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記事 20件
  • 知らないと損をする世界の裏ルール:その8「戦争の本質」(2,061字)

    2022-02-28 06:00  
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    2022年2月に、ロシアがウクライナに侵攻した。つまり、戦争が始まった。
    戦争自体は、現代でも珍しくない。ただ、今回ロシアが起こした戦争は、「戦い方」が昔ながらだったので、多くの人が驚いた。まさか21世紀に入ってまでそういう戦い方をする国が現れるとは、(ロシア及びプーチンに相当詳しい人以外は)誰も思っていなかったのだ。
    しかし、こういう構造はよくある。ぼくはそれを「ろうそくは燃え尽きる前が一番明るい現象」と呼んでいる。
    例えば、夜というのも、夜明けの直前が一番暗いといわれている。線香花火も、やっぱり燃え尽きる前にパッと弾けるように火花を散らす。
    つまり、ある現象が終焉を迎えると、スーっとフェイドアウトするのではなく、直前に大きな揺り戻しが起こるのだ。それと同じで、今回のロシアの戦い方も、それがもう終焉を迎えているからこそ、逆にパッと燃え上がったのである。
    また、この記事はまだロシアが攻め込

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  • トヨタ生産方式について考える:その10(1,776字)

    2022-02-25 06:00  
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    トヨタ生産方式とは、「生産方式をたえず考え続けることがだいじ」という、入れ子構造的な、クラインの壺的思想である。「考えとは何かを考えることこそ考え」のようなものだ。「生産方式とは何かを考えることこそ生産」というわけである。
    この思考メソッドは、驚くべきことにさまざまなことに応用できる。特に学習に応用できる。どういうことかというと、「勉強方法を考えることこそ勉強」というわけである。これで、勉強が格段に捗るのだ。
    実際、ぼく自身偶然にもその経験がある。高校3年生のときに、1年間勉強方法について一生懸命考え続けた。勉強するのではなく、「どう勉強したら効率よく成績が上がるか?」ということを考え続けたのだ。そうしたところ、驚くべきスピードで成績が上がった。そうして、あっという間に大学に合格することができた。
    この方式を、ぼくはメソッド化したいと思っている。そういう学校が可能なのではないか。すなわち、

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その43(1,761字)

    2022-02-24 06:00  
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    人間というものは、自分が生まれつきできる得意なことを、他人ができなくてもなんとも思わない。例えば、生まれつき工作の得意な大工は、弟子が不器用でも、「才能がないんだな、かわいそうに」で済ませてしまう。こういう親方は、えてして有能な弟子を育てる。
    ところが、自分も生まれつきそれができず弱点としていたものを、後になって克服した人は、その同じ弱点に苦しんでいる他者を見ると、強烈な怒りに駆られる。いっそ憎悪を抱く。あるいは、強い差別心を抱く。
    生まれつき不器用で失敗ばかりしていた大工が、後にそれを克服して大成した場合、弟子が不器用だと強烈に怒る。「なんでできないんだ!」と、ほとんどいじめのようにしごく。こういう親方の元では、弟子はなかなか育たない。この構造は、人間関係の最も難しい点の一つだ。
    ぼくの場合も、これが当てはまる。ぼくの場合は、頭が悪くて苦労をしている人を見ても、「ああ、かわいそうだな」と

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  • [Q&A]出版業界特有の委託制度と再版制度についてどう思うか?(2,139字)

    2022-02-23 06:00  
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    [質問]
    草サッカーチームの25才のキャプテンがチームメンバーが参加不参加の返事があいまいで人数が不確定で試合を組みづらいと嘆いていました。どうしたら参加不参加を明確に早く返事させて、参加を確定できるか良い方法があればご教示ねがいます。サッカーのように1チーム11人制のものは人数確保が大変なためご教示願います。
    [回答]
    これは非常に難しい問題ですね。なぜなら、ぼく自身が一番解決を苦手とすることなので、正直考えたくもありません。
    それでもあえて回答するなら、これは解決にはなりませんが、そういうチームはもう解散した方がいいと思います。たとえ参加不参加の返事が遅くともキャプテンが責任を持つというのなら続ければいいと思うのですが、もし解決を望んでいるのなら、それは無理というふうに感じます。
    ただ、この答えではあんまりですので、無理やり建設的に考えるなら、そもそもこういう問題は発生する時点で別の問

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  • 生きるとは何か?:その22(1,694字)

    2022-02-22 06:00  
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    「野蛮人」という言葉がある。しかし今は、使う人がほとんどいない。
    なぜなら、一種の差別用語だからだ。この言葉は、そもそもは文明未開の地で原始的な暮らしをしている人たちのことを指していた。そこから転じて、たとえ文明人であっても、粗野で横暴な人を野蛮人というようになった。いずれにしろ、差別的な意味合いが大きい。
    ところで、その昔『野蛮人のように』という薬師丸ひろ子主演の映画があった。1985年の公開で、その年の興行成績2位を獲得した。
    1986年 『野蛮人のように』予告編
    また、ぼくが最も好きな歌の一つに『情報時代の野蛮人』というものがある。元ザ・ブルーハーツ(現ザ・クロマニヨンズ)のメンバー・真島昌利(マーシー)の歌で、1992年に発売された彼のソロアルバム『RAW LIFE』に収録されていた。
    マーシー/情報時代の野蛮人
    ぼくは、薬師丸ひろ子もマーシーもとても好きなのだが、両者とも野蛮人と

