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  • 「コロナ禍の後始末」小林よしのりライジング Vol.472

    2023-06-20 16:30  
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     ついに『愛子天皇論』が発売された。さあ大逆転の始まりだ。
     この戦いは、勝つまで続ける。長期戦になるか、短期決戦となるかはまだわからないが、その戦いの途中経過についても今後、ここで書いていくことになるだろう。
     だがその前に今回は、コロナ禍から派生した諸問題の後始末をしておきたい。
     2日、東京都の福祉保健局は、新型コロナの無料PCR検査を行っていた588の事業者のうち11事業者が、検査数を水増しするなどの手口で、都の補助金を不正に申請していたと発表した。
      不正申請の額は合計183億円に上り、そのうち16億7000万円余りが交付されていた。
     一部の事業者は不正を認めて返還に応じている一方、不正を認めていない事業者もあり、既に破産手続きをしている者もいるという。
     ただし、国や地方公共団体からの補助金を不正受給した場合は、破産したからといって免責はされない。
      破産法253条の規定により、個人が不正に受給した各種給付金・補助金などは、法的に自己破産しても、税金と同じで返還の支払義務が残り続ける。
     個人の持続化給付金ならば、不正受給額プラス20%のペナルティに年3%の利率を加えて返還しなければならず、この義務は利息も含めて全額払い終わるまで、一生ついてくるのだ。
     医療法人等が受給した場合は、破産手続をすれば法人が消滅するので、不正受給した補助金の返還義務も消滅する。
     だが、法人の代表者や実質的経営者の責任が消滅するわけではない。破産によって返還できないという場合には、「計画倒産」の可能性や「隠し財産」の有無などが厳しく精査され、その結果によっては、 詐欺破産罪 等の罪に問われることになる。
     都は警視庁に情報提供を行うとともに、今後も調査を進める方針で、都の担当者は「税金によってまかなわれる事業で不正があったことはゆゆしきことだ。徹底的に調査し、厳正に対処していく」と表明している。
      大阪府では370の事業者に無料PCR検査を委託していたが、そのうち15事業者を抽出調査したところ、少なくとも7事業者に不正申請が発覚、 不正申請額は約42億円に上るという。 大阪府は残りの事業者も調査し、悪質事案は警察への告訴も検討するとしている。
     さらに 新型コロナワクチン接種では、近畿日本ツーリストが全国の自治体から請け負った事業で、過去3年間に最大で約16億円もの過大請求をしていた可能性があると発表。 詐欺容疑で大阪市の支店長ら3人が逮捕されたが、これが個人の犯罪であるとは思えず、企業ぐるみの巨額詐欺事件に発展する可能性もある。
      他にも新型コロナ絡みの補助金・給付金等の不正受給に関する報道は枚挙にいとまがなく、日本全国詐欺だらけという様相だが、これでも氷山の一角のはずだ。
     そして、 いくら法律的には「逃げ得」が許されないようになっているとはいえ、それでも現実的には、全額を回収するのはおそらく不可能だろう。
     そうなったら、我々の税金が無駄に消えていくことになるのだが、それでいいのだろうか?
      その損失は、本来、コロナを煽った奴らが埋めるべきであろう。マスコミの煽り魔どもが大衆の恐怖を煽り、PCR検査やワクチン接種を勧めまくり、とにかく非常時だから迅速に事業を進めなければならないということになって、性善説で杜撰な手続きによって補助金を出しまくったからこそ、こんなことになってしまったのだ。
     その責任は全て、煽った者にある。全額、煽った奴らが払え!!
     さて、11日に開催した『オドレら正気か?LIVE コロナと陰謀論』のゲスト、在宅緩和ケア専門医・萬田緑平氏は大好評で迎えられ、 「全ての病気は『老化』に名前をつけたもの」で、誰も老化は避けられない といった萬田氏の「死生観」などについての話は、大いに参加者の賛同を得た。
     ただ、 萬田氏がコロナワクチンの被害に遭った人のことを 「仕方がない」 という言い方をした時には、若干引いた人もいたようだ。
     わしも、萬田氏の言葉に同感するところなきにしもあらずだが、全面的に「自己責任」にすることには躊躇を覚える。
  • 「〈ビル・ゲイツの人口削減計画〉の正体」小林よしのりライジング Vol.471

    2023-06-06 16:30  
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     6月11日午後2時から、在宅緩和ケア専門医・萬田緑平氏を迎え、オドレら正気か?LIVE『コロナと陰謀論』を開催、生放送でも配信する。
     
