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記事 17件
  • 歴史とは何だろう?(1,905字)

    2021-08-24 06:00  
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    ぼくは今53歳だが、ここ10年はほとんど「歴史の勉強」をしてきたと思う。それは、ぼくにとって歴史は知らないことが多いし、それに伴って発見も多いので、とても楽しいからだ。
    一方で、歴史を知ることは今の生活に役立つということもある。物事の道理への理解が深まるから、推察や推理が得意になり、判断を間違えにくくなる。そして、予想も当たるようになる。
    「予想」は、おそらく現代において最も重要な能力だと思う。なぜかというと、現代では事実やデータの価値が下がったからだ。インターネットで簡単に調べられるようになった。おかげで、「予想」の価値が相対的に上がったのだ。
    ところで、話は飛ぶが、先日、妻の友人に子供が生まれた。今2ヶ月くらいなのだが、眠れなくて苦労しているという。SNSで、彼女がそうつぶやいていた。
    それを見て、「なんで彼女はジーナ式をしないのだろう?」と思った。「思った」と言うより、理由は分かって

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  • みなもと太郎先生の思い出(2,053字)

    2021-08-23 06:00  
    みなもと太郎先生が2021年8月7日に亡くなられた。ぼくは、生前みなもと先生に大変お世話になった。そこで今日は、みなもと先生の思い出について書いてみたい。
    みなもと先生と最初にお目にかかったのは、2016年だ。その頃ぼくは、岩崎書店で児童書の編集をしており、どうしても『マンガの歴史』という本を作りたいと思っていた。そのとき、作者はみなもと先生以外ないと思った。
    なぜなら、みなもと先生はマンガ家であると同時にマンガ研究家でもあって、マンガの歴史はもちろん、マンガ文化そのものに造詣が深かった。しかも普通の歴史にもお詳しく、『風雲児たち』という歴史マンガを描いていた。つまり、「マンガ」と「歴史」に詳しい。こんな人は他にいない。
    ただ、最初は連絡先が分からず苦労した。いろいろつてを辿ってようやく住所を知ることができたので、まずはお手紙を書いた。内容は、率直に『マンガの歴史』という本をご執筆いただき

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  • 自殺を止める方法(1,801字)

    2021-08-20 06:00  
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    世の中の多くの人は、自殺についてあまり考えたことがない。もちろん、「死にたい」と瞬間的に思うことは誰にでもあるだろうが、それと自殺とはちょっと違う。また、希死念慮というのがあるが、それも自殺とはちょっと違う。
    ネットを見ると、自殺を憂う人は多い。自殺を憂う人は、身近な人が自殺をしたのだろう。これは、大変にきつい。なぜかというと、「止められたのではないか?」と思うからだ。それで、いろいろ悩んだりする。
    しかしながら、これは大変理解が難しいのだが、自殺というものを深く知ると、やがて「自殺は止められない」と分かる。これは、本当に止められない。自殺は、ほとんど病死のようなものである。その人の寿命だ。だから、身近な人が「止められたのではないか」と思うのは間違いなのだ。
    では、なぜ止められないか?
    それは、自殺が「殺人」だからである。当人が、生きることに耐えられなくなって、自分で自分を殺すよう指令を出

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その19(1,789字)

    2021-08-19 06:00  
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    マンガでは、どのような「決めポーズ」が流行したのか?
    まず、初期の手塚マンガや横山光輝のマンガ、そしてトキワ荘メンバーのマンガにも、「決めポーズ」は見て取れる。パッと思い浮かぶのは、アトムや鉄人28号の飛行のポーズだ。
    年代が下ると、白土三平の忍者マンガが流行った。ここでの印象的な決めポーズは、走るときの「忍者走り(ナンバ走り)」だろう。上半身を傾斜させ、その位置で固定しながら、足だけを早く動かす。このポーズは、当時流行していた忍者映画などから拝借してきたものと予測できる。
    その後、つげ義春の『ねじ式』が流行し、主人公の「右手で左腕を押さえるポーズ」が、人々の印象に焼き付けられた。今でも、「ねじ式」で検索すればすぐにそのポーズの絵や写真がたくさん出てくる。
    その後、『巨人の星』や『あしたのジョー』が流行るのだが、この2つのマンガは、象徴的な決めポーズはほとんどない。星飛雄馬がマウンド上で足

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  • [Q&A]この社会をハックするにはどうすればいいのか?(1,473字)

    2021-08-18 06:00  
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    [質問]
    ニューヨークのクオモ知事が辞任しました。
    コロナ関連の対応で称賛する人たちもいますが、ハックルさんは彼に対して、どのような印象を持たれていますか?
    [回答]
    正直、「コロナに対応している」という時点で、彼への関心は薄かったです。コロナと戦う姿勢を明確に打ち出すということは、逆に「社会のことを真剣に考えていない」ということの証拠でもあります。従って、「自分のイメージ」を何より大切にする、かなり利己的な人間と思っていました。
    そのため、スキャンダルで辞任したと聞いたときは、「やっぱり」としか思えませんでした。また、ぼくの予感が当たってしまいました。あまりに当たるので、もはや何も感じませんね。
    [質問]
    岩崎様 いつも興味深いメルマガありがとうございます。
    前回、実子誘拐の件でアドバイス頂いた者です。まずは女性の弁護士に付いて貰った方が良いかと、2人ほど話を聞いてみました。彼女らは表

