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タグ “森友・加計問題” を含む記事 4件

「凡庸な悪としての佐川宣寿」小林よしのりライジング Vol.350

 自らものを考え、良心を持っていた人が、それゆえに苦しみぬいて自ら死を選び、一方で何も考えず、良心もない人間が出世してのうのうと生き延びる。  そんな醜悪なことが通用する理不尽な世の中では、絶対にいけない。  森友学園への国有地売却問題に関して、当時の財務省理財局長・佐川宣寿(のぶひさ)から公文書改竄を強いられ、自殺に追い込まれた財務省近畿財務局職員・赤木俊夫氏(享年54)の妻が、佐川と国に1億1千万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。  妻はノートに走り書きされた遺書と、パソコンに遺されていたA4用紙7枚にも及ぶ詳細な手記を公表。これを掲載した週刊文春3月26日号はたちまち完売となった。  遺書には、震える字でこう綴られていた。 森友問題 佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それにNOを誰れもいわない これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。 なんて世の中だ、 手がふるえる、恐い 命 大切な命 終止府 (原文ママ)  さらに手記には、 「元は、すべて、佐川理財局長の指示です。  局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。」 として、より詳細な経緯が記されている。  赤木氏は現場の人間として頑として改竄に抵抗したが、これに対して財務省総務課長の中村稔や国有財産審理室長・田村嘉啓が近畿財務局トップに圧力をかけ、その結果、赤木氏が改竄作業をやらされることになった。  しかも手記では、近畿財務局には財務省の言いなりになって改竄を行なうことを、何とも思っていなかった者もいたことも暴いていた。 「本省からの出向組の小西次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省杉田補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。」  そして手記で特に見逃せないのは、この記述の後に書き加えてあったこの一文だ。 「大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています」  大阪地検特捜部はこの件をすべて把握していながら、官邸の圧力に屈して立件を見送ったのである。   この時、官邸の意を受けて捜査にストップをかけるために動いたと言われているのが、当時法務省事務次官だった黒川弘務。現在東京高検検事長で、違法な定年延長が問題になっている人物だ。  当然、安倍政権はこの「官邸の番犬」の定年を延ばして検事総長にして、追及をかわそうとしているわけで、こうまで思惑見え見えのことをヌケヌケとやれる神経にも呆れ果てる。   大阪地検特捜部は公文書改竄について一時は捜査に動きながら、結局、佐川はおろか財務省関係者の全員を不起訴処分とした。  これについては官邸と検察上層部の間で、財務省には触わらず、代わりに近畿財務局の職員を挙げて幕引きをはかるというシナリオが進んでいると噂されていたという。   そうなると、「トカゲのしっぽ切り」で挙げられる近畿財務局職員とは、赤木氏しかいない。 週刊文春記事によると、実際その頃検事から赤木氏に電話があり、その後、赤木氏は妻にこう話したという。 「検察は恐ろしいとこや。何を言っても思い通りの供述を取る。検察はもう近畿財務局が主導して改ざんしたという絵を描いている。そのストーリーから逃げられない。ぼくが何を言っても無理や。本省の指示なのに最終的には自分のせいにされる。ぼくは犯罪者や」  赤木氏は強度のストレスから心身に支障をきたして休職し、平成30年(2018)3月7日、自殺した。  赤木氏が死の直前まで書いていたと思われる手記の最後は、こう結ばれている。 〇刑事罰、懲戒処分を受けるべき者  佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産審理室長ほか幹部 担当窓口の杉田補佐(悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)  この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。  事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。  今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ)  家族(最も大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。  私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何?  兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。  さようなら。  あまりにもひどいことが行われていたことを知って、慄然とする。

