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野球道とは負けることと見つけたり:その3(2,052字)
前回に続き、蔦文也を主人公とした5話完結のドラマの構成について書いていく。第四話「手も足も出せなかった男」星稜対箕島は、延長18回と二度の奇跡的な同点ホームランという劇的な内容の末、箕島がサヨナラ勝利した。そうして箕島は、なんとそのまま決勝戦まで勝ち進み、同じく勝ち上がった蔦の池田と当たるのだ。この決勝戦も、なんの因縁かまた雨。そして蔦は、またしても指示をミスし、負けてしまう。そうして、三度目の雨中の敗戦を経験するのだ。この試合に負けたことで、蔦はほとほと自分の指導力のなさ、特に采配の下手さ加減に嫌気が差す。そうして再び監督を辞めようと決意するが、そこで一種の奇跡が起こる。池田の敗戦を見て意気に感じた徳島中学野球界の大スター、畠山準が入学してくるのだ。これで「5回の甲子園出場」は間違いなく、それどころか初の甲子園優勝も成し遂げられるかと思われた。ところが、そこからなかなか勝てな -
1994:その27(1,641字)
ぼくはバブル時代というのは1994年に強く影響していると思う。バブルはだいたい1985年に始まり1991年に終わる。約6年間の狂騒だった。そしてその終焉は、ある日突然起こったわけではない。段階的、なし崩し的にずるずると終わっていった。そのため、1994年にはまだその残像、残響、残滓というものが多数あったのだ。社会の至るところにまだまだバブル気分が居残っていた。それが最終的に排除させられるのが1995年である。つまり阪神淡路大震災とオウム真理教事件によってだ。ここが明確な潮の変わり目となったから、1994年はまだギリギリバブル時代だったといえなくもない。しかしこの頃になると経済は明らかに冷え込んでいて、特に就職戦線は異状をきたし、いわゆる氷河期世代が始まっていた。だから、その気分は高校生にももちろん伝播して、若者たちに暗い影を投げかけていた。その暗い影を振り払おうとして、少女たちは援 -
[Q&A]50歳を目前に募る焦りをどうすればいいか?(1,837字)
[質問]娘がもうすぐ大学受験で、400文字程度で書く小論文があるようです。少ない文字数ですが、ちゃんと流れを作り内容を深める必要があると思います。でもそこが難しいところでしょう。本人は、論旨の流れや内容の深まりを、娘は新聞の社説などを参考にしたいと言っています。親としては、知らないながらも新聞の社説よりもマシなものがあると思っています。ハックルさんは、400文字程度でいい見本になるような文章をご存知ないでしょうか?教えていただければ助かります。[回答]ぼくはよく歴史の本を読むのですが、そこでこぼれ話的にコラムが載っている場合が数多くあります。例えば『数学の歴史』という本を読んでも、「ガロアの決闘話」などがコラムとして書いてあります。ぼくはそういうものを読むのがとても好きだったので、そこだけ拾い読みしたりしていました。そう考えると、Wikipediaというのはとてもいいと思いま
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