• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 3件
  • 「いるいる詐欺は犯罪です」小林よしのりライジング Vol.427

    2022-02-22 19:40  
    150pt
     皇統問題には、もうとっくに結論が出ている。
     議論はとっくのとうに終わっていて、これ以上話しても何一つ意味はない。
     それなのに、なぜまだ議論を吹っ掛けてくる者がいて、事態が動かないままになっているのか、わしには全くわからない。
      側室が存在せず、その復活もあり得ない現代において、男系男子のみで皇統を維持するのは不可能である。
     それを可能にするためとして、男系固執派が提唱している唯一のプランは、 昭和22年(1947)に皇籍を離れた「旧皇族」の子孫の男系男子を皇族にするという案だ。
     そして、安定的に皇室が維持されるためにはあと4つの宮家が必要なので、 4人の旧皇族系の男系男子を皇族にすればいい というのだ。
     だが、この議論は根本の根本から終了している。
      なぜなら、肝心のこれから皇族になってもいいという旧皇族系の男子など、ひとりもいないからだ。
     4人どころか、ひとりもいないのだ!
      旧皇族の子孫は、全員生まれた時から一般国民であり 、国民としての権利を持って生活し、人間関係を築いている。その全てを捨てて、国民に保障された人権がない皇族になりますという男なんて、いるわけがない。
      実際、今まで複数のメディアが当事者に取材をかけているが、皇族になると答えた者はひとりもいないのである。
     これだけで男系派のプランは最初っから失格である。その後で、いくら男系が正統であるかとか、伝統であるかとか、そもそも伝統とは何ぞやとかいうことをどうこう論じ合ったところで、何の意味もない。
      ところがそれでも男系派は、これから皇族になる旧皇族系の国民男子が「いる」と言い張るのだ??????
     しかもよく聞くと、 「いると聞いている」 だの、 「時が来れば名乗りを挙げると聞いた人がいる」 だのという話ばっかりで、 直接に「私は見た」と言っている人は全くいない。
     ただし、この世にたったひとりだけ、私は皇族になってもいいと言う旧皇族系の人を見たことがある、それどころか話し合って意思を確認したことがあると言っている人がいて、その証言がなんと新聞の1面に載ったことがある。
     それがこれだ。

    (産経新聞2012年2月29日)
     この記事では、その証言者を「旧皇族の慶応大講師、竹田恒泰氏」と紹介している。
      だが、竹田は「旧皇族」ではない。単なる一般国民である!
      旧皇族とは「元皇族」であって、皇族として生まれ育ち、後に国民になった人のことである。 その子孫は生まれた時から一般国民であり、「旧皇族系国民」とはいえるが、決して「旧皇族」ではない。 それは 「消防署の人」 と 「消防署の方から来た人」 くらいの違いがある。
     ところがこの記事の最後には旧皇族の定義を、「占領政策で皇室が経済的に圧迫され、 昭和22年に皇籍離脱を余儀なくされた11宮家(うち4家は廃絶)の 男系子孫たち 」と書いている!
      記事を書いた産経の記者は、旧皇族の子孫も旧皇族であり、竹田恒泰も旧皇族だと信じ切っているのである!!
     実はこの記事は、その翌日に発売された産経新聞社の雑誌「正論」2012年3月号に掲載された、 「皇統問題 旧皇族一族の覚悟」 と題する竹田恒泰の文章(記事中では「論文」と称しているが、とても「論文」などと呼べたものではない)の宣伝である。
     
     そこで、この文章について検証してみることにしよう。
  • 「特報!〈mRNAは数日で分解される〉はウソだった」小林よしのりライジング Vol.426

    2022-02-15 19:25  
    150pt
     mRNAワクチン接種推進派は、「体内に入ったmRNAは数日で分解される」として、「だから心配ありません、みなさん接種しましょう」と言い続けてきた。
     ところが、全世界で103億回、42.3億人に2回以上の接種が行われた今、続々と「新しい結果」が発表されている。
     今年1月24日、米国スタンフォード大学病理学教室などの研究者によって、科学誌『Cell』に発表された論文によると(Cell Press)、 ヒトの体内に接種されたスパイク抗原とmRNAは、ワクチン接種後数週間、リンパ節の胚中心に残存している という。
    「胚中心」とは、免疫反応が起きる際に、脾臓やリンパ節などの免疫組織につくられる微小な構造のことで、抗体づくりを担当するB細胞が、増殖したり成長したりする場所だ。
     この研究は、感染者とワクチン接種者のリンパ節を分析し、抗体などがどうなっているのかを血清学的に調査したものである。
     一連の調査報告のなかに、「mRNAワクチン接種後のリンパ節胚中心における、 ワクチンmRNAの検出と、リンパ節胚中心および血液中のスパイク抗原の検出の長期化 について」という項目がある。専門用語を省略し、かみ砕いて内容を要約する。
     ワクチン接種後のmRNAやスパイク抗原、SARS-CoV-2感染後のウイルス抗原の生体内分布、量、持続性は不完全に理解されているが、免疫反応の主要な決定要因であると考えられる。
     2回目のワクチン接種から7~60日後に採取した、接種と同じ側の腋のリンパ節の生体検査で、mRNAの検出を行った。
      ワクチン接種後7、16、37日目のリンパ節の胚中心に集まったワクチンmRNAは、60日目にも、低いがまだ評価できる特異シグナルを検出した (下図)。胚中心の外には、ごくまれにワクチンmRNAの病巣が見られる程度だった。

