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記事 22件
  • 偽物の個人時代:その19(1,817字)

    2023-11-30 06:00  
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    ここまで「偽物の個人時代」について考えてきた。そこで分かったのは、それが「偽物」である最大の要因こそ、若者における「恋愛の不足」であるということだ。
    これはほとんどの人が理解できていないのだが、今、多くの若者が、恋愛不足と「それを自覚できないこと」に悩んでいる。というのも、今の若者はある種のマインドコントロールのように「個人主義」にとらわれており、深層意識では「したい」と思っている恋愛を、表層意識では「したくない」と思うようになっているのだ。
    そのため、多くの若者が疑似恋愛に逃げ込んでいるのだが、そこは決して安住の地ではない。むしろ煉獄のような場所で、恋愛したい気持ちをかえって刺激され、精神のバランスを崩壊させられてしまう。ホストにハマって人生を狂わせる若い女性の急増が、そのことを端的に物語っている。
    ところで、恋愛食物連鎖において、ホストは最強の捕食者である。ホストこそが百獣の王ライオン

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  • [Q&A]勉強ができるようになるにはどうすればいいか?(2,336字)

    2023-11-29 06:00  
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    1
    [質問]
    教師をしています。
    こういう分け方は良くはないのですが、できる子もいれば、できない子もいます。
    できない子には、自分が楽ならそれでいいやという努力しないタイプと、あれやこれや周りを巻き込むタイプがいます。後者は、その時間の空気を悪くします。
    こちらが圧をかけ黙って聞いていろ、という姿勢で臨むような内容の授業ではないため、そういうタイプには苦労します。周りの子もちょっと迷惑だと思っているようです。
    そして、自分が周りに迷惑をかけていることを分かっている子と分かっていない子がいます。
    分かっていない子は、自分が空気を悪くしているなんて全然思っていないことでしょう。
    このような形で自己主張せざるを得ないような子に対して、岩崎さんはどのようにお考えでしょうか?
    [回答]
    ぼくがしているクリエイター塾でも、かつては塾生間のトラブルがあったように思います。場の空気を乱す塾生もいました。
    しか

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  • アーティストとして生きるには:その32(2,005字)

    2023-11-28 06:00  
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    今回で、この連載は最終回とする。
    ここまで連載を続けてきて出た「アーティストとして生きる」ということについての結論は、「動画投稿サイトの『地方移住ショート動画』を作る」ということになる。なんとも低俗な考えに見えるが、それこそがアートらしい、ということもできる。
    実際、「地方移住ショート動画」には、ここまで見てきた「アート」というものの本質が、高いレベルで内在している。その本質とは、以下の4つだ。
    1:貧困なイメージ×豊かな欲望
    2:困難さの顕在化
    3:新しい生き方の提示
    4:新しい表現方法の使用
    順に見ていきたい。
    まず、1の「貧困なイメージ×豊かな欲望」について。
    地方移住ショート動画の投稿者は、多くの場合でカップルである。そこには、率直に言って「性」の匂いが充満している。実に貧困なイメージではあるが、豊かな欲望(性欲)に満ちあふれている。
    つまり、地方に移住すれば「性への充実が図れる」

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  • 石原莞爾と東條英機:その25(1,708字)

    2023-11-27 06:00  
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    近代化によっていわゆる生産性が爆発的に増大した。そうして「新聞」というものが生まれた。ものづくりの生産性が上がって、印刷物を大量に、しかも短期間に作り、配れるようになったからだ。それで、毎日印刷物を発行して配るという、それまでは夢でしかなかったソリューションが徐々に、しかし確実に構成されていった。
    日本における新聞は、明治維新以降徐々に浸透していった。しかし大正に入る頃まで、まだそれほどの巨大産業ではなかった。なぜかといえば、新聞を作ることはできるようになったものの、まだ読者が育っていなかったからだ。
    当時の日本には、新聞を読むリテラシーと財力のある人が限られていた。特に維新からしばらくは、そもそも文章を読むことのできる人が少なかった。確かに識字率は高かったが、それは単に名前を読み書きできるくらいで、難しい文章を読解できる人は少なかった。
    ところが、そんな新聞に驚くばかりの追い風が吹く。そ

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  • 庭について:その55(2,050字)

    2023-11-24 06:00  
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    禅庭の巨大なイノベーターである夢窓疎石は、当時最も力を持っていた僧侶でもあった。
    夢窓疎石は1275年に三重県で生まれる。実家は天皇の子孫という家柄で、いわゆる貴族であった。ところが、幼い頃に母方のお家騒動に巻き込まれ、山梨県に移住する。
    10代で山梨県のお寺に入門し、修行を始める。最初は天台宗や真言宗を学ぶが、その教えに納得感を得られなかった。修行そのものが形骸化していて、本質的ではないと感じたのだ。
    そこでより本質的なものに近づこうと、禅宗に鞍替えし、京都に来る。臨済宗のお寺に入って、やがて夢窓疎石を名乗るようになる。
    その後、鎌倉に移って修行を続け、1305年に印可を受け、独り立ちした。ちょうど30歳のときだった。
    印可を受けてから、後塵の指導や布教のため、全国のお寺を回るようになる。その生活を20年ほど続けた後、50歳になった1325年、後醍醐天皇の依頼で再度京都へ上り、彼のコンサ

