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記事 41件
  • 「ニヒリズム蔓延の年だった」小林よしのりライジング Vol.490

    2023-12-26 18:50  
    300pt
     2023年最後の配信となるので、一年を振り返っておこう。
     残念ながらこの一年は、ひとことで言えば「ニヒリズム蔓延」の年だった。
     ウクライナ戦争は、まだまだ終わらない。
     侵略されたら国家・国民の消滅を防ぐため、あるいは民族の隷従を防ぐため、徹底的に抵抗するしかない。領土を少しづつ切り売りしながら停戦しても、さらになめられて全土占領を少し遅らせるだけだ。
     だが、あれだけ露骨に国際法を無視して始められた侵略戦争なのだから、世界中がロシアを非難するかと思ったのに、最初から曖昧な態度をとる国々があり、さらにプーチンが居直って長期化したら、ロシア国内にも、国外にも、それを許容する雰囲気すら出てきてしまった。
     国内から厭戦気分が醸成され、良心的な国民が独裁者に反旗をひるがえすなどという希望的観測も、いまや風前の灯火だ。
     もしロシアが侵略で得をしようものなら、もう「国際法」というものの意味が完全になくなってしまう。
     世界の歴史は国際法以前に逆戻りして、力による支配が全ての帝国主義の時代に戻り、特に核を持っている国が何でもできるようになるという結論に達してしまうのだ。
     核は「脅し」において、ものすごい効果を発揮する。
     だからこそウクライナ軍は、ロシアの領土まで踏み込む反転攻勢ができないでいる。
     ロシアの領土が戦場にならなければ、ロシアの国民は自国が戦争をしていることすら実感できず、徐々に関心を失っていく。そのためロシア国内で厭戦感情が高まることもなく、反プーチンの政変が起きて戦争が終結するというシナリオが実現する可能性はなくなってしまった。
     世界中からロシアに向けていくら反戦平和を叫ぼうと、ロシア国民は聞く耳も持たないわけで、平和主義というものは、独裁権威主義の前では、全く空疎な念仏だということが100%証明されてしまう。
     さらにヨーロッパ各国は「支援疲れ」とかいって、支援が続くかどうかわからないという不安感もあり、アメリカも支援の予算が枯渇すると言っている。
     しかもそんな状況の中で、イスラエル・パレスチナ紛争が勃発し、むしろアメリカはそっちに関心が向いてしまった。
     今回の紛争は、もちろんハマスが先に仕掛けたことが発端ではあるのだが、それよりずっと以前からイスラエル・パレスチナは常に戦争状態にあるのだから、今回においてはどちらが先に仕掛けたかなんてことには、そもそも何の意味もない。
     イスラエルの報復攻撃は国際法上非常に問題があり、そのイスラエルを支持する形になったアメリカは、ロシアの「国際法違反」を非難する姿勢との間に、大きな矛盾を抱え込む事態となってしまっている。
     わしはVol.483「パレスチナよりウクライナだ」で書いたとおり、
     https://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar2169399
     パレスチナ問題にはもう関心を持っても仕方がないとまで思うところがあるのだが、それにしても今回のパレスチナの被害は規模が違いすぎる。
     戦闘開始から2か月余りでガザ地区の死者数は人口220万人のほぼ1%にあたる2万人を超え、うち4割の8千人が子供だという。しかもその数は病院で死亡が確認された数だけなので、実際にもっと多い可能性があり、攻撃はさらに南部に広がっているため、まだまだ増えていくのは確実。これまでの紛争と比べても、その犠牲者数と殺戮の無差別性では前例のないものになっている。
     それほどまでの状態になっているのに、イスラエル国民はパレスチナ人の不幸に対して、一切関心を持たないことに決めてしまっている。
     イスラエル国民の意識は、パレスチナ人なんかやっちまえ、虐殺すればいいじゃないかというところにまでなっているわけで、それはホロコーストの際に、ユダヤ人がどれだけガス室に送られて殺されていても、関心を持たなかったフランス人などと何ら変わらない。
     このように、とてつもない不幸がありながら完全に放置されるという事態が平然と頻発しており、それに対して「反戦平和」の呪文を唱えても、その最悪の状況を覆したり、食い止めたりすることなど全く不可能であると分かってしまった。
     理想主義的な言葉が、一切何の役にも立たないということが、明白になってしまったのである。
     そしてさらに、中国の問題がある。
  • 「芸能とは何なのか?(後編)」小林よしのりライジング Vol.479

