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記事 17件
  • 出版業界が縮小するときにできることは(2,289字)

    2015-01-30 06:00  
    108pt
    ぼくは出版業界とは今でも多くの仕事をともにさせてもらっているが、そこで聞こえてくるのは「本が売れなくなる足音」だけである。本は年々売れなくなっているが、そのスピードはなおも加速している。
    おそらく、写真のフィルムもこんな感じだったのではないだろうか。みんな、売れなくなるとは分かってはいるけれどもしかし売れなくならないでほしいという祈りの中、それは確実に、しかも加速度を増しながら売れなくなっていく。そうして、早めに決断して足を洗うか、あるいは事業転換するか、もしくはもろともに消滅するかを否応なく選ばなければならない。
    ところで、本というのは1980年代に入って爆発的に売れ出した。ぼくのおじいさんは戦前から出版社を経営していたので、その昔話を聞くとまさに隔世の感を味わうのだが、例えば戦後しばらくは「紙」が非常に高価で、本は値段が高いためほとんどの庶民が買えなかったのだそうである。そのため、出版

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  • 教育考:その3「美しい自然を見ても審美眼を養えない人」(1,575字)

    2015-01-29 06:00  
    108pt
    審美眼を養う方法は、簡単なようで難しい。難しいようで簡単である。
    結論からいえば「美しい自然」を見ることである。そうすれば、自ずから審美眼は養える。
    しかしながら、最近になって気づいたのは、美しい自然を見ても審美眼を養えない人がいる――ということだ。特に、まっとうな社会人に、そういう人が多い。
    そこで今日は、「美しい自然を見ても審美眼を養えない人」とはどういう人なのか、考えてみたい。
    自然を見て、美しいと感じる人は多い。それは、教えられなくても多くの人ができる。
    しかしながら、そこには一つだけ罠がある。それは、多くの人が「自然だったら何でも美しい」と思い込んでいることだ。自然を必要以上に美しいと思い込もうとしている。
    そういう気持ちがあると、逆に自然の純粋な美しさを味わうことができなくなる。目が曇って、その美をありのままに受け取れなくなる。
    自然を正しく見るコツは、虚心坦懐になることだ。心

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  • [Q&A]タダの仕事依頼が来たらどうしますか?(1,252字)

    2015-01-28 06:00  
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    [質問]
    フリーランスの人にタダで仕事を発注すること(その失礼さ)がネットで話題ですが、ハックルさんだったらどうしますか?
    [回答]
    「タダ仕事の発注」というのは、これは経験から分かるのですが、売れているときは来ませんが、売れていないと来ます。つまり、相手も足下を見ているわけですね。
    ということは、タダ仕事の発注が来たら、それはそれだけ「自分が売れていない」ということでもあるので、自分を戒めるきっかけになります。ですので、その仕事を受けるかどうかは別にして、「発注してくださりありがとう(自分がダメなことを教えてくださりありがとう)」と相手に感謝します。なんにせよ、頼まれるというのは悪いことではありません。ネットでこれが話題になるのは、それだけ売れていないフリーランスが多いからだと思います。
    [質問]
    岡田斗司夫さんの八十股が話題ですが、見たところ、有名な男性ネット現論者のほとんどがこの問題

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  • ライトノベルの書き方:その3「『イーリアス』と同じ構造を持った物語とは?」(1,723字)

    2015-01-27 06:00  
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    世の中には「本質」というものがある。本質は、ずっと変わらない。
    その一方、「流行」というものもある。流行は、時代によって移り変わる。
    何事においてもそうだが、ライトノベルにおいても、この変わらないものと変わっていくものとを上手に見極めていくと、いい作品ができる。王道でありながら、なおかつ新しいという、矛盾した要件を満たせるようになるのだ。
    では、どうすれば本質や流行を見極められるようになるのか?
    それをライトノベルにどう落とし込めばいいのか?
    今回は、そのことについて書いてみたい。
    まず、前回も触れたが、小説には「型」というものがある。
    「型」はいつの世でも変わらない。小説の本質である。だから、その型に沿った作品作りをしていけば間違いない。
    例えば、主人公が泥臭く努力して成長していく物語は、一種の型である。これは未来永劫廃れない。確かに、そのアンチテーゼとして主人公が努力せずに成功体験を味

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  • イスラム国(ISIS)の誘拐事件が世間で話題になっている本当の理由(1,674字)

    2015-01-26 06:00  
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    イスラム国(ISIS)が、湯川遥菜さんと後藤健二さんの二人を拘束し、身代金を要求するという事件が世間で話題だ。そこで、なぜ話題になるのかについて考えてみたい。
    まず、ぼく自身はこの事件にはほとんど興味がない。興味がない理由は、彼らが殺されても、あまりひどいことだとは思わないからだ。彼らは、異なる文化・常識を持つ地域に、自国の文化・常識でもって乗り込んでいき、拘束された。いわば、他人の家に土足で上がるような真似をして、反撃を受けた格好なのだ。だから、たとえ何らかの咎を受けても仕方ないだろう――そんな思いが、根底にはある。それが、興味がないことの大きな理由だ。
    そして、世間の人もおおむね似たような感慨を持っていると思う。というのも、この事件の発覚後、事件そのものを茶化す画像がネットに出回ったり、あるいは「自己責任論」が議論の的になったりしているからだ。
    「自己責任論」とは、日本人は世界に比べて

