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「AKB選抜総選挙の"立候補制"導入を考える」(よしりんに、きいてみよっ!#19)
2013-03-29 15:00http://live.nicovideo.jp/watch/lv131101084緊急生放送!本日(3/29)21時からの生放送は、当初予定していた内容を変更して、「AKB選抜総選挙"立候補制"導入を考える」 (よしりんに、きいてみよっ!#19)をお届けします![よしりん談] AKBファンは自覚がないようで、単純に新たな「お祭り」としてはしゃいでいますが、この問題は重大な陥穽を秘めています。 「運営のゴリ推し」に対する反発で始まった「ガチの民主制」が壊れるのです。 今までこの二者の対立とバランスの上に成り立っていたシステムが形骸化され、選挙が単なる「お祭り」か「お遊び」になり、 「ガチの民主制」の権威が薄れる恐れがあります。 そもそも一体、何人が立候補するのでしょう? 少なすぎたら、結局運営がメンバーに立候補を即すのでしょうか? それとも、自由意思、自己責任と言いながら、実際は全員立 -
「日本人が目を背けるイラク戦争の総括」小林よしのりライジング Vol.31
2013-03-26 17:20157ptイラク戦争開戦から、10年を迎えた。 2003年3月20日(日本時間)、米英軍はフセイン政権下のバグダッドを爆撃。国連安保理決議も採択されず、国際法上の根拠を欠いた戦争であり、それを正当化するために米国は、イラクが 大量破壊兵器 を隠し持っており、その脅威を除去するためという 大義 を掲げた。 当時の首相・小泉純一郎は開戦当日に談話を発表、 「大量破壊兵器の拡散を防止することがわが国を含む国際社会全体の平和と安全にとって極めて重要である」 と 大量破壊兵器問題の大義を挙げ、いち早くイラク戦争を支持した。 そしてその時、外交評論家の岡崎久彦はこの首相談話を「近来にない快挙」「日本の将来のため感謝の念に堪えない」「 敗戦後半世紀、二十一世紀を迎えて、初めて日本の将来に安定した希望を与える国家方針が、総理大臣の口から明確に打ち出された 」と大絶賛した(産経新聞2003.3.25)。 当時の内閣官房副長官が、 安倍晋三 である。安倍もイラク戦争を支持した内閣の一員として責任を負う立場にあった人物なのだ。 2004年1月、安倍は岡崎久彦と『この国を守る決意』(扶桑社)という対談本を出しているが、その中でも安倍はこう明言している。 「 今回、米国のイラク攻撃を支持する理由として、私は二つ挙げました。一つは大量破壊兵器廃棄の結果を出さなければいけないということ。もう一つは日米の同盟関係の重要性を認識すべきだということです。事実、われわれは、東アジアに北朝鮮という脅威を抱えているわけです 」 ついでに紹介しておくと、対談相手の岡崎はこんなことを言っている。 「まずサダム・フセインの呪縛を完全に解かなければなりませんが、これはアメリカ軍の力がなければ不可能です。 現に、大量破壊兵器の隠し場所がわからない。日本ぐらいの大きさの国であっても、どこかの地下に隠されたものを見つけるには、何らかの情報提供がなければ無理です。何百人という人が知っているはずですが、裏切りの報復が怖いのか、密告がありません。この呪縛が解けるまで米軍は駐留しないと、戦争の目的自体が達成できません」 当時わしは、イラク戦争は侵略戦争であるとして、断固反対を主張した。大量破壊兵器についても、開戦前から元国連大量破壊兵器査察団団長のスコット・リッターが否定していたことなどから、存在する可能性は極めて低いと考えていた。 ところが当時、自称保守論壇・マスコミは諸手を挙げてイラク戦争を支持し、わしは猛烈なバッシングに晒された。 特に「諸君!」「正論」の論壇誌は、この頃急速に目立ち始めた「ネット右翼」なるものにすり寄り、ネットに散らばるわしへの悪口雑言を寄せ集める記事まで載せた。 だが、結局、大量破壊兵器はなかったのである! 2004年10月、米政府調査団は報告書をまとめ、イラクに大量破壊兵器がなかったことを公式に認めた。 岡崎のいう「密告」など、あるわけなかったのだ。 開戦の大義に掲げた大量破壊兵器は存在しなかった。この戦争には大義がない、侵略戦争だったのである。 ところがイラク戦争を支持した者で、その事実を認めた者はひとりもいなかった。ある者はぬけぬけと「これはイラクの民主化のための戦争だ」と戦争目的をすり替え、甚だしい者に至っては「 戦争に、正義も大義もない 」とまで居直ったのである。 岡崎久彦はイラク戦争開戦半年前、2002年9月14日の産経新聞でこう語っている。これは相当イカれた発言なので、ゆっくり読んでほしい。 「 イラク攻撃に成功すると、世界情勢は全部変わる。何をもって成功かというと、イラクに民主主義的親米政権ができることだ。そこまでいくと、今度はパレスチナ問題も解決するかもしれない。民主主義勢力とイスラム宗教界の勢力が拮抗しているイランも、大きく影響され、イランの変化は中東全体が変わる契機になる。 中東だけではない。北朝鮮は震え上がり、中国もおとなしくなる。台湾問題も、中国側が引っ込む形で解決する可能性がある。つまり、イラク攻撃が終わったところで9・11の真の結果が出てくる。