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  • 偽物の個人時代:その18(1,917字)

    2023-11-23 06:00  
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    偽物の個人時代における最大の懸案は「恋愛」だろう。恋愛の問題を解決しないまま、個人時代を始めてしまった。だから、いつまで経っても恋愛が、問題の火種としてくすぶっている。
    人は、個人時代を求めている。それでいながら、恋愛も求めている。しかし、個人主義と両立できる恋愛の形が、今のところない。だから、多くの人がその板挟みに苦しめられている。その矛盾を解消しようと、あの手この手を尽くしている。
    その試行錯誤が生み出した最大の文化が「オタクコンテンツ」だ。オタクコンテンツは「疑似恋愛」として機能するため、個人主義と恋愛とを擬似的に両立できた。
    ところが疑似恋愛には、最終的に「疑似のままやめづらい」という欠陥のあることが、近年露呈した。それがさまざまな業界――ジャニーズ、宝塚、ホスト、フィギュアスケートなど――でさまざまな事件を起こし、今、限界を迎えつつある。
    疑似恋愛は、特に女性にとってハードルが高

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  • [Q&A]私人逮捕系YouTuberが相次いで逮捕されたことについてどう思いますか?(3,137字)

    2023-11-22 06:00  
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    [質問]
    こちらの行為に対して「ありがとう」と言わない人が、増えているような気がしています。以前から言われていますが、機械的な対応の店員さんも増えています(私の体感です)。見知らぬ他人ではなくすこし身近な人には「ありがとうを言うもんだよ」とアドバイスしたらいいのかな、とも思いますがハックルさんはどう思われますか?
    [回答]
    「ありがとう」を含めた「挨拶」には、とても深い文化的かつ心理的背景があるので、取り扱いには注意した方がいいと思います。特に「挨拶の強要」は、その人をコントロールし、狂わせることにも容易につながります。全体主義国家や組織では、まず何よりも挨拶が重視されます(ナチスや軍隊など)。またマインドコントロール集団でも、挨拶に何より重きが置かれます。日本の昔の運動部や、宝塚歌劇団、あるいはブラック企業などですね。
    しかし同時に、「挨拶をしない」ということは、相手を人間として見ないと

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  • アーティストとして生きるには:その31(1,723字)

    2023-11-21 06:00  
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    2020年代が、1920年代、1970年代と同じような「アートの時代」であるとするならば、2023年の今、それはすでに「始まっている」ということになる。だから、今現在の世の中を見回せば、そこに新しいアート作品はあるはずだ。
    ただし、それは一見アートに見えづらいだろう。なぜかといえば、アートというのはできた当初は「アート然」としていないからだ。むしろ「落書き然」としている。文字通り「バスキアの絵」のようなものだ。あるいは「ウォーホルの版画」のようなものである。
    それは最初、落書きにしか見えなかった。というより、落書きそのものだった。しかし時代を経て、後世の人がそこにアート性を見出した。そうして1920年代や1970年代が、後から振り返って「アートの時代だった」ということになるのだ。
    2020年代も、そのようなことになる可能性が高い。すなわち、今は落書きにしか見えないものが、後でアート作品だっ

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  • 石原莞爾と東條英機:その24(1,750字)

    2023-11-20 06:00  
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    一夕会はほとんど偶然にできた組織だったが、時の流れが味方して、信じられないくらいに勢力、そして権力を拡大していった。これはひとえに一夕会をリードした永田鉄山のリーダーシップ(時代の読みの確かさと求心力)もあるが、たまたまその周りに優秀なエリート将校が集まり、互いに切磋琢磨していったことの結果でもあろう。
    エリート同士が集まると、普通は反目し合って出世競争などをくり広げ、結果的に小さく収まってしまうものなのだが、このときはなにしろ山縣有朋という巨大な共通の敵がいた。山縣の率いる長州閥を打倒することは、若きエリートたち共通の悲願であって、この一点において彼らは一致団結し、互いに切磋琢磨して成長することができたのだ。
    そういうふうに、一夕会はいうならば偶発的にできた「天才育成機関」であった。天才というのは突然単独で現れるものではなく、通常より固まって集団で現れる。分かりやすいのが芸術家で、ダ・ヴ

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  • 庭について:その54(1,973字)

    2023-11-17 06:00  
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    まず「禅」とは何か?
    概観してみたい。
    禅宗は仏教の一宗派で、中国で発祥した。インドから中国に渡った「達磨」が開祖とされるが、これは伝説的なもので確証はない。
    日本には奈良から平安時代に伝わったが、本格的に広まったのは鎌倉時代である。日本においては座禅を組む宗派が「禅宗」と目されることが多いが、座禅自体は仏教で古くから行われていた徳目の一つであった。
    禅とは「禅那」の略である。禅那とは、心が揺れなくなった状態を指す。
    そして座禅は、座ることによって心が揺れなくなることを目指す。禅においては、「心が揺れない」というのが一つの究極の目的であった。
    では「心が揺れない」とはどういうことか?
    その前提には、まず「心が揺れる」ということがある。そうして、それについての苦い経験がある。
    「心が揺れたことによって失敗した、だから心を揺れなくしたい」
    それが、禅をすることの意味だ。
    ところで、みなさんは心

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