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記事 4件
  • 「橋本聖子までの後任人事」小林よしのりライジング Vol.390

    2021-02-23 19:10  
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     森喜朗の辞任から橋本聖子の後任就任に至るまで、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長人事は迷走に迷走を重ねた。
     森が「女性蔑視発言」をしたとして辞任に追い込まれ、女性の会長が誕生したわけだが、ではこの一連の事態は「女性の地位向上」のためになったのだろうか? そんなはずはない。
      むしろ「女尊男卑」だという意見が膨れ上がり、「女性の地位向上」のためには、公益にならない大きな分断を生んでしまった。
     森の辞任の経緯から、 後任選考の条件は能力や実績における適性はさておき、まずは何よりもジェンダー問題で内外の反発を受けない人物であるか否かが問われるという、実に馬鹿げた仕儀となった。
     IOC(国際オリンピック委員会)はなんと 「男女1人ずつの共同会長」 という狂った提案までしていたが、これはむしろ、より一層性別を意識していることになる。そんなこと言うんだったら、両性具有の人物を連れてきて会長職に据えればいいじゃないか。
     玉川徹などは、組織というものは誰がトップになっても機能するようにしておくものなんだから、次の会長には実績は要らない、女性という性別があれば誰でもいいと言い放った。それこそが女性差別だということもわからないほどの馬鹿なのだから、どうしようもない。
     実際には五輪組織委員会の会長は、IOCのバッハ会長はもちろん、首相や全国の知事、有力国会議員やスポンサーなど、あらゆる方面との折衝を行うため、根回しやコネクションの力がものすごく必要であって、誰でもいいから女を据えればいいなんて簡単な職務ではない。
      森の交渉力は、自民党の五輪相経験者が 「1年しか総理をしていないのに、外交関係は20年分ぐらいの影響力がある」 と評価したほどだった。
     誰でもよければ志望者がすぐ手を挙げるはずだが、そういうものではないし、実際に立候補する者もいない。それで森は、後を託せる能力と実績のある人物として、川淵三郎に後を頼もうとしたわけだ。
     ところが、それにも関わらずマスコミがこれを 「密室人事」 だと騒ぎ、大衆がそれに乗っかって叩き潰してしまったのである。
     こうして、大会開催5か月前になって、組織委会長を白紙から選び直すという、ありえない事態となった。
     そしてここでマスコミは 「透明性を確保せよ」 の大合唱を行った。
      組織委はその声におもねって、男女4名ずつの理事による「候補者選定委員会」なるものを立ち上げ、必死で体裁を作って見せた。
     しかも、その会合では誰を候補とするかという個人名を出すのではなく、 まず会長にふさわしい人物に求められる資質を5点発表して、これに合う人物を考えるなどと言い出した。
     そんなことを言うのなら、「候補者選定委員会」のメンバーの選定方法そのものが不透明なんだから、まずは候補者選定委員を選定する選挙から始めなければならないはずだ。
      あまりにも幼稚に「透明性」なんてものを金科玉条に掲げていけば、民主党政権時の「事業仕分け」とそっくり同じ学級民主主義に嵌りこんで、中学2年生レベルに落ちてしまうしかない。
      そして、結果的に選ばれた会長が橋本聖子なのだから、もう馬鹿の度合いがぶっ飛んでいる。
     橋本聖子が7年前、選手団長を務めたソチ五輪の打ち上げパーティーで酒に酔い、フィギュアスケートの高橋大輔選手に無理やりキスをしたことは、誰でも知っている。
     わし自身としては、本当はこんなセクハラなど、大したことではないと思っている。
      だが男女平等を「理念・原理主義」にしているリベラルの者たちは、それでは済まない。
     森喜朗の場合は言葉だけの問題で、被害者もいない。しかも、発言そのものは問題でもなかったのに、マスコミが「女性蔑視発言」にでっち上げて騒いだだけだった。 ところが森は撤回しようが謝罪をしようが許されず、問答無用で会長職を追われてしまったのである。
      その後釜が、地位的に上司に当たる女性からの「キス強要」という、明らかな被害者のいるセクハラ&パワハラをやった女なんてことが、許されるだろうか?
