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記事 3件
  • 「生娘シャブ漬けと道鏡コンプレックス」小林よしのりライジング Vol.434

    2022-04-26 17:15  
    150pt
    「生娘をシャブ漬け戦略」
    「田舎から出てきた右も左もわからない若い女性を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」
     …よくまあこんなに、いろんな差別意識がゴチャマゼに入り込んで、どこから手をつけたらいいのかわからない発言が出てきたものだ。
     驚くのは、この発言をした吉野家常務(当時)・伊東正明が49歳で、わしよりも20歳近くも若いということだ。
     しかも伊東は、マーケティング戦略のプロとしてヘッドハンティングされた「敏腕マーケター」だったというのだ。
     それなのに、言っていることはものすごく古い昭和の感覚だ。田舎から出てきた女は世間ずれしていない処女だなんて、まるで昭和30年代の「集団就職」で上京してきた、赤いほっぺの少女みたいなイメージである。
     その時代を知っているジジイが言うのならまだわかるが、49歳でそんなことを言っているのが不思議でならない。どういうわけだか、そんな偏見が世代を越えて引き継がれてしまっているのだ。
     そもそも、田舎娘は無垢・生娘という認識がナンセンスすぎて笑うしかない。
    「生娘」という言葉に至っては、江戸時代のスケベ代官がタイムスリップしてきたのかと疑いたくなる。
     本当はヤンキー文化が残っている田舎の方が、若い娘がすぐ男とくっついたりするものだ。沖縄だって、若いうちにさっさと男と付き合って結婚して子供つくって離婚している女性が多い。むしろ今はそっちの方が「田舎娘」のイメージだとわしは思っていたのだが。
     普通は時代がどんどん変わっていけば、感覚もいつの間にか変わるものだ。今じゃチョンマゲ姿には絶対なれない。わしの感覚だって、時代と共に自然に変化している。
     ところがどんなに時代が変わっても、古い感覚のまま変わらない人間がいる。それどころか、新しい時代の人間のはずなのに、古い感覚をそっくり引き継いで「田舎から出てきた女は無垢な生娘」だなんて、本気で思っている者がいるのだ。
      その感覚は、皇統の男系固執保守たちとそっくりである。これだけ男女差別は野蛮だという意識が浸透してきた時代にありながら、今なお女の血など認めない、男の血統しか許されない、男系男子しか国民の象徴にはなれないなどと、まだ言っている者がいるのだ。 この意識の古さ、意固地さにわしは愕然とするしかない。
     たとえ「女性天皇はいいけど、女系天皇はダメ」と言っても、実質「女性天皇から生まれる子供は女系」として、女性天皇も拒否しているわけだから、奈良時代より感覚が古くなっている。肝心なのは「男の血」であって、「女の血」を否定しているのである。
      天皇陛下の実の娘がいらっしゃるというのにそれではダメで、それよりも600年以上さかのぼらないと天皇陛下とはつながらない「男の血」の方が重要だなんて、到底理解のできない感覚だ。
     600年も離れたら血が薄まり過ぎているはずだが、そんな感覚すら一切ない。結局は「神武天皇のY染色体」とかいうものを信じて、純粋なる「男系血統」なるものがあると信じ込んでいるのだ。
     本当に医学的に考察すれば、「神武天皇のY染色体」を持っている人など日本中にいくらでもいて、誰でも天皇になれてしまうという結論になってしまう。
     しかももっと本来的なことをいえば、「純粋血統」を追求しようという発想自体に、全く意味なんかないのである。
     そもそも「純粋日本人血統」なんてものはあるだろうか?
