が死んでしまうなんて、一体どうしたことであろうか。
    (織田作之助『武田麟太郎追悼』)
      この阿呆をはじめとして、私の周囲には佃煮にするくらい阿呆が多かった。就中、法科志望の点取虫の多いのには、げっそりさせられた。
    (織田作之助『髪』)
     そもそも佃煮は、漁村から広まった保存食だから、この表現が定着しやすい地域とそうでない地域があったのかもしれない。私の地元は旧漁村で潮干狩りの名所だから、祖母がよく貝の佃煮を腐るほど作っていた。バケツに何倍分もの佃煮にするほどの貝を腐るほど佃煮にするんだから、すごい。ただ、自宅で佃煮を作ったことがない家も多いだろうし、スーパーやコンビニで小さな佃煮パックしか見たことがない人になると、正確なニュアンスは想像できないだろう。
     でも面白い表現だし、佃煮は日本の特有の食べ物だからチャンスあらば使っていこうと思っている。ネトウヨをからかうのにももってこいだ。なにしろ佃煮にするほどいるからね。
    ■4歳下の代で消えていた言葉
    「子供の時はまだこの辺りは田んぼでさあ、夏になると、よく地面にしゃがみこんで、 かんぴんたん 拾って遊んだよなあ」
    「姉ちゃん、 かんぴんたん て何?」
    「え! あんた、 かんぴんたん 知らんの?」
  • 「倉橋耕平という劣化サヨク」小林よしのりライジング Vol.297

    2018-12-25 20:55  
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     平成30年もあと1週間。
     今年は何といっても4月に『ゴーマニズム宣言』が「週刊SPA!」で23年ぶりに連載再開し、12月に単行本『ゴーマニズム宣言2nd season』第1巻が発売されたことが大きな出来事だった。
     65歳にして週刊連載、しかも毎号違った題材で描いていくことなどできるのだろうかとの危惧も当初はあったが、実際始めてみれば、毎日でも描きたいこと、描かねばならないことが次から次に出てきて、ネタは貯まる一方で消化しきれない状態になっている。
     この『ゴー宣』復活劇は、ライジング版「今年の出来事」の第1位に選ばれ、読者にとっても非常に大きなことだったようだが、これはアンチ・小林よしのりの連中にとっても相当に大きな脅威として映ったようだ。今年は特にわしに対するバッシングや誹謗中傷が多く、ついには立憲民主党の公式ツイッターがわしに関するデマを書いた記事を拡散する事態まで起きてしまった。
     とはいえ匿名のネトサヨはともかく、マスメディアにまで実名で登場してわしの悪口を言っていた者は実際のところ、二人しかいない。文筆家の古谷経衡と、社会学者の倉橋耕平だ。 
     以前は朝日新聞が社説まで使ってわしを批判してきたものだが、近年のわしは安倍政権を徹底批判し、安保法制にも共謀罪にも反対するなど、左翼とも歩調の合う意見も多く、時々朝日の紙面にも登場するようになっているから、朝日新聞はわしを批判しにくくなっている。
     そんな中で、とにかく小林よしのりを全否定するような論調を唱える者がいれば、左翼メディアは大喜びで飛びつくのだ。
     ところが生憎、そんな無謀な左翼言論人もなかなかいない。かくして出番は古谷と倉橋というチンカス言論人に回ってくるようになる。彼らはわしを批判することで仕事がもらえる「商業アンチ」なのである。
     
     中でも倉橋耕平なる者に至っては、わしを批判することで初めてメディアに出てきた、全く無名の人物である。
     プロフィールを見ると1982年生まれ、関西大学大学院で社会学の博士号を取ったらしいが、現職は「立命館大学ほか非常勤講師」。大学の非常勤講師なんか「高学歴ワーキングプア」のアルバイトみたいなもので、何の肩書にもならない。
     どうやら倉橋は博士号を取得しながらマトモに就職できなかった、典型的な「野良博士」らしい。肩書は「社会学者」だが、確たる実績がなければそれはあくまでも「自称」でしかない。
     倉橋は今年2月に 『歴史修正主義とサブカルチャー』 という著書を出版、その中の1章を 「『慰安婦』問題とマンガ――『新・ゴーマニズム宣言』のメディア論」 と題して、わしへの批判に充てた。
     これが左翼業界内で評判になり、「世界」10月号に論文が掲載され、ついには朝日新聞10月24日付のオピニオン面に写真付き4段組みのインタビューが載った。
     また、「世界」の論文は掲載から3か月も経った12月20日の朝日新聞「論壇時評」で小熊英二がわざわざ取り上げ、評価している。
     一介の野良博士が、わしを批判しただけで左翼メディアにこぞってちやほやしてもらえて、いっぱしの「識者」の扱いで朝日新聞にまで登場できるのだ。
     社論としては書けないようなことを、外部の「識者」に言わせて載せるというのは、朝日に限らず新聞の常套手段である。
     朝日新聞は、社論としてはわしの批判がしづらくなってしまったが、それでも社の内部にも、読者にも、わしを嫌う硬直左翼がまだまだ大勢いる。そんなところにわしを批判する本を出した者がいるとなれば、そりゃもう大喜び。それが本当に「識者」なのかどうかなんてことはどうでもよく、紙面に載せてしまうのだ。
     もちろん、野良博士だろうと誰だろうと、正当な批判であればわしは真摯に耳を傾ける。
     だが倉橋の主張は、実に愚にもつかない代物なのだ。
  • 「中国、国家資本主義の全球化」小林よしのりライジング Vol.296