  • 「森喜朗発言は女性差別ではない」小林よしのりライジング Vol.389

    2021-02-16 21:30  
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     とうとう森喜朗はオリンピック組織委員会会長の職から追放された。
    「女性蔑視発言」をしたとされる老人を、マスコミが叩き、大衆が集団リンチで糾弾し、全世界が袋叩きにして追放したわけだが、こういう「糾弾」「集団リンチ」が女性差別の解消になるのだろうか?
     男尊女卑に虐げられた女性のルサンチマンが炸裂して、一人の老人を血祭りにあげただけだと主張する人がいてもいいが、まるでフランス革命の構図そのものだ。
      糾弾は左翼、集団リンチは左翼、王殺しは左翼、それがわしの認識である。
     先週のライジングではわしはまだ森の発言の全文を読んでおらず、マスコミ報道のみを根拠に書いてしまった。
     森は古い価値観の持ち主で、男尊女卑的な感覚を残しているのも確かだと思うのだが、そもそもわしは「森が何を言おうが大した問題ではない」と思っている。
     それに先週号は「たとえ森がどんなに酷いことを言ったとしても、それよりも優先して怒らなければならないことがある」という主旨だったため、森の発言そのものには関心が湧かなかったのだ。
     とはいえ「何の根拠もなく、ただ化石化したような男尊女卑感覚だけで言ってる、ろくでもないものだ。その発言を擁護するつもりもないし、女性が憤慨するのもわかる」などと書いたのは間違っていた。
     先週号のコメント欄に、森発言は「女性蔑視」ではないと指摘する人がいたので、そこで気になって全文を読んでみた。そうしたら、確かにその発言の真意は報道とは全く違うものだった。
     わしの読者はわしの「信者」になっているわけではなく、わしが間違っていると思ったらちゃんと指摘してくれる。実にありがたい。
     それにしても、新型コロナの件でマスコミは嘘ばっかり言っているということを散々見てきたのに、時間がなかったりするとついマスコミ報道を基に考えてしまったりする。だが今回の件で、それは本当に危ないと思った。マスコミ報道には、もっと徹底的に警戒してかからなければならない。
     では、ここで問題とされた森の発言の全文を、区切りながら解説していこう。
      これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。
     まず注意しなければならないのは、ここで森が言っている「時間がかかる会議」はオリンピック組織委員会のことではなく、いわば森の「身内」である「ラグビー協会」のことなのだ。
     ラグビー協会の5人の女性理事のうち、元選手は1人しかいない。女子ラグビーはまだマイナー競技で、理事になれる女性の人材が足りないのだ。
     だがそれでも文科省が理事の4割を女性にしろとうるさく言うもんだから、専門外の人を理事にせざるを得なくなる。しかしそうなると、知識のない理事から初歩的な発言や的外れな発言が出たりする。それで、会議に時間がかかると言ったのだろうということは、容易に想像がつく。
      女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります。
     一般論としては、女性が集まると話が弾んで止まらなくなるなんてことは日常的にあって、当たり前のこととして言われているのではないか?
     昔から「女三人寄れば、かしましい」という。「かしましい」は漢字で「姦しい」と書くことから言われているのだが、これも女性蔑視になるのか?
     今後は、ママ友が集まってやってる井戸端会議も、立派な議論でございますとか言わなければならないのか?
     別に男だって、井戸端会議的な無駄話をすることもなくはないだろうが、これは一般的な常識として現実に言われている話の範囲内だとわしは思う。
     発言時間の規制云々というのは、一般論とすると女性蔑視的になるが、これはラグビー協会の話だろう。
     専門外の女性が無駄に長い発言をすることに相当手を焼いていて、素人でも何でもいいからとにかく必ず女性を増やせと言うのなら、発言時間の規制くらいしないと会議が終わらないという感覚があったのではないか。
  • 「森喜朗の失言」小林よしのりライジング Vol.388

    2021-02-10 17:20  
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     何かに「怒り」をぶつけるにしても、「優先順位」というものがある。
     それは「公」のための怒りなのか? 単なる「私憤」で、「八つ当たり」や「憂さ晴らし」なのではないか?