    2023-09-05 18:40  
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     ジャニーズ問題は案の定、慰安婦問題と同じ道を辿る一途だ。
     右も左も、日本が「文明開化」で西欧の価値観を無批判に受け入れていった明治以降の歴史しか知らないから、こうなるのだ。
     今回も前回に引き続き、本来の日本を取り戻すため、日本人が忘却した江戸時代以前の歴史について語っていこう。
     歌舞伎の元祖とされる 「阿国歌舞伎」 と、その人気を奪った 「遊女歌舞伎」 は売春と一体だったため、風紀を乱すとして 幕府に禁止され、女性は舞台に立てなくなった。
     そして少年だけで構成された 「若衆歌舞伎」 も、男娼が問題となって禁止され、 前髪を剃った男だけが出演できる 「野郎歌舞伎」 に代わった。
     当時は元服した男性は額から後頭部にかけて髪を剃っていた。剃る部分を 月代(さかやき) といい、成人しても月代を伸ばしているのは病人か浪人くらい。 少年の前髪は若さと美のシンボルであった。
     しかし前髪を剃ったくらいで男娼文化は全く揺らぎもしなかったことは、前回書いたとおりである。
     とはいえ、役者当人は前髪がないことを気にしていたようで、 頭に綿をつけたり、頭巾を被ったり、色染めの手ぬぐいを置いたりして月代を隠した。
     さらには「前髪髷(まえたば)」と呼ばれる付け髪をつけて舞台に上がることが流行ったが、それでは前髪を禁止した意味がないと、幕府は前髪髷も禁止。そこで役者は 方形の絹布の四隅に重りをつけて前髪に載せる 「野郎帽子」 というものを開発して舞台に上がるようになった。
      こうして役者は、無理やりにでも前髪がないことを隠して少年の若さを保っているということにした。 また、野郎帽子が紫縮緬で作られるようになると、これがさらに優美であると人気を呼ぶようになったという。
     その頃の舞台は後世の歌舞伎とは比較にならないほど単純で、 「華やかな服装の伊達者(かぶき者)が茶屋の遊女に通ってくるところ」 とか 「殿様が一人の小姓を特に寵愛していることに他の小姓たちが嫉妬して怒るところ」 といった風景を寸劇にした内容で、演目の数も少なく、同じようなものを繰り返し上演していた。
     それがなぜ飽きられもせず続けられたかというと、 舞台はいわば遊女屋の「張見世」みたいなものであり、客が役者を買うための装置 として存在していたからだった。
     これがその後、舞台そのものの魅力で客を呼ぶエンターテインメントとして洗練され進化していって、現在の歌舞伎にまでつながっていくのである。
     歌舞伎の劇場の傍には上演前後に客が楽しむ茶屋があり、 役者が客をもてなしていた。そのもてなしのひとつに男色があり、これが後の 「陰間茶屋」 の発祥 といわれる。
     初期の時代の役者は不特定多数を相手にしていたわけではなく、パトロンとなる金持ちに身を任せる男娼だった。
     その後長らく男娼のことを 「野郎」 と呼んでいたが、18世紀初めの享保の改革でいったん下火になった男娼が復活した頃から 「陰間」 という言葉が使われるようになる。この言葉自体は以前からあり、まだ舞台に立てない未熟な者のことを指していたが、やがて舞台に関係しない者も含めて 男娼全てを「陰間」と呼ぶようになった。
     当初は裕福な武士や僧侶くらいしか陰間茶屋の客にはなれなかったが、経済が発展すると町人の客が増え、それと共に女性の客も増えていった。そして、歌舞伎とは関係ない個人営業の陰間も出てくるようになったという。
     天保年間の『三葉雑記』という書には、役者を養成するには 「男子を遊女屋の女を抱える如くに抱え置きて、芸をしいれるなり」 とある。
      役者修業の間に、12歳になると肛門を少しずつ広げる訓練がされて肛門性交の技法が施され、舞台の芸と共に寝屋の芸までが仕込まれる。
     歌舞伎役者になるための教程には男色の技法も入っており、舞台に上り始めたもののまだ一人前ではない 「舞台子」 は、舞台で役者としての芸を磨くと同時に、 客からの要請によって座敷も勤め、体を売っていた。
     また、本舞台に上がる前に田舎廻りで芸の修業に行くものは 「飛子(とびこ)」 と呼ばれたが、 飛子は巡業に行って芝居の興行主から夜の伽を請われれば、自分の利益のため断ることはできなかった。
     男娼として売れるにも修練が必要で、容貌をよくするため、 10歳から12歳くらいの時に毎晩、鼻を板で挟み、紐で結び付けて面をかぶったような状態にして寝させていた という。当時は目を整形することはできなかったが、これを続けることで、鼻筋はある程度高くできたらしい。
     肌をきれいに保つためにザクロの皮の粉末で体を磨き、歯を磨くにはハチクの笹の葉を炭にしたものを用いた。
      陰間は女性的な容貌と若さが勝負で、無毛や薄毛の者が人気だったため、ムダ毛の処理は入念に行われた。特にヒゲは陰間の大敵で、毛抜きを使って処理していたという。
  • 「【こども家庭庁】への疑惑」小林よしのりライジング Vol.465

