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記事 23件
  • 最近は、ずっと「犬ヶ島」のことを考えている。(1,577字)

    2018-03-30 06:00  
    110pt
    最近は、ずっと「犬ヶ島」のことを考えている。
    「犬ヶ島」とは、映画監督のウェス・アンダーソンが日本を舞台にして作った新作映画のことだ。
    この映画は、ストップモーション・アニメーション(以降「人形アニメ」)のスタイルで作られている。人形アニメとは、人形を少しずつ動かしながら、一枚一枚撮影したものをつなげて動画にする映画のことだ。アメリカでは、少し前からこれがブームになっているが、ウェス・アンダーソンももともと実写の映画監督でありながら、過去にこの人形アニメを撮ったことがある。今回が2回目だ。
    ウェス・アンダーソンは、実写でも画面の隅々までをコントロールし、シンメトリーな構図を多用する、きわめてアニメ的な監督である。だから、人形アニメを作ることは、彼にとってきわめて自然なことだといえよう。
    ただ、この映画は「人形アニメだから魅力」というわけではない。それよりも、そこにウェス・アンダーソン監督の

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  • なぜ勉強するのか?:その14(2,027字)

    2018-03-29 06:00  
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    人は、数学を汎化の練習台として重宝し、また交易のための物差しとして活用してきました。
    そうするうちに、やがて面白いことが分かってきたのです。それは、先述したように数学には他の学問にはない「絶対性」があるということです。どれだけ時代が経っても、発見された理論は永遠に変わらない。それがあるからこそ物差しとして活用できたのですが、そこには単に「実用的」ということにはとどまらない、独特の神秘性や不思議さ、そして美しさがありました。
    例えば、πというものがあります。πとは円周率のことです。
    この円周率というのが、なんとも不思議なのです。円の面積の計算に用いるという、我々にとってとても身近なものでありながら、それは絶対に割り切れません。どこまでも小数点が続きます。ちなみにこれを「無理数」といいます。
    また、小数点以下の数字もランダムに出てくるのです。そこに法則性は見出せません。しかもそれが、永遠に続く

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  • [Q&A]ボローニャではどのような絵本を探しているのですか?(1,477字)

    2018-03-28 06:00  
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    [質問]
    ハックルさんは自宅にどんな絵を飾っていますか?
    [回答]
    ぼくの自宅には、絵は飾っていないのですが、『もしドラ』のアニメのときに作ったTシャツに声優の仲谷明香さんがサインしてくれたものと、エンジェルス時代の松井秀喜選手のサイン入り写真(これはアメリカのドラッカースクールからもらったもの)を飾っています。狭いのであまり飾るスペースがないんですよね。
    [質問]
    今はいろいろな面白い文具が出ていますが、ハックルさんが使っていて気に入っている文具がありましたら教えて下さい。
    [回答]
    ぼくが気に入って使っているのは、メーカーは気にしていないのですが、三色ボールペンとB5版のミシン目がついたノートですね。昔は万年筆も持ち歩いていましたが、なかなか使わないので結局ボールペンに落ち着きました。
    [質問]
    結婚する前は、優しくて家事を一緒にやってくれそうな雰囲気をかもし出していたのに、結婚したと

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  • これからどう生きたらいいのか?:第14回(2,071字)

    2018-03-27 06:00  
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    これからの時代は、今までとは比較にならないくらい、世の中の変化が速くなる。そういう時代に、我々はどう生きたらいいのか? 仕事は、どのように選べばいいのか?
    その答えは、仕事を「選ばない」ということだ。そして、いろいろ「試してみる」ということである。
    20世紀の終盤から、世の中で最も成長している産業はIT産業だった。ただしその中でも、最初はハードウェアの会社が隆盛していたのが、21世紀に入るとソフトウェアの会社がそれを逆転するようになった。
    今、世界で最も強い会社は「FANG-MANT」と呼ばれている。これは、Facebook、Amazon、nVidia、Google、Microsoft、Netflix、Teslaの頭文字を取ったものだ。
    これらの会社は、どれも基本的にソフトウェアの会社だ。ハードウェアの会社はnVidiaと、ソフトも一貫して作っているアップルとTeslaくらいだ。その昔、ハ

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  • なぜ人は本屋へ行かなくなったのか?(1,865字)

    2018-03-26 06:00  
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    先週、こんな記事がバズっていた。
    出版業界はもう終わっている
    本がいかに売れないかという話なのだが、ぼく自身、今は出版業界で働いているので他人事では済まされない。
    そこでぼくも、出版業界の現状について考えてみた。特に、ぼくが一番の問題だと考える「本屋の衰退」について考えてみた。ぼくは、本屋が衰退していることが、出版業界が衰退している一番の要因と思うのだが、ではなぜ本屋は衰退しているのか? それは、面白い本が少なくなったからという単純な話ではない。
    ぼくは、中学生のとき(1981年)から一日も欠かさず毎日本屋に行っていた。その生活は2005年頃まで続いたが、その後は徐々に行かなくなって、今は月に一回行けばいい方だ。
    では、なぜ本屋に行かなくなったのか?
    その前に、そもそもなぜ本屋へ行っていたのか?
    ぼくが本屋へ行っていたのは、情報に飢えていたからだ。新しい情報もそうだが、何より面白い情報に飢

