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記事 21件
  • 石原莞爾と東條英機:その9(1,591字)

    2023-07-31 06:00  
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    ここで石原莞爾の人生をあらためて概観してみたい。
    1889年(明治22年・0歳)1月18日、山形県鶴岡に生まれる。
    1902年(明治35年・13歳)9月1日、仙台陸軍地方幼年学校に入学。
    1905年(明治38年・16歳)7月、仙台陸軍地方幼年学校卒業。9月1日、東京陸軍中央幼年学校入学。
    1907年(明治40年・18歳)6月、山形歩兵第32連隊配属。12月1日、陸軍士官学校(第21期生)に入学。
    1909年(明治42年・20歳)5月27日、陸軍士官学校卒業。原隊復帰。12月25日、陸軍歩兵少尉。新設の会津若松歩兵第65連隊へ赴任。
    1910年(明治43年・21歳)4月、第56連隊、韓国・春川へ派遣。
    1912年(明治45年・23歳)4月、日本帰還。
    1913年(大正2年・24歳)2月3日、歩兵中尉。
    1915年(大正4年・26歳)11月29日、陸軍大学校(第30期生)入学。
    1917年(大

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  • 庭について:その40(1,972字)

    2023-07-28 06:00  
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    ヒドコート・マナー・ガーデンの生け垣の最大の特徴は、やはりそれが「幾何学的」ということだろう。
    プロの造園家ではなかった所有者で元の設計者でもあるローレンス・ジョンストンは、良くも悪くもイギリス庭園の「伝統」を無視することができた。そのため、これまで歴代の造園家が何度となく否定し、頑なに取り除いてきた「幾何学的」紋様も、躊躇なく取り入れることができたのだ。
    だからヒドコート・マナー・ガーデンでは、ジョンストンがイタリア旅行の際に見て気に入った「直線的な生け垣」がふんだんに取り入れられている。しかも、それに当時のイギリスで最先端だったナチュラル・ガーデンの植栽を掛け合わせているから、いうならば水と油が混合した「キメラ庭園」となっているのだ。
    さらに、そこにナショナル・トラストが管理用、あるいは一般公開用のデザインを加えているので、「キメラ度」はさらに増している。そうなると、普通は奇矯で歪なデ

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  • 偽物の個人時代:その2(1,696字)

    2023-07-27 06:00  
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    20年後に到来する「本物の個人時代」。それは、結論からいえば「家族と会社が解体される社会」である。
    そして、政治も解体される。まず政党がなくなる。それ以前に間接民主主義が廃止され、直線民主主義になる。だから、必然的に「政治家」もいらなくなるのだ。
    そう考えると、今の世の中はまだまだ「個人社会」とはいえない。ほとんどの人間が家族や会社に所属し、政治家に投票こそすれ、自分は直接かかわらない。いうならば「共同体におんぶに抱っこ」だ。
    しかし100年前を考えると、共同体の力は今よりずっと強かった。「村八分」は普通に存在し、絶大な威力を発揮した。共同体からはみ出すと生きていけなかった。文字通りの「死」が待っていた。
    それと比べると、今は100年をかけて徐々にではあるが個人社会になってきた。例えば今から40年前には、まだ各家庭に「団欒」があって、みんなが一緒のテレビ番組を見ていた。
    しかし、そこから1

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  • [Q&A]老後の趣味をどう探せばいいのか?(1,909字)

    2023-07-26 06:00  
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    [質問]
    高校の娘が調べ学習をしたりしていますが、表面的なことを書いてお終いになることが多いです。もっと深めればいいのになあ、と思うのですが、親としていいアドバイスがなかなかできません。そこでハックルさんのお知恵を貸してください。何かを書く時、どのようにして深めればいいのでしょうか?
    [回答]
    ぼくも高校生の頃は、ほとんど深めるということはせず、表面的なことばかり知ろうとしていました。だからそれでいいとも思うのですが、何かを調べるとなったら必ず「地理」と「歴史」だけは深掘りするように習慣づけるのがいいのではないでしょうか。
    例えば、石原莞爾が生まれたのは庄内だとすると、庄内の地理と歴史を調べるのです。アレキサンダー大王を調べるとなったら、マケドニア王国の地理と歴史を調べます。
    何事も、地理・歴史と無関係ではありません。ですので、何事も関連して地理歴史を意識していれば、自然と知識も深まるので

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  • アーティストとして生きるには:その15(1,506字)

    2023-07-25 06:00  
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    Twitterに眠る「真のアート性」とは何か?
    推論を言うと、今Twitterに起こっている大変革は、偉大なアートを生み出すための予兆ではないだろうか。また、それを引き起こしたイーロン・マスクは、アーティストの偉大なパトロン的な存在になるだろう。
    では、Twitterはどう変革するのか?
    これは今まさに進行中で確たることはいえないが、分かっているのはTwitterの名前を廃止し、「X」というブランド名にする。そして、そこで送受金をスムーズにし、経済を含めたコミュニケーションのインフラにしようということだ。
    「間もなくTwitterブランドにさよならだ」とマスク氏 「X」の新ロゴデザイン募集中
    これを悲しんでいる人は、だいたいが文化人を気取ったスノッブで、特に日本人に多いのだが、彼らが悲しむことこそ、アートの養分になるのではないだろうか。
    例えば、以前の「アートの時代」は1920年代と197