成功の可能性は90%あると思う 」 親米ポチの岡崎は、もはや誇大妄想の域に達しているのだが、これを「革新ホシュ」の論壇は信じていたのだ。 そして、10%の失敗の可能性は、「反戦平和」の世論に押されて米国がイラク攻撃を躊躇した場合だとした上で、こう続けている。 「 世界全体が変わるかもしれないときに、国連決議がどうとか、テロ対策基本法が適用できるかどうかなど、お茶の間的議論をいっても始まらない。枝葉末節であり、日本国民の安全と繁栄を考えれば論ずるに値しない。デモクラシーやグローバリズムとかユニラテラリズム(一国主義)がうんぬんという問題ですらない。 世界史的な『アメリカ帝国』ができようとしているのだ 」 ここまでアメリカを崇拝する日本人がいるとは、滑稽と言うか、馬鹿と言って差し支えない。アメリカの召使いのような奴だが、今もこの馬鹿が産経新聞などに書いているし、安倍晋三とは懇意の人物なのだ。 さらに、岡崎はこうも言っている。 「 ローマ帝国がブリタニアやゲルマニアなど辺境にローマ市民を兵隊として送り出していた時代こそ、人類が最も幸せだったといわれる『パックス・ロマーナ』(ローマによる平和)の時代だった。そして、 『パックス・アメリカーナ』が実現したら、米国は世界の中で問題を起こす国があると、米市民の命を犠牲にしてもそれを押さえ込むだろう 」 まったく、嘘をつけ!というたわごとだが、革新ホシュどもは信じていたのだ。 そして、「日本は具体的に何をすればいいか」との問いにこう答えている。 「 日本にとって、米国のイラク攻撃支持は非常に率のいい賭けだ。米国は基本的に、だれの助けもいらない一国だけで何でもやれる国。だから、米国が必要とするのは精神的な支持であり、日本にいろんな制約があることは十分、承知している。堂々と米国支持をうちだし、日本がやれる範囲のことをやれば、それが最大の貢献になる 」 要するに岡崎は、日本は精神的な支持さえ表明すれば、他には大したことをやらなくても、 米国が全く新しい平和な世界秩序を作ってくれて、その勝ち馬に乗ることができる… という、とんでもない「お花畑」を夢見ていたのであり、だからこそ小泉のイラク戦争支持表明にあれだけ欣喜雀躍したのである。 そして岡崎は開戦後に行った前掲の安倍晋三との対談本でも、「歴史は大きく変わりつつあります」と言い、現在は「パックス・ロマーナ」が形成されていく過程の時代と相似性があるなどと、つまりはこの「お花畑」の未来図と同じ話を開陳している。 そして安倍は「(ローマに敗れた)カルタゴを強大なソビエト帝国とみれば、いまは社会主義に打ち勝った後の新たな国際秩序の構築の過程となるわけですね」とか言って、岡崎の妄想に同意していたのである。 安倍はイラク戦争支持の第二の理由として、 「北朝鮮の脅威」 があるからと言っているが、これは要するに「 イラク戦争を支持すれば、次に米国は北朝鮮の金正日体制を倒してくれる 」という意味である。 当時は自称保守の言論人・マスコミのほとんどがそう信じていたのだ。一例を挙げれば、イラク戦争真っ最中の2003年4月12日の産経新聞では、初代内閣安全保障室長・佐々淳行が「ブッシュ大統領の『悪の枢軸』のNO.1イラクのサダム・フセインが倒れたとなれば、次は核開発施設を再稼働し、NPT(核拡散防止条約)を一方的に脱退し、IAEA(国際原子力機関)査察団を国外追放し、ノドン百基で日本を狙って実戦配備し、テポドンを開発し、対艦ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮の番となることは必定である」 と断言し、「 ノドンの脅威を抑止してくれるのは日米同盟だけである 」と同盟強化を力説している。 今となっては「そんなバカな」と思うかもしれない。だがその渦中にあると、人はどんなにバカげたことでも信じたいものしか信じないのだ。わしがいくらそんなことはありえないと言っても、自称保守言論人は誰一人耳を貸さず、憎悪まで抱いてわしを攻撃してきたのだった。 それから10年が経った。「パックス・アメリカーナ」はできたか? それどころか、米国はイラクに安定政権も作れないまま軍を撤退させるしかなかった。 米軍の死者は約4500人。イラクの一般市民の死者は12万とも13万とも言われる。 開戦前のイラクはフセイン独裁という「重し」によって民族・宗派間の対立が抑えられていたし、国際テロ組織などイラク国内には入れなかった。 イラクの義務教育は無料で小学校の就学率は100%、小学3年から英語を学び、誰でも大学まで行けて、ユネスコに表彰されるほどの教育立国だった。 女性差別の厳しい中東において女性の社会進出も進んでおり、女性の国会議員が2割に上っていた。フセインは 「中東の優等生」 と言われるほどの近代化推進者だったのである。 ところがフセイン政権崩壊で「重し」がなくなるや、民族・宗派間対立が噴出。 今も日常的に爆弾テロが起きて死傷者を出し続け、犠牲者は先月だけでも220人に上っている。 政権は全く安定せず、治安の乱れに乗じ、国際テロ組織アルカーイダ系武装組織や犯罪集団が一挙に流入。イラクがテロ組織の温床になってしまった。 イラクで独裁がベストだと思う者はいない。しかし今よりもフセイン政権下の方が、社会が安定していたことを否定する者もいない。 さらに「テロとの戦い」を信条としていたはずが、テロ組織の活動の場を拡げてしまったのだから、マヌケとしか言いようがない。 もちろんイラク一国すら手に負えなかった米国が「次は北朝鮮」となるわけもなく、逆に北朝鮮との「対話路線」を打ち出すようになり、結果的に北朝鮮の核開発の進行を黙認することになり、現在に至っている。 -