    2023-04-11 17:00  
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     4月1日、 「こども家庭庁」 が発足した。
     担当大臣・小倉蔣信は同庁ホームページに上げたビデオメッセージで、「こどもまんなか」を合言葉に、日本をもっと子供を生み育てやすい国にすべく、子供や若者の意見を聞き、様々な政策・支援策に生かしていくと語っている。
     だが、わしは「こども家庭庁」に大きな懸念を抱いている。
     もともと「こども家庭庁」の構想は、子供に関する行政の所管が、文部科学省・総務省(教育・いじめ対策・自殺予防対策など)、厚生労働省(児童養護施設、児童福祉施設、学童保育、保育所・保育園、ひとり親家庭支援、ネグレクト・児童虐待防止など)、内閣府・農林水産省(託児所・認定こども園、少子化対策、子供の貧困対策など)、警察庁生活安全局(少年少女犯罪対策、少年少女売春・児童買春対策など)などのように様々な省庁に分かれ、「縦割り行政」の弊害が指摘されていたことに端を発する。
     そこでこれらの事務の一元化を目指して 民主党政権時代に「子ども家庭省」 の設置が検討され、 自民党への政権交代後も「子ども庁」 として同様の検討は続けられていた。
     この構想自体はいいことだと思うのだが、安倍政権下では実現に向けた動きがほとんど見られなかった。
     そしてその後、縦割り行政の打破を目標とする菅義偉が首相になったことで、 令和3年(2021)にようやく 「こども庁」 設置へ向けた動き が始まったのだ。
     菅は同年9月で首相を退任したため、後任をめぐる自民党総裁選においてもこども庁構想は争点のひとつとなった。そして4人の候補者のうち、最も意欲的だったのが野田聖子で、岸田文雄、河野太郎も意欲を示した。だが、 高市早苗は態度を明確にしなかった。 要するに、はっきり態度を表明するとマイナスイメージになるからダンマリを決め込んだけれども、 本音ではこども庁構想に消極的、というより反対だったのだろう。
     そして総裁選は岸田が勝ち、首相に就任したため、こども庁構想は引き続き推進された。
     そんな中で同年12月、 与党内からいきなり、名称を 「こども家庭庁」 にすべきだという意見が出て来た。
     もともと名称に関しては当初から、与党にも野党にも「子ども庁」と「子ども家庭庁」の2案があったが、それが「こども庁」に落ち着くまでには、多くの議論があった。
      そもそも、子供と家庭の関係は一様ではない。家庭ではなく施設などで育つ子供もいるし、家庭で虐待される子供や、宗教2世のケースでは「子供」と「家庭」が両立しない。
      家庭が楽園である子供も、家庭が地獄である子供も、家庭がない子供もいる。また、逆に子供がいない家庭もあるので、名称に「家庭」を入れると理念に混乱が生じてしまう。
      だからここはシンプルに「子供のことを考える」という理念だけを掲げる 「こども庁」 にすべきというのが第一の理由だった。
     また、「こども家庭庁」という名称では、子供は親とは別の人格を持ち、個人として尊重されるべき存在であるという当然の視点が薄れ、子供を親に付随する要素と見たり、家庭という枠組みの中だけに収めたりしようとする意識を感じるという理由もあった。
     そしてさらには、 子供は家庭だけではなく、社会で守り育てるべき存在だという理由があった。
      家庭だけで子育てを背負おうとすればするほど、かえって親が追い詰められ、その皺寄せが子供に行ってしまうというケースは、枚挙にいとまがない。
      家庭は大事で、支援が必要なのはもちろんではあるが、学校や地域などのコミュニティ・共同体も同様かそれ以上に大事で、支援が必要である。
     それならば「こども家庭学校地域コミュニティ共同体庁」とでもした方がいいということになるわけで、それを「こども家庭庁」とすると、子供の問題を全て家庭だけに押し付けるような意味合いになってしまうのだ。
      名称ひとつにしてもこれだけの慎重な議論があって、「こども庁」の名が採用されていた。 「こども」とひらがな表記にしたのも、子供のための役所なのだから子供に読めるようにというこだわりだったという。
      ところがそれまでの経緯を全部すっ飛ばして、いきなり「こども家庭庁」の名称がゴリ押しされ、岸田はそれをあっさり受け入れた。
     そのとき共同通信は、岸田政権が 「伝統的家族観を重視する自民党内保守派に配慮」 して、名称変更の調整に入ったと報じた。
     そして、実際には自民党内にも「こども庁」でいきたいと声を上げた議員は多くいたにもかかわらず、岸田は何の議論も説明もしないまま、 「こども家庭庁」 への名称変更を閣議決定してしまった。
     岸田は、「子供を第一に」ではなく、「自民党内保守派を第一に」考えたのだ。
     この時点では「伝統的家族観を重視する自民党内保守派」、すなわち安倍晋三とその一派の力はまだそれほどまでに大きかったわけである。
     ところがそれからわずか7か月後、安倍晋三の暗殺で事態は劇的に変わった。
  • 「ウクライナ戦争1年で証明されたこと」小林よしのりライジング Vol.461

    2023-02-28 16:50  
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     ロシアがウクライナに侵攻してから、24日で1年が経った。
     戦争開始直後からわしが描き続けてきたことは『ウクライナ戦争論』にまとめたが、いま読み返しても全く間違ったところがない。
     そして3月12日には『ウクライナ戦争論2』が発売される。日本人にとってのウクライナ戦争とは何なのかを知るためには、これ以上の本はないとわしは自信を持っている。
     2月21日、ロシア連邦議会でプーチンは「年次教書演説」を行った。
     これは内政・外交の基本方針を示す、年に1度の演説で、ウクライナ侵攻後では今回が初であった。
     ここでプーチンは、ウクライナへの侵略を 「我々の歴史的な土地に住む人々を守るため、我が国の安全を保障するため、そして2014年のクーデター後にウクライナで生まれたネオナチ体制による脅威を取り除くため」 の 「特別軍事作戦」 であると強調するなど、1年前の開戦時のプロパガンダと何ひとつ変わらない主張を繰り返した。
     未だにこれが「戦争」であることすら認めていないのだが、それにしても、 ウクライナの 「ネオナチ体制」 によってロシアが脅威にさらされているなんて与太話、ロシア以外で誰が信じるのだろうか?
     もちろんこの演説はひたすら国内向けの戦意高揚が目的で、国際社会向けには何の説得力もないことは、最初から明白ではある。
     だが、そのニュース映像を見て驚いた。 演説を聞いている連邦議会議員たちのリアクションが、とにかく薄いのである。
     戦争真っ最中の国で、最高指導者が戦意高揚演説をしているのだ。普通だったら、その指導者を戴いて戦争遂行に邁進すべき立場である国会議員ならば、もっと熱烈な反応をするものだろう。ましてや戦争が長期化し、国家総動員体制を作らなければならないという状況なのだから、なおのことである。
     ところが聞いている議員たちの表情には、全く高揚感も覇気も感じられない。プーチンの言葉に説得力を感じ、感情移入している表情を見せる者もいない。何か頭の中に疑念が渦巻いているような雰囲気で、困惑したような表情の者、腑に落ちないという様子の者、みんなどこか中途半端な顔をしていた。
     なぜみんな揃いも揃って、そんな曖昧な表情をしているのだろうと不思議だったのだが、どうやらあれは「必死で睡魔と戦っている顔」だったようだ。
     プーチンの演説は1時間40分にも及び、相当に冗長で退屈だったらしく、演説の後半には寝落ちしてしまう議員が続出。プーチンの下僕として知られ、第1期プーチン政権と第2期プーチン政権の間の「中継ぎ」で1期4年間、傀儡の大統領を務めたメドベージェフまでが最前列で居眠りしてしまい、その様子がSNSで全世界に晒された。
     