    2018-12-18 19:50  
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     12月1日、世界有数の通信機器メーカーである中国・ファーウェイの次期トップと目される孟晩舟副会長が、カナダの捜査当局に逮捕された。
     この逮捕はアメリカの強い要請によって行われたもので、アメリカは以前から、中国人民解放軍とのつながりが指摘されるファーウェイを強く警戒し、ファーウェイ製品が広く普及するとサイバー攻撃などに利用され、国家機密が危険にさらされかねないと主張していた。
     孟副会長が逮捕されたまさにその日、アルゼンチンでは米中首脳会談が行われ、トランプ大統領と習近平国家主席が1年ぶりに会い、貿易戦争の一時休戦を決めていた。
     完全に顔に泥を塗られた形となった中国は、報復にカナダ人の元外交官を拘束。報復合戦は泥沼化する可能性が高く、米中貿易戦争のエスカレート、長期化が懸念されている。
     日本では未だに右派(産経新聞)から左派(朝日新聞)まで、世界は「グローバリズム」に向かうのが歴史の必然で、全世界が国境をなくしてひとつの市場、ひとつの世界になり、「地球市民」みたいなものができると夢見ている馬鹿ばかりだが、現実に世界で起きていることは、国家エゴと国家エゴの熾烈な戦いである。
     そもそもグローバリズムの正体は、アメリカが自国に都合のいい新自由主義(弱肉強食・自由貿易)の経済ルールを、世界中に押しつけようというものでしかなかった。
     貿易は、自国に有利なルールの取り合いである。ルールの設定の仕方によっては大負けし、国内産業が壊滅してしまうこともある。
      アメリカはグローバリズムによって金融業では圧倒的に勝っていた。
      ところが、そのグローバリズムのために日本の自動車や中国の安い製品が入ってきて、アメリカ国内の製造業が没落してしまった。
     そこでアメリカはTPPを利用して、アメリカに有利な輸出入のルールを各国に押しつけようとしたが、これもなかなかうまくいかず、頓挫し始めた。
      そこへトランプが保護主義的政策を掲げて登場した。 大統領選の対抗馬だったサンダースも反グローバリズムであり、グローバリズムによって産業が没落し、移民に職を奪われるとなると、保護主義が支持されるのは自然な流れだったのだ。
     ところが、アメリカのグローバリズムの挫折と入れ替わるように、 中国版グローバリズムである「全球化」がものすごい勢いで台頭してきた。
     それは、アメリカでさえこのままでは飲み込まれかねないという危機感を抱かせるほどであり、そのためにアメリカは、ファーウェイの副会長逮捕という強引な手段にも出たのだろう。
      これから世界の脅威になるかもしれないのは、中国の「全球化」だ。
     アメリカの「グローバリズム」に対抗して中国が「全球化」と言い出した時は、例によって単に用語だけ中国語訳して、あとはまるまる真似っこしているだけかと思ったのだが、そんな甘いものではなかった。
      中国の全球化はアメリカのグローバリズムとは根本的に異なり、「資本主義」の概念を根こそぎ変えてしまいかねないものだったのだ。
     日本やアメリカなど資本主義国の経済は、民間が自主的に活動する仕組みになっている。
     ところが、中国ではあらゆるシステムを国家が主導する。
     アメリカの4大ネット企業 「GAFA」(Google、Apple、Facebook、Amazon)は今後、世界をも支配するかもしれないと言われている。
    (参照:小林よしのりライジングVol.278 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第90回「米国ネット企業“GAFA”への警戒心」
    http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1634474)
     ところが、中国にはそのGAFAでさえ自国内に入れなかった。中国政府が許可しなかったからである。
      中国はアメリカのネット企業をシャットアウトし、その間にバイドゥ、アリババ、テンセントといったGAFAのビジネスモデルを丸パクリしたネット企業を作り、中国14億人の市場で成長させた。
      中国のネット広告のシェアは中国企業が大半を占め、Google Chinaのシェアはわずか3.3%にとどまるという。
     そして、中国ネット企業はアメリカにも対抗しうるまでに育て上げられ、どんどん海外へと進出して行った。これが中国の推進する「保護主義」からの「全球化」なのだ。
      ファーウェイも同じように国家戦略として保護され、育てられ、海外に進出した。そしてついに今年、スマホの出荷台数でアップルを抜き、世界第2位に躍り出たのである。