     ゲストにはもうひとり、大阪市立大学名誉教授・井上正康氏を予定していたが、キャンセルした。これまでの公論イベントで、一度依頼したゲストをこちらからキャンセルした前例はないはずだが、もう仕方がない。
     井上正康氏には、わしは『コロナ論』シリーズを描く際、新型コロナウイルスやワクチンに関して非常に多くを学び、『コロナ論3』で対談して以降、漫画の中にも何度も登場させている。
     それだけに、最近の井上氏がすっかり「陰謀論」に嵌ってしまったことは、『コロナ論』シリーズの信用にかかわる大問題である。
     全5巻の『コロナ論』のうち4巻までは既に文庫化されたが、最終5巻の文庫は、とっくに巻末の「解説」も入稿してもらったのに、未だ出版されていない。この「陰謀論」の問題を総括しないまま、出すわけにはいかなくなったからである。
     5巻の解説は、新聞の「意見広告」で子供へのワクチン接種の再考を訴える運動を展開した「たけし社長」に頼んだが、その意見広告も井上氏の学識を基に作成していたわけだから、なおのこと陰謀論には文庫版『コロナ論5』でカタをつけなければならないのだ。
     たけし社長と共に意見広告運動に尽力した「世界のゴー宣ファンサイト」のカレーせんべい氏も怒り心頭の様子で、井上氏がメルマガやネット生放送などで主張する陰謀論をその都度収集して、同サイトで晒している。
     いちいち井上氏のネット上の発言までチェックする余裕のないわしには非常に有難いのだが、それにしても井上氏は、驚き呆れることばかり言っている。
     曰く、 「『人口削減計画』が予定通りの手順で進められており、日本がその最初のターゲットとなる可能性がある」 (メルマガ・5月20日)
     曰く、 「ディープステートの人たちが、日本人をモルモットにしていろんなことをやっている」 (ネット動画・5月27日。発言自体は対談相手の原口一博衆院議員のものだが、井上氏も完全に同意している)
     曰く、 「ビル・ゲイツがリンゴなどの表面にワックスを塗って、それを食べた幼児が死んだ疑いがある」 (ネット生放送・5月26日)
     まだまだあるが、以下は略しておく。
     前回の「陰謀論というSNS劣化現象」でも書いたが、
     https://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar2151345
     こんなものは「常識的な思考」ができている人ならば、いちいち事の真偽を確かめるまでもなく、聞いた瞬間に「ありえない!」と一蹴するはずだ。
      もしこれが本当だというのなら、 「ビル・ゲイツを殺人罪で逮捕しろ」 と主張したらどうだ? 間違いなく頭がおかしいと思われるから。
    「ディープステート」 って何だ? そんな、仮面ライダーの敵「ショッカー」みたいな闇の組織なんかあるのか? どこにいる、誰のことだ?
    「人口削減計画」 だって!? そんなもんなくても、日本の人口はどんどん減少していて、少子化対策をしているほどじゃないか。知らないのか?
     もしも日本の少子化までが陰謀の結果だというのなら、なぜインドではその人口削減計画とやらが行われていないのか!?
     最近の陰謀論では、人口削減計画でも何でもかんでもビル・ゲイツが企んだことになっていて、井上氏も完全にそのパターンどおりの発言を繰り返しているが、なぜビル・ゲイツがそんなことを言わなければならない? 人口が増えた方が、マイクロソフトの製品が売れていいはずじゃないか?
     前回は「人口削減計画」を「最近の陰謀論のトレンド」と書いたが、もう少し調べてみたら、 これはトレンドというよりも古典的な大定番で、ずっと前から陰謀論者が繰り返し言い続けてきたものだということがわかった。
     そして、その起源は『宇宙戦争』『透明人間』『タイム・マシン』などの作品で「SFの父」といわれる イギリスの作家、H.G.ウェルズ (1866-1946)にさかのぼるらしい。
     ウェルズは1900年以降、上記のような科学ロマン的な空想小説に代わって文明批評的な小説を書くようになり、社会主義に傾倒。社会改良運動家としても精力的に活動した。
     ウェルズは1905年の小説『モダン・ユートピア』で、「世界国家」が完成して戦争が根絶され、何よりも個人の自由が重視されている社会を描いた。
     またウェルズは、議論を好まないダーウィンの代わりに進化論論争の最前線で戦って「ダーウィンの番犬」と呼ばれた生物学者、T.H.ハクスリーを尊敬して生物学・進化論を学び、優生主義者になっていた。
      もともとユートピア思想と優生思想は非常に親和性が高い。 例えばユートピアを、健康で美しい人々が理性的に暮らしている「理想的」な社会とイメージすれば、それは逆に言えば、ある基準に満たない人々が暗黙のうちに排除されている社会であることを意味するわけで、そこには優生思想が一体となって入り込んでいるのである。