「TPPとネトウヨとへタレ組織」小林よしのりライジング Vol.30
2013-03-19 19:15157pt完全に予想通りだったが、安倍晋三はTPP交渉参加を表明した。 ついに日本の伝統・文化の全てをグローバル競争の中に投下し、破壊しつくしてしまいかねない「地獄行き」のバスに乗ってしまったのだ。 自民党内には選挙の際に「TPP反対」を掲げ、農業団体の支持を受けて当選した議員も多くいたにもかかわらず、徹底的に反対を貫いた者は一人もいなかった。 安倍晋三がTPPで守ると言っている重要五品目は農産品だけで、これは21分野に亘る交渉のほんの1分野の、さらに1分野にすぎない。その農産品の関税とて死守できるはずがない。 国民皆保険は残ると安心させているが、それも騙しのテクニックで、盲点に触れていない。皆保険制度を残したままでも、TPPで医療に市場競争を導入され、混合診療の全面解禁に向かえば、新薬や診療は利益率の高い保険外枠に入れられていくので、国民の医療格差は拡大する。 現在の社会主義的な国民皆保険制度がいつまでもつか、そのうちアメリカの保険会社からISD条項で訴えられて、崩壊してしまうだろう。 公共事業も外資が受注できるようになり、外国人労働者に日本人の職が奪われることになろう。 非関税障壁の撤廃とは、日本独特の不文律・ルールの撤廃であり、世界柔道から礼の精神が失われたように、日本の「公」を大切にする国柄は失われていく。 基本は欧米人(狩猟民族)型の、市場原理主義、弱肉強食の強欲市場主義への大きな「前進」なのだから、行き付くところは楽天のように、公用語が英語になってしまうだけだろう。 TPPに遅れて交渉参加して、米議会の承認を取り付けて、日本が本格的に交渉に参加できるのは9月、もう諸外国の間で決定済みの条件は覆すことは出来ない。安倍晋三自身も 「既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がひっくり返すことが難しいのは厳然たる事実だ」 と明言している。 それなのに同じ声明で 「いったん参加すれば、重要なプレイヤーとしてルール作りをリードできる」 などとデタラメな矛盾を言っているのだから、呆れ果てる。 いずれ国民が参加条件を知って驚愕することになるだろう。そして再び激しい抵抗やデモが起きるかもしれない。 だがもう参加を断念して引き返すことは無理だ。世論調査によると国民の60%が交渉に不利とわかれば、参加断念できると考えているらしい。 これも安倍晋三の大嘘に騙され、マスコミもこのTPP交渉のリアルを伝えてないからである。マスコミが国民の為に真実を伝えるという役割を果たしてないのだ。 実際はもはや参加断念は無理とわかっている。アメリカが激怒することになり、日米同盟に決定的なヒビが入ると、マスコミも親米革新ホシュも安倍晋三を擁護し、粛々と環太平洋の経済戦争に突入、日本国内のルール・文化の解体に邁進していくことになる。 安倍が交渉参加を表明する前日、自民党内で反対派議員も参加して行われた会合は、当初 「時間無制限」 で行うと言っていたはずのものが、たった2時間足らずで拍手のうちに終了した。ただ地元に帰って 「努力はつくした」 と言い訳するためのパフォーマンスでしかなかったのである。 TPPが日本の国益を決定的に損ね、日本の文化・伝統を根こそぎ破壊しかねないものだとわかっていても、党を割ろうという動きもなければ、離党した議員もいなかった。せっかく政権与党に返り咲いたばかりで、野党暮らしには戻りたくないとしか考えていなかったのだ。 結局、彼らが守りたいのは日本の国益でも国柄でもなく、自分の権力だけだったのである。 政治家は野党になると本当にみじめなもので、誰もちやほやしてくれず、お金も入ってこなくなる。影響はありとあらゆるところにまで表れて、会議の時に出てくる弁当まで格段にランクが落ちるらしい。そんな思いに3年以上耐え、ようやく取り戻した権力だ。もう放してなるものか。権力さえ維持できるなら、日本なんか、いくらでも売っ払っちゃったってかまわない! というのが、国会議員というものなのだ。 もし安倍政権の支持率が低迷していれば、こうはいかなかっただろう。 TPP参加を強行したら反発を招いて、次の選挙が危ういとなれば、反対派の議員もきちんと動いただろうし、参加も阻止できたかもしれない。しかし、支持率が70%近くにも上っていると、もう抵抗のしようがない。 第2次安倍政権の発足当初は、まだマスコミ内にも政権批判があったが、今ではそんなものは一向に見かけなくなっている。支持率も、発足直後の「ご祝儀相場」からは下降するのが普通なのに、逆に上昇するという異例の状態となっている。 大手マスコミはスポンサー・財界の意向に沿って全員一致でTPP賛成になっているわけだが、TPPの件に留まらず、以前なら集中砲火していたはずの「タカ派」批判や、健康不安についての懸念まですっかり消えてしまったのは異様な光景というしかない。そして、そんな状況を作り上げた一因に、ネトウヨの抗議行動が効果を上げたという事実にも、注目しておく必要がある。 