     プーチン一人だけが悦に入って長々と演説をやっているが、こんなものを聞かされている方は迷惑そのもの。力関係のために出席を断れずに仕方なく座っているだけで、感動して聞いている者なんかいるわけもなく、いつの間にかみんなスヤスヤ居眠り。
     まるで、落語の『寝床』そのものだ。
     演説ひとつとっても、ゼレンスキーとプーチンでは雲泥以上の差である。
     ゼレンスキーの演説を聞いて居眠りするなんてことはまずないだろうし、もしそんなことがあったら、寝る方がおかしい。
      昨年の米国議会での演説は特に凄かったが、ゼレンスキーの演説は感動的である。国家の存亡を賭けて、命がけで侵略者と戦っているという本気の覚悟が伝わってくるのだから当然だ。
     それに対してプーチンは、自らが「ピョートル大帝」になりたいというナルシシズムの妄想から何の大義もない侵略戦争を起こし、演説もひたすら自分のナルシシズムを満足させるためだけにやっているのだから、それは『寝床』の旦那になるわけである。
     とはいえ、これが中国や北朝鮮だったら、どんなに演説が退屈だろうと、あんなに何人もの議員が居眠りしている様子が海外メディアに流されることはなく、無理やりにでも満場一致で演説に賛同し、熱狂したかのように見せかけたはずだ。
     もうロシアではそんな報道統制もできないのか、国家の最高機関の議員たちが演説の最中に浮かない顔だったり寝ていたりで、誰もプーチンの言うことなど信じていないようにしか見えないザマを、世界中にさらけ出した。
  • 「小林よしのりは何故、人に騙されるのか?」小林よしのりライジング Vol.459

    2023-02-08 13:35  
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     前回のラストで「一度、『小林よしのりは何故、人に騙されるのか?』というテーマで書いても面白いかもしれない」と書いたところ、コメント欄や「世界のゴー宣ファンサイト」にいろんな意見が寄せられて、それがどれも面白かった。
     そもそも、いくら自分はこうだから人に騙されるなんてことを自分で書いても、どうしたって自己弁護にしかならない。
     やはりここは、人の意見を参考にした方がいいと思うので、今回は寄せられた意見から抜粋して紹介し、ひとこと感想をつけておこう。
     まずは「世界のゴー宣ファンサイト」管理人・カレーせんべい氏の意見から。
    〇よしりんが人に騙されやすい理由は「その人が持っている美点を最大限に拡大して評価するから」だと思います。
     つまりよしりんは人を最大限評価して信じるタイプだから、騙される確率も上がるのだと思います。
     それからもう1つ理由があります。
     もし仮に、カレーせんべいがゴー宣のアンチになったとして、その場合は、小林よしのり先生は「騙された」ってことになるのでしょうか?
     それって「単にカレーせんべいが堕落しただけ」ではないでしょうか??
     そして小林よしのり先生には「人の堕落を見逃さない」というシビアな態度があると思います。
     自分に嘘つけない人ですからね(;^ω^)
     以上の2点によって、「小林よしのりは人に騙されやすい」ように見える。というのが私の意見です。
    「その人が持っている美点を最大限に拡大して評価するから」と「人の堕落を見逃さないから」。なるほど、そうかもしれない。
     よく見てるよなぁ。
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    〇小林よしのりは何故、人に騙されるのか?」というのは、個人的にはよしりん先生は「人に規範を示し、ビジョンや理念や方向性を示すことができる“父性”」と「面倒見が良く、人を優しく包み込み、時に癒やす(主に女性)“母性”」の両方を併せ持っているけれど、よしりん先生を騙す人間は“母性”に訴えかけてくるからだと思います。
    (ハルユウさん)
     これだとカレーせんべいの言う「美点を最大限に見る」が母性、「人の堕落を見逃さない」が父性に当たることになる。
     けれど、わしって 「面倒見が良く、人を優しく包み込み、時に癒やす」 なんてことをしているだろうか?してないと思うんだよね。
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    〇「王様は裸だ!」
     この台詞と騙されるというテーマは繋がっているのではないでしょうか。
     よしりん先生は人を観る際、最初のうちは相手の良いところに目が行くけど、どうしてもその眼力故に相手の影、若しくは闇の部分に気付かれるのだと思います。
    (枯れ尾花さん)
     問題は、「あいつは裸だ」と言わなきゃいいのに、言っちゃうことだな。
     期待しなけりゃ良かったんだよな。
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    〇「小林よしのりは何故、人に騙されるのか?」…これはしょうがないですよね、期待して、その人を見てるんだから、「最初からわかってたさ、フッ」なんてシニカル野郎にはなれませんもんね♪
    (ゲストさん)
     そうだよな。もうシニカルにはなれないことは十分わかった。
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    〇よしりん先生は人情があって優しいんです。優しい人間は、根本的な性格として常に人を信じたいんだと思います。でも、信じること・信じ続けることは、疑うことよりも遥かに難しい。そんな気がします
    (まーらいおんさん)
     凄いこと言うね、きみ。深い!深いよ!何かの作品でそのセリフ、使いたいね。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    〇情に厚いからではないでしょうか。
     薬害エイズの時だったか作品中で「情の貯金」という言葉を使われていたのが印象的なので、専門家真っ青の勉強量で理論も大事だが、情のウェイトの方が重い人なのかなと。
    (マックンさん)
     う~~~~~~~~~ん、こそばゆい!
     みんなこれだけわしを高評価していて、そのうち愛人との情事で腹上死したなんてスキャンダルが出たら、みんなどう言うのかね?
     騙された~~~~~~~~~と思うのか?
     ポテチンとなって白けてしまうのか?
     そんな顔も見てみたい気がするな。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    〇簡単に言ってしまえば「人がいいから」ということなんだろうが、やはり子供相手のギャグ漫画から出発しているというのがあるだろう。「こうすれば読者が喜ぶだろう」と考えるのが習慣化してしまっているから、悪意を持って相手を考えにくい。ギャグマンガ家の性(さが)ですね。
    (千本通りさん)
     おお~~~!これも鋭いかも。
     自分を客観視させてくれる意見はありがたいね。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    〇小林先生は「コネ」を作るようなタイプの人ではないと思いますが、「ゴー宣道場」や「オドレら正気か」でのトークゲスト、あるいは雑誌企画での対談なので相手の論客と話す時に、いきなり喧嘩腰でぶちかましてやろう!という感じでは行きませんから、ゲストに常識的に気を遣って、良いところがあったら評価しようとされますよね。
     なので、相手側が話術に長けていたり人たらしだったりした時には「騙されやすい」ということになるのかな?と思います。
     政治家などは言葉巧みだから要注意ですよね。
     女性も男性に比べたら相手に「嘘」を悟らせない技は巧みな気がします。
    (さらうどんさん) 
     確かに、ゲストに呼んでおいてケンカ腰になるわけにはいかない。
     しかし、イベントの最中に、明らかにおかしなことを言い出す人もいるから困る。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  • 「日本人だけ民族浄化一直線」小林よしのりライジング Vol.457

