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「キス動画は若すぎる『結婚(承認)願望』である」小林よしのりライジング Vol.133
2015-05-19 16:00153pt自分の若い頃を思い出すと、確かにバカだった。
十代から性欲が強すぎて女のケツばっかり追いかけていたかもしれない。自分の理性よりも、性欲が先に走り出していたから、恋愛中毒状態で、それは高度経済成長からバブルに向かう日本の活力あふれる時代とリンクしていたのだと思う。
今はもう自分の中にそんな性欲はない。年とったせいもあるが、少子高齢化に向かう低成長時代に、わし自身が若者と共に草食化しているのだろう。
最近の性風俗は闇の収益が増大しているにも関わらず、その内容がソフト化してきて、見るだけでいいとか、手をつなぐだけでいいとか、まるで老人のような性欲の発散の仕方になっているらしい。
そういえば女子高生が千羽鶴を折ってる最中に、男がマジックミラー越しに股間を覗くという性風俗が警察に摘発されていたが、さすがに今のわしでもそんなかったるい趣向にカネ払うほど草食化してないので、全然理解できない。
今の若者は90代の老人くらい草食化してるのかもしれない。
それでは最近流行の「キス動画」はリア充の肉食系カップルの復活なのだろうか?
中高生のカップルが、自分たちのキスする様子を動画投稿アプリ「ミックスチャンネル」で公開するのが流行っている。
「ミックスチャンネル」はスマホで簡単に10秒のキス動画を撮影してアップできるアプリで、すでに250万ダウンロードを突破、利用者の90%が10代で、閲覧数は1日平均12万に上るという。
アプリにはフェイスブックの「いいね!」にあたる「LIKE」ボタンというのがついていて、10代バカップルたちはこぞってキス動画を投稿し、他人のキス動画を見て評価し合い、「LIKE」の数を競って承認欲求を満たしている。
前々回の「インスタント・カルト」にもつながる話だが、ここにもスマホのアプリを介したバカの楽園が出来上がっているのだ。
キス動画を投稿しているカップルがよく言うことは、
「評価されると恋愛自体も盛り上がる」
「幸せだということを知らない人にも見せたい」
「自分たちみたいなカップルになりたいと思ってもらえたら嬉しい」
「(お似合い)などといった褒め言葉は嬉しい」
…といったものだそうで、評価されて嬉しくなって舞い上がり、どんどん投稿するというバカ増幅や、他人が評価されているのを見て自分たちもやりたくなるというバカ連鎖も起こっているらしい。
また、動画を公開することで、 「この男は私の独占物よ」 ということも主張でき、浮気の防止効果もあるとかいう言い分もあるらしい。
わしがこの流行を理解できないのは、大人として「若気の至り」を諌めたいからではない。
もしわしが若者なら、一人の女の所有物とは思われたくないと思うからだ。邪心と野心が大きすぎるからだ。
大人の説教としては、誰でも以下のようなことが浮かぶだろう。
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