     
    ※画像中の太字は泉美が補足
     ワクチン未接種者とCOVID-19感染患者については、この検出検査の結果は、陰性であった。
     mRNAワクチン接種者のリンパ節の検査では、スパイク抗原の反応には個人差があったが、2回目接種後16日目に胚中心に豊富なスパイクタンパクを示し、2回目接種後60日目でもスパイク抗原が存在した。スパイク抗原は、胚中心細胞の周囲に網目状に局在していた。
     COVID-19感染患者のリンパ節は、スパイク抗原の量は少なかったが、まれに胚中心が陽性反応を示した。(泉美要約)
    「mRNAは数日で分解される」という推進派の定説は大ウソ で、少なくとも2回目接種後の7、16、37日目まで、脇下のリンパ節でしっかり検出されており、さらに60日目でも、低レベルだが検出されている のだ。
     気持ちが悪いのは、自然にコロナに感染した患者については、このような現象がほとんど起きないということである。
  • 「30周年記念・『戦争論』の経緯」小林よしのりライジング Vol.425

    2022-02-01 18:25  
    150pt
     先週はゴーマニズム宣言30周年記念ということで、「ゴー宣スペシャル」の誕生を振り返ってみたが、さすがに「ライジング」はコアな読者が多いから、反響も大きかった。
     今回はその続き、いよいよ『戦争論』シリーズについて紐解いていこう。
     なお、前回もそうだが、わしは過去のことは片っ端から忘れていくので、細部に関してはトッキーの記憶で補強している。
     新ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論(1998.7.10 幻冬舎)
     
     言わずと知れた、「ゴー宣SPECIAL」(細かいことだが、この作品から「スペシャル」の表記が「SPECIAL」になる)最大のヒット作であり、代表作である。
     わしはSAPIO誌の連載『新ゴーマニズム宣言』で、薬害エイズ運動の総括と入れ替わるように「従軍慰安婦問題」に関するシリーズをスタートさせた。というより、それは運動の総括と地続きだったとも言える。
     もともと薬害エイズの被害者救済が目的だったはずの運動が、左翼に乗っ取られたらたちまちイデオロギー化して、薬害エイズ被害者だけが被害者ではないとか言い出して「永久運動」へと向かった。そしてそうなれば「日本の戦争責任追及」は必ずセットになる。
     実際、ラップで薬害エイズを訴えた学生たちに触発されたといって、薬害エイズ被害者の次は従軍慰安婦の救済だと「ロックで慰安婦問題」を訴える若者まで出てきて新聞記事にもなった。そこでわしとしては、薬害エイズ運動に参加した学生たちを、こんなもんに関わらせるわけにはいかないと思ったのだ。
     そしてここでさらに重大なのは「従軍慰安婦」って本当に「被害者」なのか? という問題だった。
     そもそも「従軍」とはあくまでも軍の命令により軍務を担った「軍属」につけられた名称であり、「従軍看護婦」とか「従軍記者」、「従軍僧侶」などはあるが、「従軍慰安婦」なんて人はいない。そして「慰安婦」とは戦地で兵隊を相手にしていた娼婦だということは、昔の映画などを見ていれば常識のはずだった。
     それが「戦争被害者」ということになったのは、慰安婦とは日本軍によって奴隷狩りのようにして「強制連行」されて戦地に送られた少女たちだというデマを、朝日新聞などのメディアが流布して定着させてしまったからで、これも完全な「インフォデミック」だったのである。
     慰安婦強制連行デマの定着で、日本における「自虐史観」の全体主義は完成の域に達し、これに異議を唱えようものなら「極悪人」扱いされてしまう空気が出来上がっていた。
     そんな中で「従軍慰安婦問題」を扱うに当たって、わしは「両論併記」から始めた。全体主義の中で完全に封殺されているが、実はこんな意見もあるんだよということをまず示したのだ。そうしたら読者の反響は轟轟たる非難で占拠されてしまうだろうから、それをどう説得していくかを考えようという計画だった。
     ところがフタを開けてみたら、反響の8割が「強制連行ナシ」の意見で、「アリ」は2割程度、しかも「ナシ」の側が圧倒的に論理的なのに対して、「アリ」は感情的でヒステリックなものばかりだった。
     これもまた現在の『コロナ論』を巡る状況とそっくりで、世間の大多数が信じ込んでいる情報がデマだと気づきながら、沈黙せざるを得ない人が世の中には一定数いて、その思いをわしが代弁したことで、我が意を得たりと殺到してくるのである。
     それが世間の目には「邪教のミサ」に映ってしまうわけだが。
     ともかくそんな読者の反響に力づけられ、わしは確信を持って慰安婦問題をどんどん描き進めていったが、同時に、それだけでは足りないとも感じていた。
     わしは薬害エイズ運動や、その前に関わったオウム真理教事件から感じた問題に、解決策を提示しなければならないと思っていた。
     なぜ薬害エイズ運動に参加した学生たちは「個」を持てず、いともたやすく運動体に呑み込まれてしまったのか? そしてオウム真理教信者の若者たちも、なぜいとも簡単に「個」を失い、荒唐無稽な教義を掲げる教団に呑み込まれてしまったのか?