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  • 「ネットの『基地外』の憎悪について」小林よしのりライジング Vol.275

    2018-07-03 17:45  
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     6月24日、福岡・旧大名小学校校舎の創業支援施設で、殺人事件が起きた。
     ネット内のトラブルが原因とされ、犯人は一面識もない相手に一方的に恨みを抱き、メッタ刺しにしたのだった。
     殺害されたのは、「株式会社はてな」が運営する「はてなブックマーク」のブログに「Hagex(ハゲックス)」のハンドルネームで発信をしていた41歳のブロガーだった。
     Hagex氏は東京のネットセキュリティ関連会社の社員で、IT雑誌の編集長やセミナー講師を務め、勤務先や関係者の評価は高かったが、ブログでは半ば炎上狙いで何人ものブロガーに対して罵倒するような批判を繰り返し、その相手からはかなり嫌われていた。
     だがHagex氏を殺したのは、氏が罵倒していたブロガーではなく、そのブロガーたちは「嫌な人だとは思っていたが、いくらなんでも殺すことはないじゃないか」といった反応を示している。
     Hagex氏を殺したのは、氏がまともに相手にもしていなかった「荒らし」の男だった。
     犯人の男は「はてなブックマーク」の「IDコール」というメッセージ通知機能を利用して、Hagex氏のみならず多くのユーザーに誹謗中傷・罵詈雑言を送りつけていた。やたらと「低能」という言葉を使って上から目線の言い草をすることから「低能先生」というあだ名をつけられていたが、このあだ名は誰ともなく言い出したもので、Hagex氏がつけたわけではない。
    「低能先生」の荒らしは当然ユーザーが「株式会社はてな」に通報し、IDが凍結される。すると「低能先生」は別のIDを作成して罵詈雑言を送りつけ、また通報され、凍結される。するとさらに別のIDを作成する。
     そんなことを繰り返して2年以上、作ったIDはわかっているだけで200以上に及ぶという。これだけでもその粘着性や異常性は十分わかる。
     Hagex氏も「低能先生」の荒らしに対しては特に相手にもせず、粛々と通報し、凍結させていたようだ。
     そして5月2日、Hagex氏は「低能先生に対するはてなの対応が迅速でビックリ」と題するブログをアップした。
     そのブログは、自分は「低能先生」の荒らしが来るたびに「はてな」に通報しているが、最近では詳しい理由も書かずに「低能先生です」と一言入れただけで凍結されるようになり、しかも昨日は通報してからわずか3分で凍結されたのでビックリしたとして、「株式会社はてな」は「低能先生」を威力業務妨害で訴えるべきだ、という内容だった。
     そして、常人には一切理解できないのだが、「低能先生」はこのブログを読んでHagex氏に強烈な殺意を抱いたのだ。
     しかも不運なことに、Hagex氏のブログには6月24日に福岡でセミナーを開催するという告知がつけられており、あろうことか、「低能先生」は福岡在住だったのである。
     当日、「低能先生」は現場でセミナーが終了するまで2時間以上待ち伏せし、会議室から出てきたHagex氏をつけて、トイレで用を足しているところを背後から襲い、刃渡り16.5センチのレンジャーナイフで首や胸を十数カ所刺した。傷の一部は心臓まで達していたという。
    「低能先生」の正体は、42歳の無職男性だった。
     熊本県天草市の出身、読書好きで中学ではソフトテニス、高校では剣道に打ち込み、中学の同級生は一様に「おとなしくて真面目だった印象しかない。殺人事件を起こしたなんて信じられない」と語ったという。
     成績優秀で中学時代から九州大学を目指し、目標どおり進学。父親は「地元で九大に進学する生徒は少ない。合格した時は本当にうれしかった」と語る。
     大学には8年間在籍、在学中の平成12年(2000)から福岡県内のラーメン製麺工場でアルバイトを続け、平成20年(2008)に正社員になり、仕事ぶりは真面目だったというが、平成24年(2012)に突然退職、それ以降は福岡市内のアパートに引きこもっていた。親は立ち直るのを信じ、アパートの家賃として月3万6千円の仕送りを2年間続けたという。
     犯行直後、「低能先生」はブログに犯行声明を出している。
     実に気持ちの悪い文章だが、犯人の異常性を検証するために掲載しよう。