     今どきそんな感覚なんか通用するはずもない。もう今の日本人にはいろんな人々との混血が進んで、誰になに人の血が入っているのかわかったものではなくなっている。
     試しに「外国人の血が流れていて驚く有名人」というサイトを見たら、ブラックマヨネーズ・小杉竜一(曽祖父がアメリカ人)、平野レミ(祖父がフランス系アメリカ人)、安室奈美恵(祖父がイタリア系アメリカ人)、布袋寅泰(父親が韓国人、母親が日本人とロシア人のハーフ)、宮沢りえ(父親がオランダ人)といった名前がズラッと並んでいる。この先、出会って好きになった相手に、実はロシアの血が入っていたとかいうことだって、いくらでも起こりうるのだ。
     仮に外国人の血が入っていなければいいとしたところで、それなら琉球の血はいいのかとか、アイヌの血はいいのかとかいう話になっていくだろう。純粋血統種という発想自体がもう、ナンセンスとしか言いようのないものなのだ。
  • 「こびナビは知っていた~『治験停止するほどの有害事象が出ている』」小林よしのりライジング Vol.433

    2022-04-19 19:00  
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     こびナビの峰宗太郎と日経の編集者・山中浩之の共著 『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』 という本をたまたま入手した。
     2020年12月8日に日経BPから出版されていた本だが、読み始めてみると、驚くべき記述の連続だった。
     こびナビでは、「ワクチンを打て!」と煽りまくっている張本人が、本書では、mRNAワクチンが猛スピードの開発競争案件になってしまっており、治験の判断基準も激甘だと指摘。そして、 「治験停止するほどの有害事象が出ている」 と明かしているのだ。さらに、接種後の副反応だけでなく、 「10年後に何が起きるか誰も分からない」 とまで言及。
     本書は「危険性を知っていて、ワクチンを打てと煽りまくっていた」という証拠でもある。その内容をここに報告しておきたい。
     
    ●「テレビに出ている人で専門の人はいません」
     序盤で、峰は、コロナの感染経路についてみずからの知見を披露している。
    「飛沫感染がメインで、マスクに効果あり」 という考え方が基本で、 「だからユニバーサルマスクには意味がある」 と結論づけるというありがちな発言が続くのだが、 「接触感染、糞口感染も起こりうると早くに分かってもいる」 と述べ、この2つの感染経路を徹底的に否定する論者とは距離を置いているようだ。
     手が汚染される部分として、ドアノブ、ボタン類、銀行ATM、現金などを挙げ、「洗っていない手で目、鼻、口などの粘膜にふれるのはやめましょう」という。この点は、同意する。鼻をいじるのはやめられないが。
     さらに、 「テレビに出ている人で専門の人はいません」 と述べ、実名を挙げることは避けているものの、あきらかに、岡田晴恵、北村義浩、児玉龍彦、二木芳人、西浦博などを批判してもいる。
     この流行はいつまでに終息するかという予測とか、長期的、中期的展望を述べる人は全部、根拠の薄弱な発言をしていると思っています。 端的に言えばうそつきです。
     ところが、人脈の問題なのか、持ち上げておけば自分がトクをする相手なのか、「うそつき」の中から、尾身茂と西浦博のことだけは、名指しをして急角度のフォローを入れる。
     尾身茂には 「述べる資格がある」 、西浦博は 「疫学モデリング分野の第一人者」 と持ち上げ、西浦の予測については 「かなり精度が高い」 と褒め上げた。
     尾身には資格がある、という上から目線は一体なんなのか、そして、西浦の予測が大外れだったことなんて、本書刊行時点で日本中が知っているのに、アンタこそ、どんだけ見え透いたうそつきなのかと言いたい。
    ●「薬物には慎重派」だった!
     読み進めて驚いたのは、薬に対する見解だ。
  • 「マスクは子供の虐待である!」小林よしのりライジング Vol.432

    2022-04-05 19:10  
    150pt
     普通にマスクを外して出歩けない限り、コロナ禍は終わりではない。
     ところが先週あたりからまた新規感染者(陽性者)数が増加傾向に転じたとかで、マスコミは「感染対策の徹底を」と連呼し、マスクの着用を推奨している。
     このままいくと今年の夏も、猛暑日に人々がマスクをして出歩くという狂気の光景を見ることになるのだろうか? 3年も連続で!