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  • 情報リテラシーはどうやったら身につくのか?:その44(1,645字)

    2021-08-17 06:00  
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    「死ぬほどの体験」というのは、人を確実に変える。目の曇りを取り除かせ、世の中の実相を見られるようになる。
    ぼくは、昔から「死ぬほどの体験をした人のドキュメンタリー」を見るのが好きだ。そういう人は、やはりどこか違う。
    例えば、小児癌患者のドキュメンタリーなどは特に印象に残っているのだが、そこでは子供がどんどん透明な存在になっていく。虚飾が剥ぎ取られて、人間の芯がむき出しになっていくのだ。
    人間の芯は透明である。それは、人間が本質的には「筒」のようなものだからだ。
    人間は、本質的には「声の増幅機関」であり、メガホンに近いと言えよう。入ってきた声を、少し大きな音に変換してアウトプットするだけの存在だ。
    だから、芯がない。芯がないのが人間の芯なのだが、それがすなわち透明という意味だ。
    死ぬほどの体験をした人間は、どんどん透明になっていく。つまり、メガホンの通りが良くなるのだ。おかげで、向こう側が透

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  • 好きなことを見つける方法:その14(1,691字)

    2021-08-16 06:00  
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    これからの時代は、社会をハッキングしながら生きていく必要があるだろう。なぜなら、無理ゲー社会が拡大し、しかもそれを止めることには膨大なエネルギーを必要とするため、ほとんど不可能だからだ。それこそ無理ゲーだ。
    そのため、使うエネルギーを最小限にして、現状の中で上手に生きていく必要がある。それには、既存のものをハッキングすることが一番だ。というより、それ以外に方法はない。
    「好きなことを見つける」というのは、この「既存のものをハッキングする」ということにおいて、必要不可欠だと思う。なぜなら、好きなことが見つからないと、結局誰かから押しつけられた価値観の中で生きるしかなくなる。今だったら、周囲から「とりあえず大学に行け」とか「とりあえず就職しろ」という価値観を押しつけられ、それに流されて生きていくしかない。
    これでは、ハッキングも何もない。周りに流されていったら、そのまま無理ゲー社会の濁流に呑ま

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  • フェミサイドというけれど(1,524字)

    2021-08-13 06:00  
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    ぼくは1968年の生まれで今53歳だけれども、この世代でも「男」というのはかなり生きづらかったし、嫌な目も散々見てきた。なぜなら、とにかく恋愛市場が女性に圧倒的有利で、辛酸をなめ続けたからだ。逆に、「男らしさ」を強要されたことなど一度もない。だから、「男も男という役割を降りて良い」などとフェミニストが言うのは、いつもとんちんかんに感じている。
    しかしながら、公平に見るならば、女性だって恋愛以外では特有の不利さはあっただろう。だから、そういうことはいちいち言ってもしょうがいないと思っている。そのため、ぼくはことさら「男性の恋愛における立場を向上させたい」とも思わなかった。
    それよりも、今の状況で自分が勝てる要素を探し、そこを磨くしかないと思った。ぼくは、いろいろ小器用にできるから散々遠回りはしてきたけれど、最終的には「情報の正誤を判断する能力」なら誰にも負けないということが段々と分かってきた

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その18(1,943字)

    2021-08-12 06:00  
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    ポーズには、第一に「大きな価値の一部、あるいはそのものになれる」という効果がある。例えば、スペシウム光線のポーズを取ると、ウルトラマンそのものになれる。ヨガのポーズを取ると、健康になれる。
    第二に、「大きな価値に触れる」という効果がある。例えば、神社への礼拝。これは、神社そのものにはならないが、主に「手」を通じて、神に触れるという経験を得られる。
    では、マンガにおけるポーズの価値とは何か?
    これは、実はとらえ方が難しい。
    そもそも、マンガというものは「絵が動かない」という特性上、登場人物の絵、全てがポーズで構成される。
    そして、マンガにおけるポーズは、ウルトラマンにおけるスペシウム光線や、仮面ライダーにおける変身ポーズのような価値を持ちにくい。なぜなら、それらのポールは、ポーズでありながら、実は「動き」に主眼が置かれているからだ。
    特に、仮面ライダーの変身はそうである。一連の動きがなければ

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  • [Q&A]ハックルさんの健康法は?(3,392字)

    2021-08-11 06:00  
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    [質問]
    岩崎先生の一連のブロマガやTwitterを拝見していると、「オリンピックの中止」を訴える人たちと、「単独親権に反対」されている方々は、どちらも”生贄が生じる仕組み”をなくそうとしている点で似ているような気がします。両者には様々な違いがあると思いますが、決定的な違いはどのような点でしょうか?
    [回答]
    これはいい質問ですね。単独親権は、確かに生贄を作るシステムとして機能しています。一つ言えるのは、オリンピックをなくそうとする運動に比べて、「やり過ぎ」ということでしょう。
    オリンピックを中止にしても、それほど人は殺されません。犠牲のバランスがいいのです。しかしながら、単独親権はそれこそジェノサイドです。たくさん殺されます。そういう、単純に「数」の問題です。
    人間というのは不思議なもので、生得的にこの「死んだ人の数」というものを重視するのです。死んだ人数が少なければ見過ごし、多ければ問

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