-
ブルックリン物語 #11 言い出しかねて "”Can't Get Started With You”
2016-06-16 18:00僕の暮らすアパートは築100年の物件で古い煉瓦造りである。
煙突があるけれど、暖炉はない。それがあったであろうと思われる場所は潰されて、そこには僕が毎日クッキングするキッチンがある。
ウッドデッキに出て我が家を見ると、外見だけ風格のある煙突がにょきっと屋根から突き出て残っているさまは、どこか寂しげに映るけれど嫌いじゃない。
ある日、管理人でありハンデイマン(技術屋)の一人、ホセがデッキの上にある天窓を開けて階下から出てきたかと思うと、とんとんかんかんなにやら工事を始めた。そして、趣のある僕のレンガの壁を壊して大きな最新式冷房装置を取り付けた。
「どうだい、千里。下の大家のジョーの部屋が暑くて暑くてしょうがないらしいから特大のよく冷える奴をつけてやったよ」
ホセはへへんと自慢げに大声で笑った。でもそれは趣のある古い壁にはあまりにも唐突すぎて「美しくない」と思った。「なんだかなあ」と気分を害し -
ぴの耳より情報 (6/16) ブルックリン物語#11は"言いだしかねて"
2016-06-16 10:00こんにちは、ぴーすです。いろいろお知らせがありましたが、今週のブルックリン物語は、"言いだしかねて"。
トーンイベントでは息つく暇もなくおしゃべりするダディですが、ぐっと言葉を飲み込むこともあるんです。さて、それはどんな時だったのでしょう?
英語のタイトルは "Can't Get Started With You"。
世界中を飛び回り、ゴルフの腕前もすごいし、女優さんからはお茶に誘われる。でも、君とはまだ始まってもいないって、そういう歌詞らしいわ。
私は言いだしかねることは......ないかな。
https://www.youtube.com/watch?v=Ls33JN395OE
18時にお届けいたします。 -
ブルックリン物語 #10 誰かが私を見つめてる “Someone To Watch Over Me”
2016-05-26 18:00220pt最近、なんかの弾みで僕は街で出会う見ず知らずの人の顔を注意深く見ていることに気づかされた。
地下鉄のドアが開き飛び乗ったとき。さっと車両を見渡すとほぼ満員でその面子を、僕は一瞥したのだと思う。見てないようでしっかり把握したのだと思う。瞬時に。
その中の一人が僕にこう目で挨拶を返したのだ。
「はい、ご機嫌いかが。僕は君の敵じゃないからね。大丈夫なんだよ」
その目は確かにそう言っているようだった。だから僕もよっぽどジロジロ見たのかなと少し反省したのだ。確か夜道を歩いていて、これと似たようなこともあった。そのとき僕は向こうからやってくる誰かの顔をかなりしっかりと見たのだろう。その人はぎこちない笑顔を作りながら、
「はい、元気かい。僕はきみに危害を加えたりはしないからね。いい夜を」
そうでも言いたげに必死で口角を上げていた。
NYの人たちは一見、クールで無関心のようで他人をよく観察していると思う。 -
ぴの耳より情報 (5/26) 今週は日本にいるんだって!?
2016-05-26 10:00こんにちは、ぴーすです。
ダディはどうやら日本らしいわね。私はお留守番だけれど。
博多でサイン会(5/29)したり、秋田でソロライブ(6/3)があったり、青山ブックセンターでトークイベント(6/5)したり。その間もあっちこっちに出没するらしい。きっと誰かに見つかるわ ...あれっ?
今週の「ブルックリン物語 #10 」は、「誰かが私を見つめてる"Someone To Watch Over Me"」。ダディにとって忘れようにも忘れられないニュースクール時代の思い出深い「アイ・ガット・リズム」を作ったガーシュイン兄弟のスタンダード。フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、スティング、エイミー・ワインハウス......たくさんの人がカバーしているの。
https://www.youtube.com/watch?v=Wo5--q2GPNo
ガーシュイン兄弟は、なんとブルックリン生まれ。縁が
1 / 1