    2023-01-17 19:50  
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     世界中で唯一、日本でだけコロナが終わらない。
     ちょっと前までは、極端なゼロコロナ政策で大混乱を起こしている中国を見て、あれよりはまだマシだと思うこともできたのだが、ついにそれもできなくなってしまった。
     日本だけがひとり負けで、自ら破滅への道をひた走っている。
     1月13日の東京新聞は1面トップ記事で、「新型コロナウイルスに感染して亡くなる人が急増し、一日あたりの全国の死者数は昨年末から過去最多の更新を繰り返している」と報じた。
     
     細かい表現の違いのようだが、 「新型コロナウイルス感染症で亡くなる人」 とは書かず、 「新型コロナウイルスに感染して亡くなる人」 と書いているところは注目すべきだ。こう書くということは東京新聞の記者も、 亡くなった人の死因は新型コロナウイルスとは限らず、単に死亡時の検査で新型コロナ陽性だったという意味でしかない ということを理解しているのかもしれない。
     しかし、もしわかっていて書いているのなら、極めて悪質である。この記事を読んだ人のほとんどは、新型コロナウイルスによる死者が急増しているとしか思わないはずなのだから。
     しかも記事では、 死亡者の多くが高齢者で、東京都では60代以上の死者の割合が「97.0%」 だと書いている。これを読めばますます、 「寿命」による何らかの原因で死んだ高齢者を、片っ端から検査して「コロナ死」にしているんじゃないか としか思えなくなる。
     さらに言えば、「60代以上の死者が97%」と書かれると、今どきは60代でも早死にじゃないかと思ってしまうが、 実は60代の死者もそんなに多くはなく、「70代以上」で91.1%、「80代以上」だと71.3%なのである。
     高齢者の死亡率が冬期に増加するのは毎年のことだ。今冬の寒さは特に厳しいし、 コロナ禍の行動自粛などで高齢者の寿命を無理やり伸ばしてきた「キャリーオーバー」分の死亡者が出て来た ということも考えられる。
     ところが記事では、死者がこれだけ急増しているのに、感染者数が昨夏の「第7波」のピークよりも少ないわけはなく、感染していても検査しなかったり、陽性でも報告されなかったりする 「未把握の感染者」 がいるはずで、実際には「第7波」以上の感染者数になっているのは間違いないと述べる「専門家」の見解を紹介し、あたかも見えない「感染爆発」が起きているかのように恐怖を煽り立てているのだ。
     そして記事の最後は、国立国際医療センター医師・大曲貴夫の 「まわりにいる人がワクチン接種を受けるなどし、高齢者にうつさないように注意をすることが必要」 というコメントと、国際医療福祉大主任教授・松本哲哉の 「ワクチンは重症化予防効果があり、まだ打っていない高齢者は積極的に接種を検討してほしい」 というコメントで締めくくっており、これが結論のようになっている。
     新たな「ステルス感染爆発」で「死亡者急増」だと恐怖心を駆り立てた上で、高齢者も、高齢者以外も、 とにかくワクチンを打て!打て!打て!と言っているのがこの記事なのだ。
      実際にはワクチンを4回打とうが5回打とうが、感染抑止効果も重症化予防効果もない ということはとっくにデータに出ているのに、東京新聞は平気でこんな記事を1面トップで出すのである。
     記事の最後を、記者自身の文ではなく「専門家」のコメントで締めているのも、いざとなったら「東京新聞の見解ではなく、専門家の意見を紹介しただけ」として責任逃れするつもりではないかと思えてくる。
      わしはコロナのmRNAワクチンについて、自然免疫をスルーして筋肉注射で直接体内に入れて免疫を発動させるものだから、「免疫の軍事訓練」ができなくなって、かえって感染しやすくなると指摘してきた。
     そしてこのことは、現実に実証されつつある。
      科学誌「サイエンス」昨年7月15日号には、コロナワクチンが自然免疫を抑制する可能性を指摘する論文が掲載された。
     その論文によると、 コロナワクチンを打ち続けるとコロナに対応した抗体ばかりが作られるようになり、他の様々な病気に対応するための免疫力が落ちてしまう「抗原原罪」と呼ばれる現象が起こりうるという。
      しかも、そうして作られるコロナ対応に特化した抗体も、ウイルスが変異してしまえば効果がなくなるため、結局は ワクチンを打った人の方がコロナにも感染しやすくなり、 その他のありとあらゆる病気にも罹りやすくなってしまうのである。
     先週・13日の金曜日は東京新聞のみならず、各テレビ局のワイドショーもこぞって「ステルス感染爆発による死亡者急増」の恐怖を煽り、ワクチン接種を推奨していた。
     そして翌14日の産経新聞もぶち抜きの社説で、 「死者数が最多にもかかわらず、1日当たりの新規感染者数は、第7波のピークを越えていない」 として、本当の感染者数はもっと多いはずだと恐怖を煽り、「ワクチン接種の促進」を求めている。
     コロナに関する主張は、東京新聞も産経新聞もコピペしたように全く同じである。 左も右も関係なく、とにかく恐怖心をかきたてまくって、ワクチン接種へ誘導しようとするのである。
     それで責任とれるのか!?
  • 「棄てても棄ててもワクチンはやってくる」小林よしのりライジング Vol.456