その中でも大きな転機になったのは、フジテレビの朝のワイドショーで、たかが「お腹が痛くて辞めちゃった人」と言っただけのことに抗議が殺到し、司会者があっさり謝罪した件だったのではないだろうか。 そもそも何度も指摘しているように、難病患者が首相になってその重責に耐えられるのか、危機管理上問題ではないかと懸念を示すのは、難病患者に対する差別でも何でもない。重度のてんかん患者が自動車の運転をしてはいけないというのと同じことである。 ところが、これを 「潰瘍性大腸炎患者全体への侮蔑」 だと問題をすり替え、抗議行動を煽ったのは他ならぬ安倍晋三本人である。 安倍は自身のFacebookで「ちゃかしすぎた中傷は、私以外の同じ病で苦しんでいる人達を傷つけていることをワイドショーの人達には知って欲しいと思います」「意図的な中傷であると判断せざるを得ません。テレビに出てくる資格無しです」と発言し、謝罪を勝ち取った後には 「多くの方が番組に抗議して頂いた結果でしょう。これは正にネットの勝利ですね」「私と共に戦って戴いた皆さんに感謝します」 と、ベタボメの感謝まで表明したのだ。 こうしてネトウヨ連中は首相お墨付きの絶対正義を背負ったと図に乗ってしまい、もう「お腹が痛くて辞めちゃった人」程度のことも完全に禁句となってしまった。 そんな時に、うちの時浦がTwitterに「下痢ピー安倍に政権任せて、いざ有事の際にトイレに籠られたらどうなるんだよ」と書いたものだから、たちまち「炎上」が始まったのだった。 時浦の報告によれば、これに抗議してくるネトウヨは判で押したように「潰瘍性大腸炎患者への差別だ!」の一点張りで、何をどう説明しようが一切聞く耳を持たないらしい。 それにしても、普段在日コリアンへの差別意識をむき出しにして、聞くに堪えないヘイトスピーチをやっているような連中が、この件に関してだけは差別反対の「良識派」に豹変するのだから呆れ果てる。 Twitterの炎上は延々続き、時浦は「人生でこんなにたくさん『人間のクズ』呼ばわりされることがあるとは思わなかった」と笑っていたが、全く退かずにかえって「下痢ピー首相・安倍」を連呼した。そして先週号で書いたように、ネトウヨが「SAPIO」編集部に抗議電話をかけ、ついには時浦のTwitterに抗議する街宣デモを小学館本社ビル前で行うという、前代未聞の珍事が起きたのである。 それにしてもイイ歳して、本人に言っても聞かないから「先生に言いつけちゃる!」と職員室に駆け込む駄々っ子並みの行動を、しかも時浦のTwitterに何の責任も負っているわけがない小学館に対して行うという、異常なほどに知能が足りない人間が、この世にはいるのである。 そして、そんな人間を安倍晋三は賛美し、頼りにしているのである!! -
「ヒマ人・ネトウヨを尖閣諸島に常駐させろ!」小林よしのりライジング Vol.29
2013-03-12 21:00157pt「よしりん企画」のスタッフ・時浦のツイッターが、ネトウヨの攻撃によって炎上中らしい。 ネトウヨは先週末、小学館で抗議の街宣活動をしたという。 時浦は小学館で連載している作家でもないし、いくらなんでも小学館が小林よしのりに対して 「お宅の従業員のツイッターでのネトウヨ批判を止めさせてください」 なんて、頼めるわけがない。 時浦は「個人」としてツイッターをやっているのであり、「よしりん企画」の「組織人」としてつぶやいているわけではない。 この「個人」と「組織人」の関係性をきちんと押さえておかないと、社長が勝手に従業員の言論を統制する愚を犯すことにも繋がりかねない。 わしはツイッターをやらないから、スタッフの時浦が何をつぶやいているのか知らない。 時には暴走することもあるようで、わしが連載していた雑誌の某編集長の批判を続けていたためにトラブルが発生したこともあった。 そのときは相手の編集長や編集者にわかるように、時浦の暴走気味の発言を、わざわざブログで公然と叱って見せたこともあった。 時浦はショックだったようだが、仕事先の編集長とケンカをするときは、まずわしが先陣を切ってやるのだから、 大将であるわしより先走ってケンカをしかけてもらっては困る。 時浦の憤りもわしはよくわかっているし、わしへの忠誠心が強いのもわかっているのだが、あまりに時浦のツイッターにその編集長がお怒りのようで、いちいちわしに電話してくるものだから、面倒くさくてしょうがない。 何でたかが一従業員のツイッターに、雑誌編集長が反応して怒り狂うのか、それも理解できなかったのだが、何でわしに 「従業員のツイッター上の発言を封じろ」 と電話してくるのかも、全然わからなかった。 そもそも時浦のツイッターなんか見なけりゃいいじゃないか。なんでフォローしてるんだ? わしだって誰かかからツイッターやネットで、ボロクソ言われてるだろう。だが見てないから永久に知らない。ただそれだけのことである。 時浦は「よしりん企画」に所属しているのだが、だからといって「個人」の部分が全然ないわけではない。 従業員は、頭の先から足のつま先まで「 組織人 」というわけではない。 わしはスタッフがどこに住んでいるのか、どんな生活をしているのか、個人的な人生観も、何も知らない。 人は誰でも 「組織人」 と 「個人」 という対極の人格を持っているのである。 全身「組織人」というのも、全身「個人」というのもあり得ない。 したがってツイッターの内容まで、わしが制限することは、基本的に出来ないのだ。 