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  • 知らないと損をする世界の裏ルール:その7「科学は科学的ではない」(1,863字)

    2022-02-21 06:00  
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    これは本当に知らない人が多いのだが、科学は科学的ではない。
    例えば、最近もちょくちょく話題になるが、「優生学」というのは20世紀の前半までは立派な科学だった。「科学的に正しい」と科学的に証明されており、それに則ってナチスは人種隔離政策や虐殺を行った。
    その後、優生学は科学的に否定され、あっさりと科学的ではなくなった。この一例からも分かるように、科学というのはきわめて「時代的」で、経年で簡単に変化する。また、きわめて恣意的でもあり、観察者によっても結果が大きく異なってくるのだ。
    有名な「シュレーディンガーの猫」という概念がある。量子力学の世界では、観察者の「観察する」という行為が対象に影響を及ぼす。だから、「箱の中の猫は、箱を開けてみるまで存在するかどうか分からない」のだ。これは、観察は科学的に不可能――ということを表している。
    この概念は、文化人類学の世界では古くから問題になっている。研究

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  • トヨタ生産方式について考える:その9(2,202字)

    2022-02-18 06:00  
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    この世界の多くが「お為ごかし」でできている。なぜなら、多くの人が「暇」だからだ。
    多くの人は、本当に役に立つ仕事をしていない。そもそもできない、ということもある。おかげで、膨大な暇を持て余している。
    その暇を埋めるために、社会では数多くの余計な仕事やもめ事が捏造されている。そういう状況が、有史以来ずっと続いているのだ。
    現代では、そんな「お為ごかし」の代表的な存在が学校だ。学校は、もはや「子供たちを教育する」という当初の目的を完全に見失い、ほとんどが「教育にかかわる無数の大人たちの暇を潰す」というお為ごかしのために存在している。だから、意味がない。ナンセンスの極みである。
    トヨタ生産方式は、このナンセンスを徹底的に排除するというところにコンセプトがある。つまり、大人たちに暇潰しをさせない。役に立つ仕事だけを徹底的にさせる。そのためにどうすればいいかを考え、実践するのがトヨタ生産方式なのだ。

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その42(1,693字)

    2022-02-17 06:00  
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    赤塚不二夫は、23歳になる年の1958年、秋田書店の「漫画王」という雑誌に『ナマちゃん』を掲載する。これが好評だったためそのまま連載になり、彼の「ギャグマンガデビュー作」となった。
    その後、それまで描いていた少女マンガと並行しながら、ギャグマンガをぽつぽつと発表していく。そこで、更なる転機となったのは1962年(27歳になる年)に2話完結の読み切りとして描いた『スーダラおじさん』という作品だ。
    内容は、どこかうだつの上がらないおじさんが、教育ママの妻と、それに甘やかされて育った息子に疎まれながらも、なんとか楽しく生きていこうとする話である。そういう構造の中でところどころギャグが展開するのだが、途中からジャズのように変奏し、ナンセンスなドタバタへと昇華する。最後は、主人公のお父さんが、クレイジー・キャッツの『スーダラ節』を他の大勢のうだつの上がらないおじさんたちと合唱して、自分たちを慰めると

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  • [Q&A]パソコンとのつき合い方を教えてください(2,688字)

    2022-02-16 06:00  
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    [質問]
    なぜか、メタバースという言葉をよく耳にします。ソニーのゲームソフトやディズニーランドの世界に生身の人間が入るような感覚ができれば素晴らしいエンタメになるようにもみえます。すると現実よりもメタの世界に居る方が長くなる時期も近いように思えます。
    ちょうどフェイスブックやインスタで見栄を張るように幸福を置く場所の比重が変化していくように思えます。そのような世の中がくるとしたら何年後なのでしょうか。技術は日進月歩。最近では胎児も母親の身体の外で成長させることも成功したくらい進んでいるようです。
    [回答]
    メタバースが本格的に広まるとしたら、ぼくは任天堂からではないかと思いますね。あるいは、海外も含めたゲームメーカーから広まるようになると思います。
    なぜなら、メタバースにおいて決定的に重要なのはUX(ユーザーエクスペリエンス)だと思うのですが、その実装スキルに一日の長があるのが、何を置いて

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  • 生きるとは何か?:その21(1,871字)

    2022-02-15 06:00  
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    ぼくは、大学時代に祖父母の家に下宿していたので、近代的自我と中世的無自我の葛藤に揺れる大正生まれの祖母の姿を間近で見ることができた。そして、それ以前に中世的「無」自我を体現している曾祖母を見たり、また彼女の話を聞いたりすることもできた。それがあったから、いつからか「自分の自我」というものにも疑いを持てるようになったのだ。
    最近になって思い出したのだが、ぼくは祖母に一度、「見合い結婚なんて信じられない」と話したことがあった。それは文字通り、「ぼくにはできない」という意味だ。結婚という重要なライフイベントを「他人が決める」などということは、人間の自由を阻害すること以外なにものでもないように思えたのである。
    ところが、そのときまで知らなかったのだが、話した当の祖母が見合い結婚だった。そして、ぼくの言葉を聞いた祖母は、「私は見合い結婚だったけどね」と言った。
    このとき、ぼくは一瞬「まずいことを言っ

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