     怒るべきものに対して、然るべきボルテージの怒りを向けているかどうかが大事なことなのだ。
     今は、森喜朗の「女性蔑視発言」が日本中の怒りの的となっている。
     東京オリンピック・パラリンピック(以降「東京五輪」と略す)組織委員会会長の森は今月3日、日本オリンピック委員会(JOC)の会議で、JOCが女性理事の割合を増やす方針であることについて 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」 などと発言。男女平等を推進する五輪精神に反するとして猛批判を浴びた。
     森は翌4日に記者会見を開いて発言を撤回・謝罪したが、それが全く謝罪になっておらず、さらに火に油を注いで大炎上となり、収拾がつかない状態になってしまった。
     会見翌日・5日の朝日新聞は社説で 「森会長の辞任を求める」 と題して、明確に辞任を要求。
     毎日新聞社説は 「五輪責任者として失格だ」 、東京新聞社説は 「五輪の顔として適任か」 という題で、直接的な「辞任」の語はないものの、明らかに辞任を求めている。
     日本経済新聞社説も 「撤回することは当然だが、それだけですむことではないだろう」 と書いた。もちろんこれも「辞任」を示唆したものだろう。
     さらに翌6日には読売新聞社説が 「発言の影響を踏まえて、身の処し方を再考すべきではないか」 と、これまた辞任を示唆した。
     そして産経新聞社説は、 「問題の根本を分かっていない」「角が立つ物言いを、世間が受け入れたわけではない」 と森を厳しく非難した上で、 「森氏がトップに立つことが開催機運の障害となっている現実を、組織委は自覚してほしい」 と、組織委に対して暗に森の解任を求めている。
     かくして、全国紙・東京紙6紙すべてが社説で森の会長辞任もしくは解任を求めるという、尋常ではない状況が出現してしまった。その他の地方紙も、間違いなく辞任要求一色だろう。
      確かに森の発言は何の根拠もなく、ただ化石化したような男尊女卑感覚だけで言ってる、ろくでもないものだ。その発言を擁護するつもりもないし、女性が憤慨するのもわかる。
     しかし、それでもあえて言いたい。これが、そこまで怒らねばならない問題なのか? 犯罪だったのか? 新聞全紙が揃って袋叩きにするほどの不祥事だったのか? それよりも、他にまだ怒るべきことがあるのではないか?
     もっと若くて影響力のある人物が言ったのなら非難してもいいが、83歳の森喜朗がいくら女性蔑視発言をしたところで、世の中がこれに影響されて、女性差別の風潮が強まるなんてことは決してない。
     森の発言なんか、 「また爺さんが時代遅れのバカなこと言ってるよ、もうあの歳で考えを変えるなんて不可能だし、どうせ間もなくいなくなる世代なんだから、せいぜい言わせとけ」 と、呆れて見ておけばいい程度のものだ。
      そもそも人権問題を考えるのなら、森発言なんかより、新型コロナに関する「特措法」や「感染症法」の改正の方が遥かに大問題だ。
     特措法の改正で緊急事態宣言の前段階として 「まん延防止等重点措置」 が新設された。これにより 都道府県知事は、事業者に対して営業時間の変更などを命令でき、違反すれば20万円以下の過料となる。 また、 命令に伴う立ち入り検査も可能となり、拒むと20万円以下の過料となる。
     しかもこれは緊急事態宣言と比べて発動要件が極めて曖昧で、政府の主観的判断に委ねられているといっても過言ではない。 解除基準も法律上、なきに等しい。 また、強制力の伴う命令ができるにもかかわらず、 国会の承認決議は必要なく、国会への報告も明記されていない。  つまり国会の歯止めは皆無なのだ。
     さらに期限は「最長6カ月」だが、何度でも延長を繰り返すことが可能で、 事実上期間の歯止めもない。
      感染症法改正では、入院を拒否した場合は50万円以下の過料、濃厚接触者の調査を拒否した場合は、30万円以下の過料が定められた。
     改正案にあった刑事罰ではなく、前科のつかない行政罰になったとはいえ、罰則に変わりはない。罰則による人権制約を正当化する根拠はなく、感染者の基本的人権を脅かす点では同じである。
     しかもこれにより 強制的に入院させられる人は、長期入院になれば解雇の不安もあり、非正規やフリーランスならば無収入になるが、そのような場合に対する補償措置は何もない。
     特措法、感染症法ともに私権を制限する内容であるにもかかわらず、国会で徹底的な議論が行われることもなく、わずか4日間の審議で成立してしまった。
      明らかに基本的人権の無視であり、これに怒らなければ、人権問題についてモノを言う資格はない。
     ところが、「リベラル」を自称しているはずの朝日も毎日も東京新聞も、これにはちょっとばかり懸念を示した程度で、森喜朗に対してぶつけている怒りに比べれば、何も怒っていないにも等しい。
     そもそも、緊急事態宣言自体に対しては、なぜ誰も怒らないのだろうか?