某編集長の抗議に対しては、わしは 「大将より先にケンカをするな」 という理由で時浦の発言を制限した。 これは正当な理由だと思う。 わしが連載している編集部とケンカするのは、よっぽどの理由があるときでなければならないし、商売上は仕事先を失うのである。 それは従業員全員の食い扶持にもかかってくる問題だから、時浦以外のスタッフは、時浦の行為に反対していたのだ。 言論戦において、基本的にわしに敵対する相手にでも、部下が大将より先走って戦争を仕掛けるのは、旧日本軍の支那での暴走にも似ているし、中国の軍部の暴走にも通じる問題となる。 わしが 「戦え!」 と命じたら、時浦は全力を発揮していいのだ。 ネトウヨとの戦いは、わしは大賛成である。 確かにネトウヨは雑魚だが、その雑魚は安倍首相と連帯しているのであり、権力が野に放った狂犬となっている。飼い主は安倍首相なのだ。 時浦は権力と戦っているのであり、権力に阿る狂犬・ネトウヨと戦っている! ネトウヨは権力の手先として、在日朝鮮人を攻撃している。 今回勃発した時浦とネトウヨのケンカは、決して「組織人」時浦がわしの命を受けて始めたものではない。 あくまでも時浦が「組織人」としてではなく、「個人」として始めたものである。 だがそれを知ったわしは、善行だと思って自由にやらせている。 ネトウヨという排外主義者は、社会の害悪であり、ストーカーと同じく法で規制すべきだし、逮捕されるべきである。 有田芳正議員がこのネトウヨの差別デモに関して、3月14日に参議院議員会館で集会を開くらしいが、このような排外主義者どもを精神安定の拠り所としている安倍晋三・片山さつきら自民党議員の責任もぜひ追及していただきたい。 時浦のツイッターを炎上させているネトウヨは、どういう訳だか、「SAPIO」編集部に電話で抗議を繰り返し、ついに小学館前で街宣デモを行った。 といってもツイッター上で呼びかけた割には、集まったのは数人だったようで、10人にも満たないところを見ると、同種のネトウヨにも共感は得られなかったようだ。 さすがに馬鹿なネトウヨでも、「時浦のツイッターを封じろ」というデモは、大義名分が薄いと感じたようだ。 そもそもネトウヨはすでに安倍政権の誕生によって、権力側になっているので、もはやその活動の大義名分は消失してしまっている。 あとは権力に任せておけばいいはずだ。 それは現在の革新ホシュ(自称保守)の連中にも言えることで、念願の安倍政権の誕生で、存在理由は失っている。 革新ホシュが 「TPPだけ反対だ」 と言っても、安倍政権を熱烈応援して、熱烈歓迎したのだから、今さら安倍に反旗をひるがえしても説得力はないし、本気じゃないことはわかっている。 政策的に監視できる野党の存在すら、もう完全に消滅するほどの支持を安倍政権に集中させ、大政翼賛会を作ってしまったのは、 「デフレ脱却・原発推進・反民主党・米国追従」 の大義名分を掲げる安倍晋三を支持した、革新ホシュ勢力全体である。 その革新ホシュの下部構造にあるネトウヨは、「安倍政権樹立」の大義名分の消失で、今、迷走を始めた。 -
『3.11を風化させない方法』(「ゴーマニズム宣言」ライジング号外)
2013-03-09 14:40105pt『ゴーマニズム宣言』 「3.11を風化させない方法」 人間というのは弱いものだ。あまりにも悲惨なもの、不幸なことからは目を背けておきたいと思ってしまう。 実はゴーマニズムと自称するわしでさえ、最近、津波の映像を見るのは苦痛で目を逸らしたくなるし、被災地の現状を伝えるルポを見るのは辛い。 人の不幸を直視したくないやましさが積もりに積もって、ストレスが限界に達すると、嘘でもいいから甘い夢が見てみたいという心理が働いてしまうのだろう。 だからいま人々は、マスコミが喧伝する景気回復の実感なき「株価上昇」に浮かれ、安倍内閣の支持率を押し上げている。 「アベノミクス」 という珍奇な言葉に目を輝かせ、外国人投機家のマネーゲームに踊らされて、かつての 小泉「構造改革・規制緩和」 の狂騒の時代に逆戻り。 週刊誌などには平然と 「安倍バブル」 という言葉が飛び交い、せいぜい弾ける前に株と土地に投資して稼ごうぜと煽っている。 そんなゲームをやれるのは一部の富裕層だけで、一般庶民には何の関係もない話なのだが、浮かれたい大衆に 「お父さんの給料が上がる日は間もなくだ」 とテレビが毎日のように景気の 「気」 だけを盛り上げている。そんなから騒ぎの中で、人々の目は益々被災地から遠ざかっていくわけだ。 東日本大震災から間もなく2年ということで、今だけ各メディアが盛んに特集を組み、復興がなかなか進んでいない実態も報じられてはいる。だがそれも、3月11日を過ぎれば急速にフェードアウトしていくだろう。そのうち8月の終戦特集みたいな、季節の風物詩のようなものになってしまうかもしれない。 未だに避難生活を送っている人は、32万人に及ぶ。 朝日新聞3月1日付記事によれば、被災した岩手・宮城・福島3県の42市町村の首長へのアンケートで、半数が復興になお6年から10年かかると答えている。 安倍政権の古い公共事業の復活によって、被災地では人手や資材が不足し、さらに復興の速度が鈍るのではないかと懸念する声もある。 東京電力福島第一原発事故で避難指示が出された12市町村は避難生活が長期化し、中には住民の意識調査でもう「戻らない」と回答した者が5割を超えたところもあるという。 原発事故によって今も避難生活を送っている人は16万人。