「凡庸な悪としての佐川宣寿」小林よしのりライジング Vol.350

「『謝ったら死ぬ病気』に罹るな!」小林よしのりライジング Vol.272

第279回「『謝ったら死ぬ病気』に罹るな!」  自分の発言の誤りが判明しても、絶対に認めない人がいる。  その極みが、 安倍晋三 だ。  安倍は加計学園の獣医学部新設計画を 「2017年1月20日」 に知ったと言い続けてきたが、愛媛県から、 「2015年2月」 に安倍が加計孝太郎と面会して 「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」 と言ったとする文書が出てきた。  これはもう動かぬ証拠というしかないものであるが、しかし安倍は、以前の発言は誤りだったとは決して言わない。  愛媛県がわざわざ虚偽文書を作成する理由など全くない。  加計学園が愛媛県に嘘の報告をしたのであれば、加計が安倍の名を勝手に悪用したことになるから、安倍は森友問題で籠池泰典前理事長に対して言ったように、加計にも「詐欺師」と言わなければおかしい。  どう見てもつじつまが合わないのに、安倍は決して誤りを認めない。  日大アメフト部前監督の 内田正人 も同じだ。  問題の場面の映像がはっきり残っていて、しかも試合直後の取材に対して 「内田がやれって言った、でいいじゃないですか」 と、自分の指示であることを認める音声まであるのに、わざわざ記者会見して、自分の発言と選手の理解に乖離があったなどと見え透いた嘘をつき、絶対に自分の非を認めない。  最初は「責任は全部俺が持つ」とかカッコイイこと言っといて、それが問題化したら「全部選手のせい」にしてスタコラサッサと逃げるのだから、卑怯な人間がいるものだ。   安倍も内田もやってることは全く同じなのだが、ネトウヨ連中はなぜか安倍だけを擁護している。  本来「誤りは認めよう」というのは単純な道徳の問題だが、もし安倍が本当に自分の誤りを認めたら、こう言わなければならない。 「私の発言は嘘でした。私はお友達のために行政を歪め、国有財産をタダ同然で分け与えようとしたり、獣医学部の認可を出したり、何十億もの税金を投入させたりしました」  正直にこう言ったら最後、首相も国会議員も辞めなければならず、さらには検察が動いて後ろに手が回りかねないのだから、嘘をつくしかないわけだ。  内田も同じで、日大経営陣のナンバー2として人事と予算を牛耳ってきた地位も権力もすべて失いかねないから、絶対に非を認められない。   こんなのは、犯罪者が罪を逃れようとして嘘八百を並べ立てているのと同じで、道徳云々のレベルの話ではない。嘘を承知していて、平然と嘘を吐き続けるのは、人格が破綻したサイコパス傾向の者たちなのだろう。  それでは 「報道機関」 の場合はどうか?  報道機関の使命は「真実の追及」にあるはずだから、過去の自らの報道や論説に誤りがあれば、認めて訂正・謝罪をするのが当然だし、それをしたからといって社会的地位が剥奪されるものではなく、ましてや犯罪者になることもない。これなら「誤りは認めよう」という道徳で語れるのではないか?  財務省の福田淳一前事務次官の「セクハラ」問題が報道されて以降、特に朝日新聞・東京新聞・テレビ朝日「報道ステーション」は福田を叩きまくり、麻生太郎財相の 「セクハラ罪という罪はない」 という、間違いではない発言を「暴言」として非難した。  中にはキャバクラまでセクハラの温床だとして非難し、セクハラの「根絶」を訴えるものまであった。  さて、これは正しかっただろうか?

「『謝ったら死ぬ病気』に罹るな!」小林よしのりライジング Vol.272

「陛下御恨み骨髄」小林よしのりライジング Vol.250

 政府は8日の閣議で、天皇陛下の退位日を平成31年(2019)4月30日と定める政令を正式決定した。  12月1日の皇室会議の結果を踏まえて、という体にはしているが、 公表された「議事概要」にも、皇室会議で具体的に誰が何を発言したか、政府案に対する異論は出たのかといった点は一切記載されていない。  安倍政権は当初、皇室会議の開催自体に頑強に抵抗していたが、それが通らないとなると、皇室会議を「ブラックボックス」にして、骨抜きにしてしまったのだ。   会議にはメンバーではない菅官房長官が出席して、本来会議を取りまとめる事務方トップである宮内庁長官が座るべき位置に陣取った。 メンバー以外の人物が陪席すること自体は禁じられていないが、会議の輪に入るのは完全なルール違反である。  会議では、出席者全員が一通り意見を述べた後、安倍と菅が別室に退席し、戻って来ると 採決も取らず、政府案通りに決定すると通告して終えてしまった という。皇族2名と立法・司法のトップも集まった皇室会議を完全にコケにして、会議の体もなさない状態にして強引に決めてしまったのだ。  そして政府は新天皇即位の5月1日を休日にすることで、この年のゴールデンウィークを「10連休」にする方針だという。   天皇陛下のご意思であることが明らかである「3月31日退位」を無視して1か月遅らせた理由には、「10連休」を作って国民のウケを取ることがあったようだ。  これだけでも、ここまで天皇陛下を蔑ろにした話はないのだが、まだ他にも1か月遅らせた理由が推測されている。「選挙対策」だ。多くの人が指摘しているが、例えば女性セブン12月21日号では政治ジャーナリストがこう語っている。 「新時代の幕開けからわずか3か月ほど後の’19年夏には、参院選が控えています。もし、その年初頭の通常国会で安倍首相が悲願とする憲法改正案が提出されれば、改正への国民投票は参院選とのダブル投票になる。  安倍首相は、退位を1か月遅らせることで、国民的なイベントの高揚感を世間に残したまま選挙に臨もうとしたのではないでしょうか」  安倍晋三は、天皇陛下を自分に都合よく利用すること以外、一切考えていないのだ。  そんな中、週刊新潮12月14日号に、 『「安倍官邸」に御恨み骨髄「天皇陛下」』 という、過激ともいえる表現をつけたタイトルの記事が載った。