  • 「非常識なルールに従うべからず」小林よしのりライジング Vol.387

    2021-02-02 18:25  
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     戦後民主主義は「学級民主主義」だと何度も批判してきたが、ついにそれも極まれりで、国会が本当に小学校のホームルームそのものとしか言いようのない有様になってしまった。
     今国会で、蓮舫ら野党議員が与党議員の「会食」を非難している様子は、ホームルームで風紀委員が生活態度の乱れを指摘しているようにしか見えない。
    「菅くんが、二階くんに呼ばれてステーキを食べました! いけないと思いまーす!」
    「石破くんが、9人も集まった席で、ひとり4万円のふぐを食べました! なんてことでしょうか!」
    「松ジュンくんが、銀座のクラブをハシゴしてました! 反省してくださーい!!」
     あまりにも、幼稚過ぎる!
     自分の支持者に呼ばれて行った先で、何人も集まっていてふぐ懐石が用意してあったら、そこで「会食は自粛だと言われているから、ボクは食べません」なんて言えるわけがない。たったそれだけのことで、ふぐを食べていたとは何事かと責められたのでは、たまったものではないだろう。
     銀座のクラブで飲み食いできるなんて羨ましいというのはわかるが、銀座のクラブのママだって、今は大変なのだ。ただ店を開けていても誰も来なくて、「同伴」で確実に客が来るようにしなければ、店を開くことすらできないのだ。
     そんな時に馴染みのママさんから声をかけられたら、もう助けるつもりで行かなきゃしょうがないだろう。ところがそれをまた風紀委員が、ケシカランと批判するのだ。じゃあ銀座のクラブは潰れろと言うのか?
     その他にもやり玉に上げられた国会議員の会食を列挙すると…
    ・橋本聖子オリンピック・パラリンピック担当大臣が、都内の寿司屋において6人で会食。
    ・自民党・宮腰光寛元特命担当大臣が富山市内で約30人が集まる懇親会に出席、飲酒の後転倒、出血して救急搬送される。
    ・石原伸晃元幹事長と坂本哲志地方創生担当相ら3人が派閥の会合で会食、石原はその翌日コロナ感染が判明。
    ・公明党・遠山清彦前財務副大臣が、銀座のクラブを訪れていた。
    ・自民党・金田勝年元法相が、高級ホテルにて4人でランチ会食。
     マスコミは誰がどこで何人で食事したかを血眼で追い回し、野党は国会でいちいちそれを取り上げて追及する。
     他にも、自民党のコロナ対策会議に100人ほどが出席して、「密」な状態だったなんてことまで国会で批判している。
      国会は「コロナ風紀委員会」か?
     そんなことのために国会を開くのは、税金の無駄遣いだ!
     全部どうでもいいことなのに、野党は懸命に批判している。
     おかげで、ずっとマウスシールドだった麻生太郎まで黒マスクを着けるようになってしまった。あの何の役にも立たないマウスシールドを平然と着け続けているところがよかったのに、全くひどい有様だ。
     確かに、国民に自粛しろとか、会食は4人までとか、くだらないルールを押し付けた国会議員が、自分たちはこそこそルール破りしていたなんて聞けば、なんじゃそりゃとは思うが、だったら国民もそんなルールは守らなきゃいいだけのことだ。
     政府がバカバカしいこと言い出したけど、勝手に言わせとけと、せせら笑って従わなければいいのだ。
     わしは今でも普通に大人数で会食している。よしりん企画だけでも4人以上になってしまうのだ。そんなバカげたルールなど守ったことはないし、飲食店だって、それを拒否するようなところばかりではない。向こうも商売だし、黙って入れてくれる店はあるものだ。
      あまりにもくだらない政策が出てきたら、それなりに対策をとってやろうという態度でいればいいだけだ。中国人のお家芸だが、「上に政策あれば、下に対策あり」を、公のために学べばいい。
     公のためにならぬ馬鹿馬鹿しいお上の言いつけにただ従順に従っておいて、お上はそれを守っていないじゃないかと文句をつけている感覚が、わしには全く理解できない。
     そもそも、会食は4人までなどという幼稚過ぎるルールが、いったい何の感染対策になるというのだろうか?