特に若い人、小さな子供を持つ人はもう帰らないのではないか。 福島の12市町村長へのアンケートでは、全員が原発事故の風化を「感じる」または「ある程度感じる」と答えている。 しかし、記憶や関心は風化したとしても、復興がまだ終わっていない以上、東日本大震災はまだ終わってはいない。 まして原発事故は風化どころか、これから新たな事態が起こり、進展し、悪化していく可能性だってあるのだ。 2月13日、福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会は、 新たに2人の子供に小児甲状腺癌が見つかったと公表した。事故後に癌が見つかったのは3人目で、さらに7人の子供に癌の疑いがあり、追加調査中だという。 ところが検討委の福島県立医大教授・鈴木眞一は 「 もともとあったものを発見した可能性が高い。原発事故との因果関係は考えにくい 」 と言う。福島県は、昨年9月に1例目の小児甲状腺癌が見つかった時も 「 原発事故と因果関係はない 」 と言っている。 環境省も福島県外の長崎市、甲府市、青森県弘前市の子供を調査した結果、福島と同様の確率で嚢胞やしこりが発見されたと発表し、 「 福島が異常な状態ではなかった 」 と結論づけている。 一見、安心しても良さそうなデータを並べてみた。 だが本来、子供(15歳未満)の甲状腺癌の年間自然発症率は10万人に対して0.05人~0.1人と、極めて低い。 ところが福島県の子供の数は36万人なのに、すでに3人も見つかっている。 しかも、問題はそれどころではない。よく注意しないと見落としそうになるが、実は発表されたのは 「2011年度に3万8114人を対象に行った調査」 の結果なのだ。 本来、1年間に100万~500万人に1人しかいないものが、1年間に3万8114人から3人見つかり、7人に疑いがあるのだから、これは異常事態なのである! ところがこのニュースは、ほとんど話題にもならなかった。発表されたのが、北朝鮮が核実験を行った翌日だったからである。 なぜ2011年度の調査結果を今ごろ、しかもニュースとして埋もれてしまうタイミングで発表したのか? しかも発表された2人のうち1人は昨年、甲状腺癌の「疑い」として発表されていたが、その時も全く話題にならなかった。発表が野田首相(当時)の「バカ正直解散」表明の翌日だったからである。これはもう発表の仕方に意図があるとしか思えない。 福島県がこの異常事態を「原発事故と因果関係はない」と言い張る根拠は、 チェルノブイリ原発事故で子供の甲状腺癌が急増したのが事故の4年後からだったから、1、2年の時点で癌を発症するはずがないという、ただそれだけである。 しかし、福島とチェルノブイリは同じ事故ではないのだ。 どこに前例のないこと、計算外のことが潜んでいるかもわからないのであり、先入観なしにいま起きている事態に対処しなければいけないはずだ。 福島県の子供全員の甲状腺検査が終了するのは、2年半先だという。これも、4年経過するまでは甲状腺癌は出ないはずという決めつけから設定しているもので、今年1月の時点でまだ36万人中13万3千人しか検査を受けていない。 出来る限り早く残り全員の検査を行わなければ、取り返しのつかないことが起こるのではないか? もしそれが杞憂だとしても、速やかに全員の検査をすることが、子供とその親に安心を与えることになる。それこそ最も優先するべきことではないか。 確かに高確率で小児甲状腺癌が発生しているのに、それを目立たぬように発表し、しかも頑なに原発事故とは関係ないことにしているのでは、隠蔽が始まっているという疑いすら生じてしまう。 また、原発作業員の被曝記録についても、悪質な隠蔽が発覚している。 全国の原発作業員の放射線被曝記録を一元的に管理する「放射線影響協会」に対して、 福島第一原発事故後に働いた作業員・2万1千人の被曝記録を東京電力が一切提出していなかったのだ。 原発作業員は、電力会社を頂点に下請け、孫請け、3次請け…と連なる多重請負構造であり、一人が何社もの会社を転々として原発作業員を続ける例も多いので、被曝記録は1カ所に集めて徹底管理しなければ、誰がどれだけ被曝したかわからなくなり、被曝限度を超えて働く人が続出してしまう。 ところが東電は事故から2年近く、2万人以上もの作業員の記録そのものを提出さえしていなかったのである! それどころか、事故からしばらくの間の最も放射線量が高かった時期は、東電の説明によれば「コンピュータシステムが津波で被害を受け、紙で管理をしていた」ということで、被曝量管理が杜撰な状態で、正確なデータ自体がないらしい。 正確な被曝線量を記録していたら、たちまち限度を超えて働けなくなる人が続出してしまうから、作業員数を確保するためにわざとやっていたとしか思えない。 どう見ても悪質な隠蔽であり、これでは被曝限度をはるかに超えた者が相当数いると考えざるを得ない。 しかし、将来作業員に健康被害が表れても、限度を超える被曝をしていたと証明できず、原発作業とは関係ないとされて切り捨てられてしまうことが十分あり得るのではないか。 朝日新聞3月4日付は、環境省の委託チームが 「 推計 」 した事故当時の甲状腺被曝線量を報じた。 ほとんどの場所では甲状腺癌が増えるとされる100ミリシーベルトを下回ったという 、何となく安心感を与えるような記事で、3月8日にはその推計結果を基にした1面ぶち抜きの特集記事まで組んでいる。 しかし、わしはこの記事を全く信じていない。というより、犯罪的だとすら感じる。 -