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  • 東京芸大建築科に入った方法の続き(1,871字)

    2018-03-23 06:00  
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    ぼくは東京芸大に入るために高校生なりの戦略を立てて臨んでいた。今思えば、大人がもっと戦力を立ててぼくに教えてくれても良さそうなものだが、そういう大人はぼくの周りには一人もいなかった。そのためぼくは、ほとんど独力でそうした戦略を立てていたのだ。ぼくは、筆記、写生、立体のうち、筆記と立体はそれなりにこなせるようになっていた。残るは写生だった。建築写生だけ、なかなか腕が上がってこなかったのだ。これは、ぼくにとって意外だった。というのも、子供の頃絵が得意だったから、最初は上手くいくだろうと甘く見ていたのだ。しかし、それはあくまでも自由に描く絵の場合だった。大学入試で求められる絵は、デッサンのしっかりした不自由な絵だ。ぼくは、これが苦手だった。今ならもう少し上手く描けるかともに思うが、当時はなかなかデッサンの腕が上がらなかったので苦手意識があった。そんなぼくに対して、デッサンの上手い人は圧倒的に上手

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  • なぜ勉強するのか?:その13(1,975字)

    2018-03-22 06:00  
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    人間は、数学に親しむうちに、そこに独特の魅力を見出すようになります。それは数学の「絶対性」です。数学というのは、どれだけときが経過しても、価値が変わることがありません。これは、他の分野の学問にはまずないことです。
    科学でも、物理や生物といった他の分野では、新しい発見がある度に理論が書き換わっていきます。例えば物理では、ニュートンが万有引力を発見しますが、やがてその方程式では説明できない現象が観測されるようになり、今度はアインシュタインが相対性理論を発表します。しかしそれでも説明できない現象が観測されると、今度は量子力学が台頭してきました。
    このように、他の分野の学問では理論や答えがどんどん刷新されていきますが、しかし数学だけはそういうことが起こりません。1+1の答えは、有史以来ずっと2のままですし、円の面積を求めるための方程式も、半径の二乗にπを掛けたもので変わりがないのです。
    つまり数学

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  • [Q&A]財テクでしていることは?(1,810字)

    2018-03-21 06:00  
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    [質問]ハックルさんがしている財テクを教えてください。[回答]財テクというわけではありませんが、ぼくは『もしドラ』がヒットした後、入ってきたお金のほとんどで不動産を買いました。というのも、家賃がなくなるというのはこれからの人生においてストレスが少なくなるのでいいと思ったからです。それというのも、放送作家をしていたときに「家のグレードだけは上げてはいけない」という話をよく聞いていたからでした。家のグレードというのは、一旦上げてしまうとその後なかなか落とせなくなる。そうなると、その家賃が負担になって、後々苦しめられる。見栄を張って高い家賃の家に住み続けることで、人生そのものが壊れていく。そうならないためには、後で実入りが減ったときのことを考えて、家賃は低いままに抑えておいた方がいい。そういう考えを、浮き沈みの激しい放送作家や芸能人は、先輩の浮き沈みを見たりしながら育んできたのでした。ぼくもその

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  • これからどう生きたらいいのか?:第13回(2,002字)

    2018-03-20 06:00  
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    世の中というのは、どんどん変化が激しくなっている。情報の伝わるスピードが、どんどん速くなっているからだ。
    おかげで、「未来がどうなるか?」ということの予測は、どんどんと難しくなっている。変化が速いと、その分不確定要素の入り込む余地が大きいため、変化の度合いもまた大きくなるからだ。
    変化のスピードが速いということは、昔は10年くらいかけて起こった変化が、今は1年で起こってしまうということだ。昔は100年かけて起こった変化が、ほんの10年で起きてしまう。
    そうなると、今、10年後の変化を予測することには、昔、100年後を予測したくらいの難しさになっている。19世紀末に、「2000年にはどのような世の中になっているか?」を予測することが流行したが、大半はSF的な荒唐無稽な予測で、もちろん当たっているものもあるものの、大半は大きく外れた。
    なにしろ、19世紀末にはまだ電話がなかった。せいぜい手紙が

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  • つらいときに思い出したいこと(1,192字)

    2018-03-19 06:00  
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    今日は芸大に入った話をするつもりだったがふと思ったので別のことを書いてみたい。
    「つらいとき」というのは人生においてあるだろう。
    先日、久しぶりに夜の渋谷を歩く機会があったのだが、忘年会シーズンだからか道で酔い潰れる若者がそこかしこにいて、なんとなく殺伐としていた。
    それでなくても春が近づいており、非常に嫌な予感がする。最近、街で絡まれるケースも増えていて、なんとか事なきを得ているが、より自重した方がいいと自戒させられている。
    幸いなことに、というよりもちろん意図してのことなのだが、3月の終わりと4月のはじめは東京にいない予定になっている。いると深甚なトラブルに巻き込まれると予想しているから、それを避けるためだ。
    ぼくはもう中学生くらいからこの季節が苦手で、数年前に自動車に轢かれてからは、その懸念がもう確信に変わったと思い、ここ数年は命を懸けてそこを避けるようにしているのだ。
    つらいこと、

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