    2023-01-10 14:55  
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     久しぶりにコロナのグラフを製作して、ため息が出た。
     
     日本は、新規陽性者数が、欧米諸国をぶっちぎりで引き離して増加しているのに、
     
     1日のワクチン接種回数もまた、超ぶっちぎりで多いという摩訶不思議……。
     そもそも、過去3年近く、世界各国の状況を比較解説するために使ってきたこのデータ集積サイトも、コロナに関する計測を終えた国が増えたために、グラフが表示されなかったり、途中で途切れたりしている有り様だ。
     世界全体におけるワクチンブームも、次の通り、もうすっかり下火。
     
     いまだに接種に盛り上がろうとしているのは、日本ぐらいという酷い様相を呈している。
     各国が脱コロナ・脱ワクチンに舵を切ってしまうなか、クソ真面目に「コロナ怖い」を普及してワクチンを打ち続けようとしてくれる、製薬会社にとって格好のお金持ちのお客様が、日本ということだ。
      日本が現在契約しているワクチンは、合計8億8200万回分。だが、実際の接種回数は、半数にも満たない3億2000万回程度。 差し引きで、4億5539万回分のワクチンが余っており、その金額は、1兆2400億円以上だ。 どえらいこっちゃ!
     mRNAワクチンが発売された当初は、医師や専門家たちが、 「接種すれば1年~2年程度は免疫を得られる」「有効性は90%」「ワクチンを打てばコロナに感染することはなく、集団免疫が作られる」 などと製薬会社の言い分を喧伝するところから始まった。
     ところが、あれよあれよと科学フル無視のメッセージが積み重ねられてきた。
    「3週間間隔で2回打てば強力な免疫を得られる!」
    ↓↓↓
    「異物入ってた? 多少は死ぬけど気にしなーい!」
    ↓↓↓
    「心配ない。3回目を打つことでかなり重症化を抑えられるゾ!」
    ↓↓↓
    「ワクチンの有効期限、多少過ぎても、冷やしときゃ大丈夫!」
    ↓↓↓
    「人口の8割が打ったけど、まだまだいっとこう!」
    ↓↓↓
    「集団免疫? そーいう話じゃない! 4回目を打て、打つんだー!」
    ↓↓↓
    「心筋炎? そんなもん気にしたら負けじゃね?」
    ↓↓↓
    「8か月たてば、追加接種OKデス!」
    ↓↓↓
    「8か月も待つことない! 6か月で追加接種だ!」
    ↓↓↓
    「いや、6か月もいらん! 3か月で追加接種だ!」
    ↓↓↓
    「元気ですかー! 死んでないなら、まだまだ打てる! 5回目、ダーッ!」(←今ここ)
     そのうち、 「5回目と6回目は同時接種できます」「同じものをもう1本!」 みたいなことがはじまるのではないだろうか?
     だが、いくら打て打てと煽ったところで、実際の接種率は伸びておらず、日に日にワクチンは余っている。
     打てども打てども集団免疫など出来上がらず、感染者数増加はおさまらず、むしろぶっちぎりの世界一に躍り出て、しかも、感染したところで、ほとんどの人にとっては「ただの風邪」。キツすぎる副反応も体験済みだし、いい加減、打ちたくなくなるのも当然だ。
     TBSの取材によれば、 2022年、東京23区だけで、100万回分、総額27億2500万円分のワクチンが期限切れになって廃棄されていたという。さらに、関東1都6県で調査すると、合計300万回分が廃棄されていた。82億円近い税金が、棄てられてしまったのだ。
     昨年9月からは、かなり周回遅れで「オミクロン株対応」の新しいワクチンが供給され、接種間隔が、理由もよくわからぬまま「6か月」から「3か月」に短縮されたが、接種率は大して伸びず、どうやら新しいワクチンも大量に余ることになるらしい。
     ある自治体の担当者は、TBSの取材にこう答えている。
  • 「ゼレンスキーとプーチン、天地の差」小林よしのりライジング Vol.455