「日本はアメリカと価値観を共にしているのか?」小林よしのりライジング Vol.28
2013-03-06 00:50157ptVol.26での「ゴー宣」では、 フランス革命 が思想を「右」「左」で表現することになった始まりであるとともに、その革命の理念である 「自由・平等」こそが「元祖・左翼」のイデオロギーでもあった ということから説き起こした。 そして、「東西冷戦とは、『右』と『左』の対立」というのは間違い。左翼イデオロギーの 「自由陣営(米国)」 と 「平等陣営(ソ連・中国)」 の内ゲバであったと書いた。 さらに、「『自由』と『平等』はワンセットの概念」ではないこと、 「アメリカは『右』の国」というのも大嘘、実はフランス革命と同じ「自由・平等・同胞愛」のイデオロギーで人工的に造られた左翼国家であることを明らかにした。 今回は、その続きである。 フランス国旗のトリコロール(三色旗)は、フランス革命の有名な3つのスローガン「 Liberté, Égalité, Fraternité 」を象徴している。 「 Liberté」は「自由」 「 Égalité」は「平等」 問題は「 Fraternité 」で、明治以降「博愛」と誤訳されたために、誤ったイメージが広がってしまった。 最近は「友愛」が正しいという認識が定着しかけていたが、では 「友愛」 とは何か。 それは文字通り「友に対する愛」であって、裏を返せば 「友と認めない者は決して愛さない」 という、極めて排他的なものである。これは、慈善的に分け隔てなく誰でも愛するという「博愛」とは、ほとんど真逆と言っていいほどの概念なのだ。 ところが、せっかく「友愛」が定着してきていたのに、鳩山由紀夫が「友愛」と「博愛」を全く同じ意味と思い込み、間違った使い方で言いまくったために、「友愛」でも誤解を招くようになってしまった。 そのため、 現在では 「同胞愛」 か、もしくはもっと意訳して 「団結」 とするのが妥当だろう。 ではフランス革命の理念としては、誰を「友」「同胞」とすると考えていたのか? それは、「自由」「平等」の価値観を共有する者である。 「自由」「平等」を謳うだけでは、個々人がそれぞれ勝手に自分だけの自由や平等を主張するようになってしまい、社会が立ち行かなくなり、国家も成立しなくなってしまう。 もちろん、左の左の端っこの席には、個人の自由と平等さえあれば、国家も何もいらないという思想もあるのだが、フランス革命ではそこまでは考えていない。 国王や特権階級が支配する旧体制を打倒し、「自由」「平等」という価値観を共有する「同胞愛」によって成立する、新たなフランス国家を作ろうと考えたのである。 これに対して、 国王に代表されるような、それまでの歴史や伝統から形作られた旧来の国家を守ろうと考える者は右側の席に集まり、「右派」「右翼」と呼ばれるようになったわけである。 Vol.26ではざっくりと「右」とは「国王(日本の場合は天皇)や国家を重んじる体制を『保守』する」立場と説明したが、 正確に言えば「左」にも国家を重んじる感覚、「ナショナリズム」や「愛国心」というものはある。 ただし、その中身は「右」の歴史や伝統に基づく「ナショナリズム」や「愛国心」とはかなり異なるのだ。 左翼国家における「ナショナリズム」「愛国心」とは、「『自由』『平等』の価値観を共有する者同士の『同胞愛』」のことに他ならない。 アメリカにおける「愛国心」とは、まさにこれである。 左翼思想によって建国した、移民による人工国家・アメリカには、「右」の価値観がもともと存在しない。「自由」「平等」の価値観の共有なくして国民としての一体感は得られない。 だからこそ、アメリカは常に外部に「自由」「平等」を脅かす「敵」を必要とする。 しかしそのために勝手に「敵」にされる側はいい迷惑である。日本も一時期、敵役にさせられ、戦争に追い込まれ、原爆を二発も投下されたのだ。 しかもアメリカ人には、自分の国に歴史や伝統がないものだから、他国にはそれぞれの国の歴史に基づく価値観があるということが理解できない。 アメリカ人は、自分たちの価値観が全世界に普遍的に通用すると考えている。というより、 アメリカ的価値観が通じない国や地域は間違っていると考える。そして全世界をアメリカ的価値観にしなければならないと考える。 これは、ソ連が「コミンテルン」を結成して、全世界を共産化しようとしたのと全く同じ発想なのである。 一口に「愛国心」と言っても、日本と米国では、その中身が全然違う。 日本には日本の2000年の歴史に培われた国のかたちがあり、これを守ろうとするのが日本の「愛国心」である。 だがこれは特に米国人には理解が難しく、衝突の火種になる。 よく日本の親米政治家(安倍晋三もそう)や言論人が、 「我々は米国と価値観を共にしている」 と口にするのだが、これは 「私は左翼です」 と言っているのと全く同じであり、 「私は日本型愛国心ではなく、アメリカ型愛国心を持っています」 と言っているようなものなのだ。 先週の時点で気がついた読者もいるようだが、 日本の政党は、民主党ばかりではなく、自民党も左翼である。 何しろ党名に掲げた「自由」も「民主」も左翼思想である。 しかもその両方を掲げているというのはおかしな話なのだ。 