「陛下御恨み骨髄」小林よしのりライジング Vol.250

「譲位を巡り、天皇を侮辱する安倍晋三」小林よしのりライジング Vol.249

 天皇陛下の退位が再来年4月30日、新天皇の即位が5月1日と決まった。  日付が違うことで、「空位」の時間が生じるのではないかという懸念もあったが、これは退位が「4月30日が終わる瞬間」、即位が「5月1日が始まる瞬間」に行われる、つまり同時であるため問題はないらしい。  だが問題は、「5月1日」という即位の日程だ。  当初、政府は「1月1日」とする方針を示した。  これは政府が宮内庁にも相談せず、天皇陛下のご意向など一切無視して勝手に決めたもので、宮内庁の西村泰彦次長は定例記者会見で「1月1日は皇室にとり極めて重要な日。譲位、即位に関する行事を設定するのは難しい」と難色を示した。  宮内庁が退位を巡って公の場で言及するのは異例の事態であり、しかもこれを表明したのが、官邸が宮内庁をコントロールするために送り込んだ人材だったはずの西村というのも、実に皮肉な話だった。  再来年の1月7日は、昭和天皇の崩御から30年の式年祭が行われる。今上陛下は父親である昭和天皇の三十年祭を自ら執り行いたい意向であることは明らかで、その1週間前に退位させるというのは非常識としか言いようがない。   宮内庁もこの点には特にこだわりを見せ、年度替わりの節目でもある「4月1日即位」案を提示、官邸側に年末年始と3~4月の皇室行事を示し、どちらが皇位継承に伴う陛下と皇太子殿下の負担が少ないか説明したという。   ところが、官邸は1月1日即位案を撤回したものの、宮内庁、つまりは天皇陛下のご要望である4月1日即位案にも乗ろうとしなかった。  理由は「メンツ」、ただそれだけである。   天皇退位特例法 には、退位の期日を「政令」で決めるとしている。 政令は閣議決定によって定められ、その主体は内閣であり、トップは首相ということになっている。 官邸幹部は 「最後は政治が決めるんだ」 と言い放ったという。   つまり完全に「国民主権」の意識で、政治のトップが天皇よりも上だと信じ切っているのである。  しかも官邸は、もともとは天皇の退位すら認めず「摂政」で済まそうとしており、しぶしぶ退位を認めることになっても「一代限りの特例」にするつもりだった。それが事実上の恒久制度化まで妥協を強いられたため、ここでも「メンツを潰された」という恨みの念を抱いていた。  さらには、4月1日即位案の一報を朝日新聞が報じたことから、安倍晋三が 「朝日が報じたとおりにはさせない」 と思ったのではないかという推測まである。  官邸は秘かに「1月1日」「4月1日」以外の日程案を探り、9月には5案になっていたという。  この作業は宮内庁には全く知らされずに行われた。そして、退位・即位の日程を決める皇室会議が12月1日に行われることが宮内庁に知らされたのが、わずか10日前の21日夜。 しかも宮内庁の山本信一郎長官はこの日の報道で初めて「5月1日即位案」を知り、「まったく知らない。分からない」と記者団に硬い表情で繰り返した。  5月1日案が表に出てから、皇室会議による決定までたったの10日。これでは報道各社の世論調査も間に合わず、4月1日と5月1日のどちらがいいかを国民に問うこともできない。もちろん、政府はこのタイミングも計算していたはずだ。   そして12月1日の皇室会議には、どういうつもりかメンバーではない菅官房長官が本来宮内庁長官の据わる位置に陣取ってにらみを利かせており、そんな異常な状況の中で4月30日退位・5月1日即位という日程が決められてしまった。  安倍政権の本音はこうだろう。 「天皇よりも政治の方が上なんだ! さんざん安倍政権に楯突きやがって、これ以上天皇の言うことなんか、聞いてたまるか! 何の意味もない5月1日即位という日程にしてやったぞ! ザマー見やがれ!!」  何の意味もない5月1日即位という日程を正当化するために、予算案審議や統一地方選が終わった後で静かな環境で迎えられるだの、連休が増えるだのということまで報道されているが、そんなものは全く理由にならない。  そもそもこの日程では、高森明勅氏が指摘しているように、新天皇即位の行事の集大成であり、最も重要である 大嘗祭に新穀を献上する田んぼを選定する際に大きな支障が起こる ことが懸念されている。  https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=jo6zp5n4s-14#_14  安倍晋三は、大嘗祭の重みを全く理解していないのだろう。  というか、安倍は「大嘗祭」が読めるかどうかも分かったものではない。

「譲位を巡り、天皇を侮辱する安倍晋三」小林よしのりライジング Vol.249
小林よしのりライジング

常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!

著者イメージ

小林よしのり(漫画家)

昭和28年福岡生まれ。昭和51年ギャグ漫画家としてデビュー。代表作に『東大一直線』『おぼっちゃまくん』など多数。『ゴーマニズム宣言』では『戦争論』『天皇論』『コロナ論』等で話題を巻き起こし、日本人の常識を問い続ける。言論イベント「ゴー宣道場」主宰。現在は「週刊SPA!」で『ゴーマニズム宣言』連載、「FLASH」で『よしりん辻説法』を月1連載。他に「週刊エコノミスト」で巻頭言【闘論席】を月1担当。

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