    2022-12-27 19:30  
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     ゼレンスキーは今のところ、確かに「英雄」である。
     ウクライナ戦争勃発以前は、政治経験のないコメディアンが大統領に当選したことを「ポピュリズムの極み」と非難し、「ゼレンスキーは間違いなく失敗する」と断言した知識人もいたらしい。
     実際に戦争前には失政も多かったようだし、まだ戦争の行方も定まらない現在、戦争後にどうなっていくかなんてことはわかりようもない。
      しかし、ゼレンスキーは現時点では間違いなく「英雄」である。
     ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、アメリカ・ワシントンを訪問、バイデン大統領と会談し、米国連邦議会の上下両院合同会議で演説した。
     2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始してから300日、ゼレンスキーが国外に出たのはこれが初めてである。
     ゼレンスキーが訪米するとの報を聞いた際に、わしがまず気になったのは服装をどうするのだろうということだった。
     オリーブ・グリーンのTシャツ、冬季の今は軍用トレーナーがトレードマークになっているゼレンスキーだが、戦争前は普通にスーツを着ていた。
     さすがに米大統領と会談し、議会演説をするのだから、今回はスーツを着てネクタイをするのかと思っていたのだが、 それがいつものオリーブ・グリーンのトレーナーのままだったので驚いた。
     それと同時に、 自分はどこに行こうと、ウクライナ大統領として戦時下にあるということを、スタイルで示しているのだろうとわしは感心した。
     ところがアメリカの「保守派」の中には、この服装が「無礼だ」と激怒した者もいたという。
     だがその批判に対しては、第2次世界大戦中の1941年に英国のチャーチル首相がホワイトハウスを訪れた際に、「サイレンスーツ」というツナギ服を着ていた事例を挙げて反論する者がいた。
     
     サイレンスーツとは、ドイツ軍の激しい空襲に遭っていたイギリスで、空襲警報のサイレンが鳴ったらすぐ服の上に着て避難できるように作られたものだ。そしてこのスーツは単に実用性だけでなく、国民が一致団結して戦い抜く象徴的な意味合いも持つようになったという。
     ゼレンスキーがチャーチルのサイレンスーツを意識していたかどうかはわからないが、 ロシアが軍事侵攻を開始すると、ゼレンスキーは直ちにスーツとネクタイをやめ、ロシア軍と戦うウクライナ国民に近い服装であるTシャツ姿になることで国民との団結を示し、それ以降、どこに行くにもそのスタイルを貫いている。やはりそのセンスは素晴らしいというしかない。
     服装ひとつにも文句をつけたように、アメリカの「保守派」にはゼレンスキーを快く思わない者がおり、特にトランプ前大統領の一派にはそれが顕著である。
     その理由として、巨額に上るウクライナ支援が、トランプの掲げた「米国第一」の政策に反するということがある。
     トランプの「親衛隊長」といわれる共和党のグリーン下院議員は巨額支援を「ばかげている」とSNSに投稿し、ゼレンスキーを「(米国を操る)影の大統領」と、陰謀論めいた呼び方で揶揄した。
     また、トランプの長男・ジュニアはゼレンスキーを「恩知らずな国際的福祉の女王(welfare queen)だ」と罵っている。
     もともと「福祉の女王」とは1970年代、巨額の福祉支援金を詐取してぜいたくな暮らしをしていた女性詐欺師に付けられた呼称である。
     当時大統領を目指していたレーガンが、これを政府の福祉政策の無駄を批判するキャンペーンに利用し、それ以降 「福祉の女王」は、米国の保守派が社会福祉の縮小を主張する際に使う特有の表現となった。
     日本のネトウヨの「生活保護バッシング」も、これと似たような感覚だろうが、トランプ政権では特に「福祉の女王」が唱えられていたらしい。
     だが、 トランプ一派がゼレンスキーを目の敵にするもっと大きな理由は、もともとトランプがプーチンとズブズブの関係だったからだろう。
     そもそもトランプが2016年に大統領に当選できたのも、ロシアがサイバー攻撃やSNSによるプロパガンダなどの世論工作・選挙干渉を行ったためと言われているし、同様の選挙干渉は前回の大統領選でも行われたとされている。
      そしてトランプは、プーチンが侵攻直前にウクライナ東部の親ロシア派地域の「独立」を承認したことを「天才的だ」と称賛し、同地域へのロシア軍派兵が「最強の平和維持軍になる」とまで言っていたのである。
      日本のネトウヨがゼレンスキーを叩いているのも、Qアノン的なトランプシンパが多いからではないか。
     アメリカではトランプが今なお復権を狙っていて、その支持者も一定数存在する。そして、トランプの支持者ではなくとも、巨額な支援に反発する者はかなりいる。
  • 「財務省、怒る。コロナ特別措置はいい加減にしろ!」小林よしのりライジング Vol.453

    2022-11-22 19:25  
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     11月7日、財務省の財政制度分科会・増田寛也会長代理が記者会見を行い、 コロナワクチンの全額国費負担について、廃止を検討すべきだ と述べた。
     財務省は、コロナだけを特別扱いし、多額の国費を割いている現状に問題があると指摘しており、ワクチンだけでなく医療の面でも特例的な措置については見なおすべきだという「厚労省批判」ととれる見解を発表。
     ワクチン接種そのものに反対しているわけではないが、財務省が財政制度審議会に提出した資料は、なかなかの内容だったので、今日はそれを紹介したい。
    ●2022.11.7 財務省 財政制度分科会 議題「社会保障」配布資料
    https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20221107.html
     今回、財務省は、「ウィズコロナへの移行と全世代型への制度改革」を掲げ、社会保障の現状について精査している。
     まず、現状の日本では、今後3年間で後期高齢者が急増する一方、 コロナによって少子化が加速したことで、人口減少が、推計されていたものよりも7年程度前倒しされている状況である と報告。
     
     人に会うな、近づくな、人を見たらコロナと思えと喧伝し、経済はわざわざ悪化させる一方で、不安が膨らむばかり。おまけに、妊婦は強制PCR&帝王切開という扱いだ。躊躇する夫婦も増えただろうし、出生率が下がるのは当然だろう。
     