「民主」は「平等」の上に成り立つ。そして先週書いたとおり、「自由」と「平等」は対立概念なのに「自由民主党」と自称してるのは、「左翼内ゲバ党」と言ってるようなもので、ギャグなのだ。 だからアメリカでは、やや乱暴にざっくり言えば 共和党が「自由主義」寄り で、民主党が 「民主主義」寄り である。もちろん事案によって当てはまらない場合も多いが、理念上の対立軸がはっきり示されているわけで、だからこそ二大政党制が成立するといえる。 ところが日本では「自由」と「民主」を両方掲げた「自由民主党」なんてヌエのような政党が平気で存在している。これでは政党同士が理念を戦わせることなど出来るわけもないし、いくら選挙制度を変えたところで、二大政党制なんて出来っこないのだ。 自由民主党は昭和30年(1955)、自由党と日本民主党が合同して現在に至っているが、合同前の自由党にも民主党にも自由主義や民主主義の理念などなく、対立点は単に吉田茂の「ワンマン」の政治手法の是非などでしかなかった。 そして 自民党と社会党が対立した「55年体制」は、西の左翼の子分となった自民党と、東の左翼の子分となった社会党の対立に過ぎなかった。 誰の子分でもない、自立した理念を持った者はいなかった。そのツケは「55年体制」の崩壊後に押し寄せ、今も続いている。 平成5年(1993)年、自民党が結党以来38年間維持してきた政権の座から初めて転落した。 この時、各政党は揃って「政治改革」を唱えたが、各党の政策・理念の差はほとんど明確ではなかった。わしは当時『ゴー宣』でこう描いている。 「わしは政策で選びたいんだ 政策で! 保守党だが国連重視をやめてアメリカに利用されない国家にする 自衛隊は国外に出さないが戦闘機の飛距離は北朝鮮が労働(ノドン)1号を発射した場合に報復できるようにする コメは自由化しない …とか、そういう保守党があってもいいじゃないか!」 これは20年前に描いたものだが、昨年の選挙前に描いたと言っても何の不自然もない。それほど、政治家のレベルは1ミリも向上していないのだ。 自民党に代わって政権に就いたのは日本新党・日本社会党・新生党・公明党・民社党・新党さきがけ・社会民主連合・民主改革連合の連立内閣。呆れたことに、このうち今もあるのは公明党だけだ。 この8党・会派はただ「非自民」で政権を取るために野合し、首相に日本新党の細川護煕を担いだ。 この時わしは『ゴー宣』で、「非自民連立政権」の理念のなさを皮肉り、 「『自由民主主義に非ず』の政権ちゅーから独裁政権かといえば そーではないらしい」 と描いた。 細川内閣は支持率70%もの高い人気でスタートしながら、わずか263日で崩壊。後を受けた羽田内閣はたった64日間の超短命に終わり、その次には、55年体制下で38年間も対立し、当時も正反対の政策を掲げていた自民党と社会党が政権奪取のためだけに究極の野合を果たし、社会党の村山富市を首相にしてしまった。 この時もわしは『ゴー宣』で 「自分が選挙で入れた党が 勝手にとんでもない党と政策ないがしろの権力闘争だけで連立組まれちゃ困るじゃないか!」 と批判し、さっさと政策・理念に基づいて再編しろと言っている。 その時わしが提案した二大政党は、 「自由暴走党」 と 「社民迷走党」 だ。 自由主義は暴走する危険があるし、社会民主主義は迷走する。 そして、ギャグで全部ひらがなにして、こう書いている。 「しょみんにやさしそーか かねもちにやさしそーか それだけです のろのろいくか がんがんいくか それだけです それもこれも けっきょく がいこくのはくじんのかおいろを みながらのせーさくになりますのだから… にたよーなところにおちつくのだな」 ここで描いたことは、ある程度実現したのかもしれない。 小泉政権以降の自民党は「自暴党」と化して格差拡大の暴走を始め、民主党は「社迷党」と化して、迷走に次ぐ迷走の限りを尽くして自滅し、再び安倍「自暴党」に政権が移ったのが現状と言えるだろう。 自民=自暴党にしろ、民主=社迷党にしろ、所詮はどちらも左翼政党であり、無自覚な左翼政策を競い合い、日本の国のかたちを破壊し合っているにすぎないのだ。 さて、「右」とは何か、「左」とは何かを考えてきて、最後にこれだけは指摘しなければならないことがある。 -
「豪さんがきいてみよ!!」(「よしりんに、きいてみよっ!番外編」)
2013-03-02 12:40http://live.nicovideo.jp/watch/lv128481989 小林よしのりチャンネルレギュラー放送「よしりんに、きいてみよっ」の特別番外編として、3月5日(火)20時から「豪さんがきいてみよ!!」を生放送! プロインタビュアー吉田豪氏がよしりんに公開インタビュー! AKBからゴーマニズムの神髄まで踏み込んで聞かれちゃうそうです! 果たして、吉田豪氏の巧みなインタビューで、よしりんの狂気はどこまでさらけ出されてしまうのか!? お見逃しなく!!※この放送は「豪さんのチャンネル」でも同時配信されます。 2画面でコメントの違いをお楽しみ下さい。 【「豪さんのチャンネル」の生放送URL】「小林よしのりにインタビュー ~AKBからゴーマニズムの神髄まで~」 http://live.nicovideo.jp/gate/lv128348491
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