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  • 週末に見たい映画#52「ハウス・オブ・カード 野望の階段」(1,815字)

    2015-01-23 06:00  
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    デビッド・フィンチャーは今の時代、とても全うに映画を作っている人間の代表のように思う。そればかりではなく、映画の新たな地平を切り開く開拓者だとも思う。
    フィンチャーの何がいいかというと、まずは映像がいい。だから、展開がだれたり、つまらなかったりしても見ることができる。見続けることができる。ぼくは最近、そのことが重要なのではないかと思っている。
    映画というのが、頭の先からしっぽまであんこが詰まった鯛焼きのように、一瞬でも見飽きることがない作品がいいかというと、必ずしもそうではない。ぼくは、そういう映画の代表格は「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」だと思っているのだが、しかしこの映画は、何度も見ているとさすがに飽きてしまう。あんこが詰まりすぎていて甘ったるいという感じか。苦みがないのだ。滋味みたいなものが欠けているのである。
    いい映画というのは、何度見ても飽きない。何度見ても新たな発見がある

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  • 教育考:その2「アンリ・ルソーが好きだった」(2,018字)

    2015-01-22 06:00  
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    ぼくは子供の頃にアンリ・ルソーが好きだった。アンリ・ルソーは画家である。いわゆる印象派に属するが、その作風から素朴派などとも呼ばれている。ルソーも歴史的な芸術家の例にもれず生前は絵がちっとも売れなかったが死後に評価が高まって、今では画集なども数多く出版されている。ルソーの絵を見るのは比較的容易い。
    ぼくがルソーを好きになったきっかけは、子供の頃に母親に連れられてその展覧会を見に行ったからだ。母親もルソーが好きだった。思えばぼくは母親にだいぶん影響を受けた。母親が好きなものはたいてい好きになった。母親とは趣味が合ったのかもしれない。かといって性格は全然違うし、ちっとも仲が良くないのが面白いところだが、いずれにしろぼくは母に教えてもらったものをいくつも好きになった。それが、成長するきっかけの一つになったのかもしれない。
    ぼくは今振り返っても親や周囲から愛情をたっぷり注がれたという記憶がない。ど

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  • [Q&A]講演で気をつけていることは?(1,179字)

    2015-01-21 06:00  
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    [質問]ハックルさんは、講演会をなさる機会が多いと思います。そこで、お聞きしたいのですが演者として話をしやすい聴衆、または話しにくい聴衆などありますか?また、ご自身が、他の人の公演を聴かれる場合、その演者さんが話しやすいように気を付けていることはありますか?[回答]講演をしやすいのは、聴衆のプロフィールが統一されているときです。例えば、ドラッカー学会で講演をしたときは、聴衆は学会員、ないしはドラッカーに興味のある人に限られているので、とても話しやすい。ドラッカーの話をしていれば、ほとんどの人が興味深く聞いてくれることが分かっているからです。反対に、聴衆のプロフィールが統一されていないときは大変難しい。例えば、○○市の青年会議所が主催した市民のための講演会などに行った際には、趣味も趣向もバラバラな老若男女に向かって話さなければなりません。これは難しい。何を話せば聞いてもらえるのか、よく分から

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  • ライトノベルの書き方:その2「小説はコンプレックスビジネスだ」(2,029字)

    2015-01-20 06:00  
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    前回の記事を公開したところ、「肝心の『書き方』について書いていない」という指摘がいくつかあった。ライトノベルの書き方:その1「スイスの時計を考える」(2,143字)そこで今日は「書き方」について書いてみたい。
    ライトノベルに限らず、小説の書き方は、どれも基本は一緒である。小説にはある一定の「型」があって、その型を体に叩き込んでから、それに則って書く。物語を動かしたり、キャラクターを動かしたりしていく。そうすることで、小説は書ける。
    これを、もう少し具体的に見ていきたい。
    職業として小説を書こうとした場合、売れないとそれは「職業」にならない。だから、「売れる」ということは前提にあるとして、では売れるためにどうすればいいかというと、やっぱり読む人に「面白い」と思ってもらうことがどうしても必要だ。
    そして、人が「面白い」と思うことにはいくつかのパターンがある。そのパターンから逆算して作っていけば

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  • なぜ多くの日本人が電車の中でケータイゲームをするようになったのか?(1,461字)

    2015-01-19 06:00  
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    先週、とある場所で講演をした際、聴講された方から――「近頃は、老若男女が電車の中でケータイゲームをしている。それを見ていると『日本は大丈夫なのか?』と心配になる。昔は、電車の中で新聞や本を読んでいる人が多かった。日本人はバカになってしまったのか?」
    とのご質問を受けた。ぼくはそれを、なかなか面白い質問だと思った。なぜなら、これまで意識したことはなかったが、言われてみると、一つの現代社会を象徴するような事象であると感じたからだ。そこで今日は、それについてぼくがした回答を書いてみたい。
    まず、「人間の頭の良し悪し」というのは、かなりの部分で「社会の情報化」に依存する。情報化社会が進めば進むほど、頭の良い人が増える。
    300年前、ヨーロッパでは識字率がわずか3%だった。多くの人に情報が行き渡らなかったからだ。しかし今は100%になった。昔と比べ、情報が行き渡るようになったからだ。
    このことから、

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