     さらに、2番目のグラフを見ると、後期高齢者人口の増え方が、今年以降の3~4年間で急角度の右肩上がりになっているのがわかる。1947~49年の第1次ベビーブームで生まれた団塊の世代が、ごっそり75歳以上のゾーンに入るからだろう。
     このうち一定の割合が、毎年寿命を迎えて死んでいくことになる。
     コロナでは、他国に比べて死者の出なかった日本だが、これからは避けようのない寿命を迎え、毎年どんどん死者数が増えることになるわけだ。
    「あれだけ自粛を強いて、経済を犠牲にし、一体なにを守ったんでしたっけ?」
    という話である。
     また、この後期高齢者人口の急増については、話題の「超過死亡」について捉えるとき、頭のなかに置いておかなければならない点でもあると思う。(※今回は超過死亡についての記事ではないよ!)
    「コロナによって少子高齢化が、ますます加速したぞ!」「今後は後期高齢者が急増だ!」と印象づけたあと、財務省は、「新型コロナの重症化率等の推移」について独自に分析した結果を発表。
    〇オミクロン株への変異により、感染者数は大きく増加したものの、重症者数は減少している。
    〇直近の新型コロナの重症化率等については、季節性インフルエンザの比較も含め様々なデータが示されており、これらを踏まえて今後の政策を検討していくべきである。
     
     出所は、厚労省のオープンデータだ。武漢株、デルタ株の時期よりも、現在ははるかに新規感染者数が増えているにもかかわらず、重症者数はそれに比例して増えているわけではないことがよくわかる。
     さらに、東京における第7波の致死率をズバリ。
  • 「コロナ感染経路をもう一度」小林よしのりチャンネル Vol.438

    2022-06-21 18:45  
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     もう飽きた気もするのだが、わしがすぐ忘れてしまう体質なので。わしのためにまとめておく。
     専門家も素人も関係ない。
     論文がどこに何本出ているかを競っても意味がない。
     もちろん権威の有無など、全く判断の基準にはならない。
     重要なのは、「ロジックが通るか」だけである。
     今回は改めて新型コロナウイルスの感染経路について、わしがどのようなロジックで考えているかをまとめておきたい。
      まず、第一に否定しようのない事実は、クルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号で最も多くのウイルスが検出されたのが、 「客室トイレの床」 だったということだ。
     もしも「飛沫感染説」が正しくて、ウイルスが飛沫と共に排出されたとすれば、乗客がトイレに座っている時に一番多く咳やくしゃみをして、最も大量の飛沫を撒き散らしていたことになるわけだが、いくらなんでもそれはありえない。
      トイレで検出されたのなら、ウイルスは糞便と共に排出されたと考えた方がロジックは通る。それはあまりにも明らかなことである。
      ウイルスが下水道の中で特に多く検出されているというのも否定の出来ない事実であり、ウイルスの下水中濃度を調査し、今後の新規陽性者数を予測するシステムも構築されている。
     下水で発見されるということは、これまた糞便と共に排出されたとしか考えようがないわけだが、飛沫感染説のロジックで、この事実をひっくり返すことができるのだろうか?
      これだけでも、「飛沫感染説」よりも「糞口感染説」の方が、はるかにロジックが通る。これで話が終わっていると言ってもいいくらいだ。
     ここで問題なのは 「糞口感染」 という言葉のイメージから来る誤解が大きすぎることで、直接ウンコを食べるとか、手にくっついたウンコをなめるとかして感染するものだと思い込んでいる人が相当にいるようだ。
     宮沢孝幸氏も、6月4日の「オドレら正気か?大阪LIVE」でも糞口感染についてこんな発言をしていた。
    「下痢だったらバーっとやって、ワーっといくけど、ウンコ触った、いやウンコ触ってないですよね、トイレでこうやって、そこまでいくかなっていうのは僕ちょっと…」
     何を言ってるのかわかりにくいが、要するに、下痢だったらシブキが手に付着することもあるだろうが、トイレでウンコを触るわけじゃないから、糞口感染はないと言っているのだ。
     これには呆れた。まさかと思うような無知である。
     糞口感染とは、ウンコを食って感染するという意味ではない!
     いくらなんでも、それくらいはわかるだろうと思っていたのが盲点だった。
      水洗トイレでウンコを流す際には、水流によって糞便から最大80万個のウイルスが、水分と共にミスト状になって舞い上がる。これを 「トイレット・プルーム」 という。
     その膨大なウイルスは、トイレの床やら壁やらドアノブやらに付着していく。水分の重みで落下する分が一番多いので、床で最も多く検出されることになる。
     これを「富岳」のシミュレーションで可視化したらさぞかし凄いことになるだろうが、そうでもしない限り誰の目にも見えない。トイレでは、誰もが全く気付かぬうちにウイルス入りのミストを浴びているのである。
     そのため当初は感染防止策として「トイレのフタを閉めて流す」ということが言われていたのだが、「権威」が飛沫感染説を唱えるようになって以降は、それが言われなくなってしまったのだ。
      ウイルスはトイレ中に付着しており、人がドアノブなどに触れれば、その手指に移る。そしてさらに、その人が触れたモノに移っていく。
      ダイヤモンドプリンセス号で、トイレの床に次いでウイルス検出量が多かったのが枕、電話機、テレビリモコンだったのだが、それもトイレから手指を介して広がったと考えればはっきりロジックが通る。
      ウイルスは低温・硬質なものに付着すると長く存続する。 電話機・テレビリモコンはまさにそのような環境にある。そしてそう考えれば、もっと人の手を介してウイルスが多く堆積していると考えられるものがある。スマホだ。
     スマホは乗客個人の持ち物なので検査の対象にならなかったのだろうが、 もし検査されていれば、トイレの床の次に多くのウイルスが検出されたのは、スマホだったであろうということは容易に想像がつく。
     ところが、宮沢氏は「トイレット・プルーム」のことを一切知らない。