     諸外国ではもうマスクの義務化は撤廃され、ほとんど誰もマスクをしていない。
     先月24日にブリュッセルで行われたG7首脳会議でも誰もマスクをしておらず、岸田首相もマスクをしていなかった。
     ところが岸田は帰国して国会で報告する際には、しっかりマスクを着けていた。国会議員たちも全員マスクをしていたし、 海外ではノーマスクの日常を取り戻しているのに、日本ではマスクの同調圧力に逆らえないのだ。
     29日にトルコで行われたウクライナとロシアの停戦協議のニュースを見ていたら、誰もマスクをしていない中でただひとり日本人記者だけがマスクをしていて、そのマスク姿のままテレビカメラに向かってレポートをしていた。
     ものすごい違和感だった。テレビ画面を介して、日本の視聴者にウイルスが感染するとでも思ったのだろうか?
     とにかく 日本人は、法律で義務化もしていないのに、マスクを外した顔を見せてはいけないという、強固な観念に縛られ続けている。
     週刊ポスト3月4日号に、『感染症の権威が断言「7月以降はマスクを外せ」』という記事が載った。
     その「権威」は浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫という医師で、ワクチンの効果に何の疑問も持っていないなど肯定できないことも言っているが、マスクの弊害に対する警鐘については注目すべきものがあった。
     矢野医師はこう語っている。
    「人間は生まれてから様々な病原体に遭遇し、それに感染することで抗体を獲得していきます。特に幼少期は、親や同年代の友人の唾液などを介して、病原体に自然に感染するものです。
     しかし、長期にわたってマスク生活を続けていることにより、子供たちは水痘(みずぼうそう)やムンプス(おたふくかぜ)、手足口病といった『かかっておくべき病原体』と接触する機会を奪われているのです」
     コロナ論シリーズを読んでいる人なら、すぐ納得のいく話だろう。人は、それも特に乳幼児には、 「免疫の軍事訓練」 が必要なのだ。
     矢野医師によると、 幼少期に感染すべき病原体に感染せず、抗体を持たないまま大人になって、それから初めて感染すると、重症化や後遺症が残るリスクが高くなる という。
      水ぼうそう も成人になって初感染すると重症化しやすいし、 おたふくかぜ だと、睾丸が腫れて精子の数が減少するという。
     ヘルペスウイルスの仲間である サイトメガロウイルス は、子供の頃に感染すれば無症状か鼻風邪程度で済むが、大人になって初感染すると、様々な大病を発症することがある。
     特に妊娠中の女性が感染すると深刻だという。妊娠初期の女性が 風疹 に罹るとお腹の子に障害が出る恐れがあることはよく知られているが、 サイトメガロウイルスの場合は、お腹の子の目や耳に生まれつきの障害が出たり、小頭症という頭が小さな状態で生まれたりする恐れがある。 しかもその 発症リスクは風疹の数千倍 といわれ、そのうえ風疹のようなワクチンもないのだ。
     矢野医師は、こんな怖いことを言う。
    「ずっとマスクをしていて幼いうちにサイトメガロウイルスに感染せず、免疫を持てなかった子供たちが20~30年後に妊娠適齢期になった時、目を覆うような事態が待っているかもしれません」
      子供たちは既に2年間マスクを着けさせられて、感染しておくべき病原体に感染していない状態にされている。
     それで昨年は子供に突然 RSウイルス が大流行したわけだが、 ここで一斉にマスクを外したら、水痘、ムンプス、サイトメガロウイルスなどが同時流行して、小児科の医療が逼迫するかもしれない と矢野医師は言う。また、2年間流行していない インフルエンザ のピークがずれて、夏頃に流行する可能性もあるという。
     だがそれでも、夏が来る前にマスクは外させてやらなければならない。マスクの最大のリスクは、 熱中症 だからだ。
     マスクをつけると熱が体外に出にくく、体内温度が下がりにくい。また、マスクで口の中が湿っていると喉の渇きを感じにくく、無自覚のうちに脱水症状になりやすくなる。
     消防庁の統計によれば、新型コロナでマスク生活が日常化した 2020年の熱中症患者の救急搬送件数は、8月だけで全国4万3000件超で、調査を始めた2008年以降で最多だったという。
     コロナで子供は死なないが、熱中症では死ぬ危険があるのだ。
     いいかげんにマスクを外さないと、このままじゃまずい。特に子供たちは将来にわたって、さらに深刻な問題を抱えてしまう恐れがある。