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  • 石原莞爾と東條英機:その8(1,857字)

    2023-07-24 06:00  
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    石原莞爾の幼年時代は、奇矯なエピソードで彩られている。
    小学校一年生のとき、姉二人に連れられて学校へ行ったところ、周囲の生徒と喧嘩になった。そこで校長が試験をさせてみると、一年生で一番の成績であった。そのため、校長の機転で「一年間自宅で学習していた」ということにし、二年生に編入させられた。
    仙台幼年学校時代、絵画の時間に写生の課題が出て、何を描けばいいのか窮した。そのため、自分の性器を描いて提出したところ、問題になった。先生は怒り心頭に欲したが、同級生たちがかばってくれた。
    学生時代、試験勉強はほとんどせず、歴史や戦史、哲学や宗教の本ばかり読んでいた。ただ軍事雑誌は好きで、戦術の問題を解くことを好んだ。完爾ははっきりと戦争が好きだった。特にその知的な戦略性、ゲーム性を好んだ。
    仙台幼年学校時代からずっと寄宿舎で暮らしていたが、他の生徒が全員帰省する盆や正月も家に帰らず、一人寄宿舎で勉強して

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  • 庭について:その39(2,005字)

    2023-07-21 06:00  
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    ヒドコート・マナー・ガーデンは、イギリスの中部、バーミンガムの南に位置するコッツウォルズ地方の北の外れにある庭園だ。
    ここは、アメリカ出身の富豪の子息、ローレンス・ジョンストンが作った。ジョンストンは、国籍こそアメリカだったが、生まれたのは母が滞在するパリで、1971年のことだった。
    そして1900年、29歳のときにイギリス国籍を獲得すると、その直後から1918年までの長きに渡って、イギリス海軍で働いた。そんな、変わり種の人物だった。
    ヒドコート・マナー・ガーデンの敷地自体は、ローレンス・ジョンストンの母が1907年に獲得した。するとジョンストンは、その直後からアマチュア造園家として庭の整備を始める。その際、知人で園芸家のノーラ・リンゼイの助けを借りた。
    ジョンストンは、最初はあくまでも趣味として、人知れず個人的にその庭を作っていた。しかし20年が経過する頃には、徐々にその評判が伝わるよう

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  • 偽物の個人時代:その1(1,642字)

    2023-07-20 06:00  
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    2020年代は「偽物の個人時代」だ。そのことを強く伝えたいと思ったので、今回から連載として書いていく。
    2020年代を読み解くことは、これからを生きる上できわめて重要になるであろう。今、大きな船が沈みかけている。その船には多くの人が乗っている。いち早く脱出しなければ死んでしまう。しかし実際は脱出が難しいので、多くの人が死ぬことになるだろう。
    2020年代になってから、「氷河期世代」の嘆きがネットでますます散見されるようになった。氷河期世代はだいたい1975年から1985年生まれまでをいう。団塊ジュニアとほぼ同義だ。今アラフォーの世代である。
    彼らの嘆きのパターンの一つに「40歳になって何者でもなかったことに気づいた」というものがある。そういう嘆きをポエムとして垂れ流している人をネットでよく見る。
    これが興味深いのは、その前の世代(新人類)にはそういうふうに嘆く人がいないことだ。新人類までは

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  • [Q&A]『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の感想(2,616字)

    2023-07-19 06:00  
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    [質問]
    ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダムの感想をお聞かせください。
    [回答]
    もちろんすぐに買って始めはしたのですが、実はすぐの天空の神殿の遺跡みたいなところで中断しています。
    ぼくは、そういうふうに「買ったはいいけど始められない」というものがけっこう多いのですね。いわゆる「積ん読」も多いですが、「積みゲー」もまあまあします。「積みDVD」もありますし、道具も買ったまま使わないというケースが数多くあります。
    そうなってしまうのは、いずれ使う「時」が来るというが分かっているからだと思います。ぼくは、そういう時――タイミングを重視するというのがありますね。なんでもそうですが、出会うタイミングによって受ける印象は大きく違ってきます。
    話を『ゼルダ』に戻すと、少しだけですがプレイした感想は、ありきたりですがやはり「時間がかかりそう」というものです。それで中断したのが大きいです。
    「時間がか

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  • アーティストとして生きるには:その14(1,674字)

    2023-07-18 06:00  
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    以前、「アートの定義とは、豊かな欲望×貧困なイメージ」と書いた。その代表例として、近藤真彦の『ハイティーン・ブギ』を取り上げた。
    すると、つい最近、この曲がにわかに脚光を浴びた。それは、ジャニー喜多川氏の性加害事件を、山下達郎氏が擁護したおかげで、派手に炎上したからだ。
    山下氏は、ジャニー氏に「恩」があることを広言した。それは、彼がまだ今ほどの評価を獲得していなかったとき、ジャニー氏だけが評価して、積極的に起用してくれたからだ。
    そんな山下氏がジャニーズ事務所(ジャニー氏)のために初めて書いた曲こそ、この『ハイティーン・ブギ』なのである。だから、山下氏にとってはとても気合いが入った、思い入れの深い作品だ。
    当時の山下氏は、とにかく売れたかった。それは「豊かな欲望」そのものである。
    そんなとき、ジャニー氏から作曲の依頼が来た。それは、自分にとっては馴染みのない「